拳 神

 

 

2050年の香港。拳の達人クァン(ワン・リーホン)は姉ベルと親友とつるみ、今夜もビルの間でストリートファイトを繰り広げる。彼は死んだと聞かされている、バーチャル画面の父ウォンロイ(ユン・ピョウ)から受け継いだ「神拳道」の使い手だが、その使用は母から禁じられ、父の死の真相も聞かせてもらえなかった。クァンは姉と親友とクラブに来るが、そこでバーテンダーをしていた、先のストリートファイトでクァンに敗北した鉄狼(スティーブン・フォン)が麻薬の売人とケンカをし、彼を助けようとしてベルは神拳道を使う。そこに駆けつけたダーク刑事(サモ・ハン・キンポー)は葬られたと思っていた神拳道の痕跡に驚く。そして、この件で神拳道の使い手の存在を知った反政府組織・戦(ジン)21(ロイ・チョン)がクァン一家に迫ろうとしていた…。

監督は「風雲:ストームライダーズ」の人だそうで、これはCGをかなり使っていましたが、この「拳神」では「風雲」以上にCGを多用しているのをウリにしています。
高層ビルが林立した未来の香港の風景は、紫外線の注意報があったり、大画面の広告があるなど、らしくは作っています。でもそれらは「ブレードランナー」「フィフス・エレメント」や「E.T.」といった既成の映画を連想させるイメージで、オリジナリティーが感じられません。
またこの映画の一番の見所は格闘シーンですが、ほとんどのアクションをCGを使ってデジタル加工をしています。おかげでCGの方が迫力が出てしまい、ごくたまに出てくる、生身のアクションは気が抜けたように見えました。
「少林サッカー」みたいに、CGが生身のアクションを補完する使い方なら納得できるのですが、この「拳神」みたいに、役者がかすんでしまうほどCGを前面に出してしまう描写には疑問です。

CGも適度に使うなら効果があっていいのですが、この映画のCGは無意味に使いすぎに思えて、食傷気味になりました。クライマックスもCG爆発という感じですが、あっけないものです。
しかもこの映画では、CGを使ってる合成シーンはTVぽい、走査線が残ってるような画質になり、チープに見えました。同じ香港映画で、CGを多用している「少林サッカー」はそういう粗い画質のシーンでは無いのに。

話は退屈しませんが、重みはありません。キャラを殺して盛り上げるやり方が、いかにもアジア映画です。
この映画では「パワーグローブ」という、人間が使っていない脳の領域を活性化して強大なパワーを引き出す、というメカニックグローブが重要なアイテムとして登場します。「聖闘士星矢」みたいで面白い道具ですが、無くても話は成立します。

この映画には「風雲」など、この監督の映画にたびたび出演しているイーキン・チェンが、少しだけ特別出演しています。役柄はサモ・ハン・キン・ポーの若い時の姿なのですが、さすがに無理を感じました。
それにユン・ピョウや戦21はこれと同じ時代の、若い時のシーンでも後のシーンと同じ役者が演じているのに、サモ・ハンだけ違う役者というのは不自然な感じがしました。ま、イーキンやっぱりかっこいいけど。

この作品には香港アクションの大御所ユン・ピョウとサモ・ハン・キンポーが出演しています。彼らは久しぶりの共演のはずですが、2人は直接戦わないし、一緒のシーンがあまりないのは物足りないです。
ユン・ピョウはここ数年スクリーンで姿を見ませんでしたが、つい最近公開された「無問題2」に立て続けの出演のように思えます。やはり映画出演が恋しくなったかな。

 

 


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ア リ

 

 

かつてアントニオ猪木とも対戦したことがある、モハメド・アリ(ウィル・スミス)の物語を、60年代を舞台に、マルコムX(マリオ・ヴァン・ピープルズ)との交流やベトナム戦争徴兵拒否、そしてアフリカのキンシャサでの戦いをクライマックスに描いた作品です。

マルコムXは映画の初めの方に出てきますが、アリや彼がお互いのどこに引かれたのかがよくわかりません。単にブラックモスレムの信者だから、ということではないと思うのですが…。
こういった感じで、この映画では全体的に、一番肝心なアリの「思い」が伝わってきません。
監督はマイケル・マンで、この人は「ヒート」(いい作品ではないけど)や「インサイダー」など、男の意地や誇りといったテーマを描いてきた人なので、この「アリ」でもタイトル剥奪や奪還など、男の意地が見られる話になるはずと期待したのですが、完成した映画にはそんなものは全然感じられず、3時間の長さが退屈に思いました。

マイケル・マンは一世を風靡した刑事ドラマ「マイアミ・バイス」のプロデューサーで、この番組は、MTVを思わせる音楽の使い方が話題を呼びました。「アリ」でも音楽がよくかかるのですが、それがアリの心情とマッチしているとは思えず、うるさいだけです。

映画の見せ場である、ボクシングの試合シーンは、デジカメで撮ったような画などを入れて臨場感を出そうとはしていますが、これも効果を上げているとは思えず、迫力は今一つでした。

 

 


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アトランティスのこころ

 

 

少年時代の友人の訃報に故郷の町に戻った写真家ボビー・ガーフィールドは、そこでもう一人の友人キャロルも数年前に亡くなったと知らされる。ボビーは今や荒れ果てた、かって自分が住んでいた家に行き、少年時代を回想する。それは彼の11歳の誕生日、母と2人暮らしの家の2階に、テッド(アンソニー・ホプキンス)という老人が越しきたところから始まる。ボビーはテッドから、新聞を読むことと、変な人が来たら教えてほしいと頼まれる…。

スティーブン・キングが原作の話で、過去を回想する作品というと、「スタンド・バイ・ミー」を思わせます。
ただ、こういう過去を回想する映画は、過去の何らかの出来事が現在の主人公を救う、みたいな、今につながる展開にするべきだと思うのですが、この映画は特にそういう展開でもありません。なので主人公が単に過去を懐かしがってるだけのように見えて、だから何?と言いたくなりました。
とはいえ、話は退屈しませんし、中盤には感動できるシーンがあります。キャラクターが少ないせいか、人物はちゃんと描けていて、父親のいない主人公のテッドへの憧れや、母親の反発など、彼の心情はちゃんと表現されています。

「スタンド・バイ・ミー」は、キング原作にしては超常現象シーンは全く無い作品でした。「アトランティスのこころ」は、テッドに関してそういうファンタジックな描写がありますが、そう重要なものではありません。辛さと幸せを呼ぶスパイス、というところでしょうか。

 

 


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陽だまりのグラウンド

 

 

コナー・オニール(キアヌ・リーブス)は、スポーツの試合を賭けたギャンブルの借金がたまっていた。彼が友人のジミーに借金を頼みに行ったところ、週500ドルで地元少年野球チームのコーチをするように言われる…。

ダメ男が少年野球チームの監督をやるハメになり、イヤイヤながらも、だんだん情熱を燃やしていき、人間としても成長していく、というスポーツ物では定番といえる話です。
このテのスポーツネタの映画は、試合のシーンだと盛り上がりますが、この映画もその例にもれず、野球のシーンはノリがよく、エキサイトさせてくれます。

ただし、この映画の最大の問題は、ギャンブルなどの、野球が絡まない時での主人公のシーンに興味が持てない点でした。コナーが何をしたかということは分かるのですが、彼の心理描写が粗いおかげで、何であれだけギャンブルに命をかけている彼が、野球チームに入れ込んでいくのかがよく分かりません。

少年野球チームのほとんどのメンバーが、黒人貧困層の出身というのはユニークです。そして映画は、野球以外の彼らの生活ぶりも見せますが、ギャング団が周りにいる中での生き抜き方はなかなかタフで、興味を引かれました。

初めの方の試合で、ルールのために出場禁止になってしまった選手が、後のシーンで出場できるといった、何でこうなる?と疑問に思うシーンがいくつかありました。説明のシーンがほしいところです。
ラストは感動的ではありました。ただし「ペイ・フォワード」を思わせる、完全にハッピーとはいえない形のせいか、爽快とは言えません。

 

 


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マ ッ リ の 種

 

 

マッリ(アイーシャー・ダルカール)は19歳になる女の子。政府に兄を殺された彼女はインドのテロリストグループに属しているが、どんな戦いにも突っ込んでいく勇気は周りから賞賛されていた。リーダーは政府要人の自爆テロを計画し、ボランティアの中からマッリを指名する。喜んで命令を受けたマッリは暗殺決行までの数日間、身分を隠すため農業を営む老人の家で過ごすが、その生活の中で彼女の心に変化が…。

映画の舞台はインドで、ガンジー首相が自爆テロで暗殺された事件を元にして、その実行犯が何を考えていたのかを描いた話です。
今自爆テロといえば、パレスチナが有名になってしまいました。この作品の製作はそれに影響されたものかどうかはわかりませんが、17歳の少女までも自爆テロをやってしまうような現在、タイムリーな映画といえるでしょう。

一見政治的な話に見えますが、テロの標的はボカされているし、その背景といったイデオロギーなどは話の中ではほとんど触れません。
映画はひたすら主人公を中心に、周りのキャラの描写に徹しています。おかげで彼女が周りの人々に心を動かされ、迷う真情がよく出ています。ラストも納得できました。
主人公マッリを演じるアイーシャー・ダルカールはその大きな目が、あるシーンでは意志の強さを、あるシーンでは心の揺らぎをよく表現しています。彼女はこの映画で「スター・ウォーズ:エピソード2」に抜擢されたそうですが、その存在感の強さを思えばなるほどと思えます。

インド映画といえば「ムトゥ:踊るマハラジャ」のような長い、ミュージカルタイプの映画を思い出しますが、この映画には踊るシーンは無いし、1時間半くらいの長さで終わります。過去の出来事を時制をずらして表現するなど、編集も巧みで、ハリウッド映画に近い感じの作品です。

自爆テロ決行までマッリが過ごす時間が数日間あるのですが、決行まであと何日ということは話の中では言われません。それを言ってくれた方が、日ごとに強くなっていくであろう彼女の感情の高ぶりが分かって、より感情移入できたと思います。

 

 


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クィーン&ウォリアー

 

 

宝物を求めて旅をする剣士ベルダールは、恋人ソンジャと共に洞窟の奥に安置された宝石を手に入れるが、それを盗んだことで呪いをかけられる。目覚めた彼は現代で、見知らぬ少年ラモンの姿をしていた。自分の世界がそこでRPGになっていることを知ったベルダールは、それのルールから呪いを解く方法を知り、呪いをかけた千の目教団の呪術師を殺そうとするのだが、彼の狙った人物は政治団体の若いリーダーだった。暗殺が未遂に終わり、追われる身となったラモン=ベルダールは、ソンジャにそっくりな売春婦に助けを求める。だが彼女にとってラモンは頭がおかしい人物としか思えなかった…。

タイトルやポスターで見る限りこの映画は「ダンジョン&ドラゴン」のような剣と魔法のファンタジーに思えます。
しかし実はそう単純な話ではなく、剣士とRPGオタクの現実と妄想を行き来するという、「ビューティフル・マインド」に近い作品といえます。話を完全に妄想と描かず、現実かもしれないと混同させる展開は面白い点です。
その先に来るラストは辛いと思いましたが、ハッピーと受け取る人もいるかもしれません。

ソンジャのコスチュームはビキニにTバックと見て楽しい姿ですが、こんなに露出が多いと戦闘には不向きな感じです。彼女はヌードも披露しますが、それ以外でもいくつか大人向けのシーンがあり、中にはボカシを入れた方がいいと思えるシーンもあります。ファンタジー物?の映画でこれだけエロい作品も珍しいでしょう。

 

 


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サウンド・オブ サイレンス

 

 

コンラッド(マイケル・ダグラス)は児童専門の精神科医。感謝祭前日で浮かれている晩に、友人の頼みでエリザベスという患者を診るハメになる。翌朝コンラッドは娘がいないことに気付く。彼女は誘拐されたのだった。誘拐犯はコンラッドに、エリザベスが覚えているはずの6桁の番号を聞き出せと命令する。その期限は今日の午後5時…。

いろんなエピソードがいいテンポで起きて、それなりにハラハラできて退屈はしません。しかし進行は、調子いいというか、イージー気味だし、突っ込みたくなる部分がいくらかあります。
特に、話のキーである、エリザベスが覚えているという6桁の番号は気になりました。
コンラッドと初めて会った時、彼女は「I never tell...=教えない」と言います。この時は観客にもコンラッドにも何のことか分かりませんが、後になってこれがその6桁の番号のことだと想像がつきます。しかしコンラッドは、彼女がその数字を覚えておらず、記憶の彼方に忘れ去っていると解釈し、番号を思い出させようと試みます。
エリザベスが「教えない」と言ってるということは、本人は6桁の番号を知っているという認識があって、そう言ったといえます。もし番号の記憶が無かったら、知らないのだから「教えない」などという言葉は出てこないでしょう。
でもなぜかコンラッドは、彼女が数字を忘れていると解釈します。この理由が分かりません。
この場合、エリザベスに「I never tell...」などと言わせないで、6桁の番号をエリザベスが覚えているのかいないのか、本人にも分からない形にするべきでしょう。そうすれば、彼女が本当に番号を覚えてなかったら、コンラッドの娘はどうなるのか?というサスペンスで盛り上げられると思います。

また、彼女から番号を聞きだすのに誘拐犯は期限を切ります。誘拐された側、つまりコンラッドにとっては、それまでに番号が分からなければ娘を殺されるのだから、切羽詰ったものになるでしょう。しかし誘拐した側はどうでしょうか?彼らにはその番号をその時間までに聞き出さなければならない理由がありません。なので犯人側はどこかのんびりしているように見えました。もしここで、犯人側にも何らかの時間的な期限を設定していれば、サスペンスの要素の1つとして盛り上げられたと思います。
映画の要となるのは赤いダイヤですが、それにどんな価値があるのか説明がありません。そんなにでかいダイヤでもないのに、10年以上も執念深く追うほどの価値があるのか疑問に思います?

誘拐犯が「誰にも喋るな」と言ったことで、主人公は娘の誘拐を警察には知らせません。ただし話には別の殺人事件で刑事が登場し、徐々に誘拐事件に関わるようになります。とはいえ、ラストでそれなりの役割は果たすくらいしかこの刑事のいる意味はなく、中途半端です。警察がいなくても成り立つ形に話を考えるべきでしょう。

オリジナルのタイトルは「DON'T SAY A WORD」。本編で犯人が「ルール1」として告げる、「誰にも喋るな」と訳されているセリフです。
日本版のタイトル「サウンド・オブ・サイレンス」はそれとは全然違う、あまりに有名な曲と同じでイージーな感じがしますが、このタイトルの方が日本人には馴染みがいいかもしれません。

誘拐された、主人公の娘はただ怯えてはいません。自分のいる場所を確認しようとしたりして、何とか逃げる、あるいは外部と連絡を取る方法を模索します。僕はただ泣いてるようなキャラは嫌いなので、このがんばりには好感が持てました。

 

 


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パニック・ルーム

 

 

まだ見ていない人

メグ(ジョディ・フォスター)は愛人のところに行った夫と別れ、娘サラと2人でニューヨークにあるアパートに越してくる。そこは4階建ての大きな建物で、3階には「パニック・ルーム」と呼ばれる防犯シェルターが作られていた。引っ越した当日の晩、家に3人組の強盗が入り込み、メグとサラはパニック・ルームに逃げ込むが、強盗たちの狙いはその中にあった・・・。

映画は主人公がアパートを見に来るシーンから始まり、ここで観客は舞台となるアパートの構造を知ります。その見せ方はいいのですが、このあたりは眠気を感じました。
しかし3人の強盗が家に侵入してから、映画はがぜん面白くなります。パニック・ルームから追い出そうとする賊、そして出まいとする主人公の母娘、電話線や防犯モニターなど、小道具を効果的に使った彼らの頭脳戦は目が離せません。さらに両方の側でも追い込まれる事態が起こって、イヤでも行動しなければならなくなる、サスペンスのつるべ打ちは見事です。
デビッド・フィンチャーの監督作にしては「セブン」ほどえげつなくはないし、「ゲーム」ほどスカでもなく、「ファイト・クラブ」ほど難しい感じでもなく、万人向けに楽しめる映画といえます。

主演のジョディ・フォスターはこの映画の撮影中は妊娠中だったそうですが、全力疾走するわ格闘するわで、こんなに運動して大丈夫なのか?と心配になってしまいます。体型も、妊娠しているとは全然分かりません。
強盗の1人をフォレスト・ウィテッカーが演じています。彼の頭脳プレーが主人公にとって最大の脅威になりますが、「フェノミナン」以来?定着した、優しく頭のいいキャラはやはり合っています。

コーヒーポットの取っ手をくぐったり、水道管?をくぐるなど、カメラの動きには独特な面白いものが見られます。

 

 

すでに見た人

ラストに警察が来ますが、あまり意味が無いように思いました。娘が母親に襲い掛かった強盗に薬を注射しようとして失敗しますが、これを成功させて事件解決にしてもよかったと思います。
警察が来てしまったおかげで、強盗一味の中で唯一人逃げられたフォレスト君は捕まりますが、助かってもよかったと思います。勧善懲悪の意図でそうしたのかもしれませんが、この点に関しては、パターンな展開にしなくてもいいでしょう。ましてや監督はタダ者ではないフィンチャー君なんだし。

娘が病気であることが、初めはよく分かりませんでした。見ているうちにそれが分かってくるし、これが主人公を追い込むことになる設定は上手いのですが、初めの方で病気のことをはっきり言った方が、観客のサスペンス度がもっと上がったように思います。

防犯カメラの使い方は上手いのですが、強盗にとっては監視されるわけだから、早く壊せばいいのに、と思いました。後になって彼らが、主人公がカメラを見てることを利用して罠を仕掛けるシーンがあるので残した方がいいのですが、それなら、カメラをそのままにしておこう、みたいな強盗側のセリフがあった方がいいと思います。
防犯カメラを見て犯罪者に対処するやり方は、かってセガのメガドライブで出たゲーム「ナイト・トラップ」を思わせます。意外とこれが、この映画の元ネタかもしれません。

 

 


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ミ ミ ッ ク II

 

 

小学校で教師をするレミ(アリックス・コロムゼイ)に関わった男たちが次々と殺される。警察はレミを疑うが、捜査を担当するクラスキー刑事は、非力な彼女がそんな事件を起こせるとは思っていなかった。しかし生徒の親から抗議が来ていると知ったレミは学校を辞める決心をする。だが彼女の学校最後の晩、男たちを襲った奴がレミにも牙を向き、彼女は残っていた2人の生徒と校内を逃げ回らなければならなくなる。一方、殺人事件を調べているのは警察だけではなかった…。

いつの間にか作られていたパート2ですが、今回の監督は前作のギジェルモ・デル・トロではありません。なので、やはりビジュアル面でのオリジナリティーには欠けます。
話の舞台はアパート街や小学校や地下など、限定されています。予算が低そうでB級と言っていっていい作品です。

今回の話の見どころは、敵である人型擬態巨大ゴキブリ「ユダの血統」の更なる変異でしょう。その姿と主人公の関係は「エイリアン4」を連想しました。
お話は基本的に「ユダの血統」から逃げる&たまに戦う、といったやっぱりB級パターンです。退屈はしませんでしたが、これといって驚く描写もなく、敵の進化以外にはあまり見どころのない映画です。
また今回の作品は、「ユダの血統」がなぜ主人公の周りの男どもを殺すのか?警察以外の組織がなぜ「ユダの血統」を追ってるのか?など、疑問点が多々あります。もしかしたら、この後も続編を作って説明する計画か?と思いたくなります。

主人公レミを演じるアリックス・コロムゼイは1作目に出ていたそうですが、全然記憶にありません。前作の主人公の助手という設定も、本編ではそんなことを言ったシーンはありません。彼女は美人とは言えませんが、下着姿など、色っぽいシーンのサービスカットがあります。

「ユダの血統」は人の姿はしているけど、何を考えているか理解不能で、人に襲いかかる…。これは、ストーカーとかサイコ野郎といった、普通の人には考えが分からない不気味な人たちの象徴のように思います。

映画の舞台はニューヨークですが、世界貿易センターが映っています。同時多発テロの前に作られた映画なのでしょう。

 

 


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ローラーボール

 

 

ジョナサン(クリス・クライン)は、全世界に中継される危険なスポーツ、ローラーボールのスーパースター。だがこのゲームは、ロシアマフィアの大物・ペトロビッチ(ジャン・レノ)が全てを牛耳っていた。ある試合で選手が大怪我をするが、ジョナサンは愛人であるチームメイト・オーロラから、その事故が視聴率上昇のために仕組まれた罠だと知らされる。チームメイトであるリドリー(LL・クール・J)も危い目に遭ったことで、命の危険を感じたジョナサンとリドリーはペトロビッチの監視の目から逃亡を図る…。

70年代半ばに作られた映画「ローラーボール」のリメイクです。旧作は近未来が舞台で、このゲームは全世界中継で政治的な意味が濃い話だったと思います。
今回のバージョンは現在を舞台にして、ゲームは全世界的に中継していますが、カジノ的なギャンブル要素が濃いゲームになっています。
話はゲームを支配している、独裁者への反逆めいた形になっているのですが、社会を牛耳ってるとはいえシンジケートのボスへの反逆じゃ小粒に思えるし、今の時代で反逆ネタを出されてもピンと来ません。むしろ「グラディエイター」のように時代劇にするか、旧作同様にSFという形を取った方がまだ良かったように思います。
これのリメイクの話を初めに聞いた時、何故今ローラーボール?と思ったのですが、その通りの映画でした。ま、今どきリメイク物で意味なんぞ考えるだけムダなんだけど。

試合のシーンは一番の見どころだけあってスピード感のある描写で、迫力はあります。ゲームのルールの説明はされますが、よく把握できませんでした。でも最低限、点が入ったことが分かればいいでしょう。
しかし僕は、スタジオ撮影であるローラーボールよりも、冒頭でのスケートボードのレースの方が、実際にサンフランシスコの街中を走っていて、しかもスケボーに立つのではなく、仰向けに寝た体制で滑っていくという見るからに危なっかしい形で、スリリングでした。当然スタントを使ったのでしょうけど、よくやったと思います。

映画の舞台はカザフスタンやモンゴルといったアジア地域のおかげか、妙な東洋タッチ(変ではない)が面白い雰囲気を出しています。
日本に関連したものとしては、アルゼのロゴや、セブンイレブンのカタカナのロゴが出てきます。
また、エンドタイトルに特別出演として、イトウトシヒロという名前が日本のアナウンサーの役でクレジットされています。しかし本編では彼の出番は1カットだけで、試合を中継しているはずの声はよく聞こえません。
以前にどこかのワイドショーで、本職のアナウンサーである彼がこの映画に出演している、というトピックをやっていて、撮影風景を流していたことがありました。この映画がヒットしてれば、また特集する意味があったかもしれないけど…。

ジョナサンとリドリーが逃亡するくだりは一面緑色の、赤外線カメラで撮影したであろう映像を使っています。変わった感じはしますが、それでサスペンスが盛り上がるとか、臨場感が出るといった効果があるかといえば疑問です。

音楽はエリック・セラです。ジャン・レノつながりという感じもしますが、「WASABI」など近年の彼の音楽同様、印象には残りません。

 

 


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光 の 旅 人

 

 

ニューヨーク、グランドセントラル駅に突然現れた1人の中年男。プロート(ケビン・スペイシー)と名乗る彼は、警察に保護されて精神病院に送られてくる。彼は琴座のK-パックス星から来た宇宙人だと話す。担当になった医者マーク(ジェフ・ブリッジス)はその言葉を信じようとはしないが、彼の話は筋が通っていた。やがて彼の影響で、精神病棟の患者たちに変化が起こり出す…。

ケビン・スペイシーの演技は貫禄があります。言葉が含蓄に富んでいて、穏やかながらも威厳を感じさせる話し方は、本当に人間以上の知性を持っているように思わせ、プロートの人間?性の興味で話に引き込まれます。
マークがプロートに興味を引かれる理由といったものは映画では語られませんが、関心を持つのは分かる気がします。

プロートが本当に宇宙人なのかどうか?というのが映画では重要な話なのですが、映画の中盤までは彼が宇宙人としか思えない言動ばかり出てきます。
後半になってようやくその正体に疑いを抱く出来事が起こるのですが、そういったエピソードはもっと早く出した方が、「彼は宇宙人か?人間か?」と、もっと観客の興味を引くと思います。

プロートの言動の影響が、家族に冷淡気味(本人はそう思っていない)に接していたマークの考え方を変えていくのも、もう1つの重要な話です。しかし、プロートの何がきっかけであるのか、具体的な描写があまり無いせいか、2人の関係が上手くかみあっていないように見えて、感動できませんでした。

 

 


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友 へ
チ ン グ

 

 

韓国、プサンに住む仲の良い4人の少年グループが、大人になり別々の道を歩むも、2人がヤクザになり敵対していく話。

物語は1980年代から始まりますが、日本の昭和30年代くらいか、戦争直後くらいの古い時代に見えました。この時代の韓国てこんなに発展が遅れていたのか?と、今を考えると意外な感じがします。

仲の良かった子供のグループの大人時代までを描いた話といえば、「スリーパーズ」があげられます。しかし「スリーパーズ」の大人時代のエピソードが、子供時代の復讐という分かりやすい話だったのに比べると、「チング」の方は子供時代と大人時代のエピソードが完全に噛み合っていないようで、眠気を感じました。
韓国では「シュリ」以上のヒットになったそうですが、あれに比べれば全然心が動かされなかった作品です。とはいえ、ラストは感動的なシーンでした。

韓国ヤクザを描いた映画は始めて見ましたが、日本人以上に義理堅い(今はどうか知りませんが)のには面白さを感じた描写でした。

子供時代と大人時代では役者が違うのは当然ですが、同一キャラなのに子供時代と大人時代で顔が似ていない人物がいて、キャラの見分けがつかないことがあったのは困ったところでした。

 

 


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クィーン・コング

 

 

1976年、リメイク版の「キングコング」が作られた時に製作された映画で、本当に「キングコング」を作った会社(ラウレンティスプロか?)から圧力があったのかは知りませんが、今まで20年以上「封印」されてきた作品が初公開です。

タイトル通り、「キングコング」のパロディ映画ですが、主人公の名前がレイ・フェイ(白黒版のヒロインを演じた役者の名前がフェイ・レイ)だし、「クィーン・コング!」て主題歌があるし、なぜか女の子がいっぱい出てきて歌って踊るし(胸や尻のアップといったサービスカットあり!)、特撮はエッジがバレバレでモロにオプチカルと分かるし、コングや一応出てくる恐竜たちの造形はチープだし、真面目に見たら怒ってしまうであろう、超脱力系おバカ映画です。
そういう内容のせいか、最後も「キングコング」とは違い、能天気なハッピーエンド。ヒマつぶしのつもりで、軽い気持ちで見るべき映画でしょう。

映画には「エクソシスト」や「ジョーズ」のパロディがあったり、主人公がフェミニストに向けて演説するシーンがあったり、コングがロナルド・レーガンの映画を上映してる劇場を壊すシーンがあるなど、時代を感じさせる描写があります。

 

 


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マイ・ドッグ・スキップ

 

 

1942年のミシシッピー州ヤズー。9歳の誕生日に母親から子犬をプレゼントされたウィリーは、スキップという名前を付けて世話をする。引っ込み思案でいじめられっ子だったウィリーは、賢いスキップと行動を共にするうちにいじめグループから受け入れられ、ガールフレンドができる。

2001年の秋にひっそりと劇場公開された作品です。大作ではありませんが、話題にならなかったのがもったいないと思える感動作です。
悪人があまり出てこないおかげで安心して見れるし、ペットと共に成長していく少年の話として、特に犬を飼ったことのある人なら感情移入してしまうと思います。
クライマックスは犬と大人の触れ合いを描いた「K9」や「ターナー&フーチ」と似たパターンの展開になります。しかしこの「マイ・ドッグ・スキップ」は、少年と犬が共に成長していく展開のせいか、こちらの方が彼らの触れ合いの度合いがより強固に見えて、泣けました。

映画の舞台を主人公の少年の家庭と友人に絞り、町から出ることもなく、コンパクトにまとめているおかげか、キャラクターの描写は丁寧です。
物語の時代は第2次大戦中ですが、戦場にはならなかったアメリカ本土で、しかも子供時代ですから、ノスタルジックないい時代として描かれています。しかしその中で、黒人差別の状況もさりげなく、風景のように描写しているのにはセンスを感じます。

主人公の父親をケビン・ベーコンが演じています。足が不自由ながらも、それゆえに人の理不尽さが見え、重みのある発言をするのだと思える、静かな名演技を見せています。
人間と同様に動物ネタの映画は、動物の演技にある程度説得力が必要ですが、その点スキップ役の犬は文句ありません。特にラストの表情は、どんな名優もかなわない感じです。

このところペットの癒しや、子供の成長に果たす役割などの面がクローズアップされていますが、そういった風潮の中でタイムリーな作品です。

 

 


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ザ・コンヴェント

 

 

1960年、一人の女学生が修道院で尼僧や神父を撃ちまくり、火をつける。それから40年経ち、その修道院は学生の肝試しのスポットになっていた。そこに大学生のグループが入り込むが、同じ頃に悪魔崇拝の一団が行った儀式が悪魔を呼び出してしまい、学生たちに乗り移って襲い始める…。

話はありがち、というか無いと言ってもいいでしょう。アクション+ホラー+コメディという感じで、話よりも笑いやアクションなどの状況を楽しむべき作品です。
血がドバドバ出てグロい描写が多い映画ではありますが、ゾンビが先生をしてるシーンがあったり、特殊メイクがやけにチープだったりと笑えるシーンも多く、「死霊のはらわた」を思わせます。不用意に悪魔を呼び出してしまう展開も似たものを感じます。あの映画と同じように、笑って突っ込みながら見るのが正しい見方でしょう。
ただ、「死霊のはらわた」でもそうでしたが、ホラー的な雰囲気はこの作品でもある程度出ており、特にゾンビ達が出る前の修道院の雰囲気は、なかなか怖いものがあります。

映画の後半にアドリエンヌ・バーボーが出てきますが、「ニューヨーク1997」以来、この人はタフな姉ちゃんというイメージが定着してしまったように思います。もしかしたらこれもパロディ的なものとして、製作者たちが意識してキャスティングしたかもしれません。

 

 


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ビューティフル マインド

 

 

まだ見ていない人

第2次大戦直後のプリンストン大学。秀才の誉れ高いジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)は、授業が時間の無駄と無視していたために落第寸前だったが、あるひらめきから天才的な論文を書く。それが認められてMITの中の研究所に入所した彼は、暗号解読の才能を認められ、極秘作戦を任される…。
といった感じで話が進みますが、中盤でアッと驚くちゃぶ台返しが待っており、前半と後半では全く違う話の展開になります。

主人公はいわゆる「アブない人」なのですが、この作品は、その狂気といかに折り合いをつけていくかがメインの話になります。「天才と狂気は紙一重」という言葉がありますが、それが実感できる映画です。
これまでの狂気を扱った映画なら「直す」あるいは「克服する」話になると思いますが、この映画は「直す」というより「癒す」話と言えます。僕は「癒し」という言葉はうさんくさくて嫌いなのですが、この映画の場合はこれが適当だと思います。
深夜の映画批評番組「こちとら自腹じゃ」で、井筒監督がこの映画に0点をつけたそうですが、自分がまともだと思ってるであろうオヤジ世代にはこの映画は理解できないでしょう。逆に、自分に自信が無かったり、才能を疑ったことをある人はこの映画に共感できると思います。
この作品は2002年度のアカデミー賞で最優秀作品賞を取りましたが、アブない人、あるいは確実といえるものを持っていない人が多いであろう昨今、受賞は納得できます。

「シャイン」でもそうだったように、主人公が「アブない人」だということは宣伝では一切触れていません。映画への事前の印象を宣伝の方で考慮したのかもしれませんが、この仕掛け自体が観客を驚かせる形になっているので、言うとネタバレになってしまう(すいません…)、というのもあるかもしれません。

ラッセル・クロウは今回、「グラディエイター」での男らしさとはまた違ったキャラを演じています。彼は10代?から老人時代まで演じますが、さすがに大学生役は無理があるように見えました。
主人公の妻をジェニファー・コネリーが演じています。彼女はここのところあまり顔を見せないし、大根役者のイメージが強い感じでしたが、今回は主人公に振り回されるおかげで、泣いたり叫んだりの熱演を見せてくれます。

特撮は「タイタニック」などをやったデジタルドメインが担当しています。数学の理論や暗号のひらめきなど、主人公の思考の見せ方は映像にしにくいところですが、工夫が見られます。

 

 

すでに見た人

映画を見る前は、有名な数学者が米ソのスパイ合戦に巻き込まれる話だと思って見ていて、現にその通りに展開するのですが、それがほとんど幻覚だったという、途中の話のひっくり返し方は意外性があって、上手い見せ方でした。

 

 


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コラテラル ダメージ

 

 

妻子をコロンビアのテロリストによる爆弾の巻き添えで亡くした消防士が、テロリストに復讐しようとする話です。
この作品がアメリカで公開の直前に9・11の同時多発テロが発生して、映画の内容がその事件を思わせるという理由で公開が延期されてしまいました。
この作品での敵は9・11でのイスラム原理主義(なんだろうなあ。たぶん)ではありませんが、コロンビアをイスラム原理主義に変えればやってることは変わらず、確かに同時多発テロを思わせる話です。
ただし敵の描写は、アラブを敵視したと物議をかもした「トゥルーライズ」みたいに単純ではなく、彼らの主張や苦悩もそれなりに描かれているのは良心的です。
とはいえ、最後の方のどんでん返しでそういったテーマ?は忘れ去られてしまいます。話としては意外性があって面白いものの、おかげで他のアクション映画と同じ水準になってしまったのは残念です。

主人公ゴーディーを演じるのはアーノルド・シュワルツェネガーです。今回は消防士という役ですが、爆発物に詳しい理由として、かつて爆弾処理班に所属していたことがあるという設定を作っていたのは苦し紛れな感じがしました。
シュワちゃん以外で有名な役者では、「オー!ブラザー」などコーエン兄弟の作品によく出ているジョン・タトゥーロが、重要な役なものの、少し顔を見せるだけのゲスト的に出演しています。
また、「スーパーマリオ」に出ていたラテン顔俳優、ジョン・レグイザモも出ていますが、こちらは悲惨な役です。このままB級役者で留まるか…。

コロンビアのシーンで、現地人同志で話してるのにスペイン語?ではなく、英語を使ってるシーンが映画にはよく出てきます。スペイン語?で話してるシーンもあるので、中途半端で不自然に見えました。

 

 


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ブラックホーク ダウン

 

 

1993年、アフリカのソマリア。国連からの食料を独占し、市民の飢餓の原因とされたアイディード将軍を捕らえようと市街地に突入した米軍兵士が民兵たちの反撃にあい、壮絶な市街戦に突入します。
3時間ほどの長さの映画ですが、話を作戦の顛末に絞っていて、内容のほとんどは戦闘シーンです。これが実に凄絶で、内臓が見えるようなグロい描写もあって、「プラーベート・ライアン」での冒頭の戦闘シーンが延々続く感じです。
カメラが兵士に急接近したりと撮影はドキュメンタリータッチで、飛び交う弾頭の音響も凄まじく、臨場感があります。
とはいえ、「パール・ハーバー」での日本人のように、敵側を中途半端に描いて、アメリカ人を被害者のように描く姿勢はこの映画でも変わりません。ソマリア人の死者の方がアメリカ兵より圧倒的に多いのに。

作戦自体は意味があるとは思えない戦闘ですが、映画はそういった政治的な点はうやむやにしています。海兵隊の協力を取り付けるためかな?

キャラクターは多いですが、主演はジョシュ・ハーネットのようで、彼の名前がただ一人タイトルの前に出ます。ジョシュ君は今回部隊の指揮官になっていて、「パール・ハーバー」より出世しています。
彼やトム・サイズモア以外のキャラクター、例えばユアン・マクレガーなどは戦闘中は、ヘルメットやホコリのおかげで顔がよく見えず、いるのかいないのか分かりません。戦闘シーンではキャラの区別はしにくいのですが、戦闘中の混乱状況を観客にも体感させようと、あえてそうしているようにも思えます。

 

 


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シッピング・ニュース

 

 

「サーダーハウス・ルール」や「ショコラ」の名匠、ラッセルハルム監督の映画です。今回も癒し系の人生ドラマという感じの話ではあるのですが、今までの彼の監督作とは違い、作りがえらく雑で、寝てしまいました。
主人公は新聞のコラムを執筆しますが、映画の舞台となる島に来る前は新聞社の印刷機を動かす仕事に就いていて、何か文筆業をやっていたとか、文を書くのが得意だというような描写はありません。なので、なぜ彼がいきなりコラムを書けるのか疑問でした。文を書くなんて、ましてや人に読ませる文なんて、そう簡単に書けるものではないのに。

この映画で一番ひどいと思った点は、キャラの心の動きが全然つかめず、彼らの行動原理がよく分からないところです。おかげで話についていけずに眠ってしまったのでしょうが、寝てしまったために余計に話が分からなくなったかもしれません。

あと気になったのはケイト・ブランシェットやジュリアン・ムーアといった女性陣が全然きれいに見えなかった点です。特に厚化粧のケイト・ブランシェットは今まで見た彼女の出た映画で一番ブスに見えました。主人公の娘役の女もかわいくないし、「ショコラ」とえらい違いです。

近親相姦の話があったり、首無しの死体が出たりと、穏やかな場所で残酷なエピソードが出てくるのは「サーダーハウス・ルール」と同様な感じで、この監督らしさを感じました。

 

 


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メメント

 

 

妻をレイプされて殺されたレナード(ガイ・ピアーズ)は、その復讐のために犯人を追いかけている。だが彼は、記憶を10分しか保てないという障害を持っていた…。

この作品は普通の映画とは違い、時間が過去に戻りながら進みます。                                                                 
5分か10分、普通に時間が流れてシーンが進みますが、あるポイントで時間が逆行し、また5分か10分普通に時間が流れる、という感じに映画は過去をさかのぼっていく構成になっています。こういう、時間が逆に展開する映画は、今までなかった斬新なスタイルです。
時間を逆行させながら、事実?を小出しにするように見せていき、最後にあっと驚かせるシナリオは巧妙で感心します。

映画で問い掛けられる最大の謎は最後に明らかになります。それは理解できたのですが、途中の話のつじつままでは覚えきれず、1回見ただけでは話を完全に把握できない作品です。未来の出来事を覚えられない主人公と同様に、観客も未来の出来事、つまり前のシーンの記憶を保つのが難しい形で話を追うことになります。

この映画はリピーターが相当出たらしく、単館(ヒット作の多いシネクイント!)ながら2001年の10月から翌年3月までロングランされましたが、こういう作りならそれも分かります。

 

 


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