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警官を夢見るジョン(マシュー・ブロドリック)は、「ガジェット計画」の研究をしているブラッドフォード博士の研究所に勤める警備員。博士の娘、ブレンダ(ジョエリー・フィッシャー)に憧れている。しかし、「ガジェット計画」を狙うスコレックス(ルパート・エペレット)はジョンの目前で博士を殺し、その発明を奪う。ジョンはブレンダのためにスコレックスを追いつめるものの、瀕死の重傷を負う。そんなジョンをブレンダは、「ガジェット計画」の第1号「ガジェット警部」として生まれ変わらせる。ジョンは警官の一員となれたものの、身体からハサミやホースを出したり、首や手が伸びたりする機能を把握できずに戸惑う。警察自体も、ジョンをただのイメージアップの材料としか思っておらず、しかもブラッドフォード博士殺しの捜査に本腰を入れていないことに業を煮やしたジョンは、彼自身に装備されたメカ、そして彼の専用カー「ガジェットモービル」と親戚の少女ペニーの協力で、独自の捜査を開始する。その頃スコレックスは盗んだ「ガジェット計画」を応用して偽のジョン=ガジェット警部を作り、街で暴れさせる…。
原作はアメリカで人気のTVアニメです。ヘリやバネなど、身体中に詰まった奇妙なメカを駆使して事件を解決する警部の話ですが、映画でもアニメと同じようにガジェットのギミックが次々と出てきて、実写だからと手を抜いていません。ガジェットだけでなく、彼の車のガジェットモービルも仕掛けがいっぱいだし、さらに敵もロボット的なギミックを対抗するように繰り出してきて、奇想天外なメカのオンパレードで楽しませてくれます。
また、オープニングに出るディズニーのマークはもとより、エンドクレジットの最後に出てくるキャラバン・ピクチャーズのマークに至るまでも、この映画のためだけの遊びのギミックが出てきて、映画の最初から最後まで楽しませてくれます。
場面転換ごとに、ワイヤーフレーム等のCGによるアイキャッチが入るのがテレビアニメ的な感じで、アニメを見ているファン(子供たち?)も意識した姿勢が感じられます。
主役の身体が自在に変形する映画といえば、大ヒットした「マスク」が記憶に新しいところでしょう。「GO!GO!ガジェット」も「マスク」と同様のCGを全面に駆使した奇想天外な話ですが、「マスク」に比べると話の流れに起伏はなく、イージーでおバカな話ではあります。とはいえ見ていて楽しい作品で、作っている方のノリの良さを感じました。この映画は日本ではビデオリリースのみにされてしまいましたが、劇場で見たとしても損した気にはならなかったと思います。
主演はアメリカ版「ゴジラ」に出ていたマシュー・ブロドリックですが、この人の代表作といったら、映画デビュー作の「ウォー・ゲーム」か、80年代の「フェリスはある朝突然に」くらいでしょうか(「トーチソング・トリロジー」は見ていません)。彼にはこれといった記憶されるような代表作がなく、しかしながら演技には結構定評があるせいか、「ゴジラ」やこの作品のように、特撮が主役で人間が一歩引くような作品にかつぎ出されるように思います。また、彼はいまだに(20年くらい前の「ウォー・ゲーム」の頃から顔があまり変わっていない)童顔に見えるせいか、爽やかな役にはよくクレジットされる感じですが、主人公がタバコを吸わないキャラというのはディズニー映画的です。今回は悪のガジェットも出てきて、こっちの方もマシュー・ブロドリックが、役に合わせて嫌らしく演じています。
敵・スコレックス=クロウを演じるルパート・エペレットは、美男子的な役割が多いイメージでしたが、この映画ではおバカな悪役を楽しそうに演じています。その手下たちがもっとおバカというのも、ディズニームービーの王道パターンでしょう。この「手下」については、エンドクレジットでさらにお楽しみが待っています(007シリーズのファンには特に)。
本編には「ミッション・インポッシブル」や「荒野の用心棒」なんかのパロディも出てきます。また、マシュー君が主演した「ゴジラ」のパロディもあって、そのシーンでのガジェットの歩き方がゴジラと一緒なのは笑えます。
さらに、ヤフーの看板が倒れるシーンでは「ヤフー」のロゴ音楽がかかったり、ジョンが考えるシーンでクイズ番組の音楽がかかったりなど、音の遊びも楽しい映画です。
この映画のアニマトロニクスの担当は、ギミック物なら天下一品の名匠スタン・ウィンストン、さらに特撮はドリームクエストが担当という、大作映画並みの布陣です。ドリームクエストは「マスク」も担当していましたが、「GO!GO!ガジェット」には「マスク」と同じような体が伸びるようなシーンもあるので、ソフトを使い回しているかもしれません(会社のモノだろうから別にいいんですけど)。
エンドクレジットでの「その後」も楽しく、最後まで飽きさせない作品です。
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