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30年代に作られた名作ホラー「ミイラ再生」のリメイクです。
しかし、タイトルこそオリジナルと同じ「The Mummy」ですが、ジャンルとしては、ホラーというよりもアドベンチャーといった方が正解です。
それにしても、ホラーであった「ミイラ再生」を、よくぞこんなにエキサイティングなアドベンチャーに変えたものだと驚きました。展開がスピーディーで、ユーモアとアクション、サスペンスがいい感じでブレンドされています。アメリカでも日本でも、「スター・ウォーズ:エピソード1」公開直前の大ヒットになりましたが、当然と思います。
初めに「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」の邦題を聞いた時、原題とかけ離れすぎてる、とあきれたのですが、本編を見てみると、ホラーな感じがする「The
Mummy(ミイラ)」という原題より、邦題の方が合ってるように思いました。これは珍しいケースです。
オリジナル版と同じ部分は、原題と、舞台がエジプトであること、ミイラが出てくるところと、イムホテップの名前くらいでしょうか。それ以外は今作独自のものと言っていいでしょう。ただ、独自のものと言っても、時代設定が30年代(オリジナルが作られた頃か)であるせいか、「インディ・ジョーンズ」のパクりという感じがしてしまうのは仕方のないところでしょう。
ヒロインを演じるレイチェル・ワイズは、本編を見る前の写真や予告では何とも思わなかったんですが、見てみたらとてもかわいいと思ってしまいました。図書館でのメガネとネクタイちゅーのがよかったかも(完全にシュミ)。目が大きいせいか、今回のエブリンのような、表情豊かで元気なキャラが似合っている感じがします。
敵役イムホテップを演じたアーノルド・ボスルーは、ジョン・ウー監督のアメリカ進出第1回作品「ハード・ターゲット」に出ていたそうですが、よく覚えていません。しかし「ハムナプトラ」では、怪演ともいえる迫力ある演技を見せてくれます。全編英語ではなく、ちゃんとエジプト語(?)を話すのも大変だったでしょう。
主人公リックを演じるブレンダン・フレイザーはコメディ畑出身のせいか、軽快なキャラが合っています。
ドジな盗っ人のベニーや、いかにもヤンキーのアメリカ人たちなど、脇役も軽めのいい味を出していますし、ヒロインの兄の「技術」や、最後の「黄金」など、伏線を生かしたエピソードも上手いです。
ミイラだった体に肉が付いていって、人間に再生していく過程はCGで表現していますが、違和感ありません。砂嵐が顔になるなど、特撮のイメージも面白いセンスを感じます。SFXの技術やイメージに関しては、「ハムナプトラ」の方が「スター・ウォーズ:エピソード1」よりも新しいことをやっている感じがします。
ミイラ達が主人公を襲うシーンで、ミイラはCGで合成するので、撮影した時はブレンダンは何も無いところで刀を振るってたはずなんですが、完成映像ではミイラを切る時の重さがちゃんと感じられて、合成ということは意識しないで見れました。
ミイラの動きがゾンビ映画みたいにのろくなく、人間並みか、それ以上に早く動くのには今っぽい迫力を感じました。
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主人公が持っていたという、ハムナプトラの「カギ」はどこで見つけたんでしょう?冒頭では主人公はただハムナプトラから何もしないで逃げたようにしか見えませんでしたが。
偶然声に出して読んだ呪文で古代の悪が蘇る、というのは「死霊のはらわた」を思わせます。
ベニーはミイラ状態のイムホテップにヘブライ語(?)を話して助かりますが、ユダヤの言葉って昔から変わっていないのかな?
クライマックスで、ミイラ女を始末するやり方は上手いと思いましたが、悪い奴とはいえ、愛する人を目の前で殺される(前は自殺だったけど)イムホテップに同情してしまいました。
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黄金のピラミッド |
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前作は「ミイラ男の恐怖」のリメイクとは思えないような、快調なテンポで進むアドベンチャームービーに仕上がっていましたが、今回は前作以上のハイペースでカッ飛ばしてくれて、十分に楽しめます。続編ものはたいていパワーダウンしがちですが、この作品のように前作以上のテンションの高さを見せてくれた映画は珍しい例です。
冒頭から今回初登場の新キャラ・スコーピオンキングの大スペクタクルシーンが展開するし、クライマックスでは危機また危機の連続で、どの危機が一番重大なのものか分からなくなるほど次々とたたみみかけてくれます。前作のクライマックスが今回も再現されますが、これらの危機の中では、前作で大騒ぎした事態も小さく扱われて、さらりと流されてしまっています。
「ロスト・ワールド」そっくりなシーンがあるなど、オリジナリティーには欠けます(このシリーズ?自体が「インディ・ジョーンズ」のコピーみたいなモンだけど)が、娯楽映画のおいしいシーンを集めて上手く再構成しています。
ただ、ペースが緩まないおかげで息をつける箇所がなく、前作に比べてギャグが減っているようで、余裕がないように思いました。また、事件を追うばかりの展開になってしまったことで、前作で多少感じられた古代のロマンが消えてしまい、重さみたいなものが完全に無くなって、1回見ればパッと忘れてしまうような軽い作品になってしまったのが残念なようにも思います。
前作はSFXの面で、同時期に公開だった「スター・ウォーズ:エピソード1」に対抗するような面白いイメージを見せてくれましたが、今回のSFXの規模は前作以上にグレードアップして、無数に出現するアヌビス軍団や、後半のピラミッドの周りに棲息するクリーチャー群団などは迫力あります。予告編に無いシーンもけっこうあったのには驚かされました。しかし、クライマックスに登場するスコーピオンキングの姿はびっくりしたというか笑えるというか…CGならではのシーンです。
キャラクターは主人公リックや彼の妻となったエヴリンはもちろん、悪役イムホテップまで、前作と同じメンバーが再び集合して元気な顔を見せてくれます。その上今回はリック夫妻の子供やイムホテップ崇拝組織のメンバーなど新キャラもたくさん加わってにぎやかになりますが、かえってキャラが多すぎて、個々の見せ場が減ったように見えました。
エヴリンの新しい設定なんか、今頃出すなよ…みたいな都合良さを感じましたが、この映画は何でもありの作品なんだし、これはこれでいいかとも思います。
エンドクレジットは、文字の動きにこった演出を見せてくれます。文字デザインに関心のある人は最後まで席を立たない方がいいでしょう。
今回も、アメリカでも日本でも前作同様にヒットしているようなので、「ハムナプトラ3」が作られるかもしれませんが、今のところ、スコーピオンキングをメインにした作品の制作が決定しているようで、楽しみです。
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裏切られたイムホテップが最後に見せる寂しそうな微笑は「私の負けだな」と言ってるように思えました。彼の人間的な面が見えたようで、ちょっと感動的なシーンでした。
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呪われた皇帝の秘宝 |
「ハムナプトラ」3作目はエジプトではなく、中国が舞台です。2008年夏の公開ということで、同時期に開催される北京オリンピックの人気?に便乗しようということでしょうか。
今回動き出すのはミイラではなく、中国らしく兵馬俑で、この大軍を動かすというのは面白い目の付けどころです。映画ではいろんなエピソードが次々に展開して、相変わらず退屈はさせません。
主人公リックも相変わらずのキャラで、やはりブレンダン・フレイザーの当たり役です。ただ今回彼の妻・エヴリンを演じるのがレイチェル・ワイズではなく、マリア・ベロに変わっています(レイチェル・ワイズ、さすがにこういう軽めの映画には出たくなくなったのでしょう)が、レイチェルほどかわいいとは思えず、ただのフツーの美女という感じで、「ハムナプトラ」の特徴が一つ消えてしまったようです。
彼女だけでなく、今回は敵のキャラクターも弱くなっています。ジェット・リー演じる悪の皇帝は始皇帝がモデルでしょうが、貫禄がないし、何を思ってるのか分らなくて面白味がありません。前作までのイムホテップの方がまだ(女好きな?)キャラクターが出ていて、肩入れできるところがありました。
また、パート2以上にファンタジー寄りなシーンにも興ざめです。特にイエティは、舞台がアジアだから出したのでしょうけど、思い切り引きました。
それでも、ジェット・リーとミシェル・ヨー、2大海外流出香港映画スターの一騎打ちは見ものでしょう。
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