女優霊

まだ見ていない人

ホラー映画に使われる観客の怖がらせ方には主に２通りあると思われます。

（１）静かなシーンにいきなり大音響のＳＥあるいは音楽と共に何かが現れる。

（２）画面に一瞬チラリと何かが写る。

（１）のやり方はハリウッドではポピュラーなやり方です。スピルバーグも使ってるし、ホラーネタでは定番のやり方です。対して（２）のやり方はハリウッドでは、「キャンディマン」くらいでしか見たことがありません。しかし、どちらがゾッとさせられるか、というと、僕は（２）だと思います。

大音響のＳＥあるいは音楽と共に化物が現れるのは、それはそれでギョッとするのですが、そこで正体が出てしまうので、恐怖はそれが表れた時点で消えます。しかし、画面の隅に一瞬チラリと何かが写るというのは正体が完全に分かりません。今のは何だ？という不気味さが残ります。

僕は幽霊を見たことはありません。ですが幽霊を見るときはたいがいのケースが、一瞬見えるのではないか、と思います。ドーンと正面きって出現するのはまれではないでしょうか。

一瞬、視界に何かが入ったけど、すぐに消えて、「あれ、今の…何？」とか「あ、あそこに何かいた！」と思うシチュエーションの方がリアルな感じがするし、正体が分からないのも怖いと思います。

この「女優霊」の怖さは、このような一瞬何かが見える怖さをうまく見せている点です。それも観客が直接見るだけでなく、映画のキャラが「あそこに見えた」みたいな感じで話すのも、いかにもありそうな、リアルな感じがして怖いです。

しかし何と言っても怖かったのはクライマックスに出てくる女の幽霊です。「来るぞ来るぞ」とたっぷり恐怖感をタメた後で、ドーンとおおっぴらに登場してくれるのが心地いい、いや怖い。一番怖かったのがこの幽霊の表情！狂気入った笑い方がコワい！この女優霊を演じた役者さんの名前は知らないけど、これだけで賞をあげてもいい！今まで数多く見た映画の中でも、二度と見たくない（夢に見そうで）と思ったのは唯一このシーンだけです。

舞台を撮影所にしたのはいい目の付け所でした。撮影がなければ寒々とした空間で、天井に登るところとかもあって事故もありそうだし、幽霊がいたとしても信じられる雰囲気があります。

すでに見た人

クライマックスの幽霊はメチャ怖いのですが、この幽霊の正体は結局ボカされたままになってます。映画が十分に怖かったから、まあそれでもいいかと思いましたけど、今一つすっきりした感じがしませんでした。

ラストで白鳥靖代が、行方不明になってしまった主人公の部屋に来たシーンで、洗面所の鏡に一瞬例の幽霊が映っていたそうですが、ビデオでは画面が切られていてわからなかったのが残念です。

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もののけ姫

作品のテーマが、主に自然の側に立っていた「風の谷のナウシカ」に比べ、「もののけ姫」では自然側にも人間側にも生きる主張があり、どちらにも正義があって、それが対立せざるをえない点を描き、「ナウシカ」からテーマを一歩深めたと思います。こんなテーマを扱った映画は、エンターテイメントでの分野（ドキュメンタリーではあったかもしれないけど）では世界でも始めてではないでしょうか。

ハリウッドでよくあるような、自然破壊をする悪者をやっつけてめでたしめでたしみたいな、生ぬるい環境保護ネタ映画とは格が違います。

２つの主張を出して、どちらが正しく、どうすればいい、とまでは語っていませんが、それを語ることは不可能だと思います。ですからラストのアシタカの「共に生きよう」のセリフはサンに対してだけではなく、観客に向かっても言ってるのだと思います。

主人公アシタカの村はエミシの部族でしたが、冒頭に少ししか出てこなかった彼らの歴史を語るだけで1本映画が出来そうな感じがします。ヤマトとの戦いとか。このように、この作品では設定にもいろいろ広がりを感じる歴史ネタを使っているのがとてもいいです。ただ、それが全部生かせなかったのがもったいない感じは受けました。

王蟲やトトロなど、宮崎映画でのファンタジー物の作品はいつもながらイメージの独特さには感心させられますが、今回もコダマやワタリ神のイメージは素晴らしいと思いました。巨大ダイダラボッチは横から見るとゴジラに似ている感じもしますが、それはたまたまそうなっただけのことでしょう。巨大なものだから、デザインした時に怪獣のイメージが出てきてしまったのでしょうか？

ワタリ神は動きがすごくて、従来通りにセルアニメで作ってたら相当な時間がかかりそうで、これまでなら設定の時点で却下になったと思います。デジタルならではの利点ですね。アシタカの主観で走るシーンは、動かし方からＣＧだろうと想像つきますが、画質はＣＧぽくない、他と統一が取れたセルアニメの感じで、スタッフのセンスの良いこだわりを感じます。

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ドラゴンブルー

話の構造は、開発で昔の怪物の封印が破られ、化物が出るというよくあるパターンです。海の話で、少年が出てきて笛を吹くとこなんて、「ウルトラセブン」の「ノンマルトの使者」を思わせます。説教調のセリフがよく出てくるのが気に障りました。

合成やイフェクトはがんばっていますが、シーンによってはビデオっぽい画質になるのが気になりました。モーフィング時など、プレートが静止画と分かってしまうシーンもあります。

ラストはホラーネタではお約束のカットでしょう。化物は子づくりしてましたし。

子孫を残すために化物が女を誘拐するという話は、洋モノで（見てはいませんが）「モンスター・パニック」がそうだったと思います。｢東京ＳＨＡＤＯＷ｣というゲームもそういう話でした。

ラストの方で、主人公にやられた海魔が女を抱いて、海に消えていくカットで、背景にモロに池の向こう岸のフェンスが写っていたのは興ざめでした。ここは洞窟内の湖に消えていったと思ってたのに。

六平直政はいかにもの悪役でしたが、方言をそれらしく演じていました。見たいと思わないけど、全裸でＨシーンはこれだけ売れたらもうやらないでしょう。祈とうのシーンで日本兵らしき幽霊が出てきますが、何だったのか説明が無いのが気になりました。

この作品といい、｢モスラ２｣や｢東京龍｣といい、沖縄って神秘的というか、怪しい話の舞台になりやすいようです。

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バグ

リゾート地である島に謎の殺人事件が起こりますが、観光のイベントを控えたために公表しないうちに犠牲者が増えていくという、「ジョーズ」を思わせる話です。

「バグ」というタイトルの通り、昆虫（コンピューターで言う「バグ」は、元はこの意味のはず）というかフナムシの化物が人間を襲うのが事件になるのですが、話はバグではなく、舞台のリゾート地で火山噴火の予知がなされたことを巡る人間ドラマがメインです。

ですから内容はバグがいなくても成り立つ話で、バグは客寄せみたいな扱いです。ただのリゾート地の騒動の話なら盛り上がりが無いのでバグを出したのか、あるいは初めからバグがメインの企画だったのに、シナリオを作ってるうちにいつの間にかそうでなくなってしまったのかもしれません。

バグの出現理由を映画の中で明言していないのも、バグがメインでないと感じた理由の一つです。たぶん出現理由は噴火活動による地質変化のせいとか言いたいのでしょうけど。

主演は高橋かおりですが、彼女は活躍するというより、事件に巻き込まれて以降、進行役として右往左往する狂言回しのような役です。

それにひきかえ活躍するのは、高橋かおりの上司のＴＶディレクターを演じる、硬派キャラクターの木之元亮です。この活躍ぶりは「ウルトラマンダイナ」のヒビキ隊長を思わせます。最後はバグと戦って決めてくれるのですが、その後は映画では生死不明にされていたのは意図があったのでしょうか？

その他、ホンジャマカの石塚英彦が珍しく悪役をやってます。加賀まりこはドラマでは久しぶりな感じがしました。ここのところ、バラエティやＣＭが目立ってましたから。

メインの大きいバグの全身は映画では出てきません。頭や尾のアップのみで出てきます。原寸大の全身を作るお金が無かったのでしょうか？

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東京龍

Ｔｏｋｙｏ　Ｄｒａｇｏｎ

画質がクリヤでビデオっぽいのですが、サイズがワイドスクリーンのように上下に黒が入っているので、ハイビジョン用の作品と思われます。そのせいか、ＣＧもビデオっぽい感じを受けました。

風水師役の椎名桔平は雨の中で太極拳をやってるとこや、東京を救うと決心するシーンはかっこいいです。中山エミリが何で神様に狙われてるのか理由が明らかにされないのですが、神様は論理的な行動はしないようなので、詮索すべきじゃないんでしょうね。

椎名桔平と中山エミリが龍をおびき出していく展開はテンポが良くて、面白い見せ場になってます。椎名桔平の恋人でニュースキャスター役の清水美砂も話にちゃんと絡んでいていいです。

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タイム・リープ

まだ見ていない人

監督の今関あきよし氏は、富田靖子と松下由樹のデビュー作である「アイコ１６歳」をやった人で、他には「グリーン・レクイエム」や、ＤＶＤで美少女ネタのマルチストーリー物をやったり、最近では大河内奈々子主演の「ルーズ・ソックス」を監督するなど、美少女路線では評判のいい演出家のようです。ただこの人はキャリアの長さにもかかわらず、深夜の低予算ＴＶ番組をやってたりして、今一歩メジャーになれない感じがします。
「アイコ１６歳」はそこそこ面白かったのですが、「グリーン・レクイエム」はあまり記憶には残っていないものの、つまんなかったと思ったことは覚えています（原作小説は思い入れの強い作品です）。そのせいか、今関氏はあまり信用をしてなかったのですが、この作品は面白く見れました。
「タイム・リープ」＝時間跳躍のタイトル通り、時間を跳んでしまう話で、次のシーンは今のシーンの４日後で、その次のシーンはその２日前という風に、話は通常の時間順には展開しません。しかしシナリオの作りがうまく出来ていて、話が分かりにくいことはなく、構成に感心させられました。
主演の佐藤藍子は、テレ朝でやってたドラマ「いたずらなＫｉｓｓ」でもやっていた、状況が理解できなくてうろたえまくりのキャラクターが合ってます。今よりこの頃の方がかわいいような気がしますけど。ブレザーの制服がシュミの人は必見ですねぇ。
佐藤藍子の親友役で出ている宮澤寿里は、これに続いて、今関監督の「ルーズ・ソックス」に出ています（「ルーズ・ソックス」のメイキングビデオではナレーションやってて必見！）。グラビアにもよく登場してますが、やはりギンガピンクか。
田口トモロヲは確かに役には合ってるんですけど、この人はいつもこういうアブノーマルな役ばかりやってる感じがするので、たまには普通の役も見てみたいです。「いぬちゃん」の加藤崇賢氏が役者もやってるとは初めて知りました。この２人が絡むシーンはアブナさが上手く出ています。

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この映画で語られる、佐藤藍子のタイムリープの原則は、彼女が命の危険を感じた時にタイムリープをするということになってますが、クライマックスでは別にそうではない時にも飛んでしまいます。とはいえ、見てる間は全然気にならず、終わった後でよく考えてみたらそうだと気づきました。ここは原則には反するのですが、映画の流れから言えばちょうど盛り上がっている時で、音楽もちょうどいい感じで連続して流れているし、これはこれで構わないと思います。論理よりもノリが重要ってこともありますね。
佐藤藍子がタイムリープするようになる原因は特には述べられていませんが、話にはあまり重要でないと思うので、これも別に構わないと思います。
よく出来た映画なのですが、最後は「蒲田行進曲」みたいに「映画の撮影」として終わってしまったのは、無理やり現実に戻された感じがして興ざめでした。こんなことはせずに、ドラマの中で話を完結させてほしかったです。大林宣彦が監修で関わっているせいでしょうか？彼の趣味っぽいラストでした。映画というか、虚構を作る素晴らしさでも訴えたかったのでしょうか？ここでそんなテーマを持ち出してほしくなかったです。

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ＣＵＲＥ

まだ見ていない人

話の展開がスローで、眠気を感じました。しかし、人を殺すための暗示に「はさみで喉を切る」というような、直接「殺せ」という言葉を使わないところはリアルな感じがします。これなら劇中でも言ってるように「殺せ」と言われるよりは抵抗感が無く受け入れやすく、殺ってしまう感じがします。

ちょうどこの映画を見た時は、他社の人間が関わるプロジェクトの仕事をしていたのですが、そいつがえらく自分中心な傲慢な男で、マジで殺意を感じたことも何度かあり、もしこういう暗示をかけられれば殺ったかもしれず、身につまされるものがありました。

催眠暗示に引き込むものにライターの火や、蛇口からのポタポタ落ちる音など、身近な物を使っているのもそれっぽい感じがしました。

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ラストの方で主人公の妻の死体らしいものが出てくるカットが、時間が短く、画面も暗かったため、これが本当に主人公の妻で、死んでたのかどうかはっきり分かりませんでした。はっきり見せなかったのはわざとでしょうか？

ラストカットが、ファミレスで肉をうまそうにほおばる主人公と、包丁を手にするウェイトレスで終わります。何が起こっているのかはっきりはしませんが、このシーンは観客に考えさせる終わり方でいいと思いました。

この作品は善の側である役所光二が、悪の側である荻原聖人に取り込まれていく話ですが、このような善が悪に変わってしまうようなあやふやさこそ人の心であり、サイコ物の面白さだと思います。

ここ数年、サイコ物は海外でも「プロファイラー」や「ミレニアム」など、いろいろ出てます（流行の発端はアメリカだと思いますが）が、アメリカ製のものは事件の推理の根拠としてサイコネタを扱うものが多く、話の構造としては「いい者が悪者をつかまえる」という従来の刑事ドラマと同じで、サイコ物に分類されるとはいえ話の展開に新味は見られません（「ミレニアム」にはそう言い切れないエピソードもありますが）。そういう意味で今のところ、映像でのサイコ物はこの「ＣＵＲＥ」やＴＶドラマ「沙粧妙子最後の事件」など、日本の方が出来がいいと思います。

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ラブ＆ポップ

「エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督作品ということで、まあ見てみた作品です。女子高生の話ではありますが、僕は今の女子高生となんておつきあいしてない（あったら援交かなあ？でも金は無いなあ）ですから、この作品に描かれている女子高生の心情や行動がリアルかどうかは分かりません。話にしても、予想したとおり「エヴァンゲリオン」の心理テーマを思わせるような感じの話で、よく理解できませんでした。まさか「援交は良くない」なんてことを言いたい話じゃないでしょうけど。

庵野秀明監督作品というせいでしょうか、この作品にはもう一点、他の映画と違う点があります。

それはこの作品がデジタルビデオで撮られたということです。

僕は今まで、「映画はフィルムで撮らなければならない」と思っていました。今までにも特殊効果のためにビデオ映像を使った映画はありましたが、ビデオの走査線（？）が残ってしまい、フィルムに混ぜるとそのシーンだけえらく違和感が出てしまいました。ですからこの作品を見る前は、デジタルビデオで映画を撮るなんて邪道、と思っていました。しかし…。

見出したら気にならなくなりました。たぶん、従来の作品のようにフィルムとビデオ映像を混ぜて使わず、全編デジタルビデオの映像のため、ビデオの走査線が分かるのにもかかわらず、違和感が出なかった（その映像になれてしまった？）ためでしょう。

また、カメラが小さい機動性を生かした、電子レンジの中からのアングルや、自転車にカメラをつけて撮ったようなアングルなど、話の効果になっているかは疑問なものの、非常に面白いカメラの使い方を見せてくれました。

ですからこの作品を見て、デジタルビデオのこういう映画もありと思うようになりました。これが、僕にとってこの映画を見た最大の収穫だったと思います。

確かに、映画を作りたい、しかしフィルムを何十本も買うほどのお金はない、という場合（この作品はまさにそうだったらしいですが）に、デジタルカメラは有効な手段です。

ただ、この作品がビデオになったら、元はデジタルカメラの映像ですから、当然違和感はもっと無くなります。そのかわりフィルムとの比較はしにくくなりますね。

最後の方で合成シーンが出てきたのには少し驚かされました。低予算の作品のはずなので、そんな手の込んだシーンは作ってないと思っていたので。樋口真嗣氏の名前がクレジットされていたのはこのシーンのためなのでしょう。

なぜかエンドクレジットシーンの、渋谷川を４人並んで歩いていく主役の女子高生たちのシーンがとても印象に残りました。「あの素晴らしい愛をもう一度」のＣＤ（当然、主役の三輪明日美が歌うバージョン）を買ってしまったほどです。

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リング

上映開始後一月経ってから、見ようと思って有楽町に行きました。ヒットしていることは知ってましたが、いくらなんでも一月経っているのだから席はあるだろうと思って、上映開始時間直前に入ったのですが、甘かったです。立ち見の札が出されてました。後日、横浜で座って見ましたけど（パンフ売り切れだったのが悲しい）。

監督が中田秀夫氏、脚本が高橋洋氏という、「女優霊」と同じコンビだからでしょうか？「リング」の怖がらせ方も「女優霊」と同じ、「一瞬見える恐怖」と「クライマックスに登場する幽霊の怖さ」のパターンです。とはいえ、演出が上手いせいか、同じパターンだと分かっても十分怖いです。

原作では主人公の浅川は男で、それを助ける高山竜司は太目の男でしたが、さすがに原作通りの外見だと画面栄えがしないと思ったのか、主人公を松嶋奈々子と真田広之のコンビにしましたね。これは正解だったと思います。松嶋奈々子は熱演だったし、線の細さからでしょうか？ホラー物に合っていたと思います。真田広之も原作と外見は違うものの、不敵なキャラである高山竜司に合っていたと思います。

キャラクターの変更だけでなく、ストーリーも大胆にカットしていました。上映時間が１時間ほどだから、原作通りにやるのは不可能な話ですが、この脚色具合もちょうど良かったと思います。問題のビデオの内容自体はかなり変えてましたが、原作を読んでない人は、ビデオの内容とそれに絡む話が原作にはもっとあったことに気がつかなかったのではないでしょうか。

ちなみに、この映画版が作られる以前にＣＸの金曜エンタテイメント枠で放映され、ビデオにもなっている高橋克典＆原田芳雄主演の「リング」は、映画版に比べれば全然怖くないです。ただ、時間枠が映画版より長かったせいか、原作の内容をほぼ同じに映像化してるので、原作を読むのがかったるい、という人は見てみてもいいのではないでしょうか。山村貞子役の三浦綺音が、色っぽいけど何を考えてるか分からない不気味なキャラで好演でした。雛形あきこが冒頭に殺されてしまう女のコ役で出てるのも、今となってはこんな役もやってた、と懐かしい感じです。

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らせん

まだ見ていない人

「リング」がかなり原作を省略していたのに比べ、「らせん」では話はほぼ原作通りの形になっています。

原作の方は筆者としては、謎解きの展開が少々かったるい感じがした「リング」よりも、子供を伏線にして感動的な結末に持っていく「らせん」の方が好きなのですが…映画の方は、原作で一番良かったエモーショナルな部分に感動が感じられないのがもの足りませんでした。

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「リング」でもキーパーソンである山村貞子が出てきますが、顔は髪に隠れて見えません。「らせん」で山村貞子を佐伯日菜子が演じている事が分かり（「リング」でも想像はつくのですが）ますが、後半、再生された山村貞子は佐伯日菜子ではなく、高野舞役の中谷美紀の姿で出てきます。論理的に言えばこれはおかしいです。

ただし、見せ方の問題からいえば、再生された山村貞子を中谷美紀にしたことで、中盤に中谷美紀が出てきた時に、観客が高野舞だと思ってたのが、実は山村貞子だったというどんでん返しにもなる（ここで佐伯日菜子を出したらバレバレだし）ので、筋は通らないけど、映画的解決かな、と納得できるところではあります（その点、小説は顔が出ないから特です）。ただ、これってなんか佐伯日菜子が中谷美紀より格下の扱い方をされてるような感じも受けたのですが。

「ねらわれた学園」といい、「エコエコアザラク」の黒井ミサといい、佐伯日菜子ってこのごろ普通じゃないキャラの役が目立ちます。このままじゃキワモノ女優になってしまうようでイヤだなあ。ＮＴＴドコモのＣＭのような普通の女のコ役はもう来なかったら悲しい。

「リング」と「らせん」のヒット（「リング」の出来が良かったのがヒットにつながったと思います）で、３作目の「ループ」の映画化もありえると思うのですが、となると主役はあの人か…でも映画だと初めから顔が出るから、後半のネタばれになってしまいますねえ。小説だと顔が出ないから、実はあの人だった、という流れが作れるけど。初めからネタをバラす構成しかないか。原作と違う構成にしなきゃいけないから、シナリオが大変そうです。

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銀河鉄道９９９

エターナル・ファンタジー

見る前にこれが前編であり、９９年に完結編が公開されることは聞いていましたので、あまり期待しないで見に行きました。

本当に導入部という感じで、どういう話になるのか想像もつかず、また面白くなりそうな要素も感じられなくて、これでは完結編さえも見る気が起こらなくなりました（それでも一応チェックは入れるつもりですが）。これの内容から想像して、おそらく時間を戻す結末になるのではないかと想像します。

主人公である哲郎は前の映画版よりも子供で、ＴＶ版の続きの、ＴＶの最終回から１年後の設定みたいですが、「さよなら銀河鉄道９９９」といい、「Ｚガンダム」といい主人公が不遇の運命を送らされるパターンはアニメ関係の人たちは好きなんでしょうか。

キャラの描き方は、ＴＶの時以上に原作に近いタッチを感じました。特に目の描き方とか。

９９９自体は今回３ＤＣＧでも作成されていて、煙も３ＤＣＧで作っているシーンが多く見られました。しかし、このＣＧの煙が煙には見えず、やけに固体ぽく見えてしまい、かえってセル（２Ｄアニメソフトか？）の煙の方がそれらしく見えてしまいました。

最後の方でアルカディア号や、なぜかヤマトも出てきました。キャプテン・ハーロックら、松本有名キャラ達が今後どう関わってくるかは楽しみなのですが、ストーリーではなく、そういった松本キャラを知ってる人でないと楽しめないというのは、映画というよりは単にファンだった人たちのイベントという感じで、邪道という気がします。

ヤマトなんてどうやって話と関連付けるつもりなんでしょう？古代進は出るのかな？こう思ってしまうこと自体、しっかり乗せられてしまった証拠でしょう。

あまり見どころの無い作品だと思いましたが、哲郎が降りた星で仲良くなった少女が哲郎と別れる時に言った「未来をよろしく」のセリフは気に入りました。

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ＯＴＳＵＹＵ

怪談牡丹燈籠

まだ見ていない人

「牡丹燈籠」は有名な怪談話ですが、それをラブストーリーとして解釈したのが新しいところでしょう。愛の切なさと激しさ、外見と本質、色々な事を考えさせる点が新しめです。同じように、古典ホラーをラブストーリーと捉えたコッポラ版「ドラキュラ」を思わせます。

新しめのもう一つの点は、途中まではおどろおどろしい怪談話なのが、麿赤児演じる坊主が登場してからは特撮と吊りを使った一大スペクタクルになったことでしょう。そういう派手なシーンを出す必然性はないとは思うのですが、見せ場にはなっていますし、これが映画の売りにもなっています。

ＣＧやデジタル合成を結構使っていますが、そのカットだけ色調が違っていたり、マスクのエッジが見えていたり、ＣＧの質感がＣＧそのままに見えたりして、クオリティは今一つでした。とはいえ、梵字が幽霊を囲んだりするようなイメージは面白いです。古い話を最新の技術で映像化する意欲は買いでしょう。
特撮を担当した会社には「柳生外伝／くの一忍法帖」と同じ、オムニバス・ジャパンとフロントラインが関わってます。「ＯＴＳＵＹＵ」の方が公開が先ですから、これの経験を踏まえて「柳生外伝／くの一忍法帖」でよりクオリティをアップさせたのかもしれません。
吊りは出てくるし、幽霊と人間のラブストーリー（人間の方は嫌がっていますが）だし、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」を思わせます。ただし、この「ＯＴＳＵＹＵ」での吊りは、ただ人を吊って動かしているだけのような感じで、香港映画のような華麗な吊りを見せてほしかったです。燈籠の布の動きは「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」の宙で舞う服を思わせるいい動きをしていたのに。
時代劇ですが、要のシーンのＢＧＭにクラシック（オペラ？）を使っているのが、ファンタジックな雰囲気を感じさせて良いです。歌が「もののけ姫」の米良美一なのが、また風格を与えてます。

お露が幽霊と分かった後は原作通り、新之助はお寺にこもる展開になります。しかしここで、お露が死んだことは分かったのですから、彼女の墓に出向いて供養するとか、お露の父親に相談するとか、彼女を成仏させるための手段は他にもいろいろ考えられると思ってしまいました。これって他のホラー物を見てきた影響かもしれません。

ラブストーリー色があるとはいえ、基本はホラーであり、どきりと飛び上がるシーンもあるので、怖いシーンが苦手な方は注意してください。

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お露の妹は原作に登場するのかは知りませんが、これも面白い人物配置でした。ただ、この妹も新之助を好きなのにも関わらず、姉の助けをしていただけだったのは物足りない感じがしました。新之助を巡った幽霊姉妹対決にしても面白かったと思います。そうなると話が全く違う展開になったでしょうけど。

幽霊になったお露は普通の顔、ゾンビ状態の顔、そして般若のような怒りゾンビの顔に変化していきますが、この時の特殊メイクが、どうもマスクを被っているように見えてしまいました。妹の幽霊も同様でした。

麿赤児演じる坊主は、冒頭の過去（戦国時代？）のシーンで出てきますが、映画のメインである、江戸時代のシーンでもいきなり主人公の親友であるうじきつよしが連れてきます。唐突に登場するので、うじきがどうやってこの坊主を見つけたのか気になりました。まさか偶然近くにいたってことじゃないでしょう。過去のシーンに出てきた坊主とは関係があるのかも気になりました。

元の話の結末は皮肉な終わりでしたが、この作品では愛を成就させた感動的な結末であったのは救いでした。とはいえ、ラストでお露と一緒になる新之助は、新之助がそう望んだのか、それともお露が消えて生きれたと思ってホッとしたところを無理矢理引き込まれてしまったのか、解釈が色々できるところです。
この作品は劇場で細々と公開されたので見逃してしまい、ビデオで見たのですが、このクライマックスともいえる、お露が新之助の思いを切々と訴えるあたりから、二人が消えるシーンまでは何回も巻き戻して見てしまいました。お露のいじらしさが感動的。ここまで女性に好かれてみたいッスねえ。
ラストは現代のシーンになります。強い愛の輪廻を言いたいのだと思いますが、面白味のあるシーンでもなかったので、新之助とお露が消えたとこで終わらせても良かったと思います。ラストカットの髪を下ろした夏生ゆうなはきれいでしたけど。

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パーフェクトブルー

まだ見ていない人

サイコネタの話で、実写でもできる話ではありますが、アニメならではのイメージやスピーディなカット割りを生かしてテンポ良く話が展開してくれます。

ただし、最後に明かされる謎の回答が、論理的ではあるのですが、いろいろ突っ込みを入れられる形（後述）になってしまって、これでよかったのかどうか疑問なところです。

宣伝には、ロジャー・コーマンの「ヒッチコックとディズニーが組んだらこういう作品になったかもしれない」という言葉がありましたが、これはいい例えだと思います。

アイドルを「卒業」した主人公がドラマで脱いだり、ヘアヌードを出したりという展開は、現実にごろごろ転がってる話で、身につまされる人もいるでしょう。ヘアヌード写真のカットで描かれるヘアがやたらとリアルなのですが、これがＲ指定にされた理由でしょうか。

すでに見た人

犯人はアイドル時代の主人公になりきった多重人格者ということですが、最後に犯人を明かされてからストーリーの方を思い返してみると、いいプロポーションをしている主人公と、デブ系の犯人の体型、そして顔もあまりにも違いすぎて突っ込みを入れたくなります。

例えばもう一人の主人公（犯人）が元のグループに戻ったかのようにステージに登場するシーンなんて、犯人があの体型ですから、見てたファンには一発で別人とバレるはずです。主人公が最後に犯人に追われる以前に何回か自分の姿を見ますが、それも、犯人のあの体型を考えれば、自分と見間違うことなんてまずないでしょう。

犯人が別にいて、主人公が助かるという結末はそれとして救いがあっていいのですが、結末を主人公の妄想や狂気ネタにすれば、話の論理から言えばおかしくはなくなったと思います。その代わり救いようの無い暗い結末になりそうですが。

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黒の天使

Ｖｏｌ．１

映画紹介番組で、高島礼子と葉月里緒菜のアクションシーンが良さそうな感じだったので見たのですが、この映画、見所はそれだけです。話の展開はかったるいし、高島礼子はほとんどシャブ漬けだし、葉月里御菜もすぐ捕まっちゃって情けないし、わめいてばっかりいるし…あーイラつく！もっと気持ちいい展開にできんのかい！と言いたくなりました。ホント、良いのはアクションだけです。

なんかの紹介で「和製ニキータ」とか書いてありましたが、あの傑作アクションと一緒にしてほしくないです。

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