日　本　沈　没

静岡で大地震が発生し、巻き込まれた潜水艇のパイロット小野寺（草なぎ剛）と幼い少女美咲（福田麻由子）は、ハイパーレスキュー隊員の玲子（柴咲コウ）に救出される。その頃、アメリカの地質学者たちは４年の間に日本が沈没するという予測を出すが、異端の地質学者田所（豊川悦司）が小野寺らの協力で再調査した結論はそれをはるかに上回る、１年にも満たない時間だった。やがて彼の予言どおり、北海道と九州の火山が噴火を始める…。

1973年に小松左京のベストセラー小説を映画化した「日本沈没」を、この作品に大いに影響を受けたと公言する「ローレライ」の樋口真嗣監督がリメイクした作品です。
しかし今回は、小野寺が潜水艇のパイロットであることと、田所が地質学者である部分がオリジナルと同じくらいで、その他はキャラクターの設定も日本が沈没していく理論も違います。そして旧作との最大の違いは、沈没を止める作戦が出てくるところで、その意味では今回はリメイクというより、新作といっていいでしょう。
日本沈没という事態を受け入れること以外に何も出来なかった旧作を思えば、この展開は映画的で「あり」でしょう。「妖星ゴラス」みたいにイケイケでないのでハデさには欠けますが、かえってそれなりにリアルには見えました。

しかしこの映画、キャラに共感しにくいものでした。特に主人公の小野寺がいつまでもウジウジしてる姿には、お前何をやってる！と言いたくなりました。樋口監督のインタビューによれば、今回は人が災害に直面したら自分の最大限できることをやるべし、というのをテーマにしたそうですが、それがかなり後になるまで伝わってきません。
それでも感動できる部分はチラホラあって、中盤の小野寺の母親のシーンがとても日常的なのに、ホロリと来ました。ラストもなかなかにキましたが、他のディザスタームービーのパターン、とも言いたくはなります。
玲子の実家であるお好み焼き屋のシーンが時折出てきて、これはオリジナルでは描かれなかった、日常の大切さを描くという意図で出したそうです。それは分かるのですが、日常が消えていく怖さなんて見ててもあまり感じられなくて、キャラ設定の意図が生きていません。

特撮は樋口監督の得意分野のせいか迫力があるし、CGオンリーではなくちゃんと模型を使っているのがいいところです。ただオリジナル版の災害シーンでは例えば、避難しようとした人々が路地で火に囲まれたり、ビルからガラスの破片が人々に降ってくるといった、人が死んでいく怖さがありましたが、今回はそういう怖さが感じられるシーンはあまりありません。
災害が怖いのは分かりきったことだし、残酷なシーンを見せて観客を不快にしたくないという監督の意図は分からないことはありません。でもそのおかげで映画からは命が消えていく悲惨さが感じられず、死傷者は単に数字だけのものになってしまいました。
その代わりかどうかは分かりませんが、オリジナル版にはあまり無かったという、日本人が故郷を終われる悲しさを重点にしたといいますが、それもよく分かりませんでした。
それから映画では、主人公たちに沈没まで時間がないという切迫差が感じられませんでした。ラブシーンなんて出さなくていいでしょう。こういう、意図したものが上手く機能していないシーンが多くて、シナリオの段階でもっと考えるべきでした。

主人公の草なぎ剛や柴咲コウは、演技的に悪いとは思いませんでしたが、いま一つ血が通った感じがしませんでした。むしろ総理代理みたいな、国宝と引き換えに受け入れ難民の数を増やそうという、ある意味ズルく立ち回る人の方が興味を引きました。いい人ばっかりでなく、こういう悪と見える奴をもっと出すと、映画は面白くなったかもしれません。
ただ危機管理担当大臣を演じた大地真央はなかなかに凛々しく、美味しい役だったと思います。

樋口監督の盟友？庵野秀明氏がワンシーンだけ出ていますが、エンドクレジットを見ると他にも富野由悠季氏や福井晴敏氏とか妙なゲストの名前がありましたが、どこに出ていたか分かりませんでした。

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笑う大天使（ミカエル）

母の死後、生き別れになっていた大金持ちの兄・一臣（伊勢谷友介）に引き取られた司城史緒（上野樹里）は、お嬢様学校として有名な聖ミカエル学園に転校してくる。だが庶民育ちの彼女は上流階級のハイソな雰囲気に耐えられず、「息抜き」しているところを同級生の和音（関めぐみ）と柚子（平愛梨）に見られてしまうが、彼女たちも猫をかぶっていることが分かり、仲良くなる。そしてこの時なぜか、３人に強大なパワーが宿ってしまう…。

このところ流行気味のコミック原作の映画…ですが、大いに楽しめた「デスノート」や「ラブコン」なんかと違い、話に乗れません。お嬢様学校に入った主人公の戸惑いに全然共感できなくて、笑えませんでした。
だいたい、あいさつで「ごきげんよう」くらい別にいいんじゃないのかなあ。ステーキを毎日食べれる境遇なんてうらやましいと思うし。まず主人公が、いかに庶民ぶりに親しんでいたかを描くべきでしょう。原作の設定とか、観客が知ってるものとして作っている感じがありありです。
ただ、上野樹里の時に元気＆時にヘタレキャラは「スゥイングガールズ」同様、合っています。

学園の全景など映画はCGだらけで、監督の小田一生氏がVFX出身というのもうなづけます。CG犬のダミアンが面白いし、物語にはあまり関係ない「少林サッカー」みたいな格闘シーンも楽しめた箇所ですが、「巨大化」はやりすぎでしょう。CGのクオリティも安っぽいし。

映画には「カナリア」や「海と夕陽と彼女の涙：ストロベリーフィールズ」の谷村美月が出ていますが、彼女でなくてもいいチョイ役だったのは、もったいないキャスティングでした。

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ラブ☆コン

身長が高いせいでいつも男の子にフラれてしまう小泉リサ（藤澤恵麻）と、身長が低いせいでいつも女の子にフラれてしまう大谷敦士（小池徹平）は、舞戸学園の同じクラス。お互いに「チビ」「デカ女」と呼び合う二人は周りからは似合いのカップルと思われていたが、自分たちは意識はしていなかった。だがリサは大谷が、彼女と同じマイナー？な歌手「海坊主」のファンと分かって以来、大谷を意識するようになっていく…。

昨今流行ぎみのコミック原作の映画化です。でも流行といって甘く見てはいけません！原作を読んで無くても全然問題なし！めっちゃ楽しくて、前の日に見た「M:i:III」が霞んでしまいました。
なんといっても、主人公リサを演じる藤原恵麻の弾けっぷりが素敵でした。これまでの「天花」や「奇談」といった大人しめのキャラとは180度違う、超元気なキャラが意外にぴったりハマっています。鼻の穴が目立つちょいブス顔もかわいくて、ちょっとオーバーな演技が恋の楽しさや苦しさを感じさせてくれます。
相手役の小池徹平も役に合っていて、この２人がいいコンビぶりを見せてくれます。また彼らだけでなく、周りの友人グループもみんなキャラに合っていて、特に信子役の玉置成実は、姉御肌のせいか年っぽく見えてしまいましたが、演技経験が初めてとは見えませんでした。そして水嶋ヒロの、「仮面ライダーカブト」と違う情けなさも笑わせてくれます。
さらに谷原章介や寺島進や田中要次といったメンツの、ツボを押さえた怪演も見ものです。まさか！のムツゴロウ氏の使い方には驚いたし（よく出てくれたもんだ）、女子高生に受けてました。

笑えるだけでなく、クライマックスでは泣けるシーンもありました。ここでは小池の相方、ウエンツ瑛士もチラリと顔を見せているようなので。探してみるのも一興でしょう。

この映画、渋谷にあるQ-AXシネマで見ましたが、館内では花火の映像を流してたり、海坊主の歌の歌詞が貼ってあったり（カラオケあったら歌いたいかも）、男子トイレにはうざいくらい谷原の顔が貼ってあったりと、映画の世界に浸らせてくれる飾りが目白押しでした。
こういうのは映画がつまんないと白けますが、中身が面白いと実に楽しくなります。誰も見てなかったら「よろしQUEEN！」てやってしまうかも…。

続編希望！ですが、このテンションの高さを保てるのか、ちょっと不安にはなります。

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ブレイブストーリー

宮部みゆきの小説をアニメ化した作品。父親に家出され、母親も入院してしまった小学５年生のワタルが、その運命を変えるための「ビジョン」と呼ばれる別世界での冒険の行程を描くお話です。
全体的な構成はTVアニメの、クライマックスを重視して劇場用に作った総集編といった感じでした。特に前半は展開が急過ぎで、ワタルのビジョンに入り込んでいく過程なんか、もっと追い詰めるべきでしょう。
ビジョン内での各国やキャラクターの相関も分かりにくいし、ビジョンと現実の関係や、ビジョンの術はなぜ現実でも使えるのか？というように、疑問を抱きたくなる描写も多々あります。原作は３冊もある長いものだから、TVシリーズでじっくり描いて見せた方が、納得できる展開になったと思います。
テーマをセリフで長々と言うとこなんかも気になったし、制作に18ヶ月かけたそうですが、シナリオにはせいぜい1週間くらいしかかけなかったのではないでしょうか。

それでも、ラストのワタルの行動は予想がついたものの、クライマックスは感動する箇所がありました。こういう魔法万能とは違う、現実的な決着の付け方は今っぽく、RPGネタの話でも独特かもしれません。宮部みゆきはTVゲーム好きだそうで、ネタ的にはいかにもなお話ですが、さすがに並のファンタジーとは違う終わらせ方は、この人らしいところでしょう。

松たか子など、メインの声優陣にほとんど芸能人を起用しているのはジブリアニメに対抗している感じです。その中で特に凄いと思う人はいませんでしたが、大泉洋や伊東四郎は上手かったと思います。

背景が３DCGで、キャラがセルアニメという見せ方はビデオアニメ「青の６号」を手がけたGONZOらしいやり方です。魔族のスピード感なんか気持ちよく、スケール感も出ていて、技術的にはがんばっています。
世界観は「天空の城ラピュタ」なんかとかぶる感じはしますが、ファンタジーのアニメやゲームが珍しくない昨今、仕方の無いことでしょう。

この作品の配給はアメリカに本社のあるワーナーです。でも「さくや」といい「天使の牙」といいこの会社、日本映画ではいい作品に恵まれないような…。

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タイヨウのうた

由比ガ浜に住む薫（YUI）は、紫外線を浴びると命にかかわる「XP（色素性乾皮症）」という病気のため夜しか出歩くことが出来ず、真夜中に誰もいない鎌倉駅で歌っていた。彼女のもう一つの楽しみは、朝方サーフィンに出かける高校生（塚本高史）を部屋から眺めること。そしてある晩、彼を見かけた薫はその後を追いかけて、押し倒してしまう…。

予告では感動しそうな感じがしましたが、全く泣けませんでした。テンポもゆるめで、疲れてる時に見たら寝たかもしれません。
主人公が歌を歌っていて、彼女を演じるYUIは歌手ということで、映画では彼女の歌がメインになるはずでしょう。でもそれが感動的なシーンで流れないなど、歌の使い方の下手さに唖然としました。主題歌はいいのに、スタッフの歌への愛が感じられず、とてもこれが25歳の監督の感性とは思えませんでした。音楽を理解できないプロデューサーでもいて、演出に過度の干渉でもあったんじゃないかと想像してしまいます。
映画館では鼻をすすってる人が１、２名いましたが、これで泣けるのが信じられませんでした。

監督はラブストーリーを意図したそうですが、映画ではそれ以外にも病気と戦う家族の話やら、夢を追う話やら、いろんな要素を中途半端に詰め込んでしまっているおかげで、何をしたいのかよく分からなくなってしまっています。
映画の骨子は、自分のことしか考えてなかった男女が出会い、お互いのために行動するように変わっていく、といったものではないでしょうか。その点に話を絞ればよかったのかもしれません。

また不謹慎かもしれませんが、ここ数年「世界の中心で、愛をさけぶ」や「１リットルの涙」など、TVでも映画でも難病モノの話が多いし、XPをネタにした話もけっこうありがちに思います。ただ主人公の父親を演じた岸谷五郎の、乱暴というかぶっきらぼうなキャラクター像は、難病ものに外れたパターンで面白いところでした。

それと、路上ライブで人が集まってくるシーンと、ラストはさわやかでいい描写でした。死で盛り上げようとしない演出も、パターンでなくて好感が持てます。

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着　信　ア　リ
F　i　n　a　l

まだ見ていない人

人気？ホラーシリーズ「着信アリ」の第３弾。今回は韓国に修学旅行に来た高校生たちに、いじめられっ子から呪いの着信が来るお話です。
今回のお話は、前作までとのつながりはありません。でも着信のメロディが同じなのはお約束としても、飴玉は出す意味が全く無いでしょう。
また映画の舞台が韓国になっていますが、これも全く必要性が感じられません。製作に韓国のプロダクションが絡んでるゆえかもしれませんが、今や過ぎ去った韓流ブームでも当てにしているのでしょうか？今回の「W主演」の一人、黒木メイサのボーイフレンド？である韓国人の男のキャラが絵に描いたような優男という、いかにもヨン様を意識してるような演技には可笑しくなりました。

呪いの着信を送りつけている「W主演」のもう一人、堀北真希の背後で、実はそれをやらせているモノがいます。これがどうも第1作で呪いの元となった女のコのようなのですが、第1作の記憶があいまいだし、説明が無いので本当にそうだったのか分かりません。そもそも、彼女達がどうやって知り合ったのか映画では一切語っていないので、こいつらがどういう関係なのかも不明です。
それにこの女の子、いつの間にやら今回はパソコンの中に住んでいる設定にされていて、パソコンが重要なアイテムになりますが、このへんはまるで「電車男」の悪しきパロディにしか見えませんでした。何年か前の「アンドロメディア」みたいに、いかにもパソコンが分かってないオヤジ共が作った感じの映画です。

今回の着信の特徴は「転送すれば死なない」ということで、この着信を修学旅行のクラスメート同士で送る送らせないといった「バトル・ロワイアル」を思わせるいがみ合いが映画で唯一面白いところで、監督の麻生氏もインタビューでこの部分を強調してました。でもそれが、話に全面的に生かされていません。
その対極で、思いやりというか愛が人を救う、と言いたいのかもしれませんが、これまで挙げたような疑問噴出の設定と、あまりに都合よすぎる展開のおかげで全然説得力がなく、笑うしかありません。
ホラーのくせに怖くもないし、シリーズ物は回を重ねるごとにクオリティが落ちる例が多いですが、今回はその典型です。

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悪霊が取り付いている（操作している？）パソコンをフリーズさせて止めようとして、そこに大量のメールを送りつけるという描写があります。でもそれで送られたメールが行くのはメールのアドレスとなっているサーバーであって、パソコン本体ではないから、こんなことをしてもパソコンに影響は出ないはずです。ましてや火を噴く、なんてあるわけないでしょうに。
そこは少々専門的なことだからまあしょうがないとしても、メールで不特定多数の見知らぬ人々に掲示板なんかで協力を依頼したところで、スパムだと思われるのがオチでしょう。事情をよく知らないはずなのに「がんばれ」なんて書きこんでいる奴がいるのは、アホとしか思えませんでした。

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花よりもなほ

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父の仇討ちのために三年前に松本から江戸に出てきた青木宗左衛門（岡田准一）。赤穂の殿様の刃傷事件が話題になっていた元禄十五年、貧しい長屋で暮らす宗左衛門とそこに住む人々とのふれあいを通して、「仇討ち」の顛末を描くお話です。
映画の体裁は時代劇ではありますが、こういう内容の「敵討ち」を描いた映画は初めてではないでしょうか。それをあえて仇討ちとして有名な赤穂浪士討ち入りの時代にやったところが、これまでの時代劇にアンチテーゼを提示するようで、相変わらず紛争や戦争が続く今の時代に、憎しみの連鎖を諭す「現代劇」に見えました。
監督は「誰も知らない」でカンヌ映画祭最優秀男優賞を主演の柳楽優弥にもたらした是枝裕和氏。時代劇とは全く縁の無かった？人が手がけただけあって、これまでの時代劇とはかなりテイストの違う物語を作り上げています。
ただ映画のテンポは緩めで、盛り上がりらしい箇所があまりありません。そのへんは「誰も知らない」と似た感じですが、「誰も知らない」ほど強烈に感情を揺さぶられるシーンはありませんでした。

ただ「誰も知らない」は泣けませんでしたが、この「花よりもなほ」は後半の岡田准一の表情にウルウル来るシーンがありました。岡田氏はなかなかのハマリ役になっています。
脇のキャストもみんなハマっていて、特に古田新太はTVの連ドラの際モノ的扱い？を払拭するようでした。上島竜兵や木村祐一といったコメディ畑からのキャストも、いい味が出ています。

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武士の理想に凝り固まり、宗左衛門を疎む彼の弟の姿に、自爆テロに身を捧げてしまうような、現実を見れない若者を投影したように思えました。それに対して宗左衛門に生きようと諭す、石橋蓮司演じる叔父にはホッとさせられます。
その対比には無理な理想より現実を、決まりと体面に縛られてきゅうくつな遠くの親類よりも、正直に自由に生きる近所のつながりの大切さを訴えているように思います。

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バッシング

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高井有子（占部房子）はアルバイト先のラブホテルの支配人（香川照之）から、彼女の「悪い噂」を気にされてクビを宣告される。コンビニでは見知らぬ客から嫌がらせを受け、自宅の電話にも毎日彼女をなじる電話がかかっていた。そして彼女への「バッシング」は父親（田中隆三）の仕事にまで影響を及ぼす…。

イラクでボランティア活動をしていた人々が武装グループに拉致監禁され、無事解放されて帰国したら、世間から「甘ったれている」とバッシングを受けた事件がありました。映画はこの事件をモデルに、その当事者と家族が日本でどう過ごしたかを描いたお話です。
ただし映画では、中東でこういったことが起こった、ということを全くと言っていいほど語っていないので、元の事件を知らない人が見たら背景を理解できるのか？と思いました。この映画はカンヌ映画祭で上映されたそうですが、フランスの観客にどこまで理解してもらえたのか疑問になります。
映画にはBGMが無く、長回しを多用して主人公たちの日常を淡々と描くだけで、誰が悪い、とか声高に言うことはありません。エキサイティングな内容を期待すると眠くなるかもしれませんが、いろいろと考えさせてくれるお話です。

元になった事件が事件だけに「バッシング」を恐れたのか、この作品の上映に二の足を踏んだ劇場が多かったそうですが、こういう映画を公開しないのも、そんなバッシングをするだけの人々と同罪ではないかという気もします。

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元の事件の、バッシングの原因になったであろう週刊新潮や文春の記者はこの作品をどう見るのでしょう？彼らにとっては、記事を書いた後に対象者が受ける苦痛なんぞ「社会正義」の名の下に考えもしないのでしょう。そういう想像力の欠如を、映画からは読み取れます。
こういう記者たちも、コンビニで嫌がらせをする少年達も、主人公をなじるコンビニの店主も同じ穴のムジナなのでしょう。

主人公の父親が仕事をクビになって自殺というのは、解雇の経験がある僕から見ると、弱すぎるように思えました。まあ、心理的に限界だった、ということもあったかもしれませんが。この見方もバッシングに当たるのかなあ…？

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嫌われ松子の一生

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自堕落な日常を送り、彼女（柴咲コウ）からも愛想を付かされている笙（瑛太）。ある日彼の元を父親（香川照之）が訪れ、最近殺されてしまった、彼の叔母に当たる川尻松子（中谷美紀）のアパートの部屋の片づけを命じる。渋々松子の部屋に行った笙は、残された遺品や彼女の知り合いを通して、一見惨めに死んでいった松子の人生を知っていく…。

教師からソープ嬢、殺人犯と転落？していった松子。彼女の人生を、甥の笙の目を通して「下妻物語」の中島哲也監督が描いた物語です。
松子のたどった軌跡を文章に書くと、かなり悲惨になります。しかし映画の雰囲気はそれとは真逆といってよく、端から見たら不幸に見える人生をこれほど明るく描いた映画は初めてでしょう。あえて近い例を挙げるなら、韓国映画の「悪い男」でしょうか。
それは映画の松子が不満を嘆くだけでなく、何があってもめげない人物像として描かれているゆえでしょう。また映画はミュージカルという、日本映画では珍しい形式になっていて、「下妻物語」をさらに濃くしたような色彩とキャラクターが、雰囲気をぶっ飛んだものにして楽しませてくれます。
主人公の境遇が悲惨で、ミュージカルが入るという形は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を思い出します。でもあちらは現実をまんま悲惨に描いてイヤーになりましたが、松子は現実を飛び越して明るく見せてくれます。後半では松子や、彼女を慕う男の想いに、爽やかに涙がこぼれるシーンがありました。

松子や周りの人々の、ちょっとした誤解や見栄や思い違いで人生が変わってしまう皮肉には、もし自分がもっと意固地だったら、似たような境遇になったかもしれないと思えました。人の転落のきっかけなんて、こういうささいな事かもしれません。人生が上手くいっていないと思っている人なら、松子の「なんで!?」の叫びに共感するのではないでしょうか。

「下妻物語」は孤独に生きてきた女のコの友情話でしたが、松子が人との「つながり」を求めたという点では「下妻物語」と共通するようで、テーマをより深めたように見えます。
メインの話に関係ない、脇のエピソードの下らなさも「下妻物語」に似ています。

喜怒哀楽が激しく、時に思い切りアホな表情をする松子は演じる上で大変だったでしょうが、中谷美紀にとっては「電車男」のエルメスなんぞよりはるかに面白味のあるキャラになっています。松子はたぶん「ケイゾク」に並ぶ、中谷の代表的なキャラになるでしょう。

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若者（笙）が過去のこと（松子）を知って人生に目覚めていく、という構成は先ごろ公開された「男たちの大和」での池松荘亮を思い出しました。ただ「大和」と違い、「松子」では笙がこれからどうなりそうかを具体的に描かず、観客に想像させるやり方がいいと思うし、それが「大和」の古い世代の監督と違うところかもしれません。

映画で唯一不愉快になった箇所は、松子を殺した人物像でした。でもこれは、時代の皮肉を言いたかったのかもしれません。

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ト　リ　ッ　ク
劇　場　版　２

貧乳？の売れないマジシャン山田奈緒子（仲間由紀恵）と巨根？の大学教授上田次郎（阿部寛）が怪しい現象に挑戦する（させられる）「トリック」。今回はどんな場所でも移動できる力を持つという、筺神佐和子（片平なぎさ）と対決します。
前作は初めの方は面白かったものの、ゲスト俳優が何人もいたせいか、途中から上田と山田の影が薄くなって尻すぼみになりましたが、今回は山田と上田が主人公らしく中心で活躍し、全体的にドタバタやドキドキ？のエピソードがコンスタントに散りばめられて、楽しめました。
トリックを暴いてしまったゆえの功罪に触れているのも、単なるめでたしめでたしに終わらない、面白いところです。

今回も小ネタでいろいろ笑わせてくれますが、一番多く出てくる「よろしくね！」は僕にはピンと来ませんでした。アトウ海とか、もし海外で公開するなら分かってもらえないであろうネタ多すぎです（やらないか）。

矢部刑事役の生瀬勝久や、山田の母・里見役の野際陽子のクレジットはレギュラーということで大きいですが、そのわりには彼らは今回あまり出てこなくて、特に矢部はいなくてもいいキャラになっています。シリーズとしてはさびしいですが、彼らが出しゃばらなかった分、山田と上田がちゃんと活躍できたのかもしれません。

今回で「トリック」は終わりだそうですが、上田と山田のコンビはTVスペシャル以来のブランクを感じさせない迷コンビぶりを見せてくれています。この調子ならもしパート３やっても、見るぞ。

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水　霊
ミ　ズ　チ

東京西部で謎の自殺事件が多発していた。新聞記者の響子（井川遥）は、以前取材した杜川教授（柳ユーレイ）の不審な死から、事件に水道水が関係していると疑い、元の夫で水質調査の専門家の祐一（渡部篤郎）に相談するが彼は相手にしない。だが祐一は、自分の体に異変が起こっていると気づいていた…。

「黄泉」や「ヨモツヒラサカ」といったネタに遺跡、そして「死に水」のアイデアなど、面白くなりそうな要素がチラホラとあることで、「妖怪ハンターヒルコ」みたいに、神話時代の呪いが現代に甦るスケールの大きい話になるのか！と期待してたら、呪いの謎解きは途中で消えてしまいます。
映画の後半は呪いの話は脇に追いやられ、響子と祐一の主人公夫婦の話になってしまいます。でも２人の離婚の理由とか、よく分からない設定があるおかげで彼らに全然共感できないし、ラストはワケが分かりませんでした。
呪いの連鎖の話をやろうとして、「リング」のパターンを避ける作りを目指したのかもしれませんが、あんまり怖くもなく、結局巷にゴマンとあるC級ホラービデオ並みのクオリティになって、金を払う価値もない出来になってしまいました。監督はホラービデオを手がけたことがある人だそうで、その悪い例が出てしまったのかもしれません。
せっかく渡部篤郎なんか使っていて、こんな出来ではもったいない限りです。

映画で一番面白いシーンは、山崎真実の狂いっぷりくらいでしょう。
音の使い方は所々大きな音で怖がらせるだけのパターンもありますが、背景音として不気味に使えている箇所もありました。

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明日の記憶

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広告代理店に勤める佐伯雅行（渡辺謙）は、大規模な宣伝プロジェクトの受注に成功し、順調なキャリアを築いていた。だがクライアントの担当者の名前が出てこなかったり、打ち合わせの時間を忘れたりとささいな不調が出てくる。念のため病院で検査を受けた佐伯は「若年性アルツハイマー病」と診断される…。

小説の映画化で、主人公を演じる渡辺謙がほれ込んで自ら原作者と交渉したそうで、彼はエグゼクティブプロデューサーとしても関わっています。
若年アルツハイマーの話といえば昨年「私の頭の中の消しゴム」がありました。あちらはラストで大いに泣かせてくれましたが、この「明日の記憶」にはそういう大きな盛り上げはありません。
しかし大泣きは無い分、ラストには静かな余韻があるし、映画的な感動を優先したような「消しゴム」に比べると、リアリティーはこちらのほうが上でしょう。
特にこの作品では、アルツハイマーの当事者の視点により焦点が当てられていて、自分だったらどうするか身につまされました。佐伯の取り乱しようや仕事への執着には端から見ると迷惑と見えますが、自身の生活やプライドを考えると、こういう行動を取らないとは言い切れません。
問診のクイズは心の中で、自分で答えた人も多いことでしょう（全問正解だったけど、このごろ映画のタイトルとか思い出せなくなってきてる…）。指動かしちゃったし。

渡辺謙は闘病経験があるせいか、リアルさがかなり出ていて、原作にほれ込んだというのも納得の熱演を見せてくれます。奥さんを演じる樋口可南子もちゃんと締めてくれますが、及川光博に意外に感動させられました。
監督は今年「サイレン」や「トリック」など公開作が立て込んでいる堤幸彦ですが、こういうおとなしい映画も撮れるとは意外でした。

ラストは泣けませんでしたが、中盤はウルウルした箇所がいくつかありました。
そういうシーンを見ると、周囲の助けを決めるのは自分の生き方なのだろうと思います。
主人公は奥さんの支えがあるし、まだ恵まれている境遇でしょう。そうでない患者やその家族の働き口をどうするとか、何らかの支援が考えられてしかるべきだと思います。

映画館にはオジさんオバさん、年配の観客が目立ちました。年齢ゆえに関心が高いかもしれませんが、若い人にも覚悟を考えて欲しい作品です。若年性アルツハイマー病が、いまだに原因も治癒の仕方も分からないということは、誰がなってもおかしくはありません。

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ゲスト出演？の木梨憲武が演じた、金をごまかす奴がいるのはリアルな描写でした。リフォーム詐欺に見られるように、アルツハイマーの人々を狙う悪意を持つ人の存在も忘れるべきではないでしょう。
ただそういうことがメインの話ではないし、こういう描写を大きくすると観客が不愉快になるかもしれないから、これくらいの規模の悪意が適切だったように思います。

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間　宮　兄　弟

ビール会社の商品開発研究員の間宮明信（佐々木蔵之介）と小学校の校務員をしている間宮徹信（塚地武雅）。30歳を過ぎても仲良く同居生活を送っている「間宮兄弟」の、彼らが気にしている女の子たちとの触れ合いを中心にその日常を描いたもので、犯罪や不幸といったドラマチックなことが起こることもなく、仲のいい兄弟のユルい話です。
主演の佐々木蔵之介と塚地武雅のコンビは外見の違いを感じさせないくらい息が合っているし、兄弟の周りのキャラが個性的な奴が多いので、まあ退屈しません。日常に小さな幸せを見つけられる人なら楽しめる内容です。

この話、フツーの映画だったら兄弟が女の子と出合って結婚して別れる、なんて展開になったかもしれませんが、そういう従来の「幸せ」を追わないで、今の変わらない生活こそ幸せ、という筋立ては今ぽい感じがします。
何でも分かり合える関係というのはうらやましいし、理解してくれる人がそばにいるなら、結婚しなくても幸せなのではないか、と言ってるようにも取れます（政府の少子化対策に逆行しますな）。

兄弟はヲタクという設定ですが、鉄道や紙飛行機のヲタなら、世間的には受け入れられ易いヲタだと思います。これで間宮兄弟の部屋にフィギュアが並んでいれば、女の子達は２度と来なかったことでしょう。この程度のヲタであれば原作を書いた江國香織や監督の森田芳光にも想像しやすかったのかもしれませんが、「電車男」に比べるとこの間宮兄弟、ヲタという感じはあまりしません。

間宮兄弟の母親役は中島みゆきという意外なキャストですが、まるで素みたいにぴったりで、この母にしてこの子らありと思えました。
間宮兄弟の一人が恋する彼女を演じる沢尻エリカは、「パッチギ！」よりもまた一段と美人になってきている（でも性格悪そう、と思わせる）し、妹役の北川景子もいい感じです。こういうかわいい女の子たちと言葉を交わせる日常って、うらやましいような（でも実際、手出しにくいか）。
しかしツタヤで、カウンターに一人しかいないという事はないでしょう。客もひっきりなしに来て、ナンパどころではないはず…。

エンドクレジットの後にもシーンがあります。ま、あえて見る必要はないと思いますが。

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海　猿
LIMIT OF LOVE

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海上保安庁の潜水士である仙崎（伊藤英明）は、鹿児島・第十管区でバディの吉岡（佐藤隆太）と任務に就いていたが、環菜（加藤あい）との結婚を目前にしつつもそれに積極的になれず、鹿児島まで会いに来た環菜につれない態度を取ってしまう。直後、鹿児島湾内で大型フェリーの衝突事故が起こり、仙崎は事故船内で東京に帰ろうとしていた環菜を見つける。その頃、船内に停めてある車に引火の危機が迫りつつあった…。

劇場版、そしてTVドラマ版と続いたコミック原作の「海猿」。今回はその最終作だそうです。
劇場版としては「海猿２」というところだろうし、現に主役の伊藤英明は宣伝用のDVDで「海猿２」と言っていますが、シリーズの時間の流れではTVドラマの後の話なので、タイトルには「２」とつけなかったのかもしれません。
映画はそれまでのキャラクターの関係を、仙崎と環菜のみわずかに回想で見せる以外はほとんどしていませんが、そういった関係をあまり知らなくてもついていける話になっています。でもTVシリーズを見た人なら時任三郎や佐藤隆太の登場は、続きという感じがしてうれしくなると思います。

海難救助の話だからドキドキハラハラそして涙、という感じになるという予想通りのパターンでしたが、前作を上まわる危機また危機の展開には興奮させられました。息を止めるシーンでは自分でも止めてしまった（20秒しか持たなかった。死ぬな）くらいです。仙崎と環菜、そして周りの男たちの「想い」に何度も涙があふれました。
これまでのシリーズでキャラクターが出来上がってるせいか、今回は劇場版第1作に比べるとお話が事故そのものに集中した形になっていて、無駄なシーンと思える箇所もあまり（無いとは言えないけど）無く、前作より入り込めました。
ただ、爆発や沈没の危機が迫っているのに、所々切迫感が無くなるのは気になりました。

船の沈没の話ということで、映画はこれの後に公開される「ポセイドン」を意識しているかもしれません。でもあちらはキャラクターにほとんど思い入れができない描き方で、この「海猿：LIMIT OF LOVE」の方がはるかに盛り上がり、気持ちのいい話になっています。

沈没いていく船はCGで作ったようですが、重量感や大きさがとても良く出ていて、CGではなく模型を使ったようにしか見えませんでした（実はそうだったりして）。今回の事故の舞台は湾内で、背景に桜島？が見えているのが、「タイタニック」や「ポセイドン」など外洋を舞台にした作品に比べて、背景がのっぺりした感じにならなくて、他の映画と差別化できます。さらに事故が岸壁から見えることで、見守る人たちの緊張感も高まるということで、これは上手い舞台設定でしょう。合成は大変だろうけど。

船の中に環菜を残さなかったのは、もしそうしたら「タイタニック」とかぶってしまうからもしれません。彼女を外に置いたことで事故を外から見守る側のサスペンスを描けるので、これは適切なキャラ配置だと思います。こういう船外の人々と主人公との絆が描かれているのも「タイタニック」と違うところで、これがまた燃え！させてくれました。
そういう見守る側の、時任三郎を始め津田寛治、美木良介、光石研といった役者陣も熱演していて、熱さがかっこよく見えました。かつて部下だった仙崎を助けたい時任、仙崎たちのためだけに他の部下を犠牲にできない美木の対比が上手いし、津田寛治は専門用語もよどみなく、相変わらず役をモノにしています。ただ一方で、TVレポーター役の浅見れいなは話に生きてなくて、余計に見えました。

エンドタイトルでは第1作、TV版、そして今作とシーンが連続で出てきて、世界観が続いてる感じが出ているし、シリーズへの愛情が感じられて嬉しくなりました。その後の映像は、現場のいい雰囲気が感じられます。

すでに見た人

仙崎の船内からの電話は泣けましたが、長いようには思いました。話をもっと早く切り上げていれば、彼ら３人は無事に船外に出てたことでしょう。「小さき勇者たち：ガメラ」もそうだけど、そういうことを観客に意識させないでほしいものです。
もし今回吉岡が死んでいたら、これで仙崎の死んだバデイは劇場版第１作の工藤（伊藤淳史）、TV版の池澤（仲村トオル）に続いて３人目になります。「バディ殺しの仙崎」なんて言われたかもしれません。いやよかった…。

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小さき勇者たち
ガ　メ　ラ

まだ見ていない人

1973年三重県、ギャオスと戦ったガメラは敵もろとも自爆して消えた。そして現在、事故で母を失った透（富岡涼）は、浜辺の近くの島で小さな卵を発見し、生まれた亀にトトと名づけ、父（津田寛治）に内緒で飼う。突然空中に浮かび上がるトトを、隣に住む麻里（夏帆）はガメラだと言うが、透は信じない。だがトトはどんどん巨大になっていった…。

映画は「ガメラ」ではありますが、今回のお話は今までの「ガメラ」シリーズとはつながりがありません。ただ冒頭のガメラVSギャオスのシーンは平成ガメラ、特にパート３のテイストで、平成シリーズからの導入を意識しているように見えます。
今回はガメラと人間の絆に焦点を当てた、「子供のためのガメラ」を真摯に捉えた内容になっています。予告編で既にウルウルしてしまいましたが、その期待通りの出来で、ここまで泣けた「ガメラ」はシリーズ中初めてです。物語の予想はつくし、疑問に思うところがいくつかあるけど、そうなってほしい！との期待通りに展開し、涙腺が何度も緩みました。
ただ、クライマックスでは涙が流れながらも疑問に思うシーンがいくつかあるし、敵怪獣ジータス（もし海外公開するなら、この名前はヤばいのでは）はなんで出てきたのか？とか、なぜ自衛隊の攻撃はないのか？というような、突っ込みたくなる箇所がいくつかあります。赤真珠などの小道具も、もっと生かす方法があったように思います。

ガメラ＝トトが小さい時に本物の亀を使っているのは上手いやり方でした。それだけに、大きくなったガメラの質感が、作り物っぽく見えてしまったのは残念です。また怪獣の合成シーンでは、映像ではなくモロに写真の上に合成したと見えるシーンもあったりして、特撮のレベルは平成３部作より落ちています。

主演の富岡涼は「この胸いっぱいの愛を」同様の熱演を見せていて、映画が感動的になったのは彼の一生懸命さが大きいでしょう。ガメラという、撮影時はいなかったであろう相手によくやりました。
父親を演じる津田寛治もいつもながら役になりきっていて、日常の店のシーンは妙にリアルだったし、麻里の父親を演じる寺島進もいい感じでした。寺島氏がいるおかげで、映画の格が上がったように思います。

すでに見た人

後半でのガメラの石のリレーは、何でトトのことを知らないはずの子供たちが知っているのか？と思ったし、この非常時に彼らの親はどうした？とも思いましたが、一方でガメラと子供たちの間に見えない絆があり、子供たちこそ本当の味方を知っているとも解釈できるようで、胸が熱くなりました。「小さき勇者たち」のタイトルは透を含む彼らの、これ以降の行動を指しているのでしょう。
その後、透がトトに石を渡すシーンは、すぐ横に敵がいるのにそんなに悠長に話しているヒマないだろう、と言いたくなりました。その後でドッと泣かしてくれたから、まあいい…かなぁ…。

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怪談新耳袋
幽霊マンション

交通事故で母を失った高校生の大和愛美（黒川芽以）は、フリーライターの父・充（吹越満）と古びたマンションに引っ越してきた。２人は住人たちから異様なほどの歓待を受けるが、彼らの前に住んでいた大黒一家は「わたしたちのせいじゃない」という言葉を残して逃げるように出て行った。そして愛美は管理人から、午前０時までにマンションの前に引かれた白線の中に入るのが、ここのルールだと告げられる…。

「怪談新耳袋」映画版の２作目。今回は長編で、これは「新耳袋」では初めてのパターンです。お話は一応、一本のストーリーになってはいますがそれでも、いくつかの短編話を繋ぎ合わせたような感じは否めませんでした。やはり前作のような、短編を集めた形式の方が「新耳袋」という感じがします。
呪いの連鎖という話はありがちだし、呪いの元を明かしているのも「新耳袋」という感じがしなくて、他の凡作ホラーと似てしまいました。あれは何だったんだ？という形の方が「新耳袋」らしいところです。
肝心のホラーシーンもあまり怖くなく、BS版で前に見たシーンが更に下手に撮られていて、笑ってしまうようなシーンもありました。DVDの特典に収録されている、木原氏の語りのみの「一人新耳袋」の方がよっぽど怖いです。
ラストに切なさはそこそこありますが、感動にまでは至りません。前作の劇場版の方が上手かったと思う演出が多いし、「旅館」や「帰ってきた」といったBS版の名エピソードに匹敵するインパクトもありません。長くすればいい、というものでもないでしょう。

主演の黒川芽以はBS版の「新耳袋」にメイン格で起用されていたし、脇役でマンションの管理人などBS版で見た人がちらほらと出演していて、この人たちがいるおかげで映画は「新耳袋」という雰囲気はしました。

映画がスタートしてすぐに「おわり」と出るのはそれなりにインパクトはあるけど、意味は感じられません。ただの思いつきなんでしょうねえ。他にやることあるだろうに…。

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富　江
REVENGE

女医の和江（しらたひさこ）が深夜の山中の車で轢きかけた少女（伴杏里）。それは彼女が勤める診療所の所長・富樫の行方不明になった娘・麗に瓜二つだった。和江は彼女を追いかけてたどり着いた洋館で、瀕死の少女・雪子（美波）を発見する。それから１年後、和江のもとへ公安の刑事が尋ねてくる。彼らの見せた写真には１年前に和江が目撃した少女が映っていて、それは富江という女だという。彼らは増殖する富江を危険視していて、その原因であるオリジナルの富江を探す鍵を、回復した雪子が握っていると睨んでいた…。

「富江：BEGINNING」と同じ監督で、劇場公開もほぼ同じ時期にされた作品です。
映画は富江を殺して復活、のフォーマットを守りつつも「BEGINNING」より変形させています。中心のネタは富江の「細胞侵略」のようで、富江にされてしまった者やその犠牲になった者の哀しみをテーマにしたいようですが、あんまり悲しい感じは伝わってきません。

今回は富江が、戦争とかテロを恨むようなセリフを口にしますが、前後の脈絡が全く無くて唐突なだけでした。これをテーマにしたいのかもしれませんが、だったら戦争とかでも話に絡めるべきでしょう。セリフで出したって空虚なだけだという事が分からんのかな。
公安が富江を「国家の敵」とみなし、探すエピソードはその場で終わってしまっていますが、この設定は面白いところでした。富江なら確かに、兵器になりえるかもしれません（制御できないと思うけど）。このへんをテロと絡めた話にでもしていたら、富江のテロを憎むようなセリフも生きたかもしれません。

同じ監督で、公開もほぼ同じ時期。映画１本分の金で２本撮ったんじゃねえの。

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富　江
BEGINNING

とある廃校で同窓会が開かれるが、やってきたのは松原（今宿麻美）と山本（水橋研二）の２人だけだった。彼らは、学校を廃校に追い込むきっかけを作った転校生・川上富江（松本莉緒）を回想してゆく…。

劇場版（ビデオオリジナル版なんかもあります）の富江シリーズの、５作目に当たる映画です。
これまでの富江シリーズは各作品に関連はありませんが、今回は「富江」第１作の前日譚という位置づけのようです。しかしその内容は、富江に恋した男が狂って彼女を殺し、富江が復活というフォーマットの繰り返しで、新味はありません。

今作で富江を演じる松本莉緒は、「ショパン」のCMでの意地悪姉ちゃんの延長キャラを思わせて、それなりに雰囲気は出ています。
でもそんな彼女の努力を、特撮のダさが帳消しにしています。今回は特撮シーンはあまりありませんが、その少ないシーンの中で例えば、富江の耳の切れ端が「動く」シーンなんて素人でもできるような見せ方で、とても金を取って見せるレベルではありません。こんなクオリティなので、グロいシーンも全然気持ち悪く見えません。
音楽にしても、例えば残酷な描写に軽快な音楽というシーンがあり、これはブラックユーモアを狙ったのかもしれませんが、BGMが全く合ってなくて、笑えもしませんでした。
間延びするカットもチラホラあり、全体で70分過ぎの長さですが、50分くらいでいいでしょう。

「BEGINNING」とサブタイトルについているので、今回は富江のオリジンでも語るのかと思っていたら全然違っていました。「富江」第1作より前に起こったお話ということで「BEGINNING」なのかもしれませんが、作る意味のない内容です。
監督は第１作を手がけた及川中氏ですが、こんなもんしか作れない才能には大いに疑問を抱きます。「富江」第１作が評判になったのはたぶん演出というより、これまで無かったパターンのストーリーと、あれで富江を演じた菅野美穂の怪演のおかげだったのでしょう。

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渋谷怪談
渋谷怪談２

合コンキャンプに参加した女子大生のリエカ（水川あさみ）、夕菜（森下千里）、愛（鈴木
繭菓）、そして良平（柏原収史）、圭太郎（弓削智久）、彰彦（和田聡宏）の６人が、渋谷にあるコインロッカーに棲み付いた少女の悪霊に呪われる話が「渋谷怪談」。
リエカが家庭教師として教えていた綾乃（堀北真希）が呪いを受け継ぎ、悪霊の少女が「サッちゃん」と名づけられた因縁が語られるのが「渋谷怪談２」。

パート１、２共に人が呪われて殺されていくお話で、1の水川あさみと２の堀北真希は一応主人公になってはいますが、呪いに対抗できるわけでもなく、狂言回しといった役どころです。
無差別な呪いというモロ「リング」や「呪怨」の路線のお話ですが、呪われ方に、ブティックの着替えスペースに入った女性が消えた、というような都市伝説をいくつか盛り込んであるのは少し興味を引かれました。これがタイトルに「渋谷」とついているゆえんかもしれません。
しかし幽霊が迫ってきても反撃することもなく、待ってて（一応震えてはいますが）襲ってくださいといわんばかりの態度には笑ってしまいます。こんな感じで、映画はホラーモノですが全然怖くなく、結局キャラたちがいかに悲惨な最期を遂げるか、というところだけしか見どころのない映画です。
劇場公開時は２本同時ロードショーだったようですが、１も２も内容に大差は無く、分ける必要はないでしょう（だから、ここでは１つのタイトル扱い）。間延びが目立つカットも多く、２本で２時間半ほどの長さですが、１時間半でも出来そうなお話です。
パート１で活躍した主人公がパート２のしょっぱなで消えてしまうのは、ハリウッドのB級ホラーを思い出しました。でも呪いを封印したかったなら、鍵は渡さないよな。

あとは鈴木繭菓や森下千里、榊安奈など、グラビアに出てる女の子がけっこう出ているのも、見ものといえば見ものでしょう。

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ナイスの森

「鮫肌男と桃尻女」や「茶の味」を手がけた石井克人監督と、三木俊一郎、ANIKIの３人のクリエイターが組んだユニット「ナイスの森」が放つ監督作品です。今回は第一回だそうで、サブタイトルに「The First Contact」と付けられています。
映画は何本かの短編をつなげたオムニバスになっていて、いくつかのエピソードが脱力の状況や、グロかわいい？クリーチャーで笑わせてくれます。グチャグチャがどこかHな感じもするクリーチャーたちは、クロネンバーグのオマージュをコメディでやった感じで、細かい合成が上手いです。
またキャラクターがあまりにもハマリ過ぎて笑える話もあり、特に池脇千鶴のオバチャンぶりは絶品で、この人はコメディも合いそうです。

中にはダンスや音楽が延々と続くエピソードもあるのですが、このテのやつは初めのうちは見られるけど、段々退屈になってきて、やたらと時計を見てしまいました。
なのでこの映画、お話を楽しみたい人には勧められません。一種の「実験映画」と見るべきで、内容の意味とかを考えて見てはいけません。
こういうのを「新感覚」とか言って業界で持ち上げそうだし、作った本人達もそう思ってる感じがするけど、困り物です。内輪で受けてもダメということを知ってほしいなあ。全編２時間半は長過ぎ！

映画には「茶の味」で主役の家族の末娘を演じた女の子が出ていますが、「茶の味」以上に不可解なキャラでした。石井組のレギュラーと思えた我衆院達也は、今回は登場しません。
庵野英明はアニメ畑の地を生かしたようなキャラクターで、なかなかの怪演を見せます。段々キャリアを重ねてきて、役者もサマになってきたかもしれません。

２作目作ったら見るかどうか…この調子ならやってほしくないけど。

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子ぎつねヘレン

カメラマンの母（松雪泰子）が海外で働いているため、北海道で一人暮らす太一（深澤嵐）は、道端でうずくまっていた一匹の子ぎつねを拾う。その子ぎつねは動物診療所の矢島（大沢たかお）の元に預けられるが、目も耳も正常でなかった。太一は「まるでヘレン・ケラーだ」との矢島の言葉から名づけた「ヘレン」の世話をする決心をする…。

実話を元にしたという本が原作のお話です。
少年と子ぎつねの絆、特に中盤で見せるヘレンの行動とラストに感動させられます。しかも単にお涙頂戴の話ではない、少年の自立の話であり、家族の話になっているのも涙腺がゆるむポイントです。
主人公の子役ときつねはなかなかに役者ですが、無愛想なキャラの小林涼子と世話をしてる犬が、いい味を出しています。

冒頭の方に、意味のよく分からない幻想シーンがあります。もしかしたら子供向けということを想定して入れたのかもしれませんが、これが無ければ映画がシャープになって、さらに良くなったことでしょう。

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ドラえもん
のび太の恐竜2006

スネオへの余計な一言のため、ティラノサウルスの化石を探すハメになったのび太は、恐竜の卵のような物を発見する。それをタイムふろしきに包んで孵化させてみると、首長竜が生まれた。のび太はその恐竜をピー助と名づけ、内緒で飼い始めるが、大きくなるにつれ人目に付きだし、さらに未来から来た謎の男がピー助を渡せと迫ってきた。のび太とドラえもんは、ピー助をタイムマシンで白亜紀に帰すことにする…。

声優陣を一新した、新生ドラえもんの映画版第１作。TV版の作画は以前より原作のタッチを生かした感じになっていますが、映画版は少し荒いように見えました。ただタケコプターのシーンなど、ところどころ動きに迫力あるシーンがあります。
のび太と恐竜ピー助との絆、そしてジャイアンたちの友情が泣かせてくれて、子供たちにも安心して見せれる話です。特にのび太たちが白亜紀で恐竜と遊ぶ箇所は、劇場で子供たちに受けてました。
恐竜が何匹も捕まったり、未来の道具をやたらとバラまくなど、「サウンド・オブ・サンダー」なんかを見てしまうと、タイムパラドックスの点でかなり突っ込みたくなる箇所があります。まあそこは「あたたかい目ー」で見るべきでしょう。

エンドクレジット後にも「おまけ」があるので、クレジットが始まっても立たない方がいいでしょう。ただそれよりも、エンドクレジット中でのエピローグの見せ方が、漫画原作の映画では意外にやってないであろう単純な方法ですが、ちょっと感動的でした。

レギュラーの声優陣は違和感が全然なく、キャラクターをモノにしています。今後も前シーズンの声優陣と同様に、長くがんばってほしいところです。
ゲストの声の出演では、船越英一郎がのび太を追い詰める敵を演じていますが、あまりにも自然に聞こえてしまい、クレジットを見て彼だと知ってびっくりしました。これなら声優としてもやっていけます（やはり探偵役がハマるか？）。
ピー助はセリフがひたすら「ピー」だけで、神木隆之介じゃなくてもいいように見えました。

しずかちゃんのパンチラは、そんなに見せなくてもいいでしょう。飛ぶシーンのアングル考えろよ。

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超劇場版
ケロロ軍曹

放送話数も100話を越え、安定した人気のある「ケロロ軍曹」初の劇場用映画であります。
今回はいつものごとく、「誰かさん」が古代の侵略者の封印を破ってしまい、地球が危機に陥る話であります。
敵・キリルが成長する理由は子供には難しいかもしれませんが、それが侵略する側とされる側の友情というテーマに絡み、映画版第1作にふさわしく基本に立ち返ったお話です。後半で仲間たちがケロロたちを助けるシーンは、TVで良くできた話のように、胸が熱くなりました。
ガンダムだけでなくアンドロメダや轟天とか高年齢層向けのパロディもけっこうあるし、同時上映の「かいけつゾロリ」のゲスト出演も楽しませてくれます。
物語の鍵を握るキャラ・ミラの声を、このところアイドルから女優にシフトしつつある新垣結衣が演じています。演技はそんなにひどくはありませんが、慣れていないのは分かってしまうであります。

同時上映の「まじめにふまじめかいけつゾロリ：なぞのお宝大さくせん」は、「ケロロ軍曹」同様画が動きまくりで、TV版を見ていなくても存分に楽しめます。子供にはこちらのほうが分かりやすいかもしれません。
こちらにはケロロ小隊がゲストで出ていて、こういう同時上映の利点を生かしたコラボはにくいやり方です。
ゲストキャラ･テイルの声を演じる相武紗季はちょっと荷が重い感じはしましたが、ゾロリ役の山寺宏一のノリのヨさとかっこよさがカバーしています。

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県　庁　の　星

K県庁のキャリア公務員・野村聡（織田裕二）は、彼が議長（石坂浩二）に思いつきで言った一言で決まった、民間企業との人事交流研修のメンバーに選ばれ、県内のスーパー「満天堂」に派遣される。野村の教育係にされてしまった二宮あき（柴咲コウ）は彼になるべく仕事をさせないようにするが、実績を作って県庁に戻りたい野村は店の方針に色々口出しし、従業員たちから疎まれていく…。

エリートの公務員とスーパーの店員たちの「意識改革」のお話です。予告編だと民間が善、役所は悪、というイメージを持ちそうですが、本編では両方とも問題を抱えていて、彼らが結束していく展開が気持ちいい気分にしてくれます。
後半には感動できるシーンがありますが、ラスト近くには苦いシーンがあるので、映画の気持ち良さの程度は低くなっています。でもそれがかえってリアルで、単なる「映画」で終わらせない製作者の意地が出ているように思いました。映画の内容は理想主義的な感じはするけど、「そんなことあるわけないだろ」と思う観客の意識も変えよう、と言ってるのかもしれません。

主役の織田裕二と柴咲コウのコンビはやはり魅力的です。後半の、いい顔になっていく織田裕二や、脇キャラのささいなシーンがツボを突いてくれて、グッと来ます。織田裕二と柴咲コウの共演ということで、メジャーすぎて敬遠する人がいるかもしれませんが、それで見ないとはもったいない作品です。

しかし議会の終わり間際で発言を求めたら、早く終わらせたい議員たちが、発言を封じてしまう気もするなあ…。

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スキージャンプ・ペア
～Road to TORINO 2006～

DVDがヒットしたCG作品「スキージャンプ・ペア」の映画版です。
しかし今回は、単に「スキージャンプ・ペア」を大スクリーンで写す、という安直なものではありません。実は「スキージャンプ・ペア」には隠された歴史がありました。
この映画版は、「スキージャンプ・ペア」が国際競技として認められ、2006年度のトリノオリンピックでの正式採用になるまでのドキュメンタリー番組、それが終わるとトリノからの「スキージャンプ・ペア」の中継という構成で、観客がそれらの一連の番組をTVで見ている形です。競技のシーンはシリーズでおなじみのCGですが、それ以外の大方のシーンが実写として進行します。
このドキュメンタリーのノリはまさに「プロジェクトX」みたいで、実にそれらしく（フィラーまである！）、その手の番組をよく研究していています。しかしその内容は「んなことあるか！」と突っ込みを入れたくなるような、アホらしさが全開です。
そんなムチャクチャを映画はひたすら大真面目に語ることで、大いに笑える話になっています。船木和喜や荻原次晴やアントニオ猪木といった意外な面々が本人として出演して、真剣に答えているところがいかにもそれっぽく見えて、余計に笑えました。こういう「らしさ」を徹底したこだわりが随所に感じられ、後半では「プロジェクトX」みたいに、ジーンと来てしまった箇所もあります。
今回は産みの親である真島理一郎氏は総監督に回り、この映画版の監督は小林正樹という人です。この人はTVの「時空警察」シリーズなどを手がけてきたそうで、TVドキュメンタリーぽい見せ方はお手のモノかもしれません。

映画はDVDを見てない人でも十分楽しめます。ただ、エンドクレジットの後にもシーンがあるのですが、ここの意味はDVDを見てない人には分からないかもしれません。

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サ　イ　レ　ン

1976年、夜見島。一人の男（阿部寛）を除いて島民全員が姿を消した。それから29年後、その島に天本由貴（市川由衣）が弟の療養の為に父（森本レオ）と共に引っ越してきたが、島民達は不気味な視線を向ける。ある時由貴は遊びまわる弟を探している途中、廃屋の中で手帳を見つける。そこには「サイレンが鳴ったら外に出てはならない」と書きなぐられていた…。

プレイステーションのゲーム「サイレン」を、パート２の発売に合わせたように、「ケイゾク」や「トリック」の堤幸彦監督で実写化した作品です。
この映画のウリは音響だそうですが、サイレンの鳴るシーンなんかは低周波がズズーッと響いて、かつての「センサラウンド」を思わせます。まあ、あれほど響きは強くはありませんが。
雰囲気にはそれなりにおどろおどろしさがあり、島の「謎」に興味を持たせてくれますが、途中ダれるのは「トリック」と同じパターンで、堤監督のよくないところです。

オチは予想外で、納得できました。ただそれを考えると、結局なんでも無いだろと言いたくなるような、思わせぶりだけのシーンがかなりあります。
怖さもあまりありませんが、ギョッ！と飛び上がるシーンが１箇所ありました。

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ミラーマン
R E F L E X

古代鏡の研究をしている亜佐美（伊藤裕子）は、偶然ネットで聞いたラジオの言葉がヒントになりその鏡の用法を見つけるが、そこに現れた謎の男により、研究のスポンサーである矢尻の元に連れて行かれる。亜佐美は自ら発してしまった呪いの言葉で鏡の世界に引き込まれそうになるが、そこに現れた景山（唐渡亮）とももそ（石田未来）の鏡の光に救われる。そこに亜佐美への邪恋を、鏡の世界の邪仙につけこまれた同僚の男が変身した怪獣が出現。景山はももその鏡の光を浴び、武神＝ミラーマンに変身する…。

70年代に人気を誇った特撮ヒーロードラマ「ミラーマン」を、ヒーロー物リメイクの傑作「ULTRAMAN」を監督した小中和哉氏が、同様に設定を一新してリメイクした作品です。
今回は和風な世界観で、使われる固有名詞も「幽世（かくりょ）」や「邪仙（じゃせん）」といった読みにくい漢字が多いものなので、少々分かりづらいきらいがありますが、あまり深く考えなければ楽しめます。
特筆すべきは変身シーンで、今回のような主人公が単独ではなく、巫女的な存在を媒介にした変身は今までのヒーロー物では無いパターンでしょう。さらに「ミラー！スパーク！」と発声はしないものの（その方がよろしい）、あのポーズをまんまやってくれるのは嬉しいところで、かっこいい見せ方になっています。
また世界観に合わせて怪獣も和風にリファインされています。映画に出てくる３体の中ではアイアンしか覚えていませんが、元の形をほうふつさせながらも、面白いアレンジがされています。

映画では一応ヒロイン格である伊藤裕子演じる亜佐美は、冒頭は鏡の謎を解くということで存在する意味はありますが、後半では実質的なヒロインはももそ（百襲）になってしまい、亜佐美はいなくてもいいキャラになってしまいました。この作品が構想されたのはずいぶん前だそうで、当初は彼女はいなかったそうですから、入れたことで無理が出たのかもしれません。だいたい、何で改名する必要あるかなあ？
しかし後半には涙がこぼれたシーンがあって、「ULTRAMAN」に迫る興奮を感じました。今回はシナリオが小中氏の兄である小中千昭氏で、小中兄弟が組んだ作品は以前「ディフェンダー」がありましたが、それよりも分かりやすく、入れ込めました。どうも小中氏はTV「ウルトラマンネクサス」みたいに、あんまり込み入った話を作ると、ダメなのかもしれません。

主人公を演じる唐渡亮は「仮面ライダーアギト：PROJECT G4」に敵役で出演していたし、石田未来は「仮面ライダー剣：MISSING ACE」でヒロインを演じていました。なのでこの２人、共演は初めてかもしれませんが、劇場版「仮面ライダー」でつながっているのは妙な因縁に思います。
かつてのTV版でミラーマンに変身した、石田信之も出演しているのは嬉しいサプライズです。出番は少ないけど、ここぞ！というシーンで現れるのは感動でした。

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日 本 沈 没

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笑う大天使（ミカエル）

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ラブ☆コン

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ブレイブ ストーリー

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タイヨウのうた

タイヨウのうた

着 信 ア リ F i n a l

花 よ り も な ほ

バ ッ シ ン グ

嫌われ松子の一生

ト リ ッ ク 劇 場 版 ２

ト リ ッ ク 劇 場 版 ２

水 霊 ミ ズ チ

水 霊 ミ ズ チ

明 日 の 記 憶

間 宮 兄 弟

間 宮 兄 弟

海 猿 LIMIT OF LOVE

小さき勇者たち ガ メ ラ

怪 談 新 耳 袋 幽霊マンション

怪 談 新 耳 袋 幽霊マンション

富 江 REVENGE

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富 江 BEGINNING

富 江 BEGINNING

渋 谷 怪 談 渋 谷 怪 談 ２

渋 谷 怪 談 渋 谷 怪 談 ２

ナ イ ス の 森

ナ イ ス の 森

子ぎつねヘレン

子ぎつねヘレン

ドラえもん のび太の恐竜2006

ドラえもん のび太の恐竜2006

超劇場版 ケ ロ ロ 軍 曹

超劇場版 ケ ロ ロ 軍 曹

県 庁 の 星

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スキージャンプ・ペア ～Road to TORINO 2006～

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サ イ レ ン

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ミ ラ ー マ ン R E F L E X

ミ ラ ー マ ン R E F L E X

日　本　沈　没

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ブレイブストーリー

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着　信　ア　リ
F　i　n　a　l

花よりもなほ

バッシング

ト　リ　ッ　ク
劇　場　版　２

ト　リ　ッ　ク
劇　場　版　２

水　霊
ミ　ズ　チ

水　霊
ミ　ズ　チ

明日の記憶

間　宮　兄　弟

間　宮　兄　弟

海　猿
LIMIT OF LOVE

小さき勇者たち
ガ　メ　ラ

怪談新耳袋
幽霊マンション

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富　江
REVENGE

富　江
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富　江
BEGINNING

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渋谷怪談
渋谷怪談２

渋谷怪談
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ナイスの森

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ドラえもん
のび太の恐竜2006

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超劇場版
ケロロ軍曹

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ケロロ軍曹

県　庁　の　星

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スキージャンプ・ペア
～Road to TORINO 2006～

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ミラーマン
R E F L E X

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R E F L E X