エンディングノート

 

 

末期がんの告知を受けたフツーのオジサンが、死を迎えるまでにやるべきことを記して実行していく「終活」を、この人の娘が追ったドキュメンタリーです。
映画は、孫たちと遊んだり母親が会いに来たりと、主人公である故人が家族と過ごすシーンが目立ちます。そしてこの人の「語り」を娘がナレーションする構成で進みます。そのためかネットではこの作品に「個人の葬儀で流すべきビデオ」という書き込みがされていました。確かにそんな感じもしますが、そんなことを言うなら個人を取材したドキュメンタリーはみんなパーソナルなところで流すべきものになってしまうでしょう。この形でいいと思います。
家族だけのやりとりといった内輪の行動まで撮れたのは、やはりカメラを構えていたのが身内であるゆえでしょうが、よくここまで余すところなく撮らせたものです。特にちゃんとした「別れ」のシーンは、涙を誘われました。しかし映画の終わり方はカラッとしていて湿っぽくなく、気持ち良く見れる作品です。

海外に住んでいたり仕事があったりしても、父の思いをちゃんと理解して「親の死に目」を優先させる故人の子どもたちには感心しました。故人も孫の成長を見守れない心残りはあるでしょうが、ちゃんと別れができたことは良かったことではないかと思います。
葬儀をきちんとやろうとする故人と、それに誠実に応えようとする息子の強さも感動的でした。自分はそこまで段取り良く、精神的に強くちゃんとした別れ方が果たしてできるのか?ちと考えさせられます。

 

 


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は や ぶ さ
H A Y A B U S A

 

 

行方不明などいろいろ問題がありながらも、小惑星「イトカワ」の微粒子を持ち帰るという、世界初の快挙を成し遂げて燃え尽きた探査衛星「はやぶさ」。大きな話題となったこの出来事を映画界が放っておくはずはなく、なんと「はやぶさ」を巡っては映画が3本作られるそうです。その1本目となるこの作品は、プロジェクトに参加した新人研究生の目を通して、「はやぶさ」の航海が語られる内容です。
映画は「はやぶさ」とスタッフの苦闘の過程を分かりやすく描いています。元々の話が涙腺ポイントがチラホラある話なので、やはりこの映画も同様に泣けるシーンがある、爽やかなお話に仕上がっています。

竹内結子が演じる主人公は、実在している他のキャラクターとは違い、映画用に作った人物です。映画は単に「はやぶさ」の航海を追う話だけではなく、それを受け止める人間のドラマを描こうという意味で作ったキャラなのでしょう。
この主人公、見る前はジャマになるだけなのではないかと思っていましたが、自分の進む道をはやぶさに励まされるキャラとして、それなりに興味を引くように存在しています(ただし、彼女の宇宙への興味のきっかけはいかにも映画とかでありそうなパターン)。色気を全く感じさせないキャラを竹内さん、よく演じています。

衛星を打ち上げるプロジェクトは研究室やオペレーションルームの作業だけでなく、文部省や打ち上げる場所の漁協との折衝など、実は付き合いが重視される、という苦労をこの映画で初めて知りました。この狭い日本でロケットを打ち上げるのがいかに大変か!ということがよく分かります。
映画に出てくるオペレーターには、「NEC」や「富士通」のロゴの入った服を着ている人が何人かいます。「送信しました」とかの言い方がそれっぽくて、本職?と思ってしまいました。

 

 


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ア ン フ ェ ア
the answer

 

 

「アンフェア」映画版第1作から何年も経って、また映画版です。シリーズ主演の篠原涼子が出産のため現場を離れていましたが、その復帰を待っていたのかもしれません。
続編の要素なんてあったかな?と思っていたら、実は前作のラストにそんなシーンがありました。といってもこれは覚えていたわけではなく、この第2作の冒頭に親切にも流してくれる「前作のあらすじ」で分かった事でした。
そのラストで、警察が知られたくない機密を手に入れてしまった雪平が、警察と変質者から追われることになるお話です。
誰が敵で誰が味方か分からない、相変わらずのパターンは楽しめました。しかし、前作みたいに興奮させられるシーンは無いし、スケールも前作ほどの大きさは感じられず、映画にするほどの内容ではありません。
TV版を見てた人なら、懐かしい顔ぶれに再会できて、まあ楽しめるかもしれません。

 

 


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コクリコ坂から

 

 

スタジオジブリの宮崎吾郎監督第2作は、デビュー作「ゲド戦記」と大きく違い、昭和30年代の横浜が舞台の作品です。
映画にするほどのスケールのある話とは思えませんが、真っ直ぐな人たちの「いい話」ではありました。この点では、宮崎駿の企画意図はちゃんと生かされています。
レトロな建物が主な舞台になるので、自分みたいにそういうモノや時代が好きな人には、そんなに退屈しないのではないでしょうか。とはいえエキサイティングなシーンなんてものもなく、映画館では客席からいびきが聞こえていましたが、ムリもないとは思います。
同じ時代を背景にした作品では、有名な「三丁目の夕陽」があります。あの映画ではまだあの時代への「あこがれ」や「願望」が感じられたのに比べると、この映画での監督の「思い」が見えないのは、上から降りてきた企画を作らされた感じがしてしまいました。
とはいえ今回は「ゲド戦記」に比べてキャラクターが鮮明になっているおかげか、「ゲド」よりは楽しんで見れました。宮崎吾郎監督は何かの本で「キャラに共感するのは難しい」と書いていましたが、ようやく映画のことが分かってきたのかもしれません(偉そうな文だ)。

CMでバラしてしまっている主人公・海と風間との関係は、海の妹・空にも影響を及ぼすと思うのですが、それに対しての海や空の思いの部分は映画では全く描かれていません。また海は友人からは「メル」という別のニックネームで呼ばれているのですが、その理由も映画では語られません。こういう、キャラの描写が不足気味に見えるのは「借りぐらしのアリエッティ」と同じでした。スタジオジブリで宮崎駿氏以外の人が、彼のレベルに到達するのはまだ難しそうです。
お話の中にはファンタジー的なシーンもなく、アニメでやる必要があるのか疑問になりました。いっそのこと長澤まさみと岡田准一主演(高校生役はきついかも)で、実写ドラマにでもした方が良かったようにも思います。とはいえ、この映画での長澤まさみの声の演技は悪くありません。彼女とあまり意識させないのはジブリ流なのでしょうか。

映画には時々「上を向いて歩こう」が流れますが、どうもラストの「ひとりぼっちの夜」のフレーズが目立ってしまった印象があります。ここだけ聞くと、妙に寂しい歌に聞こえます。

 

 


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薔薇とサムライ

 

 

劇団新感線の演劇作品映画館上演版=「ゲキ×シネ」作品です。
スペイン近くの小国の海域を根城に暴れ回る女海賊アンヌ。そして彼女の用心棒(相棒?)がなぜか石川五右衛門。国の王族の陰謀に巻き込まれたアンヌに五右衛門が絡み、ある時は対立し、またある時は共闘し、その騒動にスペインやフランスが絡む、怒涛のスケールで展開するお話です。
「ゲキシネ」の例によって上映時間3時間以上で休憩つきですが、その長さを全く忘れる興奮!が初めから終幕まで続きます。「朧の森に棲む鬼」や「蛮幽鬼」のような重い内容とは全く違い、楽しく爽やか!に見れる作品です。

ダブル主演の主人公・アンヌを演じるのは天海祐希、そして五右衛門は古田新太です。天海はテレビドラマでもよく見る男勝りのキャラではありますがやはり、これ以上合う女優はいないくらいのハマりです。そして何より、古田の存在感は圧倒的!で、劇の中では見るからにこの頼れるオヤジ、何かやらかしてくれるに違いない!と期待してしまいます。この人はテレビドラマだとヘンなキャラが目立ちますが、本当は凄い実力のある役者だということがよく分かります。でありながらも、テレビドラマのようなヘンな部分も見せてくれるのが、彼の演じるキャラの面白いところです。
悪の黒幕・国の宰相の孫娘を演じる神田沙也加は、ドロドロが多い王族の中の、一本の真っ直ぐな花といったキャラでしょうか。彼女も「腹に一物…」と思わないこともないのですが、そうすると話がややこしくなるだろうし、彼女がいることで一息つける安心感が無くなるのは、ドラマの構成上やはりよろしくないでしょう。だいたい、彼女が悪役を演じたとしても、その伯母を演じる高田聖子の堂々たる悪役ぶりには、太刀打ちできるとは思えません。

今回は今までの劇以上にミュージカルという色が濃いように見えました。大方の曲はロックなのでしょうが、バラード調や演歌調といった曲のバリエーションが楽しませてくれます。
また今回はバックスクリーンを、地図といった状況説明だけではなく、シーンの興奮をより盛り上げる効果として使っていたのには感心しました。特に栗根まことの「アクション」は、黒子の存在と共に上手い見せ方です。新感線の表現も進化しているようで。

映画の中で、痛快なシーンでは上演している劇場の観客は拍手をしていました。でも当然ながら、映画館で拍手をしている人は誰もいません。その意味で、劇を生で見た人がうらやましくなります。自分もあそこで拍手をしていたい!ラストのカーテンコールのシーンでは、特にそう思いました。

 

 


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鋼 の 錬 金 術 師
嘆 き の 丘 の 聖 な る 星

 

 

宣伝用ポスター等のイラストではアルが鎧の姿ということで、今回の映画版はテレビシリーズのお話の時期に、セントラルより西にある国・クレタに事件の調査に赴いたエドとアルのお話です。
本筋、つまり既に終わったテレビシリーズとは関係しない劇場版らしく、舞台を地方にして、テレビシリーズほど大きくはない(天まで関係しない)ほどほどのスケールで退屈させません。何といっても、やはり久々に見たアルとエドの活躍が楽しませてくれます。特に冒頭の鉄道アクションなんてTVではなかったはずで、映画らしい大仕掛けです。
テレビシリーズとは関連しない話とはいえ、話の中に賢者の石が出てくるとやっぱり「ハガレン」という感じがするし、やはりアルは鎧の姿でないと「ハガレン」という感じがしないように思います。

ただ、マスタングやウィンリィの絡みは強引に見えました。あと、全体的に作画が妙に粗い感じであったのは気になりました。TVシリーズの時はそんな感じは受けなかったのですが、スクリーンで画面が大きくなって、アラが目立ってしまったのでしょうか…?

 

 


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手塚治虫のブッダ
赤い砂漠よ!美しく

 

 

タイトル通り、手塚治虫が仏教の始祖・シャカの生涯を描いたコミック「ブッダ」の映画化です。ただ今回のお話の大部分はシャカの出家前の時代という、原作の冒頭の部分が描かれます。
お話の主人公はシッタールダ=後のブッダと、奴隷の身分を隠して貴族にのし上がっていくチャプラの2人ですが、チャプラの話がどうブッダに関わるのかよく分かりませんでした。原作は長いけど、やはり一部だけ取り出しての映像化では、テーマを伝えるのは無理ではないかと思います。
映画のタイトルにはわざわざ「手塚治虫の」と付いていますが、もし手塚氏が生きていて、この映画を見たらどう思ったことやら…。

シャカの父の声を能役者の観世清和氏が演じていますが、あんまり上手いと思えませんでした。一般的にはそれほど有名な人でもないだろうに、何でこの人を声に起用したか疑問です。

この作品の公開前に東京国立博物館で「手塚治虫のブッダ展」が開かれました。手塚氏の「ブッダ」の原画と、そのシーンに関連する仏像といった美術品を同時に並べる展示でしたが、例えば涅槃のシーンで、その原画の下に岡寺所蔵のシャカの涅槃像の彫刻が置かれていると、手塚氏の絵を立体化したように見えてきて、実に面白い展示でした。まあ実際は手塚氏が仏像などで形作られた従来のイメージを絵にした、いわば逆なのですが。
展示の場所は東京国立博物館本館の入り口正面の部屋で、あまり広くはないし、美術品の点数も多くはないのですが、重要文化財に指定されている深大寺の釈迦如来椅像など、まさか寺外に出すとは思えなかったお宝が出ていたりして、映画以上に見ごたえのある展示でした。

 

 


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プリンセス トヨトミ

 

 

「鹿男あをによし」や「鴨川ホルモー」といった和テイストのファンタジーを発表し続けている、万城目学氏の小説の映画化です。
映画の要は、予告編にも出てきている「大阪独立国」でしょう。このアイデアそのものは珍しくはないと思いますが、映像になった例はあまりないと思います。しかしこの国が存続している理由が、論理的な事柄よりも情緒に重きを置かれていたのには、戸惑いました。語りたいテーマとしては分からないことはないけれど、そんなことで国が成立していくものか?大いに疑問です。
また予告編に出ているように、映画のウリは人っ子一人いない大阪の光景でしょう。しかし映画の設定通りだと、子供や観光客は残るはずで、この光景にはムリがあると思います。
予告編で何だろう?と思わされたシーンが他愛ないものでがっかりさせられたり、ラストの「富士山」の意味もよく分からないなど、映画には他にも突っ込みたくなるシーンがチラホラとありました。たぶん、原作の方がもっといい出来なのでしょう。
ただこの映画、終わると串カツが食べたくなりました。通天閣行きてー。

 

 


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ド ラ え も ん
新・のび太と鉄人兵団
〜はばたけ 天使たち〜

 

 

ある日のび太が「拾った」メカ。次々と降ってくるメカが巨大ロボットのパーツだと知ったのび太とドラえもんはこれを組み立てますが、それが実は地球侵略のためのロボットだと知ります。
80年代に製作された「ドラえもん:のび太と鉄人兵団」のリメイク作品です。オリジナル版は泣いた記憶がありますが、このリメイク版も肝心のエピソードはオリジナルと同じようで、期待通り、たぶん同じ個所で泣けました。
ただ今思うと、このクライマックスの方法は究極というか、かなりずるいやり方のようにも思いました。

 

 


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あしたのジョー

 

 

日本コミック&アニメ史に残るあの傑作が、今頃になって実写映画化です。
監督が「ピンポン」の人だけに、試合のシーンはデジタルを駆使して、アニメのシーンをそのまま実写にしたような描写もあり、それなりに迫力が出ています。お話もあんまりいじっていないせいか退屈しないし、ラスト近くは展開が分かっていても、涙腺が緩んでしまいました。
ただ、白木葉子の街の改造計画のエピソードは原作にあったのでしょうか?妙に違和感を持ってしまった設定でした。

矢吹ジョー役が「山下智久」と発表された時、合わねーと思った人も多いことでしょう。確かにこの映画でも、山ピーはやっぱり山ピーにしか見えませんが、それなりに頑張っている感じはしました。でも何と言っても、香川の丹下段平がハマりでした(やはりこの人、バケるな)。

 

 


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白 夜 行

 

 

「ガリレオ」や「新参者」など、このところテレビや映画で映像化が流行っている?東野圭吾原作の小説の映画化です。この作品、以前にはテレビの連ドラとしても制作され、見てはいませんでしたが、評判は良かったように記憶しています。
しかしこの映画では、エピソードに所々「何で?」と突っ込みたくなる箇所があり、特にクライマックスでの船越英一郎の「訴え」はあまりに唐突で、本来は感動するシーンなのでしょうけど、笑ってしまいました。全体的に、原作を整理し切れていない感じがします。まあ、お話を知るためのダイジェスト、と割り切って見た方がいいかもしれません。

宣伝では、ヒロインの立場である堀北真希が悪女を演じていることをウリにしています。しかし彼女、やってる行為は確かに悪なのですが、表情や演技には今一つ「悪女」になりきっている感じが出ておらず、これまで多かった善人キャラから脱し切れていないように見えました。それゆえか、唯一見せた「笑顔」のシーンは、ちょっといい感じの場面ではありました。
しかしこの「犯人」のやってること、映画を見てる女性は不愉快にならないのでしょうか…?

 

 


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相 棒 −劇場版2−
警視庁占拠!特命係の一番長い夜

 

 

「相棒」の映画番2作目。放映中のテレビ版に合わせて、右京さんの相棒は薫ちゃんではなく、神戸になっています。その神戸、TV版ではわりとクールなだけに、この映画で見せた彼の思わぬ「熱さ」は見ものでしょう。
後半での右京さんと小西真奈美の相対シーンではウルッと来たりして、今回も「相棒」らしく、楽しめてかつヘビーな内容です。

この映画で一番驚いたのは、ラストの「あの人」の死でした。映画公開後のTVCMではバラしていましたが、僕はそのCMを見る前に映画を見たので、まったく予想していませんでした。この人はTV版では毎回出てはいませんでしたが、クセのあるキャラが1人減るのはさみしいところです。
しかし何で警察ネタのテレビドラマが映画になると、こうもレギュラーメンバーを殺したがるかなあ。「踊る大捜査線」の悪影響ではなかろうか?

 

 


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牙 狼 <GARO>
RED REQUIEM

 

 

深夜枠で放映されていた「牙狼」が、TVシリーズ終了から5年ほど経っての映画版です。まあ、パチスロの宣伝のためかもしれませんが。
シリーズからのキャラクターは主人公のコウガだけで、お話はテレビとは関連しない独立した話なので、TV版を見ていなくても大丈夫でしょう。シリーズ同様にアクションに次ぐアクションが連続して退屈しません。

今回コウガの助っ人?となる烈花を演じる松山メアリは、グラビアなんかに出ていたと思います。コスチュームはそれを生かしたような、太股を露出した衣装で、しかもそのムチムチのおみ足を生かした戦い方は、なかなかにセクスィーです。アクションを担当したのはTVシリーズと同様の横山誠氏で、後のTV「キューティーハニー Live」での、グラビア出身の原幹恵の身体を使ったアクションの経験を生かしているように思えました。
しかしこの映画、松山メアリは太ももムチムチだし、敵ホラー・カルマを演じる原紗央莉や、チョイ役の時東あみも太めということで、雨宮慶太はこういった女性がタイプなのかな?という印象を受けました。
ただホラーの配下・シオンを演じる江口ヒロミは、逆に細身で目が大きい女優です。その外見はヘアスタイルのせいか、CLAMPのキャラを実写にしたような感じを思わせました。
カルマの声は原紗央莉本人の声ではなく、肘井美佳がクレジットされていました。この人はTV版でヒロインを演じていたからその縁だと思うけど、別にあのキャラと関係ないなら、起用しなくてもよかったように思います。

映画では大方の役者が、セリフが棒読みであったのは気になったところでした。特に斎藤洋介は、他のドラマで見るときはそんなに下手には見えませんでしたが、この映画ではセリフ回しが意外なほど素人でした。アクションやVFXに力を入れるのは分かるけど、演技指導もちゃんとしてほしいものです。
そんな中で中尾彬はチョイ役ではありましたが、やはりカンロクがありました。

この映画も昨今の流行に乗ったのか3Dです。ただここで描かれる、3Dの文字パターンは今までに無い形で新鮮でした。しかしメガネをかけると画面が暗くなるのは気になります。

 

 


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THE LAST MESSAGE
海 猿

 

 

「海猿」映画版の3作目。舞台は海上に浮かぶ超巨大石油採掘プラントで、前作よりスケールアップはしています。
しかし今回は前作「LMIT OF LOVE」で活躍した佐藤隆太や時任三郎はチョイ役になっているし、カンナも大輔クンと離れてしまっているおかげで、ただ心配をしているだけという配置のせいか、お話自体は2作目よりも地味に見えました。
お話の中の各エピソードも、予想のつく展開ではあります。クライマックスも第1作と似たような感じを受けたシーンがありました。それでも泣かされてしまったのですが。

映画はハリウッドの流行に乗ったのか3D上映で、撮影やCGもそれ用に作ったそうですが、あんまり迫力は感じられませんでした。2Dで十分でしょう。

 

 


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蛮 幽 鬼

 

 

劇団新感線の恒例、ゲキシネの第4弾は「岩窟王」を元にした空想時代劇アドベンチャーです。
状況設定で今一つなシーンがあったように見受けられましたが、全体的なストーリーは劇団新感線だけあってやっぱり面白く、退屈させません。特に堺雅人や早乙女太一の殺陣のスピード感には圧倒!されました。

主人公を助ける謎のアサシン・堺雅人は常に笑顔で、それ以外の表情を見せられないというのは面白い設定だし、穏やかな感じの笑顔が似合う堺クンに合っていて、主人公の上川隆一も食われ気味に見えました。ただ、ラスト近くの「告白」は主人公の前でやるべきものだったと思います。

主人公は唐を思わせる異国に留学している時に、事件に巻き込まれることになります。この辺の設定は遣唐使を思わせて、同じ2010年に奈良で開催された、遷都1300年祭を意識しているように見えました。

 

 


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大 奥

 

 

江戸時代、男ばかりが罹る疫病の流行のため男性が激減し、将軍が女となった時代。大奥が「男の園」という男女逆転の世界観が話題を呼び、手塚治虫文化賞を受賞したコミックが原作の映画です。
世界観の面白さと大奥風俗の興味でそれなりに楽しめました。でも話に重さは無く、凄くエキサイトするシーンなんて無いし感動する箇所もありません。どこかでこの映画のことを「コスプレごっこ」と評した文がありましたが、そう言われても仕方のない出来です。クライマックスの設定は将軍が女ならではの屁理屈でちょっと面白い部分でしたが、その解決方法はいかにもなパターンでした。
ただキャストで、阿部サダヲの淡々とした感じが、大奥でしか生きる場所のない悲哀を感じさせて光っていました。また剣の試合のシーンはスピード感があり、迫力が出ていたと思います。

大奥が男ばかりの世界というのは宣伝で言っていたので驚きませんでしたが、駕籠かつぎや飛脚など、街中でフツー男がやる仕事も女子がやっている光景は新鮮でした。

映画で描かれる江戸城は、江戸時代初期に火事の延焼のために焼失してしまい、二度と再建されることが無かった天守閣をちゃんと再現しています。フジテレビ版の「大奥」が姫路城のロケで誤魔化していたのとはえらい違いです。

 

 


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劇場版 機動戦士ガンダム00
−A wakening of the Trailblazer−

 

 

まだ見ていない人

「機動戦士ガンダム」のタイトルを冠した劇場版作品としては久々のこの映画は、2009年にTV放映された「機動戦士ガンダムOO」の映画版です。独立治安維持部隊アロウズとの戦闘終了から2年後、地球圏に飛来した謎の敵に地球連邦軍と、ソレスタルビーイングが立ち向かうお話です。
TVシリーズでは敵対していたキャラ達が、今回は連合して活躍するのは嬉しいことでしたが、次々と倒れていくのは悲しいところでもありました。とはいえ、戦闘シーンはなかなかの迫力です(ガンダム!だし)。

敵の設定は今までの「ガンダム」シリーズでは無かったパターンですが、「ガンダム」の世界観とは違和感があるように思います。ネットの感想に「マクロス」と書いたものがありましたが、そう言われても仕方ないでしょう。

宣伝では「イオリア計画の全貌が明らかに」と書いてあるものもありますが、それは嘘です。

 

 

すでに見た人

結局この戦い、刹那が倒れていなければ早く解決して、死者も少なくて済んだのではないでしょうか…。

 

 


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君 に 届 け

 

 

コミックが原作の映画です。原作は読んだことはありませんが、映画館に置いてあった宣伝用のダイジェスト版を読んでみたら面白かったので、見てみた作品です。
そこで特に面白いと思った箇所は、主人公の爽子が「霊感ないんですぅ」と言っているような細かい部分なのですが、映画ではそういうシーンがことごとくカットされていて、どうもこの作品の製作陣と僕とは感覚が違うようです。
それでも原作はよくまとめている感じで、ストーリーに破綻みたいなところは見られないし、見ていて気恥ずかしい感じはするけど、それなりに感動できるシーンはあります。しかし無難に作ったような感じで映画に思い入れみたいなところは感じられず、監督やライターがこの作品のどこに引かれたのか、疑問にはなりました。

爽子を演じる多部未華子ちゃんはいつもながらの好演を見せてくれます。ただ実写になると、爽子のリング的なヘアスタイルなんて、笑うよりも「さっさと変えればいいのに」と思ってしまうような不自然さがはっきり出てしまう感じは受けました。彼女の親友となる蓮佛美沙子のきっぷの良さは、好感が持てました。
映画で驚いたのは、これまで暗いキャラクターばかり演じている印象のあるARATAが、ここでは異様なほど明るいキャラクターを演じていたことでした。こういうキャラもできるとは…。

 

 


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キャタピラー

 

 

太平洋戦争末期の日本のとある村、手足を失って「軍神」として帰ってきた夫と、彼の世話をしなければならなくなった妻のお話です。
戦時中を舞台にした映画は数多くありますが、この作品のように戦闘シーンを出さないで戦争の悲劇を描いたものはあまりないと思います。
しかしこの作品の一番面白い点は、誰かの世話にならなければ生きていけない体になってしまった夫と、彼の世話をすることになった五体満足な妻との間で、夫婦の優位性が逆転していくところでしょう。出征前は横暴だった夫に、妻はここぞとばかりに復讐しているように見えて、笑ってしまう箇所もありました。
妻を演じる寺島しのぶはある時は鬼のように残酷に(意地悪に)なったり、またある時は慈母のような表情を見せる複雑なキャラクターを上手く演じています。こういう複雑なキャラクター像と、シリアスドラマなのにコメディのような面を持つ内容が、寺島しのぶにベルリン国際映画祭の主演女優賞をもたらしたのでしょう。
彼女が演じたキャラのように、命の危険がないとはいえ、戦時中に一般人の犠牲が要求されるのは、この作品の少し前に公開された「氷雪の門」と同じです。

夫の方はもはや食べて寝てセックスするだけの物体にしか見えず、何のために生きているのか?と思ってしまいます。それが「軍神」とまつられる虚しさ。そう口では言っている村の人間も、本心ではないでしょう。そんな村人達は銃後の訓練をやっていますが、いざ空襲でも受けたら絶対役に立たないことが見え見えで、ここも戦争の愚かさを感じるところです。

エンディングで流れる元ちとせの歌は原爆に関する内容です。言いたいことはもっともなのですが、映画は原爆に関する内容ではないので、何か違うように思えました。

 

 


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氷 雪 の 門

 

 

かつては日本の領土であった北海道の北にある樺太。太平洋戦争終戦時に攻め込んできたソビエト軍によって引き起こされた悲劇は、原爆や沖縄戦と比べると、これまであまり語られてこなかった印象があります。
その事実を伝えるべく1974年にこの「氷雪の門」が作られましたが、公開されることなくお蔵入りにされてしまいました。その理由は明らかにされていませんが、当時のソ連から公開中止の圧力がかかったのではないかと言われています。当時この作品を製作していた東宝はソ連との合作映画を製作中だったので、それを続けるために公開を見送ったのではないか?といった憶測も言われています。

氷雪の門とは、遠く樺太を望める稚内に建てられているモニュメントです。そこにはかつて樺太の真岡という街で、ソ連軍の侵攻の時も残って仕事を続け、最後に自決を選んだ電話交換手の女性たちを祈念した碑も建てられています。映画は彼女たちを中心にして、樺太で起こった悲劇を描きます。
彼女たちは電話交換手ということで、そこでは軍の情報が真っ先に入るし、各所に電話をかけられるといった、情報が集中する場所なので、物語の舞台として格好の場所でしょう。避難を命じられた彼女たちが拒否して残る理由に、仕事への誇りと責任感を語っていたのが今に通じるようで、印象的でした。

映画の前半は前線の兵士たちを除けば、主人公の女性たちや周りの人々はみんな幸せそうに暮らしています。この人たちが後でみんな死んでしまうんだろうと思うと、見ていて辛くなります。降伏した日本につけこむように、この人たちを悲劇に巻き込んでいくソ連の行為には怒りを覚えました。当時のソ連の指導者は自国の人々さえも迫害したスターリンですから、他の弱い国、特に日本は日露戦争の恨みもあるだろうから容赦しないのでしょう。でも犠牲になるのは、ほとんどが一般の弱い人たちです。

内容がヘビーであるせいか、上映する劇場は客席が多くないところばかりのようです。思っていた通り観客は年配層が目立ちましたが、もっと若い層に来てほしいものです。あまり伝えられていない65年前の樺太での悲劇を伝えようとした、製作者達の努力を無にしてはいけません。
この作品の公開の数年前、2008年の8月に、同じ悲劇を扱ったドラマスペシャル「霧の火」がTVで放映されましたが、これが実質的に初めて真岡の悲劇にスポットを当てたドラマでしょう。ただこのドラマでは主人公の少女が生き残ったことで、電話局で自決した女性たちの悲劇の印象がかえって薄くなったように思いました。それに比べるとこの「氷雪の門」の方が、真正面から悲劇を訴えかけている感じがあります。

 

 


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