ロ　ボ　コ　ン

徳山の高専に通う里美（長澤まさみ）は市販のロボットキットに顔を描いただけで課題を提出したことで、1ヶ月居残り授業に出る代わりに、第２ロボット部に入って高等専門学校ロボットコンテスト＝通称ロボコンに出場することを言い渡される。しかしエリートぞろいで何度もロボコンに出場している第１ロボット部に比べ、彼女が行くことになった第２ロボット部は部員がわずか３人で、皆やる気が見られなかった。それでも出場したロボコンの地方大会では成績は当然悪かったものの、マシンがユニークと評価され、全国大会へ出場することになってしまう…。

「ロボコン」というタイトルで某子供向け（？）ＴＶ番組を想像する人が多いと思いますが、これは「ロボットコンテスト」の略です。
無気力な高校生たちがロボコンに段々と本気になっていく話ですが、今の若いモンはやることが見つからない人が多いようなので、前半で目立つ無気力な高校生像はリアルに見えました。話の形はスポコンに似た感じなものの、そういった話に見られる「努力」や「汗」なんかがあまり見られないのが、ドライで今っぽく思えました。
メインのキャラクターが少ないせいか、主人公である第２ロボット部の部員たちの性格付けがはっきりしていて、彼らががんばっていく過程には応援したくなってきます。おかげで初めの試合はそうでもないのに、後半で出てくるいくつかの試合シーンでは彼らのロボットの動きに一喜一憂してしまい、手に汗握っていました。こんなことは久しぶりです。
この日はこの作品を見る前に「トゥームレイダー２」を見たのですが、アクションものであるこの映画よりも、「ロボコン」の方がよっぽどドキドキしました。
試合で見せた里美の笑顔が感動的で、爽やかに見れる映画でした。

映画で不足していると思えるのは、里美以外の部員たちの家庭の描写で、これが少しでもあるとキャラクターの描写にもっと深みが出たと思います。この辺はおそらく、時間の関係でばっさりカットして、生徒たちの描写に専念しようとしたのかもしれません。
里美に関してはうじきつよし演じる父親との描写がありますが、この父親が里美のやる気に影響を与えているであろうと推測でき、彼女の場合は家庭の描写は必要であったと思います。

主演の長澤まさみを初め、メインのキャラクターである第２ロボット部の部員を演じる小栗旬、伊藤淳史、塚本高史らはこの作品の影響ではないと思いますが、このところテレビや映画でよく見る顔で、さすがに売れているだけあって好演しています。他にも鈴木一真や須藤理彩やうじきつよしなど、一見マイナーに思えながら、ＴＶや映画でよく見る俳優が結構顔をそろえている作品です。

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偶然にも最悪な少年

ヒデノリ（市原隼人）は高校生だが、学校に行かず毎日渋谷をフラフラしている。何年かぶりに姉ナナコ（矢沢心）と偶然再会した後のある日、姉は自殺してしまう。ヒデノリは顔見知り？であった佐々木由美（中島美嘉）を巻き込んで姉の死体を病院から運び出し、友人？のタロー（池内博之）を呼び出して、彼の乗ってきた車で姉の遺体を博多まで運ぶことにする…。

予告編での中島美嘉のとび蹴りと、「見るよね。」とのオドしぽい言い方に引かれてしまった映画です。
予告からして妙な感じでしたが、本編も相当「ヘン」な映画です。中島美嘉のとび蹴りはまあ何となく分かりますが、主人公の行動には脈絡らしきものがあまり感じられず、行き当たりばったりのようで、何を考えているのかさっぱり分かりません。キャラについては主人公ヒデノリはイジメの過去や家族など多少描かれますが多くは語られず、彼以外のキャラでは背景などはほとんど語られません。
この映画の原作と監督は主にＣＭディレクターとして活躍しているグ・スーヨンという人だそうで、映画はＣＭを思わせる一発ギャグ的なシーンが多く、「ノリ」で話が進んでいっている感じです。
しかしその「ノリ」のテンポは良く、キャラクターたちのマジなのか冗談なのか分からない無軌道な行動が笑わせてくれて退屈しません。
映画にはイジメ、万引き、民族差別、強盗、ドラッグその他いろんなヤバいネタが出てきますが、深刻な話にはならず、全体的にフワフワした軽い雰囲気の映画で、妙にさわやかに終わってくれます。
お話やキャラがどうだと見るより、本編でよく出てくる「ま、こんなもんでしょ」のセリフ通り、軽く楽しむべき映画でしょう。

中島美嘉の、何を考えているのか分からない表情は映画に合っています。冒頭で見せるセーラー服姿や巨乳（！）など、彼女のコスプレも見ものでしょう。特にミニスカスーツは「合ってるじゃん」て満足そうなセリフ通りの、意外なセクスィーさを見せてくれます。ラスト近くの彼女と矢沢心との会話のシーンが、ほのぼのとしていい感じでした。
チョイ役で永瀬正敏や津川雅彦ともさかりえや前田愛そして他にも、有名人がけっこう顔を見せています。中にはサトエリや高橋克典みたいに、ホントにちょっとだけだったり、顔があまり出なかったりして分かりにくい人がいるので、要注意です。

いじめのシーンで、街中でされてるのに誰も関心を払わないのはリアルに見えました。

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座　頭　市

「座頭市」といえば、故勝新太郎の代表作です。監督のたけしはこの作品をリメイクするにあたり、全く違った映画にしない限りは勝新を超えられない、と考えたのではないでしょうか。
今回の映画と勝新の座頭市の違う点は、ワイドショー等マスコミで散々言われている通り、主人公の市が金髪であることでしょう。たけしはインタビューでかなり前から、観客が違和感を持たないように自身の髪を金髪にしていたそうですから、思いつきで作ったような軽い作品ではありません。
座頭市が金髪であるのはインパクトがありますが、たけしが座頭市を演じる、ということで既に勝新の座頭市とは大きく違っています。
ここでたけしが見せる座頭市はドライで、人の事情に深入りしません。人助けはするものの、それは人情といったものからではなく、人殺しを楽しみたいゆえに見えました。悪い奴なら殺しても誰も文句は言わないだろうから、そういう連中を探して殺しているサイコな男、て感じがします。
そのせいか、今回の市は向かってくる敵は全て斬り殺し、映画のキャッチコピー通り「まさに、敵なし」の強さで、「ターミネーター」と言いたくなる座頭市でした。
また、一瞬で倒した敵から血がドッと噴き出したり、雨の中で戦うシーンがあったりするのは、黒澤明を意識しているように見えました。

今回の座頭市は「HANA-BI」や「BROTHER」でたけしが演じてきたような、普段は大人しいけどキレると凶暴になるキャラクターと同様に思います。たけしのキャラクターは毎回同じようなパターン見えますが、今回はそれがハマっています。
またガダルタカル・タカが主に引き受けている、ナンセンスなギャグもたけしならではの感覚で、シリアスな中に笑いが入るのは、やはりたけしの映画と思えます。
映画には女形の橘大五郎が出ていますが、そのせいなのか男色の描写が出ていたのも面白かったです。昔はこれはそう異常なことでもなかったようですが、普通の時代劇ならそういうことを描こうとはしなかっただろうと思います。

ワイドショーでこの映画が取り上げられた時、たけしの金髪の次に話題にされていたのがラストのタップダンスでした。
ここは本編の話とは全然関係ないシーンなものの、インド映画みたいな躍動感があり、ちゃんと和楽器と太鼓のリズムをメインに持ってきて、これこそ「和」のミュージカルという感じがして、僕が一番気に入ったシーンです。
たけしはタップと歌舞伎の共通性を前々から感じていたそうですが、これも彼ならではの、従来の時代劇を作ってきた人には思いつかない描写でしょう。
「ゲロッパ」のラストのダンスも楽しかったけど、オリジナリティーと今っぽさでは断然こちらの方が上でしょう。

たけしは時代考証はしなかったと言っていましたが、らしく見れればいいのではないでしょうか。勝新をリスペクトしつつも、タップやギャグを加えたことでたけしらしい映画になっていると思います。
千葉真一や松方弘樹がこの映画を「賞狙いで媚びている」と批判していますが、従来の時代劇を作ってきた人たちには理解できないかもしれません。

今まで見たたけしの映画では「HANA-BI」にしろ「Dolls」にしろ分からない作品が多く、僕にとってはこの「座頭市」が一番分かりやすかった映画でした。
この映画の興行成績は初公開週に２位で登場して以来、１月ほど上位を保っています。たけしの映画でこう上位成績をキープし続けている作品は初めてではないでしょうか。他の人にとっても分かりやすい映画なのかもしれません。　

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ドラゴンヘッド

青木テル（妻夫木聡）は修学旅行帰りの高校生。しばらく気を失っていたが、気がついたとき、新幹線はひっくり返っていて、クラスメートは全て死んでいた。何が起こったかわからないまま外に出たテルは、新幹線ごとトンネルに閉じ込められたことを知る。彼はさらにもう一人の生存者、高橋ノブオ（山田孝之）を見つけるが、イジメられっ子だったノブオは、もはや死んでしまったいじめっ子の復讐の狂気に取り付かれていた。さらにもう一人、ノブオを避けるように隠れていたアコ（SAYAKA）に会うが、狂ったノブオに２人は追い詰められる…。

飯田譲治が監督した映画は前作「アナザヘヴン」でがっかりさせられたのであまり期待していませんでしたが、今回は結構まともに見られる話になっています。
しかし地震や噴火といった天災に、お互いを殺し合う人間たちの存在、という極限状況の話なものの、悪者は勝手に死んでいつの間にか危機が去ってしまうので、主人公たちが追い詰められる感じはあまりしません。
こういった点は「バトル・ロワイアル」なんぞに比べると全然ユルい描き方になっています。これは欠点と言うべきかもしれませんが、「バトル－」はその分辛く、２回見るのはイヤだな、という気にさせられましたが、「ドラゴン－」はそのユルさが安心して見れて、「バトル－」よりも万人受けするように思います。

ノブオが見せる「沙粧妙子最後の事件」や「アナザへヴン」を思わせるサイコなシーンは、いかにも飯田監督の映画という感じがしました。テルとアコの主人公２人以外はみんな頭がおかしい人ばかりで、映画は狂気を描きたいようにも見えますが、適度に理性がある人が多くて中途半端ではあります。もっとキャラクターを狂わせるか、狂った人を多く出した方が、映画にもっとインパクトが出たかもしれません。

この映画の一番のウリは、東京など廃墟と化した都市の描写でしょう。ほとんどが実物大のセットのようですが、これほど大規模なセットは日本では不可能で、廃墟のセットをウズベキスタンで作って撮影したことがワイドショーで話題にされました。これは思い切った発想で効果的です。
そのせいかシーンによっては日本じゃない、モロに中央アジアと見える風景が出てきますが、大災害後なのでそういう風景が現れたと解釈すべきなのでしょう。ミスと言うよりも、監督が面白がって意図的にこういう風景を出したように思います。
その廃墟描写を支えるＶＦＸでは、派手なシーンはあまりありませんが、セットのサポート役として、荒涼とした雰囲気を上手く引き立てています。特撮は「ガメラ」の樋口真治氏が関わったようですが、ガメラのような怪獣が町を破壊しつくした後の光景、という感じで、ノッて仕事をしたのではないかと想像します。
彼とほぼ同世代の僕自身、この廃墟のシーンが一番興味深く、これのおかげで映画の評価がずいぶん甘くなったかもしれません。

映画で一番気になったのは、テルとアコが食料をどうしていたのか？という点でした。新幹線から脱出してから何日も経っているのに、彼らがそこから飲み物や食べ物を持ってきたような描写がありません。ラストの方のアコも、彼女の言うとおりだとしたら何も食べてないことになりますが、それで体が持つのか？と突っ込みたくなりました。

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天　使　の　牙

新種の麻薬アフター・バーナーが蔓延している世の中。河野明日香（黒谷友香）が所属する警視庁の麻薬捜査チームは、薬の販売を独占する麻薬組織クラインと戦っていた。そこにクラインのボスである君国（萩原健一）の愛人と名乗る神崎はつみ（佐田真由美）から、身柄を保護してほしいと電話が入る。情報の漏洩を防ぐため、彼女と接触するファッションショーの会場は少数の刑事たちが固め、明日香ははつみとの接触に成功するが、そこに同僚で恋人の古芳（大沢たかお）が現れ、２人に銃を向ける。病院で気がついた明日香は、自分の顔を見て悲鳴を上げる…。

ＣＭで佐田真由美の飛び蹴りシーンが流れていたことで、おねーちゃんがアクション全開で大活躍する映画なんだろうと期待したのですが、ダマされました。こういう、予告のような女性の大アクションは２箇所くらいしかありません。
大方のアクションは大沢たかおや彼以外の男性陣がやって、おいしいところをさらっています。

悪の親玉を萩原健一が演じています。この人が悪役をやるのは珍しいと思いますが、あまりの貫禄の無さに驚いてしまいました。彼も芸暦が長いから、親玉を演じるならそれなりの重さが出るところでしょうが、役柄があまりにも軽くて、そんなものは全然感じられません。
新種の麻薬を流してる組織のボスというキャラクターだと、昨年作られた「マッスルヒート」の加藤雅也を連想しましたが、彼の方がよっぽど存在感がありました。
君国の、はつみへの執着がこの物語のキーポイントになるのですが、その思いが全然伝わってこなくて、彼女に入れ込む理由がまるで分からず、単なるエロじじいにしか見えません。彼だけでなく、他のキャラクターも心情がまるで伝わってきません。
物語も、警視庁の人間が裏切り者だったなど複雑にしていていますが、うやむやになってしまうエピソードがあって整理しきれておらず、いくつか出てくるハイテクの設定も全然生きていません。古芳があっさりと君国のアジトに入り込んでしまうなど、突っ込みを入れたくなる都合よすぎる展開も見られます。
結局この映画は、脚本家や監督たちメインのスタッフが、物語もキャラクターもよく理解していないまま話を進めていってしまって、空中分解してしまったように思えます。

脳移植という設定は「フェイス／オフ」がヒントで発想されたと想像しますが、これは悪くないアイデアです。明日香の恋人古芳はそれを知りませんが、だったら明日香の脳を移植されたと知らないはつみを、古芳が殺そうとする話にでもした方が、かつての恋人に敵と見なされる明日香の苦悩なんかが出て、もっと面白くなったと思います。

この映画は製作がトワーニ、配給がワーナーで、この形で公開された作品は「妖怪伝さくや」がありました。ワーナーが関わっているので海外でも上映すると思いますが、「さくや」に続いて、日本映画の評判を落とすことでしょう。

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ゲ　ロ　ッ　パ　！

羽原組長（西田敏行）は刑務所行きを数日後に控えていたが、生き別れになった娘の行方を気にかけていた。彼はまた、大好きなジェームス・ブラウンの名古屋公演に行きたかったと弟分の金山（岸辺一徳）に漏らす。収監を控えたことで羽原は３人の若い組員たちに羽原組の解散を宣言し、カタギになれと告げる。金山は親分の考えを変えようと内緒で、「ジェームス・ブラウンをさらいに行って来い」と組員たちに命令する。彼らは偶然にもその誘拐に成功するが、そのＪＢはそっくりさんだった…。

本編前にこの映画の主題歌「ゲロッパ！＝Get Up!」のプロモーションビデオなるものが流れます。沖縄で２人の女のコが踊ったり歩いたりするだけの内容ですが、ねーちゃんたちは美人とは言い難くて、見ていて全然面白くありません、こりゃ本編もダメだな…と思いっきり引きました。

でも本編は、なかなか楽しい映画になっていました。
「のど自慢」でもそうですが、クライマックスが歌というのは客を乗せやすいのかもしれません。ラストの出演者のダンスは内輪で騒いでるのを撮っただけのようにも見えますが、ハッピーで良しでしょう。
キャラクターたちの個性はそれなりに出ていて、西田敏行や岸辺一徳や山本太郎といった芸達者をそろえて見れるものになっています。ただ主人公がヤクザというのは一般ウケはしないと思うし、内閣調査室など、キャラクター像が古い感じはしました。
また主人公のヤクザやＪＢのニセモノや内閣調査室といった、違った話の進行はそれなりにまとまっていると思いますが、かみあってない部分も感じました。特に冒頭のアクションは本編と全然違う雰囲気で、こういうシーンを撮りたいなら別の話を作れ、と言いたくなります。
映画の初めの企画は芸人の話だったそうで、それにヤクザの絆みたいな話をやりたいということで他のエピソードが色々と加わっていったようですが、盛り込みすぎて話が少々アラくなったように思います。

本編前に上映したプロモに出てたねーちゃんたちはエンディングで、本編の歌を歌ってた人たちだったらしい、てことがようやく分かりました。そうと分かっていればそれなりに楽しめたのだから、このプロモは本編が終わってから上映してほしかったと思います。
たぶん本編が終わった後にこれをやると、客が帰ってしまって最悪誰も見てくれないかもしれないから、本編の前につけたのだと思います。
でも本編前にこれをつけたことで、井筒監督の「俺の映画面白いに決まっとるやろ！」みたいな、押し付けがましい自己満足を感じました。
また、井筒監督はソウルミュージックを「本物」ということで映画に取り上げたようですが、ジェームス・ブラウンとかソウルなんて、今はマニア向けのものでしょう。しょせんは彼がこのジャンルを好きなだけであって、その思い込みが「本物」と言わしているのだろうと思います。好きな映画を作るのは構いませんが、自分のシュミと他人のシュミの違いくらいは区別してほしいです。

この映画を見ると、井筒氏て権力が嫌いなのかと思います。主人公はヤクザだし、内閣調査室や警官など、役人の奴らは情けなく描かれてるし。
それに映画の批評（感想というべき？）でも「踊る大捜査線」はケナしてて、ベトナム徴兵を拒否した「アリ」や警官たちを翻弄する「ハンニバル」は誉めてるし。反権力がかっこいい、とでも思ってるのかなあ？

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茄　子

アンダルシアの夏

スペイン・アンダルシア地方で開催されている自転車レース「ブエスタ・ア・エスパーニャ」に、地元の村出身のペペがビール会社の専属選手として出場していた。その日その村では、彼がかつて愛した女性カルメンと、彼の兄アンヘルとの結婚式が行われていた。彼はそのことを考えないようにしていたが、アンヘルたち村人は皆ペペを応援しようと、コース沿いにあるバーに繰り出す。そんなペペは偶然聞いてしまった監督とオーナーの会話から、自分が解雇されることを知ってしまう…。

アニメでは珍しい（初めてかも）、自転車レースの話ですが、話の展開の基本をレース中継にして、アナウンサーと解説者とのやりとりでレースを見せてくれるので、僕みたいに自転車レースのことを全く知らない人にも分かりやすく見れる話になっています。
レースシーンの作画はデジタルくさいのが少し気になりましたが、何十台もある自転車を描くのにはベストの方法かもしれません。監督の高坂希太郎氏は自らも自転車愛好家だそうで、レースシーンには中継を思わせるカメラアングルにスピード感のある描写を入れて、自転車を知っている人ならではの、迫力を感じさせる見せ方になっています。
ただ、ゴール前のスパートシーンは必死さは出ているものの、大げさすぎて笑ってしまい、違和感を持ちました。

高坂氏は「千と千尋の神隠し」で作画監督を担当したそうですが、言われてみると「茄子－」のキャラは宮崎アニメのキャラに似てるし、彼らのほのぼのとした雰囲気もジブリ的な感じがします。でもそのキャラクターは、映画の乾いた雰囲気と対照的な暖かさが感じられ、見ていてホッとできる話になっています。この映画は宮崎ブランドではありませんが、ここまで面白く見せるのはさすがと言えるでしょう。ジブリから宮崎＆高畑氏以外で、ようやく期待が持てる人材が現れてきたようです。

この作品の上映時間は４７分で、入場料を１０００円均一にしています。普通の映画より短いせいかもしれませんが、この値段は良心的です。こういった、作品によって料金を変える、というやり方はもっと増えていいと思います。１８００円が高すぎると思う映画なんていくらでもあるし。

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さよなら、クロ

６０年代、ある少女にかわいがられていた犬、クロは少女の一家が引っ越したために空き家に置いてきぼりにされてしまう。その近くにある秋津高校では文化祭が行われていて、亮介（妻夫木聡）のクラスは仮装行列を出し物にする予定だったが、本番の直前、西郷隆盛像が引っ張るはずの紙製の犬が壊れる。そこに都合よく学校に迷いこんだクロは大人しく壊れた犬の代わりの役目を果たし、そのまま学校に住みついてしまう…。

長野県で実際にあった、職員名簿にまで載った犬・クロの話ですが、映画は高校生たちのドラマにクロが絡む話になっています。
クロがピンチヒッターとして西郷さんの犬の役をやった、というのは実際にあったエピソードだそうですが、それ以降の話は、キャラクターの関係や行動があの頃あったかもしれない類型化にしか見えず、作り物という意識を払拭できませんでした。ヒロイン格の伊藤歩が６０年代の映画ぽいセリフ回しでしゃべっていたのは、いかにもな感じで雰囲気出てますけど。
特に気になったのは、自殺を匂わせるエピソードでした。その原因は失恋と思われますが、あの時代なら失恋で自殺というのは分からないことも無いけど、今こういうのを見ると、失恋で自殺なんて古臭いように思います。これを若い人が見たら理解してくれるのかなあ？（俺がシニカルなだけ？）
「子猫物語」じゃないんだから、人間の話がメインになるのは当然でしょうが、そのために実際にあったクロのエピソードが切られてしまったのは残念です。キャラの話が今一つな分、クロ自身のエピソードをもっと見たかった気がします。

映画は６０年代後半と、７０年代中ごろの２つのパートに別れます。このパートの分かれ目がプッツリと切られてスムーズでなく、２パート目から新キャラが出てきた当初は唐突な感じがしました。彼らと、初めのパートで活躍したキャラと何らかのつながりを持たせて、もっと違和感なく繋げてほしかったと思います。
またクロが亡くなった直後のシーンは、正統的と見える泣かせのシーンで感動的でしたが、その後のシーンはそんなに心を動かされませんでした。もっと上手く盛り上げてほしかったところです。

この作品と同じく、地方で実際にあった話の映画化といえば、前年の同じ時期に「白い船」がありました。こちらの方がもっとドラマに感情移入できましたけど、映画と現実の時代がまだ近かったせいでしょうか…？

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六　月　の　蛇

電話カウンセラーとして働くりん子（黒沢あすか）は夫（神足裕司）との性交渉が無くなっていた。彼女が道郎（塚本晋也）という男の自殺を思いとどまらせて数日後、自分宛に送られてきた小包を開けたりん子は、彼女の自宅でのオナニー姿を盗撮した写真に愕然とする。同封の携帯電話から聞こえる声は道郎で、彼は「写真とネガを返してほしければ、短いスカートをはいて街中を歩け」とりん子に命令する…。

「鉄男」や「双生児」の塚本晋也が監督したこの作品は、ヨーロッパではかなり好評を博したそうで、ベネチア国際映画祭で審査員特別大賞を受賞しました。
でも僕には、この映画の良さがよく分かりません。セックスレスの夫婦が性欲に目覚める話、という内容だと思うのですが、１時間ちょっとの長くない作品なのにかなり退屈を感じて、眠くなりました。タケシの映画もそうですが、どうもヨーロッパ人が好きな映画は僕には分からないようです。

中にはなぜか「鉄男」を思わせるシーンがちょっとだけ出てきて、そこは笑えました。

ヒロイン格の黒沢あすかは、初めはとっつきにくい感じのおねーちゃんに見えますが、段々色っぽく見えてきて、美人に思えます（もうちょっと髪が長ければ好み）。でもなんで彼女が夫にこだわるのかが分かりませんでした。彼の良いと思えるところが見えなくて、これなら見捨ててもいいんじゃないかと思います。
夫を演じるのはワイドショーに顔を出したり、「ＳＰＡ！」に連載を持っている神足裕司で、映画初出演だろうに、恥ずかしいと思えるような演技を見せてくれてがんばっています。ただそのがんばりは分かるものの、僕にはコータリは役のキャラではなく、コータリにしか見えず、「コータリがここまでやってる！」としか思えませんでした。

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Laundry
ランドリー

テル（窪塚洋介）は子供の頃にマンホールに落ちて頭に傷がある。彼は祖母の経営するコインランドリーで、洗濯物が盗まれないように見張る仕事をしている。ある日若い女が乾燥機の中に服を置き忘れ、それを届けたことでテルはその女性・水絵（小雪）と知り合う。だがその後ランドリーは人手に渡ってしまい、水絵はまた乾燥機に服を残したまま、故郷の町に戻ってしまう。テルはその服を彼女に返すため、ヒッチハイクをし、サリー（内藤剛志）という男の車に乗せてもらって彼女の住む町に向かう…。

少し知的障害気味の男と、過去に傷を持つ女性とのラブストーリー、といった話です。
窪塚洋介はここではちょっと頭がヨワいけど、純真な心を持つキャラクター（障害者が純真というのはありがちな設だけど）で、「ＧＯ」や「ピンポン」とは全く違ったタイプのキャラを、実にそれらしく演じています。
テルは障害があっても自立していて、後半ではランドリーの監視よりももっと複雑な仕事もこなそうとするのですが、それがちゃんとできるのか？という心配がサスペンスにもなって、結構ハラハラしました。

そしてテルを取り巻くキャラクターが、洗濯機に入ってしまうボクサーや写真を見せたがるオバサン、あるいは「サリー」と名乗る、イベントで鳩を飛ばす商売をしている男など、インパクトがあって楽しませてくれます。そういった人たちと、純真ゆえに「奴は絶対に裏切らない」テルの触れ合いと真っすぐな行動が、彼らにも観客にも暖かいものをもたらしてくれて、最後にさわやかな感動を与えてくれます。

伏線の生かし方も上手いし、ラストは気持ちよく、劇場公開時にスマッシュヒットになったというのも、うなずける映画です。

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ＧＵＮＣＲＡＺＹ３
ＧＵＮＣＲＡＺＹ４

米倉涼子と菊川怜が主演した「ＧＵＮＣＲＡＺＹ」が売れたのか、今度はエピソード３と４が製作されました。
前作が受けた（だろうか？）理由は人気女優がアクション、という点だったせいなのか、今回はエピソード３の主演に仲根かすみと大谷みつほ、エピソード４の主演に加藤夏希と原史奈という、主にグラビアアイドル出身の人気女優を起用しています。
４人ともトレーニングのおかげか、ガンアクションの見せ方はそれなりに迫力が出ていいます。特に加藤夏希は｢仮面ライダー龍騎：劇場版｣でアクションを経験しているせいか、このテのシーンは目に鋭さを見せて悪くないし、大谷みつほと原史奈もそれなりの感じは出ています。しかし仲根かすみは、アクションはそこそこサマにはなっているものの、どこかムリを感じます。彼女はやはり｢八月の幻｣の方が合っています。

人質を取った盗っ人に刑事がすぐさま銃を向けるなど、突っ込みを入れたくなる描写は多々ありますが、お話はそこそこ燃える形に作ってあって、退屈はしませんでした。１エピソードが１時間を超える程度だし、ビデオで楽しむには最適の作品でしょう。

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あ　ず　み

｢戦国｣が｢江戸｣に変わった頃の時代、戦乱により母を殺され孤児となったあずみは、「爺」に拾われ、山中で仲間の孤児と共に過酷な修練を受けて育てられる。だが「爺」＝小幡月斎の真の目的は、徳川に反乱を起こそうとする者を事前に抹殺する戦士を育て上げることだった。１０年後、月斎はあずみたちに山を降りて「使命」を果たしに行くと言うが、その前に、残った１０人の子供たちに殺し合いを命じる。「使命のためには友といえども敵に回すこともある」ゆえに…。

小山ゆう原作の人気コミックを「VERSUS」の北村龍平監督が映画化した作品です。
「VERSUS」はアクションが見ものの映画でしたが、この「あずみ」も期待に違わず、チャンバラアクションは迫力があります。特にこの映画では、あずみが何１０人も続けざまに敵を斬っていったり、剣が燃えるといった、実際にあるわけないシーンが出てきますが、かっこよさで見れてしまいます。予告でも少し出している、３６０度カメラの使用も効果的であるかは疑問ですが、こうケレンのシーンが多いと、見た目に面白くて許せてしまいます。

あずみを演じる上戸彩は目に厳しさが出ていて、アクションシーンでのアップには香港武狭映画を見るようなかっこよさが感じられます。この映画と同時期に撮影をしていたであろう、ＴＶドラマ｢高校教師｣でのキャラなんぞより遥かに存在感があって、あずみ役は彼女以外に考えられない、適役です。
そのあずみたちを待ち構える敵・最上美女丸をＴＶドラマで大活躍のオダギリジョーが演じています。彼は善人役の多い感じがするので珍しいキャスティングだと思うのですが、殺しが大好きというイッた感じがよく出ていて、善人役ばかりのウップンでも溜まってたのか？と思いたくなりました。｢魔界転生｣の窪塚洋介も、これくらい弾けるべきだったでしょう。
ただし、美女丸はあずみのネガティブな末路、という対比を描こうとしているように思えますが、それらしい描写があまり無いために、伝わり具合が今ひとつなのが惜しいところです。
美女丸以外の悪役もサイコな奴らばかり、というのは今風な感じがしたし、やはり「VERSUS」を思わせます。そのせいか、この映画で描かれる戦国時代は異常者ばかりの時代に見えます。最後まで生き残るキャラが少ないのも「VERSUS」を連想します。

映画の話はコミックとは違うオリジナルだそうですが、初めの方は原作にかなり忠実に描いてるようです。しかし冒頭で爺の酷い命令にあずみたちが、イヤだと言いながらもあっさりと従ってしまうのは疑問で、「殺しの技術があるんだから、爺に逆襲すれば？」と突っ込みたくなりました。爺がものすごく強い技を持っているみたいな、あずみたちが爺に反抗できない理由を描くべきでした。
ラストも、話の流れから言えば納得はできますが、オイオイと言いたくはなりました。これじゃあ何も変わってないって。

僕は上映開始後２日目に見に行きましたが、劇場には女子校生など若い女性が目立ちました。少し前に公開された、同じ時代劇ジャンルの「魔界転生」よりもこちらの方が人気があるようですが、確かに話は「魔界」に比べるとストレートで分かりやすいし、もしかしたら時代は窪塚ではなく上戸なのかもしれません。イケメン（あずみボーイズ）も多いし。

あずみに人殺しへの疑問を抱かせるキャラを岡本綾が演じていますが、彼女は「VERSUS」のヒロインに似た感じがします。監督はタヌキ顔の女性が好みと見た。

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魔　界　転　生

「魔界転生」は２２年前に故深作欣二氏が監督して、沢田研二＆千葉真一主演で撮られた作品が有名でしょう。数年前にＶシネでも作られたことがありますが、今度は「ＯＵＴ」の平山秀幸氏が監督し、窪塚洋介＆佐藤浩市主演で映画化です。

前回と比べて発達したのは特撮技術だと思いますが、今回は技術と共にイメージもいいものに仕上がっています。特に予告でも少し見せている、天草四郎の降臨シーンは堕天使のイメージだそうですが、デザイン担当の寺田克也氏のイメージイラストをそのまま実写にしたような雰囲気があります。また、四郎の首切りシーンは言われなければ合成と気づかないだろうし、魔界衆の誕生や最後のイフェクトもそれらしく、全体的にデジタルに溺れることなく、的確に特撮を使って効果を出しています。
今回の映画の目標は、殺陣をきちっと見せることだそうですが、それなりの迫力はちゃんと出ています。殺陣シーンは何度か出てきますが、武器が剣だけでなく槍もあったり、戦う舞台が海岸や草原など、毎回変わっているので飽きません。
全体的な話も、毎回テンポ良く話を展開する平山監督らしく、ペースは快調で退屈しません。

映画のウリは、窪塚洋介が天草四郎を演じる点でしょう。確かに転生前の四郎は、青臭い理想家という感じがして合っています。しかし肝心の転生後の四郎像には、窪塚が「ＧＯ」や「ピンポン」で演じたキャラのような闊達さが感じられず、抑えつけてしまったようなムリを感じました。パンフのコメントでは窪塚は「自由にやれた」と言っていますが、彼自身も監督も、四郎をどう演じるべきか方向が定まっていなかったのではないかと想像します。
映画で一番、窪塚らしいと思ったシーンは、予告でもあった「ハァッ！」でしたが、他のシーンでも窪塚は、こんな風に弾けるべきだったと思います。後になってここのシーンを思い返したとき、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」でトム・クルーズが演じたレスタトを連想しましたが、窪塚はレスタトのような、悪意を持ったやんちゃ坊主、といったキャラを目指すべきではなかったかと思います。
悪のキャラでは窪塚よりも、その配下であるクララお品を演じた、麻生久美子の方が生き生きして見えました。彼女の悪役演技は初めて見ましたが、清純と妖艶が同居した面白い怪しさがあります。残念ながら彼女は後半で退場しますが、その最後のシーンは映画の中では珍しく、情感あふれるシーンになっています。

もう一人の主役、柳生十兵衛を佐藤浩一が演じていますが、四郎と違い、十分な貫禄を見せてくれます。これは芸暦によるものかもしれないし、演じるキャラが人間かそれ以外の者ゆえの、役の捉えやすさからくるのかもしれません。
戦いを避けていた十兵衛が、魔界衆との戦いに身を投じるようになる過程は、納得できる展開になっています。彼が初めから強くはなく、但馬守との戦闘で前に戦った剣豪の技を使うといった、バージョンアップを見せるのも面白い解釈です。
ただ、最後には彼が魔界衆に見える、という描写を監督は目指したようですが、それは感じられませんでした。

魔界衆には、たとえ出番が少ししかなくても主役を張れるクラスの役者を起用しているのは、役にそれなりの貫禄を求めたゆえでしょうし、映画らしい豪華さです。ただ、武蔵役の長塚京三は剣豪という感じが不足しているように思えたし、逆に荒木又衛門役の加藤雅也は見事に荒々しさが出ていて、早々の退場にはもったなさを感じました。
また魔界衆の剣豪たちで残念な点は、甦りたいという執念があまり感じられないところでした。その手のシーンやセリフは少しはありますが、切実なものが感じられません。おかげで十兵衛と魔界衆の戦いはいくつか、ゲームのような軽い感じに見えました。

四郎は世の中に乱を起こそうとしていて、時代には浪人が多数集まるなど、不穏な空気もあるのですが、そういった世の中の動きはセリフで語られるのみで、映像では出てきません。そのため映画にはスケール感が無く、四郎と十兵衛の個人的な怨恨試合といった、こじんまりした感じがしてしまいました。

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クレヨンしんちゃん
嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード

晩メシが焼肉というみさえのプランにエキサイトするのはら一家。その最中に正体不明の怪しい団体が乱入し、一家は逃げ出すが、なぜか指名手配されてしまう。彼らは誤解を解いてもらうため、途中でバラバラになりながら、夕飯に焼肉を食べることを目指して団体の本部のある熱海に向かう…。

「クレヨンしんちゃん」映画版第１１作となる今回は、「オトナ帝国の逆襲」や「アッパレ！戦国大合戦」のような感動度合いは低くなっていますが、ほぼ全編ノンストップアクションで、大いに笑わせてくれます。
さらに最近日本でも購買者が現れたアメリカ製最新乗用マシーン・セ○○○イをいち早く登場させたり、ワイドショーをにぎわしている某海洋動物も出てきて、話題性も十分です。しかしこの動物、映画を製作中は横浜にいたはずで、埼玉へ移動？はギャグでしょうが、本当になってしまったのは大した予言力？です。

ただクライマックスになると、テンポが緩めになってしまって歌がクドくなったり、出てくるマシーンでやったことが分かりにくくなったのが難点でした。

しんちゃんは基本的に、家族思いのいい子の面はあるけど、「カンチョウ！」なんて子供に真似されたくはないなあ…。子供たちには受けてたけど、ＰＴＡに睨まれるのも無理ないや。

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ぼ　く　ん　ち

時代から取り残されたような過疎の島・水平島に住んでいる一太と二太の兄弟の家に、半年ぶりに母親・今日子（鳳蘭）が２人の姉だという、かの子（観月ありさ）を連れて帰って来た。母親はすぐまたいなくなり、兄の一太は役に立つ男になる努力？をし、弟の二太は島に住む変わった人々と遊んで過ごしていたが、今日子がいつの間にか彼らの家を売ってしまっていた…。

西原理恵子原作のコミックの実写化です。
映画では時代設定を語りませんが、「平成○年」という碑がちらりと写るので、おそらく平成なのでしょう。しかし映画の舞台となる水平島には、ミゼットの看板が貼られたままになっていたり、主人公の一家はちゃぶ台でご飯を食べているなど、本土から取り残されたような、昭和３、４０年代の雰囲気が上手く出ていて、ノスタルジーを感じさせます。
今は「タイムスリップグリコ」のおまけなど、この年代の風俗をネタにするモノが多いので、これは興味深い設定でした。

このテの話に観月ありさや鳳蘭は意外なキャスティングで、特に観月ありさはピンサロ嬢という、今までのお嬢さん的なイメージからは考えられない役をがんばって演じています。といってもフェラのシーンなんて出るわけはなく、汚れ役ぽいシーンといえば、放送禁止用語を２言話す程度ですが。
鳳蘭も背が高いので、観月とは母娘の釣り合いが取れてる感じがします。その周りのヘンなキャラを真木蔵人や志賀勝、岸部一徳など、いかにもの人たちが演じてしっかり映画をサポートしています。そして主役である兄弟を演じる子役たちもなかなか上手くて、観月やワキを演じる芸達者たちと互角に渡り合っています。

ただしワキで出てくるキャラクター達には、それなりにアクがあるものの、個性の強烈さはあまり感じられませんでした。そのせいか、彼らの行動で笑える箇所がいくつかあるのですが、クスクスと局地的に笑って終わってしまい、爆笑にまで結びつきません。
また個々のカットが長い感じのせいか、映画のテンポもゆっくり目で眠気を催しました。もっと短いカットでポンポン進んでくれれば、より面白くなったように思います。
監督は「ＫＴ」の阪本順治ですが、これのときも眠くなりました。この人はコメディ的な作品でも、もたつく感じのテンポが好みのなのかなあ？

僕は原作の漫画を読んだことはありませんが、あのサイバラタッチであれば、金の取立てとかシンナーを売る子供とか、ピンサロで働くおねーさんとかの内容でも、笑えるものになると思います。でもこの映画のように、実写でやると生々しくなって、かえって悲惨さが強く出てしまいます。アニメで作ったら、もっと軽く笑える作品になったかもしれません。

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呪　霊
THE MOVIE

ビデオで何作か出ている「呪霊」の映画版です。ホラービデオの映画版といえば、ついこないだ同じようなタイトルの「呪怨」が公開されましたが、ハリウッドリメイクも当然のクオリティである「呪怨」とは比較にもならないくらい、この映画版「呪霊」は無残な出来です。

ビデオ版は何作かのオムニバスの話でしたが、映画版も３作の異なった話で構成されています。
１本目は病院に盲腸の手術で入院した女子校生が、その病院のおぞましい秘密を知る話。２本目は、合宿中の女子大生グループの秘密が空から降ってくる話。３本目は、不治の病にかかった弟の「死んだら何も無くなる」という言葉をくつがえして元気づけるため、兄と３人の小学生グループが廃ホテルに心霊写真を撮りに行く話です。

特にひどい出来が１話と２話で、１話はホラーぽい話だけど全然怖くないし、特撮めいたシーンがあるもののビデオのエフェクトでごまかしているだけで、えらくチープです。主演は「呪怨」にも脇役で出ていた市川由衣ですが、別に彼女でなくてもよい役で、「呪怨」の方がまだ良かったと思います。
２話はまるでコメディの、ホラーとは言えない話ですが、ギャグはそんなに笑えるものでもなく中途半端です。主演の女子大生グループを演じているのは、グラビアアイドルなのかタレントなのかよく分からないラッキーレッグスですが、ほとんどアイドルビデオの撮り方になっている水着シーンが一番の見ものでしょう。みんな細過ぎてあんましいい体じゃないと思うけど。

３番目の話が一番まともでしょう。廃屋探検はパターンな展開ですが、そこそこ不気味な感じは出ていたし、特に４人の少年たちの個性が結構出ていて、「母親のＨを見たことがあるか」なんていう何気ない会話シーンが楽しめました。
でも話のテーマは、「呪霊」というタイトルでそれはないだろう！と言いたくなりました。「霊」というタイトルであるならば観客もそういうものの出現を期待してるでしょうから、製作者はその期待に応えるべきだと思います。言いたいことは分かりますが、ここでこういうテーマを出すなんて、バカにされたように思えました。

この作品は２本立ての劇場公開で、同時上映はやはりビデオで人気を博した「ほんとにあった！呪いのビデオ」です。
「呪い－」の方は時間が合わなくて、ラスト５分しか見れませんでしたが、そこだけでもまだ、ビデオ版のパート１や２のラストの方が不気味な感じでした。こちらの方も、金を払って見る価値は無さそうです。

両作品に関するパンフはＣＤ－ＲＯＭという変わった形で、５００円といういい値段なので見る前はそそられましたが、こんな内容では１００円でも高過ぎます。

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ＤＯＧＳＴＡＲ

盲導犬のシローは、ボクシングジムの経営者ゴング（石橋凌）の目になっていたが、ある晩彼はトラックにはねられて死に、シローだけが傷つきながらも助かった。盲導犬訓練所で余生を送ることになったシローのもとに、幽霊になったゴングが現れ、願いを一つ叶えるという。シローは幼犬の頃に育ててくれた一家にもう一度会いたいと願い、ゴングは近所で自殺した男（豊川悦史）の体を借りて、その願いを叶えが、彼の飼い主一家は娘以外は全員亡くなってしまっていた。シローは鹿島まで行き、今は幼稚園の先生になっている生き残った娘ハルカ（井川遥）を探し当てる…。

姿は人間、心は犬のシローと、かつての飼い主のハルカとの奇妙なラブストーリー、といった話ではありますが、シローが人間になるきっかけがパートナー・ゴングの死という展開から始まり、この映画ではキャラクターがけっこう死にます。またハルカ自身も何度も悲惨な目に会うし、シローも後半ではつらい目にあうという、暗めのエピソードが多い話ではあります。
ですがこの映画、悲劇的なシーンにのどかなＢＧＭがかかるという風に、妙に明るい雰囲気で話が進んでいきます。そういった悲惨さや死に関して何か言いたいのかもしれませんが、よく分かりませんでした。
盛り上がるはずのシーンがあまり盛り上がらず、話は淡々と進みますが、クライマックスはそれなりに感動的になっています。

監督は「トーキョーＸエロティカ」を手がけた瀬々敬久氏ですが、エピローグ部分は「トーキョー」を思わせます。いいシーンだけど、無くてもいいと思いました。

この映画はグラビアアイドルで有名だった井川遥の出演がウリで、彼女の初出演の映画「フィラメント」とほぼ同時期に公開されました。彼女の演技はやはり硬い感じですが、「フィラメント」に比べれば笑顔のシーンが多くて表情が豊かなので、ファン向きかもしれません。ラブシーンもあるけど。

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パコダテ人

函館で暮らす１６歳の女子高生、日野ひかる（宮崎あおい）にある朝突然しっぽが生えてくる。ひかるは家族に隠し、誰にも見られないように学校に行くが、盗撮まがいの写真を撮っていた三流ローカル紙「函館スクープ」の記者早川（荻原聖人）にしっぽを撮られてしまう。彼はスクープを取らなかったらクビ！と部下にはっぱをかける部長（木下ほうか）に意気揚々と写真を見せるが、全く相手にされない。一方ひかるは秘密を抱えたことでボーイフレンドの隼人(勝地涼)とぎこちなくなり、親友の千穂(野村恵里)には秘密を話してしまうが、千穂はここぞとばかりに隼人にアプローチを開始し、ひかるをブルーにしてしまう。そして家に帰ってから、姉みちる（松田一沙）がしっぽの秘密に気づいてしまった…。

突然出現したシッポ人間を巡る騒動を描くＳＦ？ファンタジーです。話の展開はオーバー気味なところもあり、そこまでやるか？と突っ込みたくなるものの、ギャグとして笑えます。
特にひかるを巡るマスコミの騒動が大げさに茶化されていますが、面白いモノがあるときはもてはやし、何か問題が起こると手のひらを返すように落とすという描写には皮肉が感じられます。
こういった設定で中盤は暗めの展開になりますが、映画で救いになっているのがひかるの家族です。父親が徳井優、母親が松田美由紀、そして姉みちるを松田一沙が演じる４人家族で、暴走することはあっても思いやりを忘れず、悪いことも明るく乗り切る家族像は見ていてホッとさせられます。松田美由紀の超ポジティブ思考ぶりは「のど自慢」での母親役とキャラがかぶりますが、昼ドラの「天までとどけ」での母親役といい、このタイプのキャラが板に着いてきました。
またその他のキャラの話でも、もう１人のしっぽ人間である子持ちのシングルファーザーと保母さんの触れ合いや、罪の意識を感じ出す早川のエピソードなど、どのキャラも生き生きしていて楽しめます。
この映画は函館港イルミナシオン映画祭（どういう映画祭か僕は知らないのですが）での、第４回シナリオ大賞の準グランプリを受賞した作品の映画化だそうですが、なるほど賞を取るだけのことはある、後味のさわやかな映画に仕上がっています。

宮崎あおいはこの映画に出るまでは「害虫」など、暗いキャラを演じることが多かったそうですが、この「パコダテ人」では途中で名乗る「ピカル」のようにピカピカ？輝くキュートな表情が見れます。地元？北海道出身のグループ、Whiteberryが歌う挿入歌とエンド曲も元気に映画を盛り上げています。

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リリイ・シュシュのすべて

このところ映画監督としての名前を聞かなかった岩井俊二氏がようやく放つ作品は、田園風景のきれいな地方の中学生の話です。しかし物語は映像のきれいさとは逆に、万引き、いじめ、援交、レイプといった悲惨なエピソードが展開します。映画はそんな現実風景の上に、架空のスター・リリイ・シュシュのファンサイトの書き込み文をつづっていき、現実の悲惨さを癒すようにリリィの素晴らしさを謳い上げます。
いじめ等暴力行為が映画で占める割合はそんなに長くないようですが、描写が描写だけに印象が強くなります。これらの暴力行為は新聞やＴＶで見聞きする行為を寄せ集めたようにも思えて、現実に関東圏の中学校でこんなに多く隠れた暴力行為があるのかどうかは疑問です。
とはいえ、主人公格である雄一がいじめっ子のいいなりのままになっていたり、先生がいじめを知ってても何もしないのはリアルではあります。
また主人公？を含め、現実の世界に理解者はなく、リリイのファンサイトというバーチャルの世界に理解者がいるという皮肉もまたリアルな感じがしました。世界（風景）の美しさに逆行するような、精神的な閉塞感はそれなりに表現されていると思います。

それゆえに見ていて面白くなく、不愉快になりました。岩井監督の映画はたいがい正統エンターテイメントとは違う作りだから、今回も映画的なカタルシスを期待するのは無理と思っていましたが、終わりらしからぬ中途ぽい終わり方には、「だから何？」と言いたくなりました。これで１４６分は長いでしょう。
劇場公開の時は今ひとつ気が乗らなかったのでビデオで見ましたが、劇場で見てたら寝たと思います。

田園風景やカイトなど撮影はきれいで、リリィに関する書きこみ文が出る時に一瞬変換のような違う字体が出る処理も面白く、音楽の盛り上がりもハッとするところがあって、描写の点では悪くありません。外面はきれいだけど、中味は辛い映画です。

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今　昔　伝　奇
座　敷　童
百物語

武蔵の国のとある村の神社、拝殿の中で浪人（小沢仁志）が寝ようとしていたが、足音が近づいてきたので物陰に隠れる。それは村に住む若い男女のグループで、彼らは持ってきたろうそくを立て始める。「百物語かい？」と浪人は若者たちに声をかけ、仲間に入る。彼らはやがて一人ずつ、怪談を語り始めるが、全員が一巡し終わったところで浪人が声を上げた。「一人多くないか？」若者たちは全員を知っている、と初めは否定するが、なおも追及する浪人にその自信が徐々に揺らぎ始める。ついに一人が「誰なんだよ！」と声を上げた次の瞬間、彼は斬られて絶命する。浪人が自分の刀を抜くとそれは血まみれになっていたが、刀はさやに入ったままだった…。

前半は、６人いる若者たちのうちの誰が他人か？ということから起こる疑心暗鬼の話になります。しかし途中でこの謎はあっさりと観客に明かされ、後半は６人目の人物による復讐劇という陰惨な話の展開になります。
一見仲良しグループの若者たちが、疑惑の１人ではないと主張することで、彼らの抱える秘密が徐々に暴露されていく過程は興味を引かれるし、キャラの個性がその中ではっきりしていくので話がこんがらがることはありません。全体的に「楢山節考」のような、ムラ社会の閉鎖性をネタにした話で、ドロドロ具合が楽しめました。
映画はほとんど拝殿内に限定されていて、舞台劇みたいな感じですが。中盤でなぜか外にワープします。初めは戸惑いましたが、理由は後で明かされます。ずっと１つの室内だと見ていて飽きるので、これもアリでしょう。

消されたろうそくの数字をカウントしたり、キャラが他の人物に疑問を呈するときに「Why」などの字幕を出したり、回想シーン？をビデオテープぽく巻き戻して見せて「リワインド」や「リプレイ」の表示を出すといった手法は変わっているし、分かりやすいやり方です。でも英語表記は時代劇にそぐわないように思いました。

小沢仁志演じる浪人は外見やしぐさ、そして名無しという設定まで、まるで黒澤明の「用心棒」や「椿三十郎」で三船敏郎が演じた三十郎のコピーですが迫力は今ひとつで、オマージュというよりパロディに見えました。

この作品は「今昔伝奇」のタイトルをつけた３つの映画シリーズの１つで、奥田瑛二演じる盲目の法師が共通のキャラとして３つの作品の冒頭とラストに登場するようです。しかしこの「座敷童」では法師が何者で、物語とどういう関わりがあるのか語られないので、なんでこれに出ているのか？意味がよく分かりません。
また映画は彼の目の大アップから始まるのですが、盲目という設定のせいかコンタクトレンズの輪郭がモロに分かってしまって、変に見えました。

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月　に　沈　む

とある病棟。女性患者みなも（浜崎あゆみ）が医者（糸井重里）に、最近同じ夢を見ると言う。夢の中で彼女はかがりという名の古い時代の巫女で、１００年に１度昇る赤い月に捧げる生けにえとして、湖に沈められる運命にあった。そしていよいよ彼女が湖へ連れて行かれる時、恋人の侍ソンシン（伊勢谷友介）が助けに来る。彼は群がる侍たちを切り倒し、かがりを連れて脱出するが、追跡の手は緩まなかった…。

浜崎あゆみの「Voyage」からインスパイアされたという、４０分くらいの長さの作品で、渋谷のシネクイントで１０日間限定で公開されました。
前世で悲劇にあった、浜崎あゆみと伊勢谷祐介演じるカップルが「ソウルメイト」（いかにも浜あゆが好きそうな言葉）として再びめぐり合うという、他愛ないほど単純な話です。なのでこの作品は短編映画というより、パッケージに書いてある通り、「長編ミュージックフィルム」として見た方がいいでしょう。
しかしラストで流れる「Voyage」の盛り上がりにシーンが上手くマッチして、最後は素直？に感動してしまいました。

この作品を見たくなった理由は、「Voyage」のミュージックビデオでも一部使っていた過去のシーンでした。作品の中ではこの時代設定は語られておらず、侍たちが烏帽子のようなものを被っていたり、かがりの髪型がみずらのような古墳時代ぽい外見で、チマチョゴリぽい着物姿、といった感じにキャラの外見はアジアの種々の地域と時代の装束をミックスしたような独特なデザインです。ゲームやコミックではこういう和風ファンタジーぽい描写はありましたが、実写ではめったにありません。
また「月に沈む」というタイトルも、「月」と「沈む」という、普通なら結びつかないであろう単語を使っていることで独特な世界観が感じられます。この意味は作品を見れば分かりますが、かがりが「沈む」シーンは合成を使って幻想的なシーンに仕上がっています。

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トーキョーＸエロティカ

１９９５年、ケンヂは地下道での毒ガス散布事件に遇い命を落とす。その２年後、ケンヂの恋人だったハルカ（佐々木ユメカ）は、昼間はＯＬ、夜は娼婦という生活を送っていたが、着ぐるみの客にラブホテルで殺されてしまう。その数年前、彼らはケンヂの家で愛し合っていた。その数年後？同じ家で４人の男女が乱交関係に陥る…。

元々は新東宝のポルノ映画ですが、監督にファンが多いらしく、ピンク映画チェーンで公開後に渋谷のシアターイメージフォーラムで、一般作品として公開された映画です。
映画では時間もキャラも違う、一見バラバラなエピソードが展開しますが、その中でスプーンや着ぐるみといった共通のアイテムを出したり、同じ場所で同じアクションをしたりといったように、各エピソードには多少つながりが匂わされていて、死んだはずのキャラが別の時間で生きているなど、全体的にパラレルワールドを思わせる構成は変わった感じではあります。
また、各エピソードの間には生身の役者のインタビュー（これも演技かもしれないけど）が挿入されます。これはＡＶでよく見られる手法ですが、普通の映画と違う、ドラマとドキュメンタリーを合わせたような独特の雰囲気が出ています。
しかしそういった構成が何を語っているのか、よく分かりません。ラストでは、前に死んだと描かれた人物が生きていて歌っているなど、妙にハッピーエンドぽいのですが、不可解な終わり方です。
エピソードの中には地下鉄サリン事件や東電ＯＬ殺人事件など、実際の出来事をネタにしたと思われる話もありますが、そのことで映画が面白くなっているかは疑問だし、テーマ的なものは僕には感じ取れませんでした。

ピンク映画ということでＨシーンの多い作品ですが、ノーマルなＳＥＸはあまり出てこなくて、３Ｐでしかも男が連続で射精するとか、男が自分の尻に女の指を突っ込ませてイこうとしたり、男同士で絡むなど、Ｈはけっこう笑えます。

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１　３　階　段

クラブで絡んで来た男を誤って殺してしまい、今は仮出所している三上（反町隆史）は、刑務所で世話になった刑務官・南郷（山崎努）から、ある死刑囚の冤罪を晴らす調査の手伝いを頼まれる。その死刑囚が起こした事件の現場は、三上が殺してしまった男の実家のある町で、父親（井川比佐志）に挨拶に行った三上は散々に罵倒される。その後、南郷と三上は調査を依頼してきた杉浦弁護士（笑福亭鶴瓶）に会うが、彼にその調査を依頼してきた人物の名前は秘密にされる。問題の死刑囚（宮藤官九郎）は記憶喪失で、つい最近「階段」という言葉を思い出したらしい。２人は死刑執行の期限である３ヶ月の間に事件の真相を探らなければならなくなる…。

江戸川乱歩賞を受賞した小説の映画化です。
南郷と三上が調査する事件だけでなく、三上が起こした事件にも謎が設定されており、それらの真相に引かれて、全体的な話は退屈しませんでした。
これらの事件の話はちゃんと整理されていて、物語を混同することはありません。ただ、事件に関連したいくつかの謎解きの中には、本来もっと盛り上げられるものを、あっさりとバラしてもったいないと思えるシーンもあります。
また、調査している事件の真相や依頼人の正体が分かってくると、なんで何千万という高い報奨金を出してまで調査をさせるのか疑問に思えてきます。こんな結果になるなら何もしない方が良かったと思うんだけど…。

この映画で胸を打たれたのは本筋のシーンから外れた、南郷の心の傷になっている過去の死刑執行のシーンでした。ここで死刑囚を演じているのは「雨上がり決死隊」の宮迫博之ですが、下手メな演技がかえって朴訥な感じを出していて、上手くハマっています。
こういったシーンから、この作品は死刑制度を問題にしたいように思えますが、映画はそれを良い悪いと言うわけでもなく、語り方があいまいです。「デッドマン・ウォーキング」みたいにストレートにやればいいものを。

南郷役の山崎努は実直な人間像で、いつも通りの渋い演技を見せてくれますが、「ＧＯ」みたいな強烈さは無くて、面白みには欠けます。
三上役の反町隆史はこれまでのＴＶドラマでの役柄とは違う、無口で重いキャラを演じていますが、感情が伝わってきません。新境地を開拓しようという意気込みは分かりますが、彼には荷が重すぎたように見えます。
反町と木内晶子（かわいい顔してるし芸歴もそれなりにあるのに、今ひとつメジャーになれないのがかわいそう）の関係は、２人がかつて映画版「ＧＴＯ」で先生と生徒役で共演していたことを思うと、ちょっと面白い感じです。でも木内の最後のシーンはいかにも映画的で、都合良すぎます。

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ロ ボ コ ン

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偶然にも最悪な少年

偶然にも最悪な少年

座 頭 市

座 頭 市

ドラゴンヘッド

ドラゴンヘッド

天 使 の 牙

天 使 の 牙

ゲ ロ ッ パ ！

ゲ ロ ッ パ ！

茄 子 アンダルシアの夏

茄 子

アンダルシアの夏

さよなら、クロ

さよなら、クロ

六 月 の 蛇

六 月 の 蛇

Laundry ランドリー

Laundry ランドリー

ＧＵＮ ＣＲＡＺＹ ３ ＧＵＮ ＣＲＡＺＹ ４

ＧＵＮ ＣＲＡＺＹ ３ ＧＵＮ ＣＲＡＺＹ ４

あ ず み

あ ず み

魔 界 転 生

魔 界 転 生

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード

ぼ く ん ち

ぼ く ん ち

呪 霊 THE MOVIE

呪 霊 THE MOVIE

ＤＯＧ ＳＴＡＲ

ＤＯＧ ＳＴＡＲ

パコダテ人

パコダテ人

リリイ・シュシュのすべて

リリイ・シュシュのすべて

今 昔 伝 奇 座 敷 童 百物語

今 昔 伝 奇 座 敷 童 百物語

月 に 沈 む

月 に 沈 む

トーキョーＸエロティカ

トーキョーＸエロティカ

１ ３ 階 段

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ロ　ボ　コ　ン

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座　頭　市

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天　使　の　牙

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ゲ　ロ　ッ　パ　！

ゲ　ロ　ッ　パ　！

茄　子

アンダルシアの夏

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六　月　の　蛇

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ランドリー

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ＧＵＮＣＲＡＺＹ３
ＧＵＮＣＲＡＺＹ４

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