奇蹟の輝き

まだ見ていない人

死後の世界に来た男が、彼を追って自殺した妻を捜す、地獄巡りの話です。死後の世界の描写ということで、アメリカ版「大霊界」とも言えるでしょうか。
「大霊界」での死後の世界は、天国と地獄にスタンダードに分かれていましたが、「奇蹟の輝き」の死後の世界は、自分のイメージに合わせて個人個人の世界が作られ、自分が死んでいる事実をちゃんと受けとめた者は、天国のように見える明るい世界を作るし、死んでも自分を責めつづける者は地獄のような暗い世界を作る、という形で、このアイデアは独特な感じがします。
臨死体験の話で、その時に垣間見た死後の世界というのは、そこに行ったわけではなく、脳の中で自分が作った「死後の世界」のイメージを見たものであるという説を思わせます。
こういった死後の世界のイメージが、この映画の一番のウリでしょう。ただし、内容のほとんどが死後の世界だったことで興味をそそられた「大霊界」とは違い、「奇蹟の輝き」は現実世界の話もかなりあったせいか、退屈を感じた箇所もありました。話も先が読めてしまい、「「ゴースト」を超えた感動」とはとても思えませんでした。
主人公クリス（ロビン・ウィリアムス）の死後の世界は、妻の絵をモチーフにした風景で、絵の中に入り込むという発想は、黒沢明の「夢」でも出てきたし、目新しいものではありませんが、その世界が本当に絵の具からできていて、空や地面が絵の具のように動く、というイメージは初めて見ました。これはデジタルでなければ作れないイメージでしょう。画像加工用のソフト「Ｐａｉｎｔｅｒ」がアイデアの元になっていると想像します。
この作品は「アルマゲドン」と９９年のアカデミー視覚効果賞を争いましたが、「アルマゲドン」のＳＦＸは技術的には凄いものの、隕石の落下やスペースシャトルの飛行など、そこで描かれた画面は誰にでも想像のつくであろうイメージですが、「奇蹟の輝き」のような、絵に入り込むイメージは誰にでも想像がつくものではないと思われる分、オリジナリティーを感じられたのでアカデミーを取れたのだと思います。ま、メジャーなエンターテイメント作品を冷遇する傾向のあるアカデミーの伝統もあったかもしれませんが。
天国の「街」は人が飛んでいたりして、スタンダードなイメージを感じましたが、地獄の方は海に無数の死者が泳いでたり、地面がたくさんの人の顔に覆われていた（このイメージはＴＶ「人体」のオープニングＣＧにありました）り、と面白いイメージでした。ただ、死後の世界のシーンはほとんどが予告で紹介されてしまっていたので、本編を見ても驚きが無くなり、物足りない感じはしました（これはしょうがないことですか）。
マックス・フォン・シドーが地獄への案内人役で出演しています。重鎮ともいえる役者なのに、「ニードフル・シングス」や「フラッシュ・ゴードン」などのホラーやファンタジー系統の作品にも区別なく出てくれる人は貴重ではないでしょうか。彼が出ると映画の格が上がる感じがします。
天国の案内人で「新スター･トレック」と「ディープ・スペース・ナイン」にケイコ・オブライエン役で出ている､ロザリンド・チャオが出演しています｡役の上の旦那のオブライエンも「コン・エアー」に出ていたし、なじみの人が売れていくのを見るのは嬉しいです。

すでに見た人

クリスの子供が、死後の世界で初めは生前そのままの姿で出てこないのは、観客をわざとだますためのような感じがしました。それとも、同じ出演者ばかりだと世界観に広がりが無くなるかもしれないから、違う役者にしたのでしょうか？

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