ロスト・イン・スペース

 

まだ見ていない人

TVシリーズはチープでのどかなイメージがありましたが、このリメイク映画版は現代的にハイペースでかっこよく仕上がっています。タイトルがこれでなかったら、別物と思ったでしょう。
宇宙船に未来都市にタイムトラベルに不気味なクリーチャーにと、SFネタになるものは何でも詰め込んだ感じですが、このゴージャスさはスペースオペラにはふさわしいかもしれないです。詰め込み過ぎな感じはするものの、話の方はクライマックスを除けば、破綻しないギリギリの所で持っている感じです。
主役の親子関係が理想的ではなく、うまくいってないというのは今っぽいです。ただし、メインのストーリーの展開に時間を取られ、親子関係を描いたエピソードが息子のウィルくらいだったのが気にかかりました。末娘ペニーと父親との関係修復の描写もほしいところです。
冒頭の地球や、その周辺のシーン(ハイパーゲートのステーションとか)ではSFXのオンパレードで嬉しいシーンでした。ただ、地上のビルがどうもCG臭い感じがしたのは気のせいでしょうか?
日本版のみ「フレンディ」と命名された「ロボット」(オリジナルでも「フライデー」ではなく「ロボット」と呼ばれてたみたい)が、初めに出てきた時はオリジナル版とずいぶん違った形(デザインはかっこいい)だったのが、後半でオリジナルと似た形になったのはオリジナルを意識した感じがします。
戦闘ヘルメットのアーマーがかかっていくギミックや、ジュピター1のブースターがせり上がるギミック、ハイパードライブ時にパーツが動いていくギミックなど、メカの動きがかっこいいです。飛び立ったジュピター1がぱかっと割れて、中からジュピター2が出てくる見せ方も気持ちいい!
メカのデザインを曲線主体にしたのが独特の世界観を感じさせます(個人的にも好み)。「エイリアン」や「マクロス」の宇宙船なんかそうですが、曲線メインのデザインだと未来っぽいというか、異世界っぽくなります。
ハイパードライブに入った瞬間に船内がフリーズ(時間が止まったという意味の描写か?)したのは、「ヤマト」でのワープシーンを思わせる、それらしくて面白い描写でした。ただ映画では、ハイパードライブ後に通常空間に出た瞬間は宇宙船の外しか映されませんでしたが、この時宇宙船の中ではフリーズが解けて、例えば父親にジャンプする途中でフリーズしてしまったウィルなんか、床にドシン!と落ちたりしたのではないかと思うのですが、そういった中の混乱を映さないのは物足りない感じがします。
ドクター・スミスを演じるゲーリー・オールドマンは今回も怪演でしたが、この映画版でのドクター・スミスはどうも「レオン」の悪役のキャラに近い感じがします。オリジナルでは彼ってもっとドジで小心者だったように思います。
ウィルのような、小さい男の子が天才少年という設定はありがちな感じがしました。

 

すでに見た人

途中で登場する、地球軍の宇宙船がロビンソン達にとっては「未来から来た」ことになっているのは、ロビンソン達が地球を出発して以降に技術が進み、もっといいハイパードライブでも作られたためにロビンソン達を追い越すことになってしまった、と解釈できるので、この点に関しては違和感は感じませんでした。ここはロビンソン達の方が「未来に出た」(ハイパードライブで不都合があった?)、ということではないと思います。とはいえ、惑星にいたもう一人のウィルは年取ってたから、やっぱハイパードライブの時に未来に出たと解釈もできるかなあ?
惑星に着いた後に判明する、ロビンソン達のもう一つの未来が、一体どこで枝分かれしたのかが分かり難かったです。時間ネタの話ってたいてい論理的な部分はあいまいにしています(でないと話がつながらないし)が、これも話の流れのノリで強引にそういう展開にしてしまった感じです。
ここで出てくる、宇宙グモになったドクター・スミスは本人の雰囲気をうまく残し、不気味だけど間抜けな感じもする、うまいデザインでした。
ペットのクリーチャー・ブラーフはこの話では単なるマスコットになっていましたが、クライマックスでバケるみたいな秘密があれば、面白くなったと思います。

 

 


 

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