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できれば白紙の状態で、何の予備知識も無しに見ることをお勧めします。
その方が話の内容といい、アクションといい、驚き倍増です。
なので、ここにはこれ以上書きません。
とにかくまだの人、見て下さい。
「残念ながら、マトリックスの秘密を語ることはできない。自分の目で確かめろ。」
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ここから先を読む方、「マトリックス」見ましたよね?
まだ見てない人、これから先は読まない方がいいです。
いや、絶対読んではダメです。ネタばれです。
今年の春アメリカで大ヒットしてた時、オフィシャルサイトにあった予告編を見てみると、アクションシーンの描写が迫力あって、かっこよさそうと期待してました。
それから4ヶ月、その期待を裏切られることはありませんでした。
ただ、オフィシャルサイトの予告でかなりのシーンを紹介していた(TVCMなど、かなりパターンありました)ので、話の内容は知らなくても、どういうシーンが出てくるかは大方知ってしまっていたので、驚きが薄れたのは残念でした(これは映画のせいではないですが)。
現代の世界が仮想現実であるというコンセプトは小説「ループ」でありましたが、映像で見せたのはこの作品が始めてでしょう。その意味では斬新だと思います。
実世界では人類はコンピューターに支配されている、という世界観は「ターミネーター」みたいな感じがしました。人類がコンピューターのエネルギー源というのはかなりぶっ飛んだ設定だと思いますが、人間を入れたポッドが無数に並ぶシーンなどの、未来マシンのイメージは独創的な感じがしました。イカのような敵マシンの動きも面白いです。
死んだ人間を栄養源として人間を栽培してるなんて、「ソイレント・グリーン」を思い出します。
この作品のアクション指導には、香港からユェン・ウーピンという人を呼んだそうですが、アクションのスピード、動きに今までのハリウッドアクションムービー以上の迫力が出たのは彼のおかげでしょう。これも監督のウォシャスキー兄弟がユェン・ウーピンだけでなく、彼のチームもアメリカに呼び、撮影方法も香港と同じスタイルを採用した故にできたことだと思います。ウォシャスキー兄弟がいかに香港映画に注目していたかの証明でしょう。
そのせいか、ネオ(キアヌ・リーブス)とモーフィアス(ローレンス・フィシュバーン)がカンフーの試合をするシーンや、ネオと黒メガネの男が地下鉄のホームで戦うシーンなんか、アングルといい、アクションの速さといい、香港映画を見てる感じでした。キアヌの空中蹴りなんて、モロ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」でしょう。ラスボスの戦闘がカンフーというのも香港映画に多いパターンですし。
ワイヤーワークの使い方がうまいのも当然で、トリニティが壁を1回転するシーンなんて惚れ惚れしてしまいました。冒頭に出てくる、トリニティの空中静止&キックのシーンなんて、技術的にもイメージとしても素晴らしいシーンです。
アクションそのものの良さだけでなく、カット割りも短いのでテンポが快調になり、アクションシーンが余計にかっこ良く見えました。香港アクションの優れた技術と、ウォシャスキー兄弟の演出テクニックが融合して、映画史上に残るアクションシーンを作り上げたと思います。
この作品では普通以上に速い動きの場合、残像を見せたりしてスロー気味に見せてますが、「600万ドルの男」でも早い動き(走るシーンだけですが)の時は単純にスローで見せていたことを思い出しました。ま、どちらが上手い見せ方をしてるかなんて、言うまでもないことですが。
今作で人気が上がったキアヌ・リーブスのことを「完全復活」と書いた雑誌がありましたが、別にそんな落ち目になったわけでもないだろうから、そういう言い方は彼に失礼だと思います。「スピード2」に出たとしても、内容があれでは人気が上がることはなかったでしょうし。
キアヌは始めは不良ぽいというか未熟な感じがするものの、最後には自分の使命を自覚し、それゆえの強さを発現させるキャラがぴったりハマっていました。若さの中に威厳をも見せてしまう演技はさすがです。
同じキアヌが主演した「JM」も仮想現実ネタでしたが、「マトリックス」と違い、キアヌのキャラを生かせるシナリオでなかったのが「JM」の失敗の理由だったかもしれません。
アクションにしても、キアヌがあんなに上手くカンフーを使えるとは驚きでした。まるで香港映画のスターみたいで、トレーニングの成果が十分に発揮されたと思います。
トリニティ役のキャリー・アン・モスもネオの頼れるパートナーを好演してました。コワイねーちゃんだけど、サングラスを取るとなかなかの美人というのがまたヨイです。
モーフィアス役のローレンス・フィシュバーンも適役でした。ネオは自分が救世主であることを信じてはいませんでしたが、そうであっても、モーフィアスは最後にはネオが使命を自覚すると知っていたのではないか、という気がします。
「トリニティ」は「三位一体」という意味で、「ネオ」は「新しい」という意味だし、「モーフィアス」の名前にも何か意味がありそうな感じがします。
現実の認識は、脳からの電気信号によるものにすぎないという考え方は面白いです。臨死体験なんかもこれで説明できるかもしれません。でもこの考え方だと、マトリックスの方こそ幻想かもしれない、という推測も成り立ちますね。となると、たしかにモーフィアスの「夢と現実をどうやって区別する?」という質問は答えにくい質問です。「現実」て何でしょう?
10年以上前に「メガゾーン23」というビデオアニメがリリースされましたが、舞台が東京であるけど、その東京が実は宇宙船の中に作られた都市という内容でした。
この中に住んでいる、海外に行ったことがあるという住民は、意識操作されて海外に行ったと思い込まされる、という話がありましたが、ウォシャスキー兄弟は日本のアニメが好きらしいので、これを見てたかもしれません。
僕のお気に入りの作品「ダークシティ」も暗い都市の話でしたが、一般人は記憶操作され、主人公は敵に対抗できるスーパーパワーを持った男、という点は「マトリックス」と共通しています。2作品の製作総指揮が同じ人であるというのは単なる偶然でしょうか。それに2作品とも、ロケ地はシドニーだし。
モーフィアス達は現実世界では船(どういう動力システムで動いているのかは不明)に乗っています。始めて出てきた時は船内の描写のみで、セリフでこれが「船」と言うだけだったのですが、船ならばどんな形をしていて、どこをどう動いているのかが気になってしまいました。後のシーンになって操縦席や外観が出てきたので本当に船だと分かりましたが、もう少し早く操縦席か、外観を出してほしかったです。
ラストでモーフィアス達の船は敵メカに目茶苦茶にされますが、どこで修理するんでしょう。自然に生まれた人間達が暮らすという街・ザイオンでかな?続編ができるそうですが、そんなシーンから始まるのかな。いずれにしよ、楽しみです。
続編が出来るとすれば、これのサブタイトルは「エピソード1:覚醒」という感じでしょうか。
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