踊る大捜査線

 

 

まだ見ていない人

TV版終了からかなり時間が経っているのに関わらず、これほど劇場に長蛇の列ができるとは思いませんでした。客層は高校生や大学生あたりの層がメインかと思っていたのですが、小学生や中学生などの低年齢層が目立っていたのは意外でした。

邦画では「もののけ姫」以来、久々の興収1位だそう(「リング」も大ヒットしましたが、「タイタニック」のおかげで興収1位は取れなかったそうです)ですが、この出来ならそれも分かります。最後まで飽きさせず、邦画では珍しく、終わりには拍手まで鳴りました。

話のメインは警視庁副総監の誘拐事件ですが、その他にもサイコキラーによる殺人事件や、湾岸署内での盗難事件など、無関係な事件が連続して起こるので、一歩間違えば話が散漫になってしまうところを、全ての話に青島(織田裕二)を絡ませることで上手くつないでいます。また青島が全部の事件に関わるハメになったため、彼が睡眠時間を奪われてしまうのが後の重要な展開の伏線にもなっていて、ひょっとしたらたまたまそうなってしまったかもしれませんが、結果的にはうまく生きました。

キャラクターがすでに出来上がってるますから、キャラの性格をはずさない話作りにしていれば面白くできるでしょう。パンフによれば。プロデューサーが初めのうちは「映画」を意識しすぎてドツボにはまってしまったものの、やがていつも通りの「踊る」をやればいいと納得する話が書いてありましたが、それで正解でした。

冒頭シーンがやけにシリアスタッチの、普通の刑事ドラマぽく始まりますが、シーンの途中でコメディになり、いつもの「踊る」に戻った感じになります。しかしここでは、フィルムの色調が渋いタッチのまま進んだのには違和感を感じました。コメディになった段階で演技だけでなく、画面の色調も明るく変えてほしかったです。

 

 

すでに見た人

煙突から煙が、それも白黒画面に煙だけピンク色という、モロに「天国と地獄」というカットがあり、パクったな、と思ったら、青島が「天国と地獄!」と言いますから、これは確信犯でしょう。「羊たちの沈黙」のパクりのシーンもそういうことなんでしょうか。

小泉今日子は口を開くと歯の矯正具が見え、これが不気味に映ります。怖さを表すのには効果的ですけど、これって歯に矯正具をつけてる人の偏見にならないでしょうか。矯正具をつけてる子供がいじめられたりしないですかね。

ポスターではメインのメンバーが全員銃を構えていましたが(なんで水野美紀がウージーなんだ?)、映画の中では青島たちが銃を1発も撃たなかったのは「踊る」らしかったです。

青島が刺され、室井が彼を車で運んでいくシーンでは、ここで青島が死んだら後味の悪い映画になるから嫌だなあと思っていたので、ああいう展開で一安心でした。イビキが聞こえた時に、周りの観客もホッとしたみたいです。ただし、これまでの展開では青島がろくに眠っていませんでしたから、ここでは単に眠っただけじゃないか、という予想もしてはいましたけど。

どうせなら、夏のスペシャルで出た内田有紀と渡辺えり子も、傷ついた青島を見送る警官たちの中に特別出演で出してほしかったです。

 

 


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踊る大捜査線
THE MOVIE 2
レインボーブリッジを封鎖せよ!

 

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まだ見ていない人

日本映画で超大ヒットとなった「踊る大捜査線」の続編ですが、今や第1作から5年が経過しています。このところ、織田裕二の主演したTVドラマや「TRY」といった映画がヒットした、という話を聞かないので、今頃パート2を作るワケは、彼の人気回復を狙ったものか?と勘ぐってしまいましたが、どうやらそれは外れのようです。
お話には前作同様に都合いい箇所がかなりあるし、サブタイトルにもなっている「レインボーブリッジ封鎖」のエピソードはそう重要でもなく、冒頭のビデオも伏線と言えるほど生きてはいません。そういった突っ込みたくなるシーンがいくつかあるものの、全体的には今回も前作と同じように、冒頭からエンドロールに至るまで退屈することなく、楽しめる作品に仕上がっています。
話の要素には前作と同じパターンが色々と見られますが、前作では「天国と地獄」だった推理映画ネタも出てきます。話にとってあまり重要でないのも前作同様ですが、その映画を見たことのある人なら「今度はそれか!」と、ニヤリとしてしまうでしょう。
また前作では主人公の青島が命の危機に陥りましたが、今回もある重要なキャラが同じような目にあいます。予告でそのことを匂わせていますが、誰なのかは予告から予想すると外れるでしょう。

今回は映画でも実時間と同様に5年が経ったことになっています。ちょっと前に「お台場温泉物語」ができるなど、お台場の変化はこの5年間で著しいものがありますが、湾岸署も例外ではなく、受付に大きなモニターがあるなど観光案内所みたいに変わっているのは驚きでした。
湾岸署が変化しているなら当然、キャラクターも異動や経験などで変化していて、それもこの映画のお楽しみです。青島やすみれや和久は相変わらずですが、雪乃は前作以上に刑事らしく見えています。真下の地位にはびっくりでしたが、話術の上手いユースケ・サンタマリアならではの適役です。彼と雪乃のやりとりはなかなか笑かしてくれます。
またTVや映画によく顔を見せるものの、たいがい情けない役で、「踊る大捜査線」でも玄関番にすぎなかった甲本雅裕が今回は刑事に出世していて、本庁に刃向かおうとするような熱い!ところを見せてくれます。
TVシリーズや、前作でも端役だった婦警のねーちゃんたちも今回は昇進していて、パンフには他の刑事たちと同格でちゃんとコメントが載っていたのは嬉しいところでした。
スリー・アミーゴーズは地位に変化はありませんが、署長にはある災難が降りかかります(予告の「署長辞職」はウソ…かな?)。3人とも相変わらず小心者のキャラですが、小野武彦の部下を思う姿勢にはかっこさを感じました。

今回のお話では、青島の前に強力な「敵」が立ち塞がります。それは事件解決のために本庁から派遣された管理官・沖田ひとみで、青島は犯罪者だけでなく、味方であるはずの警察組織の両方と戦わなければならなくなります。「バトル・ロワイアル2」でもそうですが、やはり敵が明確であった方が、ドラマは盛り上がります。
沖田ひとみのキャラクターはかなり強烈で、青島と彼女との軋轢に興味を引かれました。ただ、彼女が憎まれ役に徹してしまっている(だからこそ盛り上がる部分もある)のが、かわいそうにも思いました。彼女の性格的な背景を語るとか、どこか同情できるような、いい部分を出してほしかったようにも思います。

彼女に比べると犯罪者の方は印象が弱くなります。彼らがやってることは悪いことだけど、その事情を追求すると彼らが悪といっていいのか疑問になってしまう可能性があり、かなり暗い話になってしまうかもしれないので、あえて深く描かなかったのかもしれません。話のリアリティーを取るか、カタルシスを取るか、バランスが難しいところではあります。

彼らの組織は同時多発テロから考えたそうで、なかなか変わった形ではありますが、全てのメンバーが強固なモチベーションを持つならば成立するであろう点が、彼らには敵となる、後半での室井や青島たちの活躍と共通するようで面白いと思いました。

 

 

すでに見た人

今回の特色は、多数の監視カメラで犯罪者を監視するシステムの導入で「事件は会議室で起きている」状態を作っていることでしょう。
この映画の公開前に長崎で幼児が殺害される事件があり、12歳の少年が逮捕されましたが、犯人特定の決め手になったのは商店街に設置していた監視カメラの映像だったという話がありました。映画はプライバシーの侵害を問題にしていましたが、現実は既にそういうことを言っていられない、先を行ってしまったようです。
以前「エネミー・ゼロ」というゲームが出たときに、製作の飯野氏(このところ名前を聞かないぞ)がこれを「デジタルな悲劇」を描いたゲームと言っていて、その例として、出張先でニュース番組を見ている時に火事になった自宅が写って、家族が危機に陥っているのが分かるのに自分は何もできない、ということを挙げていました。映画の中で雪乃が連れ去られる時、室井たちは見ているだけで何も出来ない状況に、そんなことを思い出しました。
しかし、この時カメラは現場を記録しているはずだから、その映像から犯人の写真を作れないのか?と疑問に思いました。もしこのカメラ群が監視だけで、画像の記録をしていないなら、設置した意味がありません。
ここで小泉孝太郎がオペレーターの役で出ています。髪形を変えたりしてがんばっていますが、彼にはこういう真面目な役が合っていそうです。でもTVでだんだん彼の姿を見なくなってきたし、これが最後の映画になったりして…。

予告でもあった沖田ひとみの「事件は会議室で起きてるの」は、彼女を印象付けるのに実に上手いセリフです。このシーンから察すると、前作の青島のセリフ「事件は会議室で起きてるんじゃない!」は前作の事件後にマスコミか、そこまで漏れなくても警察内部でかなり有名になったのでしょう。当然青島自身も有名になっただろうから、上昇志向が強いであろう沖田には面白くなかったかもしれません。今回湾岸署に来たのは、その青島をこき使えるということで、彼女のプライドをそそったのではないでしょうか。彼女が湾岸署のメンバーを「ショカツ」と呼び捨てにしたのは、エリート意識もあるでしょうが、青島に向けたゆがんだライバル意識が言わせたように想像します。

和久(いかりや長介)が引退宣告をするシーンは感動的でした。でも彼がすみれの手術中に泣くシーンでは、涙が出ていないのがウソっぽく見えました。ここは、顔のどアップではなく引いてくれた方が、そういう部分が見えなくて感動できたように思います。

青島がマスコミに輸血のお願いをするシーンは予告でも流れましたが、彼がどこでそのことを知ったのか疑問になりました。いやそもそも、すみれの手術に血が必要というシーンも出てこないので、このシーンそのものが唐突に思います。

エンドロールにはいろんな写真が出てきます。その中には映画ではセリフでしか語られてないシーンもあって見ものです。本編が終わっても席を立ったらソンすることになるのでご注意。

 

 

踊る大捜査線
BAYSIDE SHAKEDOWN 2

2003年度の大ヒット作「踊る大捜査線」パート2がヒットの余波をかってか、海外版が作られました。
この「BAYSIDE SHAKEDOWN 2」という英語タイトルが付けられたバージョンは、元の映画から18分くらいのシーンをカットし、未公開シーンが追加され、さらに音響効果では超一流と言われるスタジオのスカイウォーカー・サウンドで音響がリミックスされたそうです。
カットされたシーンで、分かったところは3箇所でした。
1)冒頭、「おだいばくん」が出て来るお台場紹介のビデオ。このビデオは全編カットされていますが、これは単なるお台場の紹介だけで話には絡んでいないので、これについては僕は切って正解だと思います。ただし、英語表記に変えられているエンドクレジットでは、このビデオを作ったスタッフのクレジットがしっかり入っています。外すのを忘れたかな。
2)ラスト、真下(ユースケ・サンタマリア)が雪乃に「結婚しよう」「子供作ろう」と迫るシーン。また、その後彼が捜査?に参加してるシーンもカットされていました。青島やすみれは残ってるのに。
3)エンドクレジットでの写真いくつか。署長が浮気相手の婦警とテニスコートで撮った写真や、潜水艦事件での青島と室井の写真は残っていますが、クレジットの初めの方にあった、脇役の刑事(メガネの背の低い刑事だけど、名前知らない)が一家で写っている写真がありません。ここに出てくる大方の写真は映画のシーンの写真なので、他にもカットされた写真があるかもしれません。

元のバージョンを見てから半年近く経って記憶が薄れているせいか、これ以外のカットは分かりませんでした。また追加されたシーンは全く分かりませんでしたが、少なくとも重要と思えるシーンで追加は無いと断言していいと思います。
音に関しては、元を見た時からそんなに注意を払っていなかったので、違いは全く分かりません。むしろDVDになった時の方がよく分かるのではないかと思います。

元のバージョンの公開はだいぶ前だから、お話は観客になじみだと思いますがそれでも、客席からはすすり泣きが聞こえたシーンがあったし、僕自身も、カジノで犯人を見逃してしまうシーンの見せ方には改めて感心したし、室井が指揮を取りだすシーンにはやはり熱くなりました。
元がどうだったかは忘れましたが、新管理官沖田ひとみに関して、悲しげなBGMを付けて過去を匂わせている感じのシーンがあるし、すみれが犯人たちと対峙するシーンで彼女が発砲許可を出さなかったのも、過去に何かあったように思えました。ここでもう少し沖田の内面描写を見せてくれると、単なる悪役でない、もうちょっと人間的なキャラになった気がします。

アメリカでパート1が公開されたのかは知らないし、今回はパート2のせいかキャラクターの紹介も無いので、初めて見る人にはとっつきにくいようにも思います。なのでこの映画がアメリカでヒットするとは思えませんが、犯人側の行動はテロにも応用できるパターンだし、監視カメラも今後テロ対策でアメリカでも増えてくるかもしれないので、そういった描写がアメリカでどう受け取られるか、興味はあります。

 

 


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交 渉 人
真 下 正 義

 

 

 

レインボーブリッジ封鎖事件から1年後のクリスマスイブ、警視庁のHPが警視庁交渉課準備室課長の真下(ユースケ・サンタマリア)向けの犯行予告に改ざんされる。室井管理官(柳葉敏郎)は真下を東京を走る地下鉄・東京トランスポーテーション・レールウェイ(TTR)の司令室に向かわせると、そこは実験車両「クモ」の暴走で大騒ぎになっていた。真下が部屋の一角に交渉課のメンバーを待機させると、彼に電話が掛かってくる…。

TVから映画に大ヒットした「踊る大捜査線」のスピンオフストーリー。今回は「踊る大捜査線2」でネゴシエイターに出世?したユースケ演じる真下正義が主演です。
今回の舞台は大方がTTRの司令室で、湾岸署は全く出てきません。湾岸署のメンバーも、織田裕二やスリーアミーゴースなんかは出てこなくて、雪乃(水野美紀)や甲本雅裕など数人が顔を見せるだけだし、室井も冒頭とラストしか顔を見せません。
こういう風に映画は、舞台もキャラクターも「踊る」と大幅に違うので、見てくれは「踊る」とは違う新鮮な感じがあります。しかしディテールに凝った設定と、シリアスなお話の中への適度なユーモアの散りばめ具合なんかはやはり、「踊る」と同じような雰囲気を感じます。そしてシリーズ同様に燃える!シーンや爽快な描写で、「踊る大捜査線」の名を汚すことなく目いっぱい楽しませてくれます。
ただ、地下鉄と劇場の関係は回りくどい感じがしました。話の展開をもう少し整理してほしかったところも「踊る」と同じ感じです。ま、そんなとこまで似せなくていいんだけど。

「踊る」はキャラクターで楽しませてくれましたが、今回もそのパターンは健在で、特に國村隼、寺島進、東根作寿英、金田龍之介たちが演じる新登場の脇役キャラたちが、いい味を出してます。
中でも一番嬉しかったのは、チョイ役ながらも「新撰組!」の源さん役で鮮烈な印象を残した、小林隆が出ていることでした。下請けを鼓舞する中間管理職とは、ぴったりのキャラクターです。
また、いつも湾岸署にやられっ放しだったSATの草壁(高杉亘)が決めるシーンがあるのも、嬉しいところでした。

今回のユースケは主役であるからか、ちゃんと活躍してなかなかにかっこよく見えます。でも今までの真下のキャラと比べると、かっこよすぎな感じもしてしまいました。
真下と犯人はヲタクで同類とされてますが、今回の真下はあんまりヲタクぽく見えなくて、少々犯人への叫びシーンの説得力に欠けた感じがします。
また彼の部下の小泉孝太郎が映画ヲタクという設定だったと思いますが、そういう描かれ方が無くて、あまり活躍しなかったのは可哀そうでした。ただでさえ仕事少ないだろうに。

東京の地下鉄を現実にある東京メトロではなく、わざわざ東京トランスポーテーション・レールウェイ(TTR)というのをでっち上げたのはSF的な感じがしました。これってもしかして、東京メトロにロケを断られたゆえなんて、事情でもあったのでしょうか?
実験車両「クモ」はデザインも設定も近未来的な感じでしかも不気味さがあり、キャラクター性の感じられるメカになっています。

エンドクレジットに流れる写真は、日々の暮らしはいろんな人たちに支えられているということを思わせてくれて、「お疲れ様」と言いたくなるようないいシーンです。

この映画の公開前の4月に、尼崎でJRの脱線事故が起こり多数の死傷者が出ましたが、映画にはそれを連想させるシーンが少しあります。でもそのカットのためだけに公開を延期するのはどうかと思うし、上映する劇場も多いだろうからスケジュールからいっても、公開延期はほぼ不可能だったことでしょう。
ただせめて、CMでその類のカットを外すような配慮はすべきだったと思います。

犯人像は異論があるでしょうが、これはこれで不気味で今っぽい感じがしました。次回作「容疑者 室井慎次」の伏線かもしれません。

 

 


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容 疑 者
室 井 慎 次

 

 

 

室井管理官(柳葉敏郎)は、自ら指揮をとった殺人事件の容疑者である警官が事故死したことで責任を取らされ、逮捕されてしまう。その背後には金と名誉に貪欲な弁護士・灰島(八嶋智人)がいた。室井の担当になった新米の女弁護士・小原(田中麗奈)は彼を救うために奔走するが、警察庁と警視庁の確執は室井を追い詰めていく…。

「交渉人 真下正義」に続く「踊る大捜査線」スピンオフ企画映画の第2弾です。
今回の物語はリーガルサスペンスを狙ったそうですが、悪役が余りにも単純なのに呆れました。警察庁と警視庁の確執は「踊る−」らしいところだけど、キャラの行動があまりにカリカルチュアで、ありえねー!と言いたくなりました。「ザ・ファーム」といったハリウッドのリーガルサスペンス物の方が、まだ出来がいいです。
こういう薄っぺらい人物描写のため、「交渉人 真下正義」と比べると、今回はキャラクターが生きていると感じられません。「交渉人 −」はキャラのスピンオフの予定があるようですが、「容疑者 室井慎次」は無いでしょう。
「踊る−」のファンなら室井の行く末が気になってそれなりに楽しめるでしょうが、そうでない人には全く面白くないと思います。前回の「交渉人 −」と話の方向性が違うとはいえ、「踊る−」のテレビのエピソードでもこれほどひどい話は無かったように思います。
映画の中で唯一見られるシーンは室井の過去に関するものでした。設定はパターン気味ではありますが、柳葉の演技でそれなりに感動的に見れます。でも回想で描いた方が良かったかもしれません。

「交渉人 真下正義」同様、今回も青島は登場しません。柳葉氏と織田氏の不仲説も伝えられたし、そうでなくても織田氏のギャラやスケジュールの問題があるのでしょう。しかしこういうストーリーだと、さんざん室井に世話になった青島たちが、室井の一大事なのに出てこないのはかえってヘンに思います。スリーアミーゴスの見舞いくらいじゃ済むはずはなく、小原のやることを青島たちがやるでしょう。たとえ彼らが他の事件で忙しくても、和久が生きていることになっていんだから、彼が動けるはずです。

今回の監督、君塚良一氏の前作「MAKOTO」もいい映画とは思えませんでした。一方「交渉人 真下正義」を手がけた本広克行氏は、新作「サマータイムマシン・ブルース」でも楽しませてくれます。今回の「踊る大捜査線」スピンオフシリーズは期せずして、君塚氏と本広氏の格の違いを見せられた感じでした。

「交渉人 真下正義」の犯人、今回で明らかになると思ったんだけど…どうなったよ?

 

 


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踊 る 大 捜 査 線
THE MOVIE 3
ヤツらを解放せよ!

 

 

 

第2作の公開から7年ぶりに作られたパート3。今回は新しい湾岸署の引越しのタイミングを狙い、事件が起こります。内容に沿ったサブタイトルをつけるとすれば「復讐編」といった感じでしょう。
青島を始め、すみれさんやスリーアミーゴーズといった湾岸書のメンバーが相変わらずでブランクを感じさせなくて嬉しいし、今回新しく加わったメンバー、特に内田有紀はTVスペシャル版以来のはずですが、すっかり馴染んでいます。
またSITの隊長役の高杉亘氏のように、テレビシリーズや映画版などでたびたび登場しているセミレギュラーの人々が、ワンシーンのみの登場でもちゃんと顔を見せているのが嬉しいところです。あの「スター・トレック」のコスプレのおっちゃんも忘れられていません(しかも一人ではない!)。
室井も当然?出てきます。ただ彼は出世をしたおかげで現場から遠ざかった設定になり、今回は織田クンと柳葉クンの共演はワンシーンのみです。二人は仲が悪いという噂がありますが、さもありなんと思わせられました。
室井がそういう位置に行ってしまったせいか、今回は室井が後ろに控えて、青島たちが前線でがんばる、といういつもの構成ではないのですが、久しぶりに「踊る」を見たからなのか、あまり変には感じませんでした。
今回は青島たちの前に警察組織の壁が立ちふさがる、いつものパターンも控えめです。そんな中で新キャラの小栗旬が一人奮闘しています。今後パート4があれば、彼は青島たちの新しい障害になるかもしれません。

宣伝では今までの犯人役のキャラクターが登場すると言っていますが、何人かはワンシーンながらもちゃんと出てきます。しかし映画版の犯人、ましてやTVシリーズやスペシャルに登場した犯人なんて、見ていない人には分からないでしょう。今までシリーズを見てきた人は十分に楽しめるでしょうけど、そうでない人(特に映画版第1作を見ていない人)には敷居が高いかもしれません。
また青島のコートの行方不明に何の意味も無いというような、何の工夫も感じられないシチュエーションがちらほらあり、前2作より落ちる内容ではありました。

音楽のクレジットを見て、この「踊る大捜査線」の曲を作っているのは菅野祐悟氏だと初めて気づきました。この人は「ガリレオ」や「SP」など、いい曲を作っています。どうりでこのテーマ曲も耳に残りやすいわけです。

 

 


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