パーフェクト ストーム

 

 

1991年秋、マサチューセッツ州グロスターの港を、不漁続きの船長ビリー(ジョージ・クルーニー)や新米の漁師ボビー(マーク・ウォルバーグ)たち6人の漁師を乗せた「アンドレア・ゲイル」が今度こその大漁を目指して出港して行く。その頃大西洋を北上しつつあった、ハリケーン「グレイス」には2つの低気圧がぶつかり、観測史上最大の嵐が発生しつつあった。なかなか獲物に出会えないために外へ外へと出た「アンドレア・ゲイル」は大漁はしたものの、製氷機が壊れてしまったため、最短コースで港へ帰らざるを得なくなるが、それは嵐の中を突っ切ることだった…。

この映画の一番のウリは嵐のシーンです。ほとんどのシーンはCGで作られていますが、凄まじい迫力で、CGということを忘れてしまいます。特に予告編に出てきた、30メートル程の大波を船が登っていく?シーンは本編にもちゃんと登場していて、一番のクライマックスとなる凄まじいシーンです。
中には、ロケ中に実際にハリケーンが来たため、それが過ぎた直後に撮影した「本物」の高い波のカットもあるそうですが、見分けのつく人はまずいないでしょう。ビデオではなく、ぜひ大画面で見ることをすすめたい作品です。
ただし、中には船酔いしそうなカットもあるので弱い人は注意でしょう。マジで。

リアルな描写は当然で、この話は実際にあった出来事を映画にしたものです。だからこそ、主役ともいえる嵐と波のシーンは本物に見えなければならないのですが、今回CGを担当したILMは最適の選択です。その理由は、この会社が世界最高の特撮スタジオであるだけではなく、波関係では「アビス完全版」で大津波を手がけ、さらにその後の「ディープ・インパクト」では大津波でNYを水没させ、嵐の関係では「ツイスター」で巨大竜巻を発生させた、という実績があるからです。強大な嵐と波を作るなら一番のキャリアのあるスタジオといえます。
つい最近公開された、やはりILMがCGを担当していた「ミッション・トゥ・マーズ」のCGの質が今一つだったのは、こっちの「パーフェクト ストーム」に力を入れていたせいかもしれません。ま、2本の話の出来から見ればそれでよかったと思います。

凄まじいのは特撮だけでなく、本編も同様です。アンドレア・ゲイルなどで役者が絡むシーンはスタジオで撮影していますが、スタジオで人工的に起こしてるとはいえ、波と風の力はハンパではなさそうで、役者にとっては地獄だったかもしれません。でも事実はもっと凄まじかったと思うから、その再現ならこれくらいは当然なのでしょうけど。

この映画のストーリー展開はかっこよくなかったり、イージーでないのが現実という感じがします。話の舞台はアンドレア・ゲイルだけでなく、アンドレア・ゲイルを港で待つ人や嵐で遭難したヨットやそれを救出に行くコーストガードやなど、シーンはいろいろ飛びますが、散漫には思いませんでした。
もしこの映画がアンドレア・ゲイルだけにスポットを当てていたなら、無線が壊れたアンドレア・ゲイルにとってはこの嵐は単なるひどい嵐だから、それが実はどれだけの規模のものかということは分からないでしょう。アンドレア・ゲイル以外のシーンを出すことで嵐の状況が分かり、観客にアンドレア・ゲイルのこの先の運命に興味を持たせることに成功していると思います。それにアンドレア・ゲイルの話だけだと重苦しくなったかもしれません。

この映画の主人公は漁師ですが、漁師が主人公の映画は最近珍しいと思います。不漁続きの船長が会社の社長から「魚が獲れないなら辞めてもらうぞ」と言われたり、新米の漁師が思ったほど給料がもらえなかったり、漁師さんも大変です。漁師てイメージとして地味だけど、誰も知らない間に海に落ちてしまったりして、結構命がけの職業であるのがよくわかる作品でした。

ジョージ・クルーニーとマーク・ウォルバーグは、ちょっと前に公開された「スリー・キングス」以来2度目の共演になります。クルーニーはインタビューで、ウォルバーグの役者としての能力を評価するコメントを言っていますが、「「ブギーナイツ」のラストを見れば共演したくなる」という意味深な発言もしているので、ただならぬ関係かも。

 

 


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