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主演はモーニング娘。。海岸沿いにある女子校、朝比奈学園に通う彼女らが(全員ではありませんが)駅伝大会に出場していく話です。
この映画の撮影のために、彼女らが実際の「ひたちなか全国少女駅伝大会」に参加することは事前にポスターでも予告していたし、ワイドショーでその現場を見たりしましたが、コンサート用に作られた「モーニング刑事。」がどうってことない作品だった(スタッフは違うけど)せいか、映画そのものには期待はしていませんでした。
ところがこれ、泣いてしまいました。3ヶ所くらい。
モーニング娘。の演技は、初のドラマである「太陽娘と海」や「モーニング刑事。」ではそれほど上手いとは思えず、歌手に専念した方がいいようなイメージがありましたが、今回は見違えるほど上手くなっています。
ノー天気で明るい後藤や、傲慢さのある飯田、好きな男をめぐって張り合おうとする矢口、見守り役の中澤など、登場するキャラの性格をメンバー各自の個性に合わせた感じで、みんな役柄に合っていたと思います。キャラの描き分けもできていると思いますが、これは、僕がメンバーを把握しているゆえにそう思っているだけかもしれません。
特に上手いと思ったのは市井紗耶香で、彼女の表情を見てるだけで涙が出てきたシーンがありました。「モーニング刑事。」の時には全然目立たなかったのに、成長したものです。
保田圭の役柄は「難病のお嬢様」ですが、その感じはあまりしませんでした。しかし、飯田が自殺騒ぎを起こした時に「やったの?」と静かに言うセリフにはどこか迫力を感じました。
話はパターンだと思います。彼女らが陸上部に参加する動機は、仲間はずれとか恋のさやあてといった理由ですが、それぞれの事情には、あゆみ(安部なつみ)と真穂(市井紗耶香)の家庭を除いてはあまり深く突っ込みません。この中心となる2人の家庭が、虐待、そして障害者という事情を抱えている設定は現代的な感じがします。
話の後半、駅伝大会直前になって、それまで匂わされもしなかったあゆみの過去のトラウマが出てきて、彼女が逃げてしまう展開が出てきますが、ラストを盛り上げる意図が見え見えで唐突に思いました。
また、唐突といえば、駅伝大会出場の話も唐突に出てきた感じだし、途中で出てくる本物のランナー=エスタ・ワンジロも、マラソンに興味のない僕にはどんな人か全く分からなくて、唐突に思いました。
とはいえ、クライマックスとなるマラソン大会のシーンは見事にツボにハマってしまい、ここでも泣いてしまいました。
しかし、ここのシーンがほとんどビデオ撮影だったのは気に障りました。ここは撮り直しのきかない一発勝負だから、フィルムを無駄にすることもありえるための処置だろうとは思いますが、東映という全国チェーンで公開するのならそれなりに予算があったと思います。低予算のインディーズならともかく、邦画メジャーの公開作品でこれはひどすぎます。
僕はモーニング娘。が好きなので、この作品についてはかなり好意的な評価になったかもしれません。メンバーも誰が誰だか分かっているし。なので、彼女らに興味がない人には乗れない話かもしれません。
とはいえ、アイドルだから好意的に見る、というワケではないんですけどね。スピードの出た「アンドロメディア」はひどい映画だと思うし。
エンディグクレジットのシーンで、モーニング娘。に新しく入った4人が登場します。彼女らの追加が決まって急きょ撮影したのでしょう。さすがに現メンバーと比べると、セリフの言い方は下手ですが、現メンバーもデビューの頃はそうだったから仕方ないでしょう。このシーンのバックがファミリーマートだったのが、いかにもタイアップな感じでした。
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