プルガサリ

伝説の大怪獣

 

 

まだ見ていない人

読んではいませんが、薩摩剣八郎氏の本「ゴジラが見た北朝鮮」は気になっていたので、見たいと思っていました。北朝鮮の映画は見た事が無く、イメージとしては社会主義というか、金体制礼賛の内容が多いんだろうと思っていまして、「プルサガリ」もその類の内容で、面白くないんだろうなあ、と思って見に行ったんですが…。

いやー全然イメージ違いましたね。まともな、ちゃんとした、ストーリーのある怪獣映画に仕上がってます。社会主義礼賛なんて全然感じられなくって、かえって、北朝鮮でこんなにエンターテイメントに走った映画作って大丈夫だったのか?と思ってしまったくらいです。話も最後の方でひねりがあるし。シナリオだけなら、ハリウッド版「ゴジラ」よりも良く出来てるかも。

特撮は着ぐるみとミニチュア、マペットを使っていて、照明のせいでしょうか?プルガサリが生まれる村のセットが、いかにもセットという感じで写っていたし、エキストラはいっぱいいるし(やっぱ国で作るから人いっぱい使えるんだろう)…てな理由のせいでしょうか、雰囲気が60年代の日本特撮映画に似た感じがしました。おまけに、話も歴史ネタだし。

着ぐるみとミニチュアは日本特撮のお家芸のせいか、出来はいいです。クライマックスの宮殿破壊のシーンは迫力!ただし合成は、一方の色が違ったり、ピントが合ってなかったり、というカットがちょくちょく出てきてました。日本でやったにしてはひどいと思ったけど、元のフィルムが悪かったせいかな?

薩摩氏演じるプルガサリも熱演なのですが、大きくなる前の、手のひらサイズのプルガサリ(誰かがミニガサリと読んでたような)がかわいい。欲しーと思った人も多いと思います。

ヒロイン、アミ役をやってるチャン・ソニっておねーさま、綺麗っス。パンフにほとんど写真が載ってなくて悲しい。

 

すでに見た人

プルガサリを味方につけた事で、農民側が朝廷を倒してしまうのですが、行軍する農民たちと一緒に歩いていくプルガサリのイメージ、つまり人間と怪獣が一緒に歩いているイメージって日本映画でも見たことない(自衛隊と行軍するゴジラなんて見た記憶ないもんなあ)ので新鮮でした。しかし、怪獣がクーデターに一役買うって話もすげーなー。

民衆が悪い政府を倒すっていう内容は、ロシア革命もそうだったし、社会主義的な感じはするけど、かといってプルガサリが金日成の象徴か?と聞かれても、そうだとは言えないと思います。もしプルガサリが金日成の象徴であれば、プルガサリは朝廷を倒した後も、神として民衆に大切に守られる話になるでしょうが、映画本編はそうではなく、プルガサリは民衆から鉄を食い尽くす存在として、次第に疎まれるようになります。朝廷を倒してめでたしめでたしで話を終わらせないところが、この映画の上手いところでしょう。

最後にアミの願いを聞き入れ、鉄に帰ったプルガサリの中にいたアミは生きているのでしょーか?プルガサリと共に逝ったのだろーか?あいまいにしたのは意図的なもんだったのかな?

 


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