ペイバック

 

メル・ギブソン演じる主人公ポーターは、相棒のヴァルと組んでチャイニーズマフィアから金を強奪したものの、ヴァルの裏切りで全額を奪われ、瀕死の重傷を負わされながらも奇跡の生命力で回復した後、その金を取り返そうと(ペイバック)する話です。
ポーターとヴァルが奪った金は13万ドルで、そのうちポーターの取り分は約半分の7万ドル(850万円くらい)ですが、ポーターは全額ではなく、自分の取り分のみを取り返すことに固執します。13万ドルと言われても、あくまで「7万」と意固地に言い張るところが彼の個性を感じさせます。億単位のような大金には目もくれず、7万ドルにこだわり続ける悪党なんて、見たのは始めてだと思います。こだわりの男って、やっぱいいやね!
またポーターは、平然と人を殴ったり、金を盗むことをためらわないような冷血さを持ちますが、相手がみんな悪い奴のせいか、かえって気持ちよく感じました。このこだわりと非情さを持つなら、組織を追い詰めていくのも当然と思ってしまいます。「リーサル・ウェポン」第1作での、自殺願望を持った過激な頃のリッグスを思わせました。
冒頭での、ポーターがホームレスの金を目の前でかっぱらうシーンは、彼の非情さを表していますが、このシーンは製作者達が実は、ホームレスに「座り込んでないで働け!」と言いたい願望があるから入れた感じがしました。ここのホームレスが身体障害者を装っているから、余計にそんな気がしてしまいます。
また、ポーターが麻薬の運び屋の鼻のピアスを引きちぎるシーンも、本当は製作者達が、ピアスをしている若者達を苦々しく思っていて、引きちぎってやりたいと思っているからこういうシーンを入れたのではないか、と勘ぐってしまいました。
話はあっという間に終わった感じで、快調に進みます。うわさでは、前半のメル・ギブソンは冷たいのに、後半の彼は「リーサル・ウェポン」のリッグスみたい(?)に優男になり、性格が変わって戸惑うと聞いたのですが、僕が見た限りは別に違う感じはせず、違和感無く見れました。
ヴァルにSM趣味があったり、ポーターに金をたかる刑事が出てきたり、主人公の周りのキャラにくせのある奴らが多いのは面白いです。特に、ヴァルの相手をするチャイニーズ系の女王様はいい味出してました。このねーちゃん、拷問しても悶絶するだけだろうなあ。
予告でも出てきた、メル・ギブソンが2丁拳銃を撃つシーンは香港映画の影響でしょうか?このシーンの相手はチャイニーズマフィアだったから2丁拳銃で対抗したのかな?

 

 


 

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