まだ見ていない人
ジャッキー・チェンが銃を持つけど撃とうとしないとこや、アクション面では彼の映画でよく出てくるような、いすやテーブルといった身近な物を使うなど、シナリオや演出が、ジャッキーの良さを生かそうとした心配りが感じられます。
クリス・タッカーは元々しゃべりの人のようですが、彼の口の達者さを生かしたシーンと、ジャッキーのアクションを生かしたシ−ンがうまく配分され、二人の良さが際立っています。こういうコンビのアクションは、一人が見せ場を独占するより、「バッドボーイズ」みたいに二人均等に、それぞれのキャラクターを生かした見せ場がある方が、見ていて気持ちがいいです。
オープニングのクレジットの順番がタッカーからではなく、ジャッキーを一番初めにもってきているのが彼に敬意を表してる感じでいいです。
出だしは香港から始まるし、言葉も中国語なので、冒頭のパートは香港のジャッキー映画みたいな感じがしました。このパートの後からアメリカに飛ばす、という構成は今までのジャッキー映画を見慣れてる人にとっては、受け入れ易い構成かもしれません。
誘拐されることになる中国人の少女、ジュリア・スーが弱々しくなく、誘拐されそうになった時に大暴れして誘拐犯達を手こずらせたり、クライマックスでタッカーと一緒に「撃ちなさいよ」と叫んだり、結構強くて生意気なのがいいです。
この話は、中国人と黒人(マイノリティー)が組んで白人に一泡吹かす、という構成にも取れます。「ベスト・キッド」が、やはりイタリア人と日本人のマイノリティーが手を組んで、白人をやっつける構成だったのを思わせます。アメリカでこういう作品が支持されるということは、この国でマイノリティーが増えている証拠なのでしょうか。
アメリカでは大ヒットしましたし、日本でもヒットしてるようで、ジャッキーが「キャノンボール」から、ついにここまでのヒットメーカーにのし上がったと思うと嬉しいです。
ラストにNG集があるのがいつものジャッキーの映画ぽくていいです。しかもここには、ジャッキーのNGだけでなく、タッカーのNGも出てくるのですが、アメリカの俳優ってNGは見せたがらないものだと思っていましたが、感覚が変わってきてるのでしょうか。
アメリカ人のはみ出し者刑事と、外人の刑事とのコンビというのは「ブラック・レイン」を思い出します。あれはあれでいい映画(松田優作!)なものの、キャラも話も暗めなので、仮に続編が出来てたとしても見たいと思ったかどうか分かりませんが、「ラッシュアワー」なら、このスピード感とノリ、そして何と言ってもジャッキーとタッカーの明るさで、続編ができるなら(作ると思う)見たいです。
すでに見た人
クライマックスで、少女につけられていた爆弾が、触わると爆発する説明になっていたのに、あっさりとジャッキーが少女をそのまま抱えてしまうのはおかしいと思いました。とはいえ、流れ上これでもいいかと思いましたが(話の整合性よりも、ノリが優先される場合もあるでしょう)。
ジャッキーの一番の敵役になる、東洋人の短い金髪のお兄ちゃんはなかなか凄みを感じられました。タッカーと最後の勝負をする時に「man
to man」とタッカーのセリフを返すのはうまい構成でした。
悪役の黒幕を演じてる人は、どこかで見たことある人だと思いましたが、「フル・モンティ」で、失業したことを奥さんに打ち明けられなかったおじさんでした。こういうハリウッドの娯楽作品にも出てくれるのは嬉しいことです。