ヤ マ ト |
「宇宙戦艦ヤマト」は、かつて昭和の時代に「アニメブーム」なるものを巻き起こし、自分もそれに巻き込まれて、アニメに狂うきっかけになった作品です。
あれから30年以上…初め「実写化」の話を聞いた時は、ガセだと思っていました。とはいえ今回の実写版、主演のキムタクはどーでもいいとして、監督が「三丁目の夕陽」の山崎貴氏で、VFXは当然白組ということで、そう悪い出来にはならないと思えました。
内容は第1作のお話に「さらば宇宙戦艦ヤマト」の要素を混ぜたような構成です。話はハイペースで退屈はしませんでしたが、ヤマトがあっさりイスカンダルについてしまった感じはしてしまいました。まあ2時間程度の長さでは、仕方のないところかとは思います。
「ヤマト」シリーズのパターンからすると、ラストは予告編で想像がついてしまったのですが、それでも音楽が上手く盛り上げてくれたせいか、泣けました。
「ヤマト」のおかげで宇宙艦隊戦に萌え!となってしまった自分としては、今回の艦隊戦シーンも久々に燃え!でした。ただこの艦隊戦のシーン、全部の箇所を合わせても短すぎるのが残念でした。CGの予算と時間が無かったせいかもしれません。
山崎監督は番宣で、映画で一番力を入れたシーンはヤマト発進だと言っていました。確かに映画の一番の要であろうし、大方のVFXの労力はたぶんここで使ってしまったのでしょう。実際、ヤマト発進!から波動砲発射のシーンは、一連のシークエンスがアニメとほぼまんまで、快調なBGMと相まって大いに興奮させられました。この一連のシーンを見たくて、もう一度映画館に行ってしまったほどです。ただここまでやるなら、発射音もアニメに似せて欲しかったところですが…。
敵・ガミラスに関しては、「エイリアン2」や「インデペンデンス・デイ」のパクリに見えてしまうシーンがチラホラありました(乗り移られるなんて「インデペンデンス・デイ」と同じ)。この部分は従来のハリウッド映画のイメージに引きずられすぎで、もっとオリジナリティを頑張って欲しいところでした。
地球軍の艦船・沖田艦やゆきかぜなどはアニメをベースにしたデザインな感じですが、沖田鑑はアングルによっては、妙にアニメ版のガミラス鑑と似ている感じがしました。逆にガミラスの艦は、この映画独自のオリジナルが強いデザインです。
主人公の古代進を演じるのは木村拓哉です。キムタクはやはりいつものキムタクというのは予想通りではありましたが、シナリオを彼に合わせたのか、映画では別に雰囲気ぶち壊しという感じはしませんでした。
そのキムタク主演ということで、映画ではさすがにティーンエイジャーという設定はムリだったようで、キャラクターの年齢はアニメより上がっています。島なんて弟ではなく、子持ちになっていますし。
しかしキムタク効果なのか、キャストはなかなかに豪華です。アニメに好意的な印象を持っているのか疑問な、山崎努や西田敏行といった大御所俳優が、こういう映画に出るとは思いませんでした(そのギャラでCGの予算が削られたのかも)。
アニメではなぜか艦内の人間がほとんど男子でしたが、さすがにその部分は実写版では変えられていて、女性乗組員が大幅に増えているのは今ぽいところでしょう。佐渡先生や相原は女性キャラになっていますが、違和感はありません。
森雪の性別はさすがに女性のままですが、強気で喧嘩早いブラックタイガーのパイロットと、キャラクター設定はアニメとはかなり変えられています。でも「復活編」もヒロインはパイロットだったし、ヘンな感じはしませんでした。
今回の森雪のキャラは、強気の女性の役が多い黒木メイサには似合う設定です。以前、森雪役には沢尻エリカという噂が流れたことがありましたが、もしそうなっていたらかなり違和感のあるキャラクターになったことでしょう。
予告なんかでは見せていませんが、デスラーやアナライザーといったアニメに出てきたキャラクターがこの実写版でもちゃんと出てきて、しかもオリジナルの声優を起用していたのは感動!でした。また音楽もオリジナルのメロディー(ヤマトのテーマとスターシアのテーマ)を多用しているのも、熱くなれる部分です。
映画にはこういった、原作に対するリスペクト&愛が感じられる部分が多かったのが、ファンとしては嬉しいところでした。
ヤマトの出航に関する沖田の「秘密」は余計な設定に思います。だいたいこれで出航では、理由があまりにも漠然としすぎでしょう。また放射能除去装置の設定も結局、それらしきもの?を出してウヤムヤにされたように見えました。
エンドクレジットに松本零士氏の名前が見あたらなかったのは、裁判で負けたゆえなのだろうと想像しますが、寂しく思いました。
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