スター・トレック

 

 

「スター・トレック」はTVシリーズや映画版など、何本か作られていますが、今回はキャストを一新し、しかもお話は第1弾TOS(オリジナルTVシリーズ)の始まりに当たる時代ということで、いわばシリーズの「ビギンズ」といった内容です。
監督はTVドラマ「LOST」を手がけたJ.J.エイブラムスで、彼はそれほどのスタトレのファンでもないそうですが、映画は「スター・トレック」のスピリットを見事に継いでいると見えました。
主人公であるジェームス・タイベリアス(結局この名前はつけるのだね)・カークはTOSのカークよりもかなりやんちゃで無鉄砲なキャラとして描かれています。でもTOSのカークにはそういう要素もあったし、今回はTOSと全く同じ話ということでもないのだから、これはこれでいいと思います。
今回のお話は血気盛んなカークに合わせるように、活劇が目立ちますが、「スター・トレック2」や「新スター・トレック」のボーグ侵攻エピソードなんかではけっこう戦闘シーンがあったので、それも「スター・トレック」の世界でアリでしょう。クリエイターが違えばその色が当然出るだろうから、JJのスター・トレックということで、目くじらをたてることもないでしょう。

しかしこの映画、これまでのシリーズをないがしろにしているところは全くなく(だからこそ「スター・トレック」のスピリットを継いでいるといえるのだけど)、例えばエンタープライズの艦長がクリストファー・パイクであったり(ラストの彼の姿に「おおっ!」)、「コバヤシマル」が出てくるなど、オリジナル版のリスペクトがそこかしこに見えて、オリジナルのシリーズが大好きな僕にはうれしくなりました(エンドクレジット前のナレーションに感涙!)。始めて見る人にも楽しめると思いますが、シリーズを知っている人にはもっと楽しめるはずです。

エンタープライズのデザインもリニューアルしていますが、これまでのシリーズを踏襲しながら、よりかっこいい形になっています。なので映画ではそういった、メカをもっと見ていたいカットがちらほらありました。でもこの映画はそういうメカ描写よりも、キャラクターのシーンが多い感じを受けました。これは映画がキャラ重視というゆえだと思いますが、これだとマニアックにならなくて初めての人にも見やすいはずで、正解でしょう。冒頭のカークの父のシーンは、家族を思う彼の決意にウルッと来ましたが、こういう「家族」に重きを置いている点が映画のいいところです。

この作品、過去のシリーズと全くつながりがないか、というと実はそうでもないのですが、その部分は見てのお楽しみです(あのキャラが!と、ファンなら感涙!)。でも話に重要な箇所ではないので、深く考えなければ問題ないでしょう。

音楽、特にボーカル曲の入れ方は今っぽい感じで、これが一番J.J.エイブラムス監督らしいところかもしれませんが、「MI:3」や「クローバーフィールド」に比べると、JJは今回はいい仕事をしました。早くもパート2が見たいし、できればこのキャストでTVシリーズ化してほしいところです。今は草葉の陰の、シリーズのクリエイターであるジーン・ロッデンベリーも、これなら満足ではないでしょうか。

ただ、ウフーラと艦内の「あの人」との関係はなあ…あり得ないと思うのだけど…。

 

 


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