スカイウォーカーの夜明け |
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アナキン・スカイウォーカーから始まったスカイウォーカー家の話が、「スター・ウォーズ」9話目にして「完結」になります。
今回も「フォースの覚醒」と同じく、今までのシリーズで見たようなシーンやシチュエーションが出てきます。「新しさ」を求める人には不服でしょうが、ちゃんと「スター・ウォーズ」らしい内容で、無難にまとまっています。
全シリーズを見てきた僕にとって、旧作シリーズのリフレインのようなシーンそして音楽、さらに出ると思わなかった「あの人」の登場で、泣けるシーンがチラホラありました。
また今の時代に響くセリフやテーマを出しているとこもシリーズの伝統を継いでるようで、一区切りにふさわしい内容になっています。
前作の「最後のジェダイ」は無駄と見えるシーンがあったりして、シリーズで初めて「駄作」と思ってしまいました。とはいえ、ローズに関しては何で不評だったのか理解できません。今回のローズの出番は前作より遥かに少なくなってかわいそうに思えてきます(ネットの評判を気にしたのなら余計としか言いようがない)。ただ、「フォースの覚醒」からのレイ、ボー、フィンの繋がりを重要視したゆえか、という感じもします。
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「スター・ウォーズ」はファンタジーのお話ではありますが、例えばエピソード2のラストで、当時始まった(きっかけがフェイクだった)イラク戦争を思わせるシーンがあったりして、制作時の時代状況を反映してるような描写が見られます。
今回の「スカイウォーカーの夜明け」では惑星キジミでゾーリが帝国軍の作戦について「孤立させることが奴らのやり方」というようなセリフを語ります。このセリフ、昨今チラホラ話を聞く子育ての大変さや虐待の問題が「孤立」によるものという指摘を連想しました。
レイがパルパティーンの子孫という設定は、たぶん後付けだと想像しますが、上手いやり方でした。その血縁を断ち切ったラストのレイの「選択」は「血縁は重要なものではない」と製作者たちが言ってるように思えました(現に監督のJ・J・エイブラムスはインタビューで発言してます)。今後人口が減少していき、海外からの人が増える「移民国家」になっていく世の中では「血縁」の重要性は低くなっていくのではないでしょうか。天皇陛下の跡継ぎ不足の問題なんかも連想しました。
エピソード6でのデススターの残骸や、パルパティーンの前でレイが反乱軍の劣勢を見せつけられるなど、今作は旧作シリーズのリフレインのようなシーンがあるのが嬉しいところですが、一番鳥肌が立ったのはルークがフォースでXウィングを海中から浮上させるシーンでした。まさに「帝国の逆襲」でヨーダがXウィングを沼から浮上させるシーンのリフレインで、音楽もほぼ同じメロディ!ラストシーンもエピソード4&3のリフレインだったし、音楽を引き続きジョン・ウィリアムスが担当して良かったーと思う、感動的なシーンでした。
今回の最大のサプライズは、ハリソン・フォードの出演でした。「フォースの覚醒」での息子カイロ・レンによる殺害は、彼の最大の悪行とも言える行為でしたが、その復活?がカイロ・レンの良心を目覚めさせるキーになるのも上手い展開で、涙がこぼれるシーンでした。
レイを励ますジェダイ騎士たちの中の、ヨーダの声としてフランク・オズの参加も嬉しいところです。声だけの出演ながらもキャストに手を抜いていないのは、製作者たちのシリーズへの「愛」が感じられます。
今回の作品で問題視されていたのは、撮影前に亡くなってしまったキャリー・フィッシャーの扱いでしょう。彼女の姿をCGではなく、これまでに撮られた映像を抜き出して使う、というやり方にも製作者たちのリスペクトが感じられる、いいエピソードです。
パンフレットには、反乱軍が基地にしていた惑星にたどりついた過程など、主に冒頭の部分で、映画で語られない話が記述されています。カイロ・レンが冒頭でライトセーバーを振っていた赤い惑星が、あのムスタファーだったなんて、本編では気づきませんでした。
ファイナル・オーダーの大艦隊のシーンは迫力!でしたが、あれだけの大艦隊を反乱軍に全く気付かれないで作り上げるのは疑問でした。こういう突っ込みたくなる部分のフォーローは欲しかったところです。
宣伝では「完結」といってますが、エンディングでは続きのエピソードで使える要素がチラホラあるし、ましてやあのディズニーのことですから、この金づるを手放すことは疑問です。配信のオリジナルエピソードもやるし。
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スター・ウォーズ・ストーリー |
「スター・ウォーズ」シリーズで、もしかしたら一番人気があるかもしれないキャラクター:ハン・ソロの若き日を描くお話です。基本の話はある「モノ」の略奪で、アクションの連続で退屈はしません。ただ、だましのトリック的な面白さは少しあるものの、展開にそう目新しいとこは無く、「スター・ウォーズ」を知らない人が見たら「ただのアクション大作」程度の受け止め方になるかもしれません。
とはいえ、ハン・ソロとランド・カルリシアンのミレニアム・ファルコンをめぐるいきさつやチューバッカとの出会いなど、シリーズで言われていたエピソードがちゃんと描かれているし、シリーズに出てきたシーンを思い出すようなシチュエーションがあったり、以前に出てきたメカが出てきたり、ミレニアム・ファルコン飛行時に「帝国の逆襲」のBGMと同じメロディが使われていたりして、シリーズを見てきている人には楽しめる内容になっています。
ラスト近くのハンの行動には、後にルーク・スカイウォーカーに協力する伏線みたいなものも感じられます。
日本版のタイトルは「ハン・ソロ」ですが、オリジナルのタイトルは「ソロ」だけです。自分だけを信じるポーズをとるハン、独りぼっちだったチューバッカ、一人で何か抱え込んでいるようなキーラなど、「ソロ」に何らかの意味が込められているような感じがします。
ラスト近くで、シリーズの某人気キャラが登場します。本編のとあるキャラクターと関係しているのですが、どういう繋がりなのかよく分かりません。といった謎が残ったり、ハンと因縁のあるはずのジャバ・ザ・ハットやボバ・フェットは今回出てこないので、続編があるかもしれません。
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フ ォ ー ス の 覚 醒 |
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「スター・ウォーズ」がエピソード3「シスの復讐」以来、10年ぶりにまさかのシリーズ再開です。
お話そのものはエピソード4「新たなる希望」にかなり似ているように思いました。ただエピソード1「ファントム・メナス」も4に似た感じがけっこうあったから、これはあえてそういう構成にしたのかもしれません。そのおかげか、全体的な印象はちゃんと「スター・ウォーズ」になっていて、かなり満足できました。特にハン・ソロ達キャラクターの復活はやはり嬉しく、僕のようにエピソード4〜6に思い入れがある人にはより楽しめることでしょう。
冒頭の設定には、いつの間にこんなことに?と戸惑う部分がありました。本編には都合のいい展開が多いし、これ!といえる印象に残るシーンがあまりなく、特に悪役の印象が薄いのは残念です。これはまだ成長途中のようですから、次回に期待することにしましょう。
ジョン・ウィリアムズはおトシだから音楽はメインだけで、大方は別の作曲家になるのだろうと予想していたので、エンドクレジットが彼一人の名前になっていたのには驚きました。でも今回は耳に残るメロディが無かったのは残念です(サントラ買う気が失せた)。
ルーカスフィルムのトップ交代やディズニーの参画など、今回の「スター・ウォーズ」の再開にはいささかお金の匂いがしますが、監督のJ.J.エイブラムスはプレッシャーが相当あったであろう中で及第点の仕事をしたと思います(やっぱり残酷なシーンがチラホラあるけど)。ここは素直に、伝説の復活を喜びましょう。
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エピソード6「ジェダイの復讐」では皇帝の死で帝国軍の勢力がかなり削がれた印象を受けました。なのでこの「フォースの覚醒」では、エピソード6からそんなに長い時間が経過していないだろうに帝国軍が同じくらいに勢力を盛り返している(保ってる?)設定には戸惑ったし、ジェダイが伝説みたいに語られているの設定も疑問です。
エピソード4〜6の主人公であったルーク・スカイウォーカーがヘタレになっていたのもがっかりだし、あの終わり方だとモロに「続く」という形であるのも引っかかりました。
このルークの件も含め、謎をいろいろ残すやり方はJ.J.らしい感じがします。レイの出自も謎だし、フィンも昏睡したままじゃないだろうし、何より彼もライトセイバーを使えたということは、ただの元トルーパーで収まるとは思えません。皇帝?の特訓を受けたカイロ・レンや、今回全くいいとこが無かったキャプテン・ファズマの活躍も、次回は期待したいところです。
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