スター・ウォーズ3部作
特別編

 

「スター・ウォーズ」第1作=正式には第4話「新たなる希望」は、初公開当時劇場で見て、熱狂した覚えがあります。特に(誰もが言うように)特撮は素晴らしいもので、クライマックスのデススターでの攻防戦は映画史上に永遠に残る名ドッグファイトでしょう。
ただ、全ての特撮カットが良かったと思ったわけではありません。モス・アイズリーを飛び立つミレニアム・ファルコンのカットや、ヤヴィンの遺跡から飛び立つXウィングの編隊のカットは、光の玉が飛んでいるだけで、えらくちゃちいと感じたことを覚えています。
やはりジョージ・ルーカスも同じ事を感じていたのでしょうか。この2つのシーンが今回の「特別編」では、ヤヴィンを飛び立つXウィングの編隊のカットではちゃんと編隊の船影が、そしてモス・アイズリーを飛び立つミレニアム・ファルコンにはちゃんとミレニアム・ファルコンの形が確認できます。特にこのミレニアム・ファルコンが飛び立つカットでは、その前にドックから浮上してくるミレニアム・ファルコンのカットが加えられており、よりシーンのスケール感と迫力が出ています。
今回の特別編での一番の、目に見える修正は、このスケール感の出し方でしょう。
モス・アイズリーの街もオリジナルはさびれた感じがしましたが、今回は人もクリーチャーも多く加えられていて、ここがかなり栄えている町だということが分かります。
「特別編」では、Xウィングの編隊がヤヴィンを飛び立った後、宇宙空間でカメラが、Xウィングの編隊を捉えつつ、ヤヴィンからデススターへパンします(予告でも流れていたシーン)。オリジナルのこのシーンではヤヴィンを背景に飛ぶXウィングのカット、そしてデススターに向かうXウィングのカット、と2つに割っていたと思います。今回、ここをワンカットにし、カメラをパンさせることでヤヴィンとデススターの位置関係が観客にも認識できて、上手いシーンになっています。
予告でも流れた、ハン・ソロとジャバ・ザ・ハットが話すシーンは、実写のハン・ソロとCGによるジャバ・ザ・ハットが何の違和感も無くつながっています。ILMだから合成のクオリティは保証済みですが、それでも、ハン・ソロがジャバの尾をまたぐカットには驚かされました。当初撮られたフィルムではジャバ・ザ・ハットは人間だから、ハリソン・フォードは尻尾をまたぐようなアクションはしていないので、ここはCG処理されているのですが、言われなかったら気づかないところでした。当然ハリソン・フォードに許可をもらって作ったカットだと思うのですが、どう言って許可をもらったのかなあ?
このハン・ソロとジャバ・ザ・ハットのシーンは、オリジナルでカットされた場面が復活した(当然「ジェダイの復讐」でジャバが出てきたゆえでしょう)ものですが、どうせならタトゥィーンでルークとビッグスが話しているシーンも入れた「完全版」も見たいです。
その他に、シーンの修正だけでなく、オルデランやデススターが爆発する時に光の輪が加えられたり、と細かい部分もいろいろ修正されています。そういう意味で、この「特別編」こそが「スター・ウォーズ:新たなる希望」の完璧版と言えると思います。
修正になったのは画面と音響(よく分からなかった)のみで、話そのものは何の改変もされていませんが、今回改めて見てみて、もう20年以上前に作られた作品(年の経つのは早いのう)にもかかわらず、ストーリーには古さを全く感じませんでした。このエピソードでは勧善懲悪に徹していることが良いのかもしれません。善と悪、師と弟子、成長といった、物語の根幹となるテーマが分かりやすくブレンドされているため、どこの国の、どの時代にも通じる普遍性を持っているのだと思います。

「帝国の逆襲」と「ジェダイの復讐」の両特別編は特撮がかなり完成されているせいか、目立った修正部分はあまりありませんでした。
「帝国の逆襲」特別編で、特に修正されたと分かるのはクラウド・シティの外観に関するシーンです。確かに、オリジナルではやけに絵に見えるマット絵だったのが気になっていましたが、今回はそれもちゃんと修正され、追加カットでここがかなり大きい都市であることが分かります。
「帝国の逆襲」の第1稿のシナリオでは、雪の中を泳ぐサメみたいな生物が設定されていたらしいのですが、これは映像で見たかったと思います。

「ジェダイの復讐」特別編は初日と、もう1回見に行きました(3部作一括の前売りを買ってしまっていたため)。初日は日比谷スカラ座に見に行ったのですが、期待通り、反乱軍パイロットのコスプレをしてる人がいたり、初めと終わりには拍手が鳴りました。とはいえ、オリジナルの「ジェダイの復讐」の先行オールナイトでの盛り上がりには比べようがありませんが。
「ジェダイの復讐」特別編での修正シーンは、まずはジャバの宮殿でのミュージカルシーンでしたが、これはなくてもいいような…観客サービスでしょうか?向こうの人はミュージカル好きみたいだから。
もう一つはランド・カルリシアンを飲み込もうとする砂漠の生物、ワンパの本体のシーンでしょう。確かにオリジナルはやけにチンケな感じだったので、ここで生物の全身(?)が見えるのはちょっと怖くて、サスペンスが増します。
あとはラストの祝賀シーンに、コルスカントのシーンが加わったことでしょうが、ここは過去3部作には出てこなかった舞台だから必要とは思えず、むしろこれから作られるシリーズとの整合性を考えて、入れたものではないかと想像します。
「ジェダイの復讐」特別編で一番気になったのは、フィルムの傷が目立った点です。今回の特別編はフィルムの傷とかも修正してあるということで、確かにきれいなのですが、「ジェダイの復讐」に限っては、特に帝国軍側のカットになると、画面の中に雨が降っているような、シャワー状の一面の傷が目立ちました。見た2回ともそうだったので、1本だけのフィルムがそうだったということではないと思います。「ジェダイの復讐」特別編では本当に傷の修正をしたのか、気になりました。

 

 


 

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ウワサの真相
ワグ・ザ・ドッグ

 

ニュースはこうやって作られていく、という可能性が分かるのは面白いです。特撮を使ってニュースをでっち上げていくという話は「F/X:引き裂かれたトリック」の変形版というところでしょうか。こんなものを見たら、既に誰かがやっていそうで、メディアが信じられなくなります。
でっち上げたニュースが思わぬ形で展開し、引っ込みがつかなくなるのは、やらせの火星着陸を描いた名作「カプリコン・1」を思い出します。
最後にダスティン・ホフマンが殺されてしまうのは、それまでコメディータッチだったものが急にシリアスに、生々しい感じになってしまい、不満を感じました。
「タイタニック」等で明白なように、現在の映画の合成はものすごくリアルに出来るので、この映画のような戦場のシーンをスタジオで作ることは十分可能ですが、それでも完成までにはかなり時間がかかるので、クリスティン・ダンストの合成がやけにあっさり、リアルタイムで完成してしまうのは、映画とはいえ引っかかりました(それともすでに政府がこういうリアルタイムの合成システムを極秘で持っていて、ニュースを作り出しているのだろうか…)。

 

 


 

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