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監督が「チャーリーズ・エンジェル」のマックGになり、今回から3部作の予定だそうで、その第1部となる作品です。
メインキャラが逃げ回ってばかりいたパート3までとは違い、今度は「審判の日」以後の、機械と人間の抗争の時代ということで、戦争映画のテイストになっているのが大きな違いでしょう。巨大ロボットみたいな奴やモトターミネーターやハイドロターミネーターなど、種々のターミネーターのバリエーションが楽しませてくれます。
ジョン・コナーは父ちゃん坊やぽかった前作の俳優よりも、今回のクリスチャン・ベールの方がいいと思います。ただ、映画では一応彼が主役となってはいますが、今回は彼よりもむしろサム・ワーシントン演じるマーカス・ライトの方が目立っていて、特に前半は彼の土壇場と言ってもいいでしょう。ラストの彼の決断は泣かせて、見せ場をさらってしまうし。
もしかして今後のこのシリーズ、ジョンが狂言回し的な立場になって、他のキャラを引き立てることになるのかもしれません。
今回のゲストキャラで、マイケル・アイアンサイドはまあパターン気味だけど、ヘレナ・ボナム・カーターには驚かされました。まさかこういう、アクションがメインの作品に出てくるとは思わなかったので。でも一番驚いたのはシュワちゃんタイプのターミネーターでした(公開後のTVCMでは見せてしまっていますが)。おそらくCGでしょうが、嬉しいサプライズでした。
スカイネットの本拠地のイメージは、外観や雰囲気などが「マトリックス」とかぶる感じがしました。まあ両方とも、機械と人間が戦う話ですし…。
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スカイネットがマーカスを改造したのなら、何故スカイネットはマーカスをちゃんとコントロールしないのか、大いに疑問になりました。彼の体は機械なんだから、途中まで人間側に味方と思わせて、土壇場で「破壊しろ」とか指令を送ってスカイネットの命令を実行させるのは容易ではないでしょうか。マーカスが簡単に反旗をひるがえすのは、あっけなさすぎです。
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前作「T2」から12年を経てからの3作目です。なぜ今頃になってパート3なのか分かりませんが、アーノルドのシュワちゃんがここ数年ヒットに恵まれてないから、当たり役のこの企画に飛びついてしまったのではないかと想像します。でもさすがに定番のキャラを演じるだけあって努力したのか、シュワちゃんの体型は10年以上のブランクを感じさせません(1作目に比べるとムリがあるけど)。
話の基本パターンは前2作と同じ、ターミネーターが人間を追っかける、という形です。今回はその追っかけのターミネーターが女性型というのが大きな違いですが、さらにこのターミネーター「T-X」は手をサイコガンみたいに変形させてレーザー?砲を撃つし、他のマシンを自分の意図に操れる機能を持っていて、ギミック面でも前回のターミネーター以上に強力になっています。
話自体は次から次へと追っかけシーンが出てきて退屈はしません。ただシーンによっては、完全に追っかけてこない、と安心してしまう箇所もあって、前作に比べると緊張感がダレてしまう感じはしました。
今回のラストは前2作と違った形で描かれますが、「いいのかこれで?」と唖然としてしまいました。話の流れとしてはおかしくないし、前2作と同じパターンを避けるためにこういう形にしたのかもしれません。でも前作のテーマがなあ…。
これでは、最後にスカッとしたい映画を見たい人には奨められません。果たしてこのラスト、どのくらいの観客が支持することやら…。
映画の一番最後に、敵であるスカイネットの実態が明らかにされます。これは前2作の時代にはほとんど知られていなかったであろうコンピューターに関するコンセプトで、その点は今風でそれなりに面白いと思います。しかしそれを言われたことで、それがどういう理由や過程で人類に反乱するようになったのかすごく気になりましたが、映画では何も語られません。
また映画ではジョン・コナーたち&追うターミネーター側の描写をメインにしているせいか、スカイネット側の描写はあまりなく、その出現は唐突に思いました。その内部描写は、シリーズを見てきている人なら「おおっ!」と喜べますが、これを誰が何のために作ったものか全く説明がなくて、ただ出てくるだけです。前作でのスカイネットは消滅していますが、それとの関連の設定でもあった方がまだ納得できました。
シュワちゃん以外にも、パート1&2の2作で出演した人(チョイ役)が1人ちゃんと出てくれて、これはうれしいサプライズでした。
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スカイネットの正体が一般のパソコンにインストールされている分散プログラムというのは、P2Pで今っぽい考え方です。しかしそれが意思を持てるのか疑問(ボーグみたいな集合体の意思ということか)だし、何で、いつの時点から人間に敵意を抱いたのか全く言われないのは気になりました。これなら、前作で消滅したはずのスカイネットの遺物が実はまだ残っていて、前のターミネーターの人類敵対の意思がそれに入り込んでしまった、とかあるいは、T-Xがシステムに干渉した、とでも説明された方がまだ納得できます。
スカイネットの基地内でターミネーターや戦闘機のプロトタイプが出てくるところは、今後の機械化軍団の前史のようで面白いシーンでしたが、それが何のために開発しているという説明が何もされません。システムの機械化やコンピューター化は世界の流れだから、あえて説明しなくても推測できるだろうと製作者は思ったかもしれないし、これが機械軍団に結びつくということが見ている人間には分かるだろうから、それだけでいいと思ったのかもしれません。
この作品の公開1ヶ月前に「マトリックス」の2作目が公開されました。「ターミネーター」「マトリックス」両方とも、機械と人間の対立という設定は似通ってますが、「ターミネーター」に関してはどこか古さを感じたものの、「マトリックス」にはそう古い感じは受けませんでした。
「マトリックス」はまだ2作目だし、前作からのタイムラグが今回の「ターミネーター」よりも短い、という理由もあるかもしれません。でも一番の理由は上記に関する、機械のことを何も描いていないのが原因なのではないかと思います。
今回の「T3」には「RISE OF THE MACHINES」(「機械たちの決起」て訳?)というサブタイトルがついています。確かに時間的には、機械たちの反乱が始まった時期を描いてはいますが、単に出すだけで、それがなぜ起こったのか、という点には一切触れていません。もしこの部分を描いたなら、映画のテンポは滞ることになるかもしれませんが、前2作とはかなり違ったパターンの話になったかもしれません。
また前作から12年経っていることで、パソコンや携帯電話やPDAの広がりなどに見られるように、機械と人間の関係は前作の時代以上に密になっています。そんな中で機械の反乱の理由を突き詰めてくれれば、アクションを期待したファンは失望するかもしれませんが、かなりオリジナリティーを持った映画になった可能性もあります。
こういう内容にならなかったのは製作者たちが今回の作品を、前2作と同じ追っかけアクションとしか考えなかったゆえでしょう。確かに、映画をヒットさせる、という戦略からいえばそれが正解でしょうし安全策ですが、結果的に「T3」はそこそこのクオリティでしかない映画になってしまいました。
この作品にシリーズの生みの親である、1&2作目の監督ジェームズ・キャメロンは関わっていません。その理由を彼は「ターミネーター」に興味が持てなかった、とコメントしていますが、前と同じことをやるなら彼がそう思うのも当然でしょう。
日本での宣伝で「未来は変えられる」というコピーをチラシかポスターに使っていたと思いますが、公開直前より「生き抜け!未来で会うために」になってます。このラストだとウソになるせいでしょうか。たぶんスタジオ側は内容を極秘にしていただろうから、初めて本編を見たときは日本の宣伝部はけっこう慌てたことと思います。
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