TATARI

 

 

テーマパークを経営するプライス(ジェフリー・ラッシュ)は妻(ファムケ・ヤンセン)の誕生パーティーに数名を招待する。その会場は、かって患者を人体実験の材料にしていた精神病院の廃虚だった。プライスは招待客らに、この建物で一晩無事に過ごせれば1億ドルを進呈すると言うが、その直後、建物の全てのドアが閉まり、彼らは完全に閉じ込められてしまう…。

この映画を見ようと券を買う時、横で券を買っていたカップルの女のコが「怖そうだからいやだよ」と言ってました。 TVの映画紹介で初めてこの映画を知って、ちょっと期待していたのですが…。
結論を言えば、先の彼女にはこう言います。「なんてことない」。

脱出不能の閉ざされた場所で展開する、お化け屋敷感覚の映画で、このタイプの作品では、近いところだと「ホーンティング」がありました。
予告ではドキリとさせるシーンがずいぶんあるような印象でしたが、本編ではそのテのシーンはあっけないほど少ないです。背筋がゾクゾクするような恐怖感もあまり無く、全体的に怖さは感じませんでした。話は多少ひねってはありますが、ホラーに馴れた人なら読めるでしょう。
「ホーンティング」も怖さは感じなかったものの、まだ特撮のイメージに面白さがありましたが、「TATARI」はそういったオリジナリティーも感じられませんでした。この映画で一番面白いと思ったシーンも、ドラマの中心である元精神病院のシーンではなく、冒頭のジェットコースターのシーンでした。
例によって宣伝では「全米大ヒット」と言っていますが、たぶんそうだったのは公開始めの1週間だけでしょう。

この作品は50年代末に作られた「地獄へつづく部屋」という映画のリメイクだそうです。このバージョンの主演はビンセント・プライスで、今回の「TATARI」でのプライス役のジェフリー・ラッシュは、名前だけでなく役柄も彼をほうふつさせるような怪演ぶりで、「シャイン」とはまた違った面を見せてくれます。この人は「エリザベス」や「恋に落ちたシェイクスピア」など大作に出てる印象が強いので、こういうB級ぽい作品に出るだけでなく、楽しそうに演じていたのは以外でした。
事件の発端を作る精神科医をジェフリー・コムスが演じています。この人は、「死霊のしたたり」とか「フロム・ビヨンド」やら「ガイバー」など、B級映画ばっか出てるみたいで、らしいキャストではあります(それでいいのかジェフリー!?)。

製作は「マトリックス」のジョエル・シルバーと「フォレスト・ガンプ」の監督・ロバート・ゼメキスです。ゼメキスは過去にケーブルTV用のホラーシリーズ「テールズ・フロム・ザ・クリプト」を制作していますが、あのシリーズは毎回異なったオムニバスの話で、今回の映画もそれにつながる系譜を思わせます。「TATARI」は2人がホラー映画専門に作った製作会社の第1作だそうで、次回に期待?しましょう。

タイトルは英文字ではありますが、日本でつけたもので、「TATARI」という英語はありません(TV「ワンダフル」でそんな勘違いがありました)。

 

 


外国映画

日本映画

オリジナルビデオ

スペシャルページ

表紙

作者プロフィール

映画について思うこと

リンク