TAXi2

 

 

改造プジョーを駆るタクシー運転手ダニエルは、恋人の両親と初めての食事の後、彼女の父親を空港まで自慢の最高速で送る。そのおかげで、日本から来た防衛長官の出迎えに間一髪間に合った父親は彼を気に入り、ダニエルを防衛庁長官用の護衛車の運転手に指名する。その車の護衛についたマルセイユ警察署長は、最新鋭である護衛車の堅牢さを防衛庁長官にアピールしようと、おとりの襲撃部隊を用意するが、本物のヤクザの手下にまんまと長官を誘拐されてしまう。一方、おとり襲撃の指揮を取るために恋人ペトラと待機していたエミリアン刑事も、前作同様にドジを踏んでペトラを連れ去られてしまう。ダニエルは一刻も早く恋人の元に帰りたいのに、エミリアンと再度コンビを組んで、誘拐団を追いかけてパリまで飛ぶ(!?)ハメになる。

前作はテンポは快調だったものの、話に気になる部分がありましたが、今回の第二作は前作どおりの快調なテンポの上に、コメディの要素が前作以上に加味され、笑いの点から言えば、第1作より楽しめる作品になっています。
前作では、お人好しだけど凄腕のダニエル、ドジで小心者のエミリアンといったように、主役からワキ役に至るまで各キャラの描写を分かりやすくしていて、それが映画のノリの良さを生み出していました。今回はそういった個性を生かしつつ、新キャラであるダニエルの彼女の父親も加わり、彼らがさらに暴走してパワーアップした笑いを生み出してくれます。
なにしろ今回は、ラリーやパトカー軍団はもちろん、ヤクザ、ニンジャ、千葉ナンバーのミツビシ車、戦車、果てはパンチラまで登場する、まっとうでない展開が連続します。話もご都合主義のかたまりみたいな流れで、「ンなことあるか!」と突っ込みながら大笑いする、いわば「バカ映画」と言ってもいい作品です。
しかし、この「バカ」は悪い意味ではありません。一見イージーで破天荒な展開でも、そこにキャラの個性を生かす計算がちゃんとされているおかげで、彼らならやっても違和感なく思えます。それに、護衛車のパスワードや、運転音痴のエミリアン(パリでのこれに関するシーンは抱腹絶倒!)など、伏線を張ったギャグの生かし方も上手くて、大いに笑わせてくれます。
この映画は「「こちら亀有公園前派出所」のテイスト」と、どこかの週刊誌に書かれていましたが、その通りです。インド映画を見るような見方で楽しむ映画、とも言える作品でしょう。

今回の話には日本人が絡んでいて、外国人が考えそうな怪しい日本人の行動は、特に日本人には大笑いできます。アメリカ映画に出て来る日本人は発音がおかしい場合が多いですが、この映画に出てくる日本人の発音はけっこうまともで、それで怪しいことをやるもんだから、そのギャップがさらなる笑いを提供してくれます。
「ライジング・サン」みたいに、まじめな話の中に変な日本人の行動を見せられると、リサーチ不足と思って呆れるだけですが、この「TAXi2」ではそういったギャップをもわざとギャグのネタとして取り入れてる、確信犯のようなものを感じます。

ただ、笑いの度合いはアップしたのはいいことなのですが、前作はクライマックスで敵を陥れるシーンが以外で痛快だったのに、今回はそういうシーンがあまりないのは少し寂しい感じはします。

この映画はCGを使ってないことがウリ(少なくとも日本の宣伝では)で、確かに今回も、カーアクションではCGは使っていないと思いますが、ダニエルのタクシー絡みでCGを使っていると思われるシーンはあります。ま、走ってるシーンじゃないので別にいいのですけど。

 

 


外国映画

日本映画

オリジナルビデオ

スペシャルページ

表紙

作者プロフィール

映画について思うこと

リンク


TAXi3

 

 

そこそこ快調なテンポで見せてくれる「TAXi」。本格的にシリーズ化するつもりなのか、第3弾の登場です。
冒頭は例によって、ダニエルの運転する超高速改造タクシーの爆走から始まります。この時乗せた客はスペシャルゲストというべき俳優で、出てくるとは思わなかったのでちょっとびっくりしました(もうアクションは似合わないとは思うけど)。そっくりさんではなく本人だと思いますが、フランス語は本当に本人かなあ…。

今回も話のテンポはそれなりに快調だし、なじみのキャラクターはいかにもな行動を見せて、安定した作りを感じさせます。しかし肝心のお話がこれまで以上につまらなくて、シリーズは盛り下がりに来ています。
今回はサンタクロースに変装した強盗団の追跡と、主人公ダニエルとエミリアンの2人ともパートナーが妊娠、という2つの話が平行して進みます。この映画の最大の失敗は、この2つが別個で進むことでしょう。強盗騒ぎに彼女たちが巻き込まれた、なんて感じに2つの話を結びつけた展開にでもしていれば、主人公たちの強盗団の追跡に意味が出てもっと盛り上がるだろうに、両方を関係のない話にしたおかげで、特に強盗団の方が非常にあっけない展開になってしまいました。
おそらく映画のシナリオは第1か2稿くらいしか書いていなくて、話をあまり練らなかったのではないかと思います。シナリオは製作をしているリュック・ベッソンが書いているそうですが、彼が軽く考えて書いたか、あるいはベッソンだから誰も異を唱えなかったのかもしれません。ベッソンて「レオン」以降ろくな作品作っていないと思うなあ…。
ダニエルの車は後半で前作以上の珍妙なギミックを見せますが、それも上の理由であまり笑えず、ウソッぽさばかりが鼻につきました。

シリーズを見ていた人なら、キャラクターがどうなっていくかの興味で楽しめると思いますが、この映画で初めて「TAXi」を見る人には薦められない作品です。

前回はヘンな日本人が登場しましたが、今回はワケアリの中国人女性が、署長を色仕掛けでたらしこみます。演じる女優はバイ・リンという人ですが、どこかで聞き覚えがあるような気がするけど、思い出せません(アダルトだったような気がしなくもない)。

 

 


外国映画

日本映画

オリジナルビデオ

スペシャルページ

表紙

作者プロフィール

映画について思うこと

リンク