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第1作の「トイ・ストーリー」は劇場用フルCGムービー史上1作目にして、名作の地位を確立してしまいました。それから4年…「トイ・ストーリー」を超えるのはやはり「トイ・ストーリー」というべきでしょう。
今回の「トイ・ストーリー2」は1作目と同じか、それ以上といっていい出来です。続編ではパワーダウンが普通ですが、この作品はうれしい例外です。クライマックスは今回も危機また危機で、大いにエキサイトさせてくれます。
今回の話は、ウッディにプレミアがついていることが事件の元になっています。正におもちゃにプレミアがつく「今」ならではの話で、10年前にはこんな話は作りにくかったかもしれません。
シリーズ物の場合、第1作がキャラの紹介で、第2作でキャラのアイデンティティーの話というパターンが時々見られますが、この作品も同様です。ただ、そういった作品でも、話を展開させすぎて収拾がつかなくなる作品がありますが、この「トイ・ストーリー2」はそんなこともなく、1作目の世界を適度に広げ、存分に楽しませてくれます。特に、おもちゃとしてのアイデンティティを問われる、ウッディのジレンマが面白いです。
CGのクオリティはパート1と同様にいいですが、ごくたまに人間の動きがぎこちなくなるのが気になりました。パート1よりも人間の登場シーンが多く(アンディのママも登場!)なりましたが、皮膚や髪の毛など、人間の質感はまだリアルには感じられません。犬の毛もCGぽさが残ってます。とはいえアップでない、引きの時の人間や風景は実写と思うほど本物ぽく出来ているのには驚きます。
ウッディの声を演じるトム・ハンクスはこのところ「グリーンマイル」などシリアスな演技が多く、コメディ演技は久しぶりな感じがします。相棒バズの声を演じるティム・アレンも相変わらず役になりきっていますし、今回真面目タイプのバズも出てくるのは2倍の楽しみです。この作品は声にしろCGにしろ、キャラの性格の出し方は上手く、キャラが立っています。今回はウッディのガールフレンドとして作られたジェシーを初め、新キャラが数人(数体?)登場しますが、どのキャラも作品に溶け込んでいます。
この映画には「ものを大切にしよう」というメッセージが込められていると思います。そういう意味では子供にも見せるべき作品でしょう。元々子供向けの作品ですが、「子供向け」アニメや特撮ものに多い暴力シーンがあまりないのも、大いに勧めたい理由の一つです。
映画の中で「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」のパロディが出てきます。「オースティン・パワーズ:デラックス」など、いくつかの映画で同様のパロディを使っていますが、今回が一番笑えました。製作者たちもたぶんマニアなんでしょう。ノリが伝わってくる楽しいシーンです。ただ、このシーンで観客の笑い声があまり上がらなかったのが、「スター・ウォーズ3部作」を見てない人が増えている感じがして残念です。
今回のエンディングは「バグズ・ライフ」で始まったNG集の形で、これでもたっぷり笑わせてくれます。さらに、「あの映画」のキャラも登場するのがうれしいです。
この作品、まずはオリジナルを見たかったので字幕版を見たのですが、ほとんどの劇場が昼間の公開時間を日本語吹き替え版にしているため、字幕版は夕方とか夜の上映が多く、どこで見ようか迷いました。字幕版は冷遇されてる感じがします。これは第1作の結果を反映したものかなあ。
本編の前に、今年の年末に公開される予定のフルCG 作品「ダイナソー」の結構長い予告編が流れます。この映画は恐竜時代の話のようですが、「ジュラシック・パーク」や「T−REX」での恐竜の描写を見てしまった後には、新味ありません。制作費が350億だそうですが、もっと違った作品に投資してほしいです。
また、「ダイナソー」の予告の次に短編CGムービー、「ルクソーJr」も上映されます。この映画、「トイ・ストーリー1&2」の製作会社、Pixerのロゴの元になっている作品なのですが、ロゴの意味をよく聞かれるので、今回「トイ・ストーリー2」にくっつけて公開したそうです。クレジットを見ると「トイ・ストーリー1&2」の監督、ジョン・ラセターがこの作品でも監督をしていました。この人、前からエンターテイメントをちゃんと分かっていたようです。
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ジェシーの過去のシーンは、自分も同じことをした覚えがあるので、辛いシーンでした。子供よりも、おもちゃを捨てた経験のある大人の方が心動かされるシーンだと思います。ミュージカル風の演出がまた上手い!
ウッディたちが売られていく日本のミュージアムが、北原氏のおもちゃ博物館をイメージしていると思ったのは僕だけじゃないでしょう。日本が間接的に悪者扱いされてるような感じも受けました。
ウッディの腕を修理するおもちゃの修理屋は、「バグス・ライフ」のビデオに収録されている短編CG「Geri's Game」に出てきた爺さんだと思います。CGだからデータを使い回せるので、新しいキャラを作るよりは楽なのでしょうけど、ここは実写の俳優みたいに、ゲスト出演と思うべきなのでしょう。
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