ネ ズ ラ

 

 

ことぶき市で伝染病の患者が発生し、隔離病棟に指定された個人医がてんてこ舞いで働いていた。一方、同市にあるアメリカ企業DNカンパニーの破棄された研究施設に、米軍の特殊部隊と自衛隊の混成部隊が入り込む。伝染病の原因はそこの研究所で突然変異を起こし巨大化したマウスと思われ、ワクチンを作るための捕獲が目的だった。そして元研究員の洋子(勝村美香)のガイドで建物に入った兵士たちは、巨大ネズミの化け物と戦わなければならなくなる…。

お話を書くと外人俳優が出ているように思うかもしれませんが、米軍部隊も日本人俳優がやっています。悪口などを英語で言うシーンはありますが、大部分は日本語のセリフで、アメリカ兵という設定にムリがあります。
この点だけで、この作品がリアリティーがまるでない低予算モノというのが分かります。疫病からの隔離だって、本当に起こったらこんな個人の病院に隔離などするわけがありません。
作品の基本は人間たちとネズラ(作品中ではそう呼んでいない)の戦いの話ですが、兵隊たちや医者たちの人間ドラマも出そうとしているようです。でもキャラクターの過去を言葉で語らせるだけの、説得力がまるで無いシーンを長々と見せられても退屈するばかりです。製作者はただの怪獣映画じゃない、と言いたいのかもしれませんが、これならただの怪獣映画の方がまだ許せます。本編は90分くらいありますが、30分くらいに縮められます。

ネズラの造形はそこそこ良く出来ていて、これが作品で一番いい点でしょう。でもこいつのアクションはトロく、最後なんていかにも死ぬのを待ってるように動かなくなるのは、お笑いでしかありません。

元研究員役で勝村美香が出ています。危険な場所にいるのに肩を露出させた服という、いかにも色を狙った感じのキャラですが、「ウルトラセブン」での役とは違い、弱々しい感じになっていたのは珍しく思いました。

 

 


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陰 陽 師
妖魔討伐姫

 

 

雑誌記者をしている梓(瑠川あつこ)は10数年ぶりに妹・摩利(安藤希)と再開する。彼らの父親が行方不明になり、梓は不思議な力を持つ妹の協力を必要としていた。同じ頃、若者が携帯電話で呪い殺されるという事件が発生していて、梓はこの事件と父に何らかの関係があると推理し、関係者を当たるが、2人を追う影があった…。

中身は一応ドラマではありますが、ドラマの前に、仕込みと思われる僧侶みたいな人が、呪いをかけられた実例を長々としゃべります。そしてドラマが終わった後に、また例の僧侶らしい人物が出てきて、摩利が使った呪術の解説を長々と話しますが、話自体はそう面白いものではなく、尺合わせの時間稼ぎのように思えました。こんな作りにするのではなく、ドラマかドキュメンタリーかどちらかにしてほしいものです。ビデオの監修が「ムー」ということで、単なるドラマではないドキュメントを出すというのが狙いなのだろうと想像するのですが、中途半端です。

ドラマには敵の陰陽師が使う式神が出てきますが、人間の形をしています。これは予算で特撮を使えない苦肉のアイデアに思えましたが、他の作品には無い面白い見せ方です。玄武や白虎など4方向の式神が4人そろってポーズをとるシーンは、式神戦隊!と言いたくなりました。
しかし彼らが活躍する格闘アクションはヌルく、特に主役の安藤希のアクションは、トレーニングの時間が無かったことがモロバレです。

お話では、事実と思われたことが次々と覆っていく展開は面白いと思いますが、それを淡々と流してしまうシナリオは問題ありでしょう。ラストは「続く」という形になっていて、パート2や3が出ているようですが、次を見たいと思うほど面白い作品ではありません。

 

 


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ゴーストシステム

 

 

女子校生・美沙紀(桜木睦子)の親友・麻衣がある日突然失踪した。だが美沙紀の携帯に麻衣のアドレスでメールが入り、それを開くと森の写真が現れる。彼女は麻衣の彼氏である亘(玉木宏)と、麻衣を捜しに森に入る。森をさ迷い歩くうち、2人は廃墟のような建物に入るが、そこで恨みの表情を浮かべた麻衣が現れる。逃げる美沙紀は現れた若い女(瑠川あつこ)に救われるが、彼女はここで、霊を実体化させる実験を行っているという。その「システム」の前で麻衣の霊が実体化し、美沙紀に迫る…。

フジテレビ系で日曜日夜遅くに放映している報道番組「EZTV」の中で「ハリウッドでリメイクされるジャパニーズホラー」という特集を放映したことがあり、この時取り上げられていた作品が「呪怨」と「ゴーストシステム」でした。
番組の中では、カンヌ映画祭の間、「ゴーストシステム」監督の長江氏がこれのリメイク権を売ろうと映画会社のブースを奔走する姿が写され、最終的に「フロム・ザ・ダークサイド」などを手がけたロリマーが買ったとの結果になりました。

そういう、ハリウッドでリメイクが決定ということで見てみた作品ですが、結論から言うと、こんなもののリメイク権が売れたことが信じられません。
映画はホラーのジャンルに分けられる話ではありますが、全然怖くありません。キャラクターは単にいるだけにすぎないし、人数も少なくていかにも低予算が透けて見えて、同じ「森」ネタだった「ブレアウィッチ・プロジェクト」みたいな独創性も見えません。
カットも間延びして退屈なのが多く、我慢できなくなって早送りしてしまいました。全体の時間は75分と、そんなに長くありませんが、30分くらいに短くすべきです。
「システム」というタイトルから、小松左京の短編小説にあったような、霊のエネルギーを利用する話なのだろうと思っていたのですが、誰でも思いつくような安直な話にがっかりしました。

こうも退屈なホラービデオは、「呪霊」や「RENSA」といった駄作ホラーをよく出しているブロードウェイがリリースしてるならまあこんなものか、と寛大な気持ちにもなりますが、ポニーキャニオンのレーベル(だからフジテレビで取り上げたか?)でここまでひどいものを出されるとは思いませんでした。
ハリウッドリメイク、ビデオを売るためのやらせじゃあるまいな?

 

 


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仮面ライダーアギト
スペシャル
新たなる変身

 

 

平成13年10月1日に放映された「仮面ライダーアギト」スペシャル版のビデオ化です。
今度のアンノウンは人々を灰にして消してしまう、カブトムシタイプのビートルロード。G3とアギトは戦いを挑むが、今まで以上に強大である敵に歯が立たない。さらに翔一はアギトの力を制御できなくなってしまい、自信を喪失する。そんな時彼は、かつての彼の主治医国枝(京本政樹)と再会する。陽気な国枝に元気付けられた翔一は、新たな変身形態「シャイニングフォーム」を獲得してビートルロードに挑む…。

通常枠の「アギト」は日曜朝の放映ですが、この回のみ夜のゴールデンタイムに放映されました。
ゴールデンタイムの放映ということで、始めて見る人を意識したのか、冒頭に仮面ライダーが3人いることの短い説明があります。「仮面ライダーである男」(アギト)、「仮面ライダーになろうとする男」(G3)、そして「仮面ライダーになってしまった男」(ギルス)と簡潔に分類し、分かりやすくなっています。

今回のエピソードは特別編ということのせいか、京本政樹がゲストで出演しています。「ウルトラマン」でも今までの「ライダー」でも彼はたいがいゲスト的に顔を出していますが、今回は多少陰はあるものの、珍しく明るめの役です。
京本演じる国枝には、息子がアギト化してしまい、変身していく姿に耐えられず自殺してしまった、という過去が設定されています。
またこのエピソードでは、翔一がアギトの力をコントロールできなくなる不安が描かれます。これらを見る限り、「アギト」のテーマは変身、つまり自分が自分ではない別のモノに変わってしまう不安を描きたいように思えます。考えてみれば、「仮面ライダー」のトレードマークとも言うべき「変身」は自分が変わってしまうわけですから、その不安は当然起こるわけで、その意味では「アギト」はライダーシリーズにとって根源的なテーマを扱っているのかもしれません。

最後になって、このエピソードが映画版「PROJECT G4」に続くことが分かります。小沢真珠らしき人影が出てきますが、顔は写さないので別の役者を使ったのかもしれません。

 


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陰 陽 師
安 部 晴 明

 

 

昨今の「陰陽師」ブームにあやかろうとしたのか、映画「陰陽師」が劇場公開された頃にリリースされたビデオです。
内容は雑誌「ムー」での「安部晴明6つの謎」という特集を元に構成されています。監修として「ムー」の名前がクレジットされているし、編集者も登場してインタビューに答えています。
中味は安部晴明の出生や死の謎など、分かりやすく紹介しているし、晴明神社だけでない、他の地域での晴明に関する場所を紹介してるのも興味が持てました。「陰陽師」で安部晴明に関心を持った人にはいい補足ガイドでしょう。
…と、内容面ではいいと思うのですが、気になった点が…。

同じ頃にリリースされた、京極夏彦氏らが出ている陰陽師ネタのビデオにもこれと似たようなタイトルが付けられています。それと区別するためなのか、このビデオのパッケージには「安藤希主演」と大きく書いてあります。
「主演」と書いてある以上、安藤希(「妖怪伝さくや」)はレポーターではなく役者として出てるのだろうけど、まさか女性が安部晴明を演じられるワケはないだろうに、なんで「安藤希主演」?と、見る前は不安に思ったのですが、それは的中しました。

ビデオの中での安藤希はイメージキャラクターといった扱いで、歩くとか座るとか佇むといったシーンばかりで、演技らしいシーンは最後に、晴明が乗り移ったようなセリフを言うところくらいしか見せません。彼女が出てくるシーンは内容には全く絡んでおらず、いなくていい(見る前に予想はつくけど)キャラです。結局このビデオ、晴明のドキュメンタリーに、安藤希のイメージビデオを混ぜたような感じの構成です。
たぶん集客のために彼女がかつぎ出されたのだろうと思いますが、安藤希自身、何で自分が出演するのか、意義がわからなくて撮影時は困ったんじゃないかと思います(そこまで考えてないかもしれんけど)。

イメージといえば他にも、B級作品「グーリーズ」のような安っぽいモンスター映画を思わせるチープなクリーチャー(腕にはめて動かしてるぽい)が、式神などのイメージとして登場します。

このビデオ、安藤希のシーンをカットすればもっと簡潔になり、見やすくなったと思います。 安藤希のファン、あるいは安部晴明について知りたいという人には楽しめる作品でしょう。

 


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呪 怨 2
じゅおん

 

 

1話完結の作品が多いホラーものビデオの中では珍しく、この「呪怨2」は前作から連続した話になっています。このパート2では、前作で登場した響子の父母や、伽椰子の家族の失踪を調べる刑事などの新キャラが登場します。
前作では恐怖の元凶・伽椰子の呪いが彼女の家や人生に関わる者までにとどまっていましたが、今回はそれが、彼女に直接関係しないような人物にまで拡大していきます。
怖がらせ方は前作同様に上手く、特に子供が絡むシーンではやはりゾッとさせてくれます。

ただ今回は、呪いが増殖していくことで、かえって笑ってしまうシーンもありました。なので恐怖度は前作よりパワーダウンした感じです。 また話自体も、呪いが拡大していくだけで特に進展が無いのが、前作と代わり映えがしないように思いました。
それに「呪いの増殖」というのは「リング」シリーズを連想してしまいます。伽椰子は髪が長いこともあって、「リング」の貞子に似てるように見えました。

今回も前作同様、キャラクターの名前をサブタイトルにして、いくつかの話に分けている構成になっています。
まず初めに前作にあった「伽椰子」で始まり、その次に「響子」と、前半20分くらいはパート1のエピソードがほぼそのまま再録されています。
そして「響子」の話の途中から新しいエピソードにつながっていきますが、前作の要のエピソードが入っているおかげで、パート1を見ていない人でも話にとっつきやすい形になっています(2つのエピソードをほとんどまんまで入れてるのは、時間稼ぎという感じもしなくもないんだけど)。

 


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呪  怨
じゅおん

 

 

小学校の教師・小林(柳ユーレイ)はクラスに出てこない生徒・佐伯俊雄の家に行く。俊雄は家にいたが、その様子はどこかおかしい。小林は彼の母・伽椰子が帰るまで待つことにするが、まるで誘うがごとく開いた彼女の部屋で、彼は驚くべきモノを見る・・・。
佐伯家が住んでいた家に入った一家の娘、柑菜(三輪明日美)は家庭教師の由紀(三輪ひとみ)に勉強を見てもらっている。夏休みの昼下がり、甘菜が急な用事で学校に行かなければならなくなり、1人残された由紀は天井から異様な物音を聞く。そこで彼女が見たモノは・・・。

とある住宅街の1軒の家に起こる怪奇現象を、後に「富江/re-birth」を作る清水崇氏の脚本・監督で描きます。
作品は6話構成で、各話「俊雄」「由紀」「瑞穂」「柑菜」「伽椰子」「響子」といった、キャラの名前がついたタイトルで分けられていますが、全体を章分けしたおかげでキビキビとしたテンポで話が進んでいきます。
3話めの「瑞穂」は、清水氏が参加したホラーものVシネ「学校の怪談G」の中の「44444444444」を、メインのキャラを女生徒に変えたリメイクといっていいでしょう。また、「学校の怪談G」での「片隅」に出てきた怪物の正体が5話の「伽椰子」で語られている(と解釈できます)といった感じで、この「呪怨」は「学校の怪談G」の拡大版のようにも見えます。
ちなみにこの5話、妊娠している女性は見ない方がいいかもしれません。

このビデオは友人のすすめで見たものですが、ホラーといいながら恐くないビデオ作品が多い中で、この作品は 、夜中に1人で見ると後ろを振り返ってしまうような恐怖感があります。

ホラーものは夜のシーンがつきものですが、この作品には夜のシーンはあまりなく、昼のシーンが多い話になっています。その中で天井裏など、昼間の「闇」を上手く描いています。
その闇で起こる恐怖描写も秀逸で、特に音の使い方は不気味です。例えば、5話での怪物の服がすれる音が段々近づいてくる演出は、ホラーものでの「音」の重要さを強く感じさせてくれます。

この作品に出ている有名どころの役者では、1話の「俊雄」と5話の「伽椰子」に「女優霊」の柳ユーレイが出ています。
2話の「由紀」にはホラーものの常連になってしまった感のある三輪ひとみ&明日美姉妹が出ています。明日美の方は4話の「柑菜」でもちょこっと出てますが、かなりショッキングな姿を見せてくれます。
3話の「瑞穂」は、「バトル・ロワイアル」で男の股間にナイフを突き刺したマラソン女・栗山千明が主演で、洞口依子が教師役でチラリと顔を出します。
4話「柑菜」には並樹史朗と諏訪太郎が出ていますが、この人たちも「エコエコアザラク」など、三輪姉妹と同様にホラー系のVシネや映画でよく見る顔です。

「リング」の脚本家、高橋洋が「監修」とクレジットされています。何をしたんでしょう?

この「呪怨」、映画化といううわさがありますが、マジで実現してほしいものです。東映て企画が貧困な感じ(アニメと宗教とヤクザしかないイメージ)がするし、やるべきでしょう。

 


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学校の怪談G

 

 

映像での「学校の怪談」といえば東宝の映画シリーズが有名ですが、Vシネでも同じ「学校の怪談」のタイトルを冠した作品が何本か作られていて、この「学校の怪談G」もそのうちの1本です。
ただしこのビデオ作品は、映画シリーズに比べるとホラー的な描写が多く、血なまぐささが目立ちます。またどのエピソードも別に、学校でなくてもいい話に思いました。

この作品のリリースの時期は正確にはいつか分かりませんが、ビデオに納められている予告編に「ガメラ3」や室井滋の「ヒロイン」があるので、98年末くらいのリリースと思われます。

内容は「食鬼」「木霊」の2本の長(中?)編、そして「片隅」「4444444444」の2本の短編から成っていて、それに学生へのインタビューと怪奇現象を描いたアニメが所々に挿入されます。
冒頭と終わりには、「世にも奇妙な物語」と同じように、ストーリーテラーとして池乃めだかが登場します。

1本目の「食鬼(しょっき)」は今見ると、某ヒットホラームービーと同じパターンの話で、ホラー好きな人にはすぐにネタが割れてしまうであろう話だし、別に「食鬼」のタイトルでなくてもいい内容ですが、終わりは感動的です。映画版の「2」と「3」に出ていた前田亜季が主演してます。

「片隅」と「4444444444」は2本とも、5分くらいしかない超短編で、両方とも脚本と監督は「富江re-birth」の清水崇氏です。
「片隅」はゾンビものに貞子の動きを足した感じで、ゾンビは不気味ですが、これといって怖い感じはしませんでした。「新生トイレの花子さん」に出ていた大村彩子が主演しています(登場するのは3人だけですが)。
「4444444444」は、拾った携帯に出てしまった男子生徒の話です。この話は、カメラアングルや風の使い方など、怖い雰囲気の出し方が上手くて、見ている時に後ろを振り返ってしまいました。最後もギョッとする終わり方で、これが今回の作品の中では一番怖い話でした。

最後のエピソード「木霊(こだま)」は、透視能力を持つ女子生徒の力を試そうと、友人たちが学校内に隠れて場所を当てさせる実験をする話です。脚本は「リング」シリーズの高橋洋、監督は「回路」で先ごろのカンヌで賞を取った黒沢清です。
透視能力を使ったサスペンスの盛り上げは上手いし、亡霊が出てくるシーンは「回路」を思わせる不気味さがあります。ただこの話、「木霊」というタイトル通りに木が出てきますが、木と怪奇現象がつながる説明が全く無いので、なぜ「木」なのか?という疑問が最後まで晴れませんでした。

ところどころに挿入されるアニメはCGによるものだと思いますが、昨今よくある3DCGではなく、昔のPC98ぽい2Dのアニメです。この一見チープというか、前時代的に見える感じが、今見ると独特の味になっているように思います。

 


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真・恐怖体験
絶叫!恐怖体験編

 

 

「真・恐怖体験:怪奇現象投稿編」のヒットのおかげで企画された、続編的な作品です。
ただし、前回が投稿ビデオのみの構成だったのに対し、今回は投稿ビデオよりも、投稿ビデオにまつわる怪奇現象の再現ドラマをメインにしています。これがまた前回と違う雰囲気になって面白いし、今回の内容も高水準をキープしています。
前回と同じく、今回もUFOなど、霊現象以外のネタも扱っています。

前回良い出来だった「森」の「その後」のエピソードが登場しますが、今回の話は恐いというよりも感動的な出来になっていて、これもまたいい話でした。
また前回の「悪魔憑き」が、セルフビデオで変った感じでしたが、今回のセルフビデオ「呪いの儀式」は編集のテンポがいいおかげで、女の怖さがよく出た、異様な作品になっています。

 


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真・恐怖体験
怪奇現象投稿編

 

 

投稿(?)心霊ビデオ「ほんとにあった呪いのビデオ」のヒット(こんなもんが受けたのはネーミングの上手さか…)のおかげで企画された作品で、発売元も「ほんとにあった呪いのビデオ」と同じブロードウェイです。
タイトルは「真・恐怖体験/戦慄のムー体験」あたりから取られたものだと思いますが、中身に関連はありません。ただ、「戦慄のムー体験」は心霊現象以外のネタも扱っていましたが、「怪奇現象投稿編」もUFOなど、霊とは関係ない超常現象も取り上げています。

内容は「ほんとにあった呪いのビデオ」と同じ投稿ネタで、制作費は「ほんとにあった呪いのビデオ」より安いそうですが、この「怪奇現象投稿編」の方が遥かに、まともに見れます。
収録されている各テープの、霊現象の見せ方とシチュエーションにはバリエーションがありますし、「ほんとにあった呪いのビデオ」では心霊現象が画面に出ないことも多々ありますが、「怪奇現象投稿編」ではちゃんと見せてくれます。それに加えて、水着シーンのようなシチュエーションが目を楽しませてくれます。
この作品に収められた「実録」テープは全部で7本ありますが、中でも最後の「森」が一番良く出来ています。「ブレアウィッチ・プロジェクト」と似た話であるものの、怪奇現象が発現するまでの過程をちゃんと見せているので、同じく「ブレアウィッチ」の類似だった「rensa」(これもブロードウェイ)などとは比較にならないほど状況に説得力があります。
また「悪魔憑き」(「公園」)は霊現象ではありませんが、犯罪者自らが撮ったビデオというセルフビデオの形で、かなり異質な雰囲気です。

このビデオ、ブロードウェイが数々出しているホラー作品の中でも(投稿ネタに限らず)高水準の出来でしょう。

 


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rensa
呪いのビデオ

 

 

ビデオ会社に差出人不明で送られてきた4本のビデオテープ。それには4人の高校生達が、霊が写っているようなヤバい映像を求めて心霊スポットを巡る映像が映っていました。しかしビデオ会社の取材で、彼らが現在は失踪中ということが分かります。彼らに何が起きたのか?そこに写っていたものとは…?

幽霊が出てくるかもしれないような思わせぶりなシーンが続きますが、結局怪奇現象は何も起こりません。BGMがわりとおどろおどろしいので、それで怖がらせるくらいが関の山の作品です。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のパクり的作品ですが、出来は本家に失礼なほどひどいものです。
最後の方では「ブレア・ウィッチ」と同様に、キャラクターが叫びながら走るシーンが出てきますが、その過程のシーンが無くて唐突にそんなシーンに飛ぶので、何でそうなるのかさっぱり分かりません。他にも「ブレア・ウィッチ」と同一のシーンがあります。

この作品では本編でいきなり4人の高校生が墓場を歩いて、怖がるシーンから始まっています。それに比べれば、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」ではまず魔女伝説を巡る周辺情報を出したり、森を周らせて雰囲気を煽ったりしていて、この「rensa 」を見ると逆に、いかに「ブレア・ウィッチ」が良くできているかが分かります。

同じネタなら「真・恐怖体験:怪奇現象投稿編」のラストエピソード「森」の方がずっとよくできています。「rensa 」はドラマというより、心霊スポット巡り番組を見るような感覚で見た方がいいでしょう。もっとも、僕はこの作品のレンタル自体を薦めませんが。

この作品は高校生が撮っているという設定のせいか、彼らが撮ってる映像はデジタルビデオです。また、映像を見ている取材班のパートも出てきますが、それもDVカメラで撮っているようで、機材にはあまりお金はかかっていないはずです。スタジオは使っていないし、役者も無名の人ばかり使っているようで、全体としては安上がりな作品だと思います。
取材班のシーンでは、ディレクターが高校生達が撮った映像を見てるシーンが時々出てきますが、そこで見てるシーンがいつも同じものなのが、カットを使いまわしているようでチープです。この、ディレクターが驚く演技もわざとらしい。

この作品のBGMは同じ曲を何度も使っています。これもチープな感じなのですが、曲自体はおどろおどろしく、しかも曲が一旦盛り上がったとこで切れる形の旋律なので、切れた時に何か起こるのかと期待してしまいます。全く何も起こらないのですが。

ビデオのパッケージには、この作品の時間は90分と書いてありますが、実際の本編の尺は1時間もないでしょう。それでも長く感じました。30分くらいがちょうどいい作品です。

 


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伊藤潤二恐怖コレクション
首吊り気球

 

 

伊藤潤二原作の短編ドラマを3本収録したビデオ作品です。
「富江」第1作のヒット以来、「うずまき」や「押切」など、伊藤潤二の作品の実写化が多くなったのは、「富江」のヒットのおかげで企画が通りやすくなったゆえだろうと思いますが、長編は今一ついいと思えるものが出ていません。しかし、このビデオ作品はそこそこ上手くまとまっています。
橘実里や馬渕英里何や初音映莉子など、Vシネ(元はTVかも)にしては、TVで活躍している若手アイドル女優が結構出演しているのは見どころでしょう。
男性陣の有名どころでは、1話の主役でTV「催眠」で前半のキーパーソンを演じた石川伸一郎が出ているし、第3話には根津甚八も少し顔を見せます。

第1話の「悪魔の理論」は、原因不明の自殺をしてしまった女の子(橘実里)を好きだった男子生徒(石川伸一郎)が、彼女の制服に仕掛けていた盗聴器のテープをプレイバックし、彼女が自殺するに至ったまでの、同じ道を歩いていくことで追体験していく話です。
理論の方は未来がどーたらこーたらとよく分かりませんでしたが、彼が彼女の行動を盗聴機で再体験していくアイデアは面白いです。
理論のきっかけは「ファウスト」の本のようですが、短い時間であの小説を読めるもんだろうか?という疑問は残りました。

第2話「屋根裏の長い髪」は浮気な男を好きになってしまった女の子(馬渕英里何)が、彼にふられた後に自殺してしまうが、その首が無い…という話。
ラブストーリー的なホラーで、この話が3本の中で一番スタンダードな形の話でしょう。「女優霊」のようなさりげないホラー的シーンもコワいし、クライマックスの合成も面白いイメージで、これが一番良く出来ていると思います。
話が主人公の1人称で語られるのではなく、彼女の友人(藤村ちか)の視点から語られることで、主人公が彼を思う気持ちが上手く表現されていたし、冒頭の「つかみ」も効果的でした。

第3話の「首吊り気球」は、先端に首吊りの輪をつけた、人間の顔をした気球が女子高生たちを襲う話です。
人間の顔をした気球、というイメージだけで怖いというよりシュールで笑えます。人間の顔が飛ぶということで、合成は多いし、CGも使っていて、表題作だけに一番金をかけている感じです。
合成のクオリティはそれと分かってしまうようなチープな出来ですが、それがまた妙な味になっています。顔の気球が飛んでいるのに、主役以外の通行人が驚いてないのも、予算の規模が想像できてチープな感じです。
このエピソードでは根津甚八がゲスト的に出ていて、終りの方で活躍してくれますが、情けないというか、かっこいいと言っていいのか…笑えました。こんなのに出ちゃって、キャリアにかえって傷がつくんじゃなかろうか?と心配になります。

全編の音楽を担当しているのはZUNTATAで、このグループは「ダライアス」などゲーム音楽では名が知られた人たちですが、「押切」でも音楽をやっているし、ゲーム以外の分野でも作曲を手がけていたのは意外でした。

 


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ライン

 

 

呪いたい相手の名前を伝えると、その相手が死んでしまう「呪いの伝言ダイヤル」を取材する女性記者に降りかかる恐怖を描く話です。

冗長なシーンが多くて眠くなりました。全体の尺は80分くらいですが、60分以内に縮められると思います。話に関しても、例えば主人公のトラウマになる少女がどういう意味を持ってるのか不明だったり、思わせぶりなシーンを入れただけで、中身がない感じです。
ただ、ホームページの作者が死んでも、削除しない限りHPが残り続けるということから、サイバースペースに恨みが残るという考え方は面白いです。その恨みが実体を持つ、というのは飛躍しすぎだと思いますけど。

 


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ほんとにあった!
呪いのビデオ3

 

 

やらせ見え見え「霊体験」ビデオシーリーズの第3作です。
今回もしょうこりもなく、というか前作以上に、やらせが分かる安っぽい作りになっています。

初めに出てくるエピソードは、第1巻のビデオを見た人が幽霊を見るようになった、という体験談ですが、元ネタのトリックが想像つく人にはお笑いでしかありません。しかもこの場合、映像で霊現象が出るのではない、ただの体験談ですから、映像を作る必要もありません。
ここで出てくる2人の体験者のうち、1人にはモザイクがかかっていた上に、声まで加工してありました。前作に出演した人を使い回したためと思われます。

今回は霊現象のトリックにスライドが多用されています。ただし、スライドとバレバレでも、映像の中に「霊」が出ているだけまだましかもしれません。
スライド以外のトリックの作品は呆れるものが多く、今回はチープさが極まった感じです。特に「野球場に現れる少年」なんて、霊と言われているモノは遠くの方にぼんやりと写った通行人だとしか思えませんでした。
さらに、供養塔の前で映像が乱れたとか、撮ったはずのない映像が入ってるとか、遺影の写真の顔が大きくなってるとか、ラップ音とか、「霊」を出さないで作れそうな「怪奇現象」が目立ちました。こうもたくさんチープなトリックを見せられると、腹が立つより、よくこれだけ簡単にできる「怪奇現象」をでっち上げられるものだと感心します。

ビデオの最後に、心霊ビデオ応募のお知らせが出ますが、霊現象なんてそう簡単に撮れるものではないのに、最優秀で賞金5万円は安いと思います。優秀賞も1万円なんてなあ…。

 


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呪  霊

 

 

今だによくビデオが作られている、本当にあったという霊現象の再現ドラマです。
しかし、この作品はただの再現ドラマではなく、その再現のために撮影されたドラマの映像の中に、本当に霊が写っているカットがあるという、いわば「真・恐怖体験/戦慄のムー体験」と「ほんとうにあった!呪いのビデオ」を足したような作品です。

しかしこのビデオ、退屈でした。
ドラマは5話に分かれていて、その内容は中古の車に取り付いている少女の霊や、霊が取り付いてるホテルの部屋、ヘビを殺した祟り(?)を受けてしまう少女の話などバラエティに富んではいます。しかしどのドラマにも、とりとめのない電話のシーンや着替え(それも男)のシーンなど、本筋に関係無いようなシーンが延々と流れるし、それに加えて、作品の始めと終り、そして中盤に挿入されるナレーションも長く、そこで流される映像もただサイケ調なよく分からない物なのが、退屈さに拍車をかけています。
こういったシーンは、使う必要のないカットを無理に継ぎ足して時間を穴埋めした感じで、見ていて苦痛でした。このビデオは70分くらいの作品ですが、40分くらいには縮められると思います。

またこの作品は、声を時々同録でなく、別撮りしています。口と声がハッキリと、合ってないことが分かるのには呆れます。シーンによって音のレベルがバラバラなのも気になりました。

実はこの作品のことは制作段階で知り合いから聞いていて、予算が150万だったそうで、その関係で全5話中、1話しか夜のシーンがないと聞いていました。心霊ネタは普通、夜だと思うので、あまり怖くないのだろうと思っていましたが、その通りでした。編集で多少ハッと驚かされるカットはありますが、他のホラーでも使っているテだから目新しくないし、凡作といっていいでしょう。

作品の中で本当に写っているという霊も「ほんとうにあった!呪いのビデオ」と同様、スライドや合成というのがバレバレです(だいたい、1本の作品にこんなにたくさん霊が写るわけないだろうに)。ただ、全てのドラマが終了した後に、どこに霊が写っていたかを解説するので、ドラマの中でどこに霊が写っているのかを、探す楽しみ方はできると思います。

1話目は書き込みをしたら霊が出てくるというホームページの話ですが、ここでは女子高生がパソコンでHPを見てるシーンが出てきます。しかしこのシーン、マウスが必須であるウィンドウズ95の画面が出てくるのに、キーボードだけで打っていて、マウスは使っていません。また、彼女がメールを受信中にやたらとキーボードを打ってるシーンがあるのですが、受信中は普通キーボードを押さないはずなので、彼女が何をやろうとしているのか、見ててさっぱり分かりませんでした。この作品の製作者はパソコンをネタにしていながら、パソコンを知らないのではないかと思います。

退屈な作品だと思ったら道理で、監督自身、やる気がなかったという話を聞きました。そういうモノを見せられる視聴者の方こそたまったものではありません。
それでもこの作品、続編が作られるそうです。日本のビデオ界の未来は暗い…。

 


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