ジェームズ・ウッズが主役で、彼がヴァンパイヤスレイヤーを演じます。彼がヒーローを演じるのは初めて(「ビデオドローム」や「サルバドル」はヒーローとは言えないでしょう)のようなのですが、今までのキャラでも粗暴だけどタフな役が多かったせいか、違和感は全然感じられなくて、ピッタリだと思います。おそらくハリウッドのメジャー作品では、彼は主演にはなれないだろうし、こういう奇抜なキャスティングはカーペンターらしいと思います。
主役が、いつもながらのアウトローという設定もカーペンターらしいです。「ニューヨーク1997」(「エスケープ・フロムL.A.」は記憶から抹消!)のスネーク・プリスケンがもうちょぴっと組織寄りになった感じでしょうか。
この作品の親玉ヴァンパイアは、ヒーロー以上に強くてかっこよくてセクシーですが、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」やコッポラ版「ドラキュラ」とか、ここ数年の吸血鬼ものに出てくるヴァンパイアはこういった強くてセクシーな奴が多い感じがします。こういうセクシー系のヴァンパイアが出てきたのって、フランク・ランジェラ主演の「ドラキュラ」あたりからでしょうか。親玉ヴァンパイアがシェリル・リーの血を吸うシーンなんかモロにSEXのイメージでしょう。
ヴァンパイア達が土の中から出てきて、横1列で歩いていくシーンはかっこいい!「ワイルドバンチ」は見てませんが、「OK牧場の決闘」(あるいは「Gメン75」)みたい。
ヴァンパイアは棺桶では眠らず、十字架もニンニクも効かない、という設定は生物っぽくて、ありそうな感じがします。
今までのヴァンパイアものでは、ヴァンパイア達がただ血を吸いまくるだけの内容のものが多かったと思いますが、この作品では彼らがある目的、それも世界の一大事に発展するかもしれない目的を達成するために行動する、というのが今までヴァンパイアものにはなかった面白い点です。それが行われるのが片田舎の村で、それを阻止するのがはみ出し者の数人という話の構成は、「パラダイム」みたいな、地方の一見小さな事件が世界の一大事に発展していく、カーペンターのおはこのパターンでしょう。
ヴァチカンから極秘の命を受け、人知れず吸血鬼退治をするプロがいる、という設定は戦隊ものみたいで、この設定だけでTVシリーズが作れそうです。ヴァチカンというだけで、映画に歴史的な重みが出る感じがします。その司祭を演じているのが重鎮マクシミリアン・シェルというのもそれらしいキャスティングです。