12月26日火曜日。晴れ。


朝から吾郎がなんかやってる。
家の中にあった大きい木がなくなった。
あれについてた赤いのとか欲しかったのに取るの忘れた。
一度挑戦したのに、吾郎が喚くからうるさくてやめてやったらそのまま忘れちった。
あーあ。

あ!玄関にいた茶色のやつ!
まだ、いるかもしんねぇ!



あ!いた。



俺くらいの大きさのふにゃふにゃしたこいつ。
狙ってたんだよね!
首に金のがついてて俺と一緒みたい。
話しかけても反応しないんだけど、
なんか、あったかいんだよな。こいつ。

にしても、なんで返事しないんだろう?


「なー。」
「ねえってば。」
「口きけないの?」
「名前何?」
「じっとしててつまんなくないの?」
「なんだよ。せっかく俺が話しかけてやってるのにさ。」


あ!!
しまった。
声出しちった。


げ!!吾郎の足音。


「こら!ぴろた!」


やばい!

「な。一緒に行こうよ。」
って、なんでこいつ走らねえんだよ!
しょうがない、銜えるか。



あ・・・。



吾郎に取られた。
あと、一歩だったのに。

捕まえられて可哀想。
でも、あいつちっとも動かないから嫌じゃないのかな?


「もう!スタイリストさんからもらったテディーベア。傷つけないでよね。限定品なんだから。あ〜危機一髪。」

なんか言ってるけど良くわからねぇ。
ふん!ま、いっか。


てゆーかさ、なに、ずっと抱いてんだよ!!


「やっぱりさわり心地がいいよね。上等な品なだけあるな。」

なんだよ。俺よりそっちのほうがいいのかよ。
俺のほうが気持ちいいだろ!!
いっつもべたべた触るくせに!

「あ・・・もしかしてぴろた、やきもち焼いてるの?」

なに?なんだよ。なに、にやにや見てるんだよ。
うわ!
なんだよ!いきなり持ち上げるなって。
ま、なんか今日の吾郎はあったかいし、いっか。


それにしても、こいつ、じっとしてるな。
あ・・・なんだ生きてないんじゃん。
なーんだ。

あ、今、吾郎油断してるんじゃね?
よし!今だ!!


ん?あ゛ぁ?


なんだよ。爪が吾郎のセーターに引っかかってるよ。
これって、じたばた動くと、「着れなくなっちゃったじゃない!!」
とか言って、すっごいキレられるやつだよな?
しょうがねぇなぁ。

「なぁ、吾郎、俺の爪、引っかかっちゃったんだけど。」
「ん?なに?ぴろた?」
「何?じゃなくて、爪。お前のセーターに引っかかってんの。早く気づけってば」
「ん?あ?爪!こら!ぴろた!ダメでしょ?セーターに爪立てちゃ。」
「別に立ててないけど引っかかったんだってば!本当にすぐ怒るやつだな。」
「でも、今日はちゃんと教えてくれたんだね。いい子いい子。」
「うわぁ。撫でるなってくすぐったいだろ!」
「よしよし」
「も〜う!しょうがないな。ちょっとだけだからな。」
「ふふ。気持ちよさそうな顔。」
「なんかムカつく。けど、なんか力が抜けて動けない。しょうがないから、ちょっとだけおとなしくしててやろうかな。」





2006.12.26UP
「いいとも」での二人を見て、
殿下は結構ぴろたの事を触るよね・・・という会話になり、
「お嬢さんズ」その3って感じじゃない?と発展したことから
生まれた安産のシリーズです。