1月1日月曜日。晴れ。
朝から吾郎がなんかやってる。
今日の吾郎もおめかし吾郎だ。
「ぴろた、おいで」
「なに?」
なんだ?抱っこか?吾郎、本当、俺の事好きなんだな。
わ!!箱じゃん!
油断して抱かれちゃったよ。
「いい子にしててね」
が〜ん。
でも、またこの間の所かもしれないし。
「は〜い、行きますよ」
「おぅ」
あ…今日も車だ。
やっぱりこの間の所かな?
って違うじゃん。
「こんにちは〜。」
「いらっしゃい。早く来れたわね。」
「うん。あ、あけましておめでとう」
「あけましておめでとう」
どこだよ。
なんかいっぱいいる。吾郎の小さいのもいる。
「ぴろた、出ていいよ」
「あら、可愛い。女の子?」
「ううん。オスだよ。ぴろた」
「へぇ、こんにちは」
「誰?」
なんか小さいのが来た!
わぁ!
なんだよ!!
触るなよ。やだやだ。
あっち行っちゃおう。
探険、探険
でも、なんかいい匂いがするんだよなぁ。
俺、お腹すいたし。
「ほっといて大丈夫?」
「ぴろた?大丈夫だよ。猫だもん。それにいつも一人で留守番させてるし」
「にしても、綺麗な子ね」
「でしょう。僕に似て美男子」
あ、またちっこいの来たよ。
嫌だって。
来るな、くるな。
「よかったね、ぴろた。遊び相手がいて」
「良くないよ」
「さーさーご飯にしましょう」
「やっぱりすき焼きは大勢で食べるのがいいよね。ぴろたもご飯だよ」
「お腹すいた。」
「ぴろたにあげてくれる?」
えぇ、ちっこいのがくれるの?
「はい。ぴろた」
食べていいの?
「召し上がれ」
でも、なんか吾郎達のの方が美味しそう。
「ねぇ、それちょうだい」
「ぴろた、まだ自分の食べ終わってないじゃない」
「やっぱり美味しい物はわかるのね」
「ダメ」
「なんでだよ」
「ちゃんと自分のを食べなさい」
「やだ、やだ。」
「こら」
むっ
なんだよ。吾郎の意地悪。自分達だけで美味しい物食べてさ。
いいもんね。ちっこいのに貰おうっと。
「なぁ、それ、くれ」
「やーだー」
「ぴろた、やめなさい」
「なぁ」
「これ、僕の!」
「くれよ!!」
「やだ!」
「ぴろた!!」
「欲しいぃ!!」
「だめぇ!」
もう!
「痛っ」
あ
「ぴろた!」
あ
あ〜!
吾郎がパチンした〜!
痛い〜!!
「ダメでしょう」
「吾郎が叩いた!」
「人に爪たてて引っ掻いちゃダメ!!いい?」
「痛い〜!酷い〜」
「まぁまぁ、大騒ぎね」
「そんな鳴かなくても。」
「吾郎が叩いた」
「まるで僕が酷い暴行振るったみたいじゃんねぇ」
「まるで、ぬいぐるみみたいねぇ」
「え〜?こんな喚いてるのに?」
「可愛いじゃない。おばあちゃんがお肉あげようね」
「ちょっとお母さん。」
「いいじゃない。お正月だし。」
あ〜疲れた。
最初からこの人に貰えばよかったよ。
早く、くれ。
「よかったね。貰えて」
だから、どうせくれるなら最初からくれればいいんだよ。
吾郎がさっさとくれないからいけないんじゃん。
はぁ、美味しい。
本当、吾郎って美味しい物ばっか食べてんだな。
ま、俺、いつものでいいけどさ。
あ〜もう疲れちゃったし。
「ねぇ、あっちで座らない?」
「何?ぴろた。僕、まだ食事中なんだけど」
「いいじゃん。向こう行こうよ」
「ご飯食べな」
「もういらないっつーの」
「おばあちゃんが抱っこしてあげようか。」
え…。吾郎のママ?
ちょっとぉ、吾郎。
「怒られたばっかりでもご主人様がいいのねぇ」
「え〜。僕、食事中だから嫌だよ。お母さん抱いてて」
おい!吾郎!
「わぁ〜、吾郎ったら冷たい」
「いいの!普段、食事の時にはお行儀よくするようにしつけてるんだもん!」
「お正月くらい、いいじゃないねぇ」
「ダメだよ、甘やかしちゃ」
「わかってないわねぇ」
「お姉ちゃん、実感こもってるね」
「思った通りになんて動いてくれないものなんだから」
「勉強になります」
もう、いいや。つまんないし、あっち行っちゃおう。
あ、ちっこいのも来た。やだよ。さわんなよ。
もう。
「ぴろた君が嫌がる事しちゃダメよ」
また探険しよう。
ここ何の部屋だろう?
あ…ドア閉まった。
俺、まだ開けられないんだけど。
わ〜格好悪い。
「吾郎〜」
「お〜い」
「ねぇ〜」
「ぴろた君じゃないの?」
「呼ばれてるわよ、ご主人様」
「いいよ、暫く」
「まぁ、可哀相に」
ちょっとぉ、吾郎。
なんだよ。
何度もジャンプするのも疲れるし、まいっか。
でも、なんか閉じ込められたみたいで、やな感じ。
吾郎、遅い。
俺の事忘れてるんじゃないの?
さっきあんまり食べなかったから、お腹すいたし。
さっさと来いよなぁ。もう寝ちゃう。
あ〜もうやんなる。
ったく、吾郎!
「あ〜美味しかった。ごちそうさま。」
「美味しかったわね」
「ぴろた君、静かになっちゃったけど大丈夫?」
「そろそろ見に行こうかな」
「ぴろた?どこにいるの?」
あ…吾郎。
「俺、ここ」
「どこ?」
「ここだってば!」
「ここ?」
「見ぃつけた」
遅いよ。
「ドア閉まっちゃったんだね。まだ一人では開けられないんだもんね」
うっさいな。
早く連れてけって。
「ほら、おいで。」
……
「え?歩くの放棄?赤ちゃんだなぁ、ぴろたは」
……
「あら。可愛い事」
「甘えん坊ね、ぴろた君は」
なんだよぉ。
みんなしてベタベタ触るなよ。
やだやだ。
もう!
「あ、猫パンチ」
「偉い、えらい。爪は立てなかったんだね。」
触るなってば!!
「よしよし」
「触るなよぉ」
「可愛い、可愛い」
「も〜う!」
「いい子、いい子」
あ〜、もうやだ〜!!
なのに、どうして俺気持ちよくなっちゃうんだろう。
なんか、フニャフニャしちゃうよ。
俺、きっと疲れてるんだ。
しばらく抱かせてやるか。しゃーないな。
2007.1.15UP
どうも幼くなってしまうぴろたです。
そして実際、元日の夜にすき焼きを食べるのは
稲垣家ではなく、聖奈家です(^^)
すでに季節はずれ感がなくもないのですが、
お許しを〜。