2004年11月14日
東京厚生年金会館
ファントム:Peter Straker、クリスチーヌ:Kate Lineham、ラウル:Roy Snow
新支配人(リチャード):Ray Henwood、ペルシャの王子:Grant Bridger、
ギリー夫人:Helen Moulder,
ウエストエンドでオリバーソントン君が、オペラ座の怪人に出るときいて、観たいなと思っていたら、オペラ座の怪人の来日公演があると聞いた。で、いろいろ調べたら、バージョンが違うんだって。これは、劇団四季で有名な、そしてオリバー君も出演するロイドウエーバー版とは違うとのことだ。CDで、ロイドウエーバー版のロンドンキャストと四季の山口版を聞いて、ロイドウエーバーの音楽はいいなと思っていたけど、まあ、せっかくなのでこちらも見てみましょう。
開演1時間前に抽選でラッシュチケット(4000円で最前列)が8席でると聞いてがんばったけど、はずれた。せっかくなので、当日券のB席かった。後ろから2番目の右ブロックだ。ま、こんなもんでしょうと席についていたら、係りの人がきて席をS席に替えてあげますというじゃありませんか。で、1幕目は、2階の真ん中くらいのS席でみた。でも、がらがらです。2幕目は、同じ列のセンターへ移動して、ますます良席。これは、かなりお得な気分ですが、真っ当に前売りでS席買っていたら、泣きましたね、きっと。
さて、CDで聞いたところでは、ロイドウエーバー版では、オークションの場面から始まるはず。が、こちらは、踊り子のジャムという女の子が踊る場面から始まります。そこへ、新しい支配人がやってくるのは同じ。だけど、こちらは、一人で、おまけにラウルはパトロンじゃなくて、この人の息子です。このケンヒル版は、ずーと歌っていうわけでなく、普通にせりふがあって、合間に歌がはいるというパターンです。
長々書くときりがないので、印象のみ書きましょう。
そもそも、オペラ座の怪人の筋をちゃんと知りたかったという今回の目的は果たせたと思うけど、たぶん、ロイドウエーバー版とはちがうんじゃないだろうかと思われるところが結構あった。まだ、ロイドウエーバー版みてないので、CDと比べてしかいえないんですが。まず、ラウルが、パトロンでなく、支配人の息子だった。ギリー夫人は、バレエの先生ではない。怪人の弟が登場する。マスカレードがない。これだけでも、ああ、違うね〜と思いますね。
全体的には、あんまり悲しくないです。わりと笑えるところもあったりして、ミステリーというほど、怖い感じもないし、このミュージカルとしての作品はどこをねらっているのか、終わってみるとちょっとわかりません。
音楽は、クラシックのオペラからの引用部分(?)は、よかったです。特に、このミュージカル最大の、いやこれでこのミュージカルはもっているんだなと思われる、’真珠とりの歌’。ファントム役のピーターさんの最初の歌なんですが、わあしみる〜という感じのじわじわ系なのです。ハスキーなんだけど、ざらざらでなくて、切なさが胸に迫ります。これは、1幕のわりと前半で歌われるので、これは期待できるわと思っていたら、この歌以上のものはありませんでした。クリスチーヌのルサルカと海賊も、わりとよかったです。どうもケンヒル版は、オペラに詳しい人には、楽しいらしい。オリジナルの歌は、これというのはなかったです。この辺が、やっぱりロイドウエーバー版に比べて地味な印象となるのでしょう。
次にキャスト。ファントム役のピーターさんは、さすが、歌がよいです。何度もいいたくなるほど、真珠とりの歌がいいです。ケンヒルに義理立てしないで、ロイドウエーバー版歌ってくれよと思います。この脚本のファントムって、あんまり同情誘わないんだけど、同情誘う系の演出にしたら、ピーターさんの雰囲気ははまると思います。クリスチーヌ役のケイトリネハムさんはオペラがよかったです。クリスチーヌって、なんか変な女なんですね。無理やりファントムに地下の湖に連れて行かれたのに、すんなりウエディングドレス着たり、いやがるファントムの仮面とろうとしたり。やさしくないんですね〜。でも、ラウルもファントムもクリスチーヌがすき。いつでも、どこでも、こういう女がもてるんだな。ラウルは、たくさん出てくるんだけど、こちらは子爵じゃないせいか、お金持ちのちょっとおばかなおぼっちゃまでした。CDで聞く限り、ロイドウエーバー版では、ノーブルで、うーん、オリバー君で見てみたいと思わせる若き貴族だったのに。ラウル役の人は、まあラウルやりそうなルックスで、背もけっこう高そうだった。結構たくさん出てくるので、是非ロイドウエーバー版もこのくらい出てほしいなと関係ないこと思いました。
昨日、TBSでPR用の番組やっていて、19世紀の衣装や、舞台装置の豪華さみたいなこといっていたので、秘かに期待していたことがあった。それは、オーケストラピットにゆれる大きなシャンデリアが落ちてくるんじゃないかと思っていたのだ。が、ゆれるだけで、落ちてくるのは別のものです。
まあ、これに代表されるように期待のわりに全体的にこじんまり。悲劇でもないし、ミステリーでもないし。たしかに、オーケストラもあるし、スタッフも向こうの人だし、俳優の実力もすごい。が、だから?という感じ。今回のように6000円で、これだけのものを見れたことは満足だけど(いい席で)、普通の人が1万円だして、わざわざ観たかなというとちょっと疑問。興行的な成功は難しいかなと思います。
とはいえ、ピーターさんの歌はすばらしかったし、おもしろいといえばおもしろく、何よりお得なゆったりとした席でみれたことなど考えると、よい観劇といえます。
おしまい
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