マネージャー通信  Vol.4     2006.1.10

今年最初のマネージャー通信は、ファンの皆様へのお年玉ということで、ご要望の多かった、
チーフマネージャーの日記の公開をさせていただこうと思います。
極秘でお届けしますので、取り扱いに注意してください。
では、今年も一年よろしくお願いいたします。



11月29日

【中居 小田和正さんのライブに参加】

一日が無事に終わってホッとしたのは久しぶりだ。
冷や汗をかいたのもいつぶりだろう。中居も相当緊張していた。
楽屋に入って行った時の、あの縋り付く視線が忘れられない。
細かく動く手足にこっちまで緊張が増した。

「だから、受けるかどうか、よく考えなさいって言ったじゃない」
こういう時に私から出る言葉はお小言ばかりだ。
「うっせ。」
中居は震える声で小さく一言だけ返して来た。

「ねぇ、今、木村何してる?映画?」
「木村?そうね、昼間は映画だったけど。もう終わった筈よ」
それを聞くと中居は
「ちょっと電話してくるわ」
と廊下に出て行った。

放送ではカットされたが、中居の番組のカメラが入っていたからその内容も拾えてしまった。

「もしもし、拓哉?俺。ヒロ。」
「おぅ。何?どうした?」
「あのさ、夜空歌って」
「はい?」
「夜空。夜空ノムコウ」
「や、知ってるけど」
「いいから歌って。後で説明するから」
「♪あれから」

中居は気が済むまで木村に歌わせたらしかった。
戻ってきた中居の青ざめていた顔は少し赤みがさしていた。
「♪あれから」
と何度も口ずさむその肩からも無駄な力が抜けていた。

誰が想像していたよりもずっとうまく歌い切った中居はうきうきと車に乗り込み 、
自分の家とは違う方向に帰って行った。

数週間後、テレビでの放送を前にじたばたしつつも少し誇らしげな顔の中居が見られる事だろう。
そして、きっとその隣には満足そうな笑みを浮かべた木村がいる筈だ。

あー、疲れた。私も誰かに癒されたいものだ。




○月○日 

【吾郎 ドラマの制作発表】
 
相変わらず嫌味な程綺麗にスーツを着こなしていた。
大勢の人に囲まれていても人一倍華がある吾郎に正直言って目を奪われた。
つい、目で追い掛けていたら、目が合ってしまい見透かしたような含み笑いをされた。
思わず目を逸らしてしまい「しまった」と思った時には遅かった。

「やぁ」
片手を上げて近づいてきた吾郎。その挨拶に笑顔で答えたことはまだない。
それは五人全員に共通する。
「何?どうしたの?」
言葉の端に笑いが含まれているように感じたのは私の被害妄想だろうか。

「別に。あんたがちゃんとやってるか見てるだけよ。」
「そう」
「そうよ。しっかり気の利いたコメントでもいいなさいよ」
「はいはい」
「はいは一回でいいの!」

吾郎と話していると、どうも自分のペースを掴めない。
適当に話を終わらせようとしたのだが、相手が吾郎では無駄な努力だった。 

「なんか雰囲気ないなぁ。僕は、飯島さんに熱く見つめられて嬉しかったのに」
「何言ってんのよ!」
「素直じゃないなぁ。」
「あんたねぇ」

図星なのをごまかそうと一気にまくし立てようとしたのに、吾郎はそれを阻むと、

「前から思ってたんだけどさ人の事『あんた』って呼ぶのやめた方がいいよ。
 女性なんだから」

なんて事を平然とした声で言って来た。
中居に言い負かされるならともかく、どうして私はいつも吾郎に負けるんだろう?

暫く呆然としてしまい、気付いた時には吾郎はフラッシュの中で自分に酔っていた。
ま、吾郎が吾郎らしく、かっこつけていられるならそれでいいか、と思った私は年を取ったのだろうか。








2006.1.10UP
お友だちからの要望にお答えして、
飯島女史の日記形式にしてみました。
いかがでしょう?