2005年3月11日 ソワレ
Bunkamuraオーチャードホール(東京)
Swan&Stranger:ホセティラード The Prince : ニールウエストモランド
The Queen : オクサナパーチェンコ Girlfriend ; リーダニエル
Private Secretary : ピーターファーネスYoung Prince : サイモンカレイスコス
今週は、火曜日の出張帰りを逃したら、絶対に観にいく時間はないと思っていたら、なんだかオフィスが夕方急に静かになった。来客やスイスからのスタッフが去ってしまって応対した人々が疲れたみたいで。やった、いけるかも。Bunkamuraに聞いたら、ジェイソンはマチネに踊ったというじゃありませんか。白鳥たちが地方へ飛び立つ前に心残りは片付けておこう。と、いうわけで、本日待ちに待ったホセ&ニールのコンビです。
ニールは、とても姿勢のよい王子様です。シャイですね。どの王子様よりもためらいがち。雰囲気は、スコットに近いかも。英国の有名私立校でお勉強したっぽい。いつもお行儀よくて、押さえています。自室にもどって自分をみつめたとき、どの王子様より乱暴にお洋服や帽子を投げつけるところにこの王子の屈折を感じました。この辺までは、わりと存在感あったのですが、なぜかこの後、あんまり記憶にありません。で、最後の最後にSwanが死んでしまって取り残されてたたずむところ、ここでまた存在感がよみがえります。他の王子は、この場面の記憶ないのですが、ニール王子はここで泣き顔でたたずみ行き場をなくした姿が印象的でした。
今日何よりも嬉しかったこと。アンドリューが3幕の舞踏会で踊ったのです。2年前の王子様が、今日はどこかの国のお姫様のエスコートです。踊りは、やっぱり美しいです。わたしは、アンドリューの踊り好きなのです。なんだか、アンドリューをおっていたら、群舞の方々はこんなことをしていたのねといろいろ気づきました。お姫様たちとけっこういちゃいちゃしたり、飲み物のんだり。アンドリューは、ゲイだからか、お姫様に触りながらお話するところもいやらしさがありませんでした。と、いうか気がはいってないというか。この調子で、4幕の白鳥もやってくれないだろうかと期待しましたが、それはなし。白鳥は急には踊れません。この前も踊ったという噂を聞きましたが、今日も急だったみたいで、あとで聞いたら自分だって踊ると思ってなかったよといってました。群舞に故障者がでたのか、舞踏会の踊りもカップルが少ないなと思った場面がありました。
そして、何を避けているんだ、避けてはとおれないでしょう。(と、ロンドン公演と同じことをいう)ホセのSwanが大好きという方やホセのSwanに涙するという方、この先は読まないでください。だめです、わたしは、ホセのSwanも。何がだめって、せわしないのです。せっかくの長い手足、ロイヤル仕込のクラシックで鍛えたテクニック。正直期待していたんですよ。Swanのソロくらいは優雅なんじゃないかと。だけど、なんでだろう。動きから動きの間がやけに早くて、落ち着きがないみたいにみえるのです。ある部分は、白鳥の翼にみえるのに、この妙な間のせいで、なんだかやっぱり猛禽類に近いのです。あと、これは、個人の嗜好の問題なのでごめんねなんだけど、容姿がね。優雅な美しい白鳥にはどうしても見えないのです。1幕の最後に満月の下で、湖を流れていくアダムのSwanをみた時の美しさは、わたしが一生のうちに出会う美しい光景の中でもベスト5にはいるかもしれない。作品の衝撃は、こういうところにもあると思うのですよ。だから、生まれつきのものとはいえ、この作品においては、Swanの容姿は無視できない要素といえるのではないでしょうか。
そして、ストレンジャー。王子とのパドドゥはよかったです。ホセの今回のダンスの中で一番。大きな身体にレザーのお洋服、きびきびつきはなすような、でも、不思議な愛情に満ちたパドドゥで、はじめて、ふ〜ん、ホセのダンスいいかもねと思いました。3幕は、全体的に他のダンスもいいですが、それでも、こちらに訴える力が弱いのは、このストレンジャーって、楽しくなさそうなんですよ。自分は、こんなところに来たくはないし、お姫様たちとこんなふうに踊ってもちっとも嬉しくないのにって感じ。女王様も、年下のちびっこジェイソンにはちょっかいだされてうきうきしてましたが、ホセとはあんまり嬉しそうじゃないんですね。相手が情熱もってくれないとやっぱりね。容姿は、別としても、もっとラテンの眠った血をよびおこして、ジーザスやジェイソンのように女の人を渡り歩くような男としてふるまったら、3幕はよくなると思うんですよ。ダンスだけじゃのりきれないんだなと実感した3幕でした。
4幕は、群舞の白鳥が今日もよかったです。Swanが王子と再会しているところへ、一羽、また一羽とベッドを中心に現れるところの絶妙のタイミングと群舞の位置関係がすばらしいです。今日は、アンドリューいないかなとさがしていたせいもあって、Swanよりも群舞の動きに目がいってしまいました。白鳥たちはベッドの上、Swanはベッドの下でむきあって翼をはためかす場面が好きです。ホセは、ジェイソンよりは元気。傷ついてはいるけど、王子を救うためにたたかうところは、さすがに大きいから、他の白鳥よりは強そうにみえるし。Swanが最後に倒れこむところも、大きいですねえ。音楽が胸には迫りくるのですが、Swanが命尽きていく切なさと悲しみは今回は感じませんでした。
これで落ち着いて、4月の追加公演の日々も送れることでしょう。今回、初日が、ホセ&ニールなら、チケット2枚は節約できたのに。あと生オケの日、奇跡がおきないなら、ホセでもジェイソンでもどっちでもいいです。女王がニコラトラナさんにあたってくれれば。そうね、このメンバーでやりくりしなくちゃいけないなら、こういうのはどうだろう?2幕がニックで、3幕がホセ、4幕がジェイソン。王子はクリスにしてね。それにしても、なんで追加公演あるんでしょうね。本日、3階席は封鎖です。2年前、3階の上の立ち見用のとてもこわいバルコニー席が買えない人があふれていた日々が遠い日のようです。
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