2005年2月13日 マチネ
青山劇場(東京)
ヴァルモン:アダムクーパー トゥーヴェル夫人:ナターシャ ダトン
メルトイユ夫人:サラバロン ロズモンド夫人:マリリン カッツ
ヴィオランジュ夫人:ヨランダ ヨーク エドジェル
セシル:ヘレンディクソン ダンスニー:デーミアン ジャクソン
ジェルクール伯爵:リシャール クルト プレヴァン:サイモンクーパー
夜中に頭が痛くて、バファリン飲んだら、今朝はすっかりいい気分。わたしの人生は、やっぱりアダムのためにあるんだわと心も軽く、バレンタインのチョコレートも持って青山劇場を目指したのでした。
今日は、G列センター通路側。G列なんてね〜と思っていたら、この席は観劇するには非常によいお席のようです。たしかにアダムのお顔をながめるには遠いけど、舞台のバランスとか、照明がつくりだす独特の雰囲気とか舞台全体を楽しむにはベストロケーションではないでしょうか。セシルが下着姿でダンスニーの上着を羽織って踊るシーン。毒っけひとつない無垢な二人の世界が、あの怪しげな鏡張りの暗闇にいながら、あわい金色の光につつまれきらきらしていて、このままそっとしておいてあげてほしいと祈りたくなりました。
ナターシャは、悪くはないんですね。まあ、サラと比べるといろいろあるけれど、この子は将来楽しみかもよ。図らずも、サラの急病でこんなにたくさんトゥヴェルを演じることになってしまったけれど、セシルいっぱいやるより、彼女の女優としての経験としては、今回のことは大きいでしょう。本日は、アダムがヴァルモンのせいか、もっと情熱的にも見えたしね。こういう若い人は、回を重ねるごとによくなるのでしょう。ヘレンもこうなったら、自分しかいないから、セシルが板についてきたし。そういえば、セシルって、最後はちゃんと女になっているんですね。ダンスニーとの子供のような恋愛の中、ヴァルモンに半ばレイプのように目覚めされらたにもかかわらず、わずかの間に、ヴァルモンを男性として受け入れて受け止めようとさえしているのです。最後は、ダンスニーの味方して逃げたりもするんだけど、トゥヴェル夫人を失ってぼろぼろのヴァルモンにからむセシルは、もうヴァルモンのなすがままでなく、彼を半ばつつみこもうと身体を開いているように見えました。ナターシャもヘレンも今回ノーマークの新人でしたが、よいです。好きですね、わたし。
間におにいちゃんを挟んだせいか、ずいぶんアダムのヴァルモンを懐かしく感じた。ああ、やっぱりヴァルモンはこうでなくちゃ。一度、違ったところからみたせいか、もうアダムのひとつひとつを大切に焼き付けてみておこうと今日は、心意気もまじめです。メルトゥユ夫人の部屋にいるセシル親子たちをガラス越しにみつめる立ち姿さえ、ぼおとガラスにかすんでいるのにまぎれもなくアダムです。ダンスニーの手紙をもてあそび、思いっきり悪い奴のときの黒いジャケットに紺のおリボンでたばねた姿のダンス、うーん、ここもアダムでないとだめです。かつらをはずし、虚構の衣装をぬぎすてセシルの部屋へ向い、セシルに襲い掛かる野獣。うーん、ここだってアダムでないとだめです。2幕最初の紫の長いジャケット。オペラグラスでよーくみると、細かいお花の模様があるんですね。これは、今日あらたに好きになった衣装です。みんなで椅子を片付けてダンスをするシーン。お兄ちゃん、ここではかっこいいのに。お兄ちゃんのダンスは、ところどころはかっこいいのよね。あ、もちろん、ヴァルモンのアダムがかっこいいのはいうまでもありません。このダンスの音楽は、ちょっとヨーロッパぽくないんですが、官能的であやしくて、2幕最初の見せ場にふさわしい雰囲気です。アダムがサラ以外のトゥヴェルをちゃんと愛せるのかしらねと思いながらみていましたが、大丈夫、わけへだてなく愛してあげてましたよ。ナターシャだってアダムのほうが燃えるのか、なれてうまくなったのか、おとといよりも、女としての情念が燃え始めたみたいよ。サラ&アダムのPDDが最高なのは仕方ないけど、ナターシャだって踊りこんでいけば、これはもうひとつの組み合わせとして、ヴァルモン的にもヴァリエーションができてよい組み合わせになれそうな予感。アダムについては、もうわたしは何も望みません。こうして、東京にいながら、こんな素敵なダンスをこうして何度も何度も見れることを本当に本当に感謝します。
ふと、気づけば、東京公演のチケットはあと一枚。千秋楽を残すのみとなりました。夢の時間はあまりに儚く短くて、その儚さの記憶を少しでも多くどうか心に刻んで残せますように。
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