2005年2月11日 ソワレ
青山劇場(東京)
ヴァルモン:サイモンクーパー トゥーヴェル夫人:ナターシャ ダトン
メルトイユ夫人:サラバロン ロズモンド夫人:マリリン カッツ
ヴィオランジュ夫人:ヨランダ ヨーク エドジェル
セシル:ヘレンディクソン ダンスニー:デーミアンジャクソン
ジェルクール伯爵:リシャール クルト プレヴァン:バーネビ イングラム
今週は、体調最悪です。会社の不届き者が風邪をまきちらしてくれて、ほぼ会社も壊滅状態。が、そんなことでこの貴重な3日連休を無にしたりはできません。今日は、アダムのサイン会&握手会につられて、お兄ちゃんの日のチケット買っちゃいました。空席めだったらかわいそう〜と思っていたら、けっこう埋まってました。ご招待も多かったらしいけど。
そうね、この感じ。Swan Lakeをアダム以外のキャストで見たときみたい。アダムがあまりに自然にさらっとやってのける全てが計算しつくされて、作り上げられているものだったのだと初めて気づかされた時に似ている。兄弟っていうのは、時に過酷なものだなと思う。サイモンのダンスは、どこかアダムに似ていながら、やっぱり別物なのだ。サイモンがアダムのお兄ちゃんでなかったら、今回こうしてヴァルモンを演じることはなかったんじゃないかな。ヴァルモンはサイモンが演じるような役じゃないのだと思う。サイモンは、舞台に華があるダンサーではないし、アダムのようにひとつひとつの仕草がいちいちセクシーという男性ではない。悪い人の香りがしないし。アダムのようにあらがえない悪魔の瞳でとことんおとしめられて立ち直れないところへ追いつめられるようなどん底感がないんですね。まあ、そんな人が世の中にごろごろいたら、わたしは生きていけなくなるけれど。ヴァルモンは、そういう人でないと成り立たない役なのだと思う。お兄ちゃん、ダンサーとしての日本デビュー、本職のコンテンポラリーのほうがよかったかもね。
本日は、これもちょっとお兄ちゃんには不運なんだけど、サラが風邪でお休み。いつもはセシルのナターシャがトゥヴェル夫人でした。彼女、イメージとしてはあってるし、ちょっとリフトこわごわをのぞけばダンスもいいんですが、まだ若いです。サラが日々パワーアップして醸し出す、人妻の情念と艶にみちた情熱の炎が足りないんですね。貞淑な女性だけに、いったん燃え始めた情熱の強さが抑えきれず一気に解放されて花開く様がいまひとつ、ナターシャではインパクトに欠けます。うす味でしたね、本日のパドドゥ。
あ、忘れてはなりません。一幕のレイプシーン。悪いけど、これはセシルちゃんが気の毒でした。いつもは、セシルになりたいと思いながらみてるんだけど。いやらしいおやじにもみえなかったものの、テンポが悪いせいか、タイミングが少しづつずれていて、圧倒されて窒息どころか、いきなり素にもどされちゃったみたいで、こんな冷静な一幕の幕切れも初めてでした。忘れないように書いておこう。お兄ちゃんは、ブーツのしたに靴下はいていた。アダムは素足ではいていたので気になっていたけど、こういうバリエーションはダンサーごとに許されるらしい。
いつもは、最後のほうで右端のヴァルモン&セシル、左端でメルトゥユ&ダンスニーのシーンがいっぺんにみれないので、アダムのほうばかりみていたところをせっかくなので、今日はダンスニーのほうをゆっくりみてみた。何気にういういしいダンスニーをメルトゥユ夫人が結構大胆にふりまわしているダンスで、そうか、わたしが観てないところで、こんなに一生懸命ダンスニーはがんばっていたのねとちょっと愛おしい気分になりました。サラバロンさんは、今日は、皆をひっぱっていかなくちゃという気合が感じられ、毒々しいメルトュユ夫人というより、頼もしいおねえさんみたいでした。
と、いうわけで、本日は、バージョン違いの日と位置づけ、長い人生こんなこともあるよねという感じでした。危険な関係がこの先、幾たびか上演されることになるでしょうが、これもSwan同様、アダム以外のヴァルモンが受け入れられることはないであろうと確信した日でもあるのでした。
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