Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [120]   レミゼラブル ロンドン公演(3)
2004年12月28日ソワレ30日マチネ
Queen's theater(ロンドン)
Jean Valjean : Sean Kingsley
Javert; Michael Mccarthy(28日) Mark Dickinson(30日)
Fontine ; Joanna Ampil
Thenardier : Troy Sussman Mme Thenardier : Katy Secombe
Cosette : Julia Moller Eponine : Gemma Wardle
Marius : Gary Tushaw(28日) Daniel Reeves(30日)
Enjolras : Ramin Karimloo
 
今年、ロンドンへは3回来た。仕事もないのにヨーロッパに年に3回もくるなんて初めてだ。日本にいるわけでもなく、アダムの公演のように集中して切符買ったわけでもないのに、今年、レミゼをクイーンズで5回観ることになった。どうして、こんなに好きなんでしょうね、レミゼ。
 
28日のクイーンズは寒かった。暖房絶対はいってなかった。寒すぎて、偶然預けてなかったコートを膝に、マフラーに手袋で観劇した。リトルコゼットが森へ水汲みに行く寒さや、パリの街の冬を図らずも劇場にいながら体験したのであった。、幕間は、コーヒー飲んであったまんなくちゃやってられません。と、思ったら、ヨーロッパ人たちは、アイスクリーム食べていた。イギリスは、幕間にアイス食べるのが習慣のようで、どこの劇場にもあります。サドラーズのカップはバレリーナの模様付き1.5ポンド。クイーンズは買ったことないけど、ハーマジェスティは高めで大きくて3ポンド。ハーマジェスティのチョコレートアイスはチョコレートのリボンとチップいりでお値段にふさわしいお味です。
 
28日は、ウイーンからの移動日で、ちょっと自分的にはお疲れ気味。キャストが、ほぼ夏に観た人々と同じなので、なんかレミゼもあきちゃったかなと思ったりした。夏と違うのは、アンジョルラスのレミンカミーロ。オリバー君が今、ファントムでラウルをやっているのと交代でやってきた人です。ふーん、なるほどね。という別に印象ないです。しいていえば、ありがちなアンジョルラス。こっちのアンジョルラスって、わりと濃い目の人が多く、この方もレバノンだかの出身で濃い系ですね。十周年記念コンサートの人が若かったらこんな感じかも。別にかっこいいわけでもなく、オペラ座の怪人はレミンのときに行かなくてよかった。アンダーのジョナサンは今回なかったけど、どっちもどっち。よって、この1年はアンジョルラスでのお楽しみはなしということね。ティナルディエが2回とも、アンダーの方でした。前のティナルディエが結構あくが強くて、大丈夫なんだろうかと思ったけど、この方もなかなか。ティナルディエ夫人とのコンビもよろしく、普段はアンサンブルなのに、りっぱにティナルディエしてました。コゼットが今回から、かわりましたが、こちらは印象なし。コゼットって、あんなにマリウスに愛されるというのに、魅力ない役どころなんですね。誰がやっても、まあ、かわいけりゃいいんじゃない?で終わっちゃうのです。28日は、ああ、またゲーリーかとがっくり気味でむかえたマリウス。何度みても、だめです。好きじゃないよう。Empty Chair Empty tableの場面、どうか3分の一の力で歌ってちょうだいと祈っていたにもかかわらず、パワー全開。はあ、力はいりすぎ。ひいちゃいましたよ。
 
今回、特筆すべきは、ショーンバルジャンの成長ぶり。前回きたときより、数段バルジャンになって、深みがでてきました。かすれ声は、やっぱりあのままですが、不思議ときれいにのびるように落ち着いてきたみたい。若いバルジャンだなと思っていた夏ですが、今回は年齢がすすむにつれてもっとしっくりきて、最後に召されるとことは、すっかりその世界にひきこまれました。
 
30日マチネ。ねらってました。クリスマスシーズンは、臨時のマチネが増えて、俳優さんたちも忙しい。マチネは、アンダーの確率高いのだ。やったー、ゲーリー、藤井マリウスお休みです。観たかったよ、ダニエルリーブス君。ダニエル君は、小さいこじんまりした人です。基本的にこじんまりって好きじゃないんだけど、マリウスに関してはいいんですね、わたし。ジョンリー君も小柄でした。髪は、濃い茶色で、普通に短くて、おリボンはなし。そういえば、レミンアジョも髪はそのままで、今回は短髪コンビですね。ダニエル君、かわいい。貧民街で、エポニーヌと戯れたり、コゼットと恋に落ちて必死で追いかけたり、エポニーヌにお願いしてお家までおしかけたり。そう、そう、マリウスはこうでなくちゃね。ジョンリー君のことちょっと思い出させるような新鮮なマリウスです。エポニーヌが好きになるのわかります。エポニーヌが切ない。こんなに好きなのに、マリウスって、全然わかっちゃないんです。やっと腕に抱かれたのは、命途絶える一瞬だけ。Little fall rainの悲しさは、エポニーヌでなく、どんなマリウスによるかということを実感したのでありました。深みをましたショーンバルジャンと、ダニエル君の愛おしさがあいまって、ひさしぶりにBring him homeも心にしみました。そして、期待しすぎてはだめだめと、自分をたしなめつつ迎えたEmpty chair Empty table。うーん、よかったです。ジョンリー君のさらっと感はなく、わりと力強いのですが、こじんまりしているせいか、力はいりすぎず、友を失った悲しみにうちひしがれている姿にぐっときました。ああ、待ってたよ、このEmpty chair, Empty table。こういう風なEmpty chair, Empty tableが聞きたかったんです。どうして、皆あんなに力いれて、ひいちゃうくらいに絶唱するんでしょう?若者が夢やぶれ、友を失った悲しさは、絶叫すればいいってもんじゃないでしょう。ダニエルリーブス君、合格です。ゲーリーの契約切れたら、次は、あなたがファーストキャストになるといいね。また、みたいです、ダニエルのマリウス。
 
忘れちゃいけませんね。30日は、マッカーシーおじさんはお休みでした。マッカーシーおじさんのアンダーっていうのはプレッシャーだね〜と思っていたけど、マークディクキンソンさん、力強く歌いあげてくれました。マッカーシーおじさんは、終始冷静で、冷徹で感情をほとんど出さない人でした。だけど、歌では感動させるという不思議な力の持ち主。マークさんは、わりと普通の警官で、悪いことは悪いのだと信じて、自分のすすむべき道を人間らしく押し通しているという感じ。ジャンバルジャンにバリケードで助けられたときのくやしさや、バリケードが落ちた廃墟でおちこんでいる姿は、こういうジャベールもありなんだねと教えられました。
 
30日は、そういうわけで、自分的に大盛り上がりで向かえたラスト。お隣の女性、涙ぼろぼろ状態。どうやら、まわりも大盛り上がりだったみたい。ジャンバルジャンが天に召される時、コゼットとマリウスに見守られ、フォンティーヌとエポニーヌに迎えられ、遠くからは、Do you hear the people sing?が聞こえてくる。ああ、やっぱりレミゼって好き。カーテンコールでは、全員がスタンディング。これは、久しぶりじゃないですか?いいときと、そうでないときって、反応が違うんだな。最後に、皆総立ちなのをショーンさんがすわってくださいと話しかける場面あり。26日に起きたスマトラ沖の地震の募金の呼びかけでした。こんなに幸せな時間をすごせたんだから、自分にできることはして人を助けてあげようという気持ちにさせられちゃいますよね。赤いバケツに、2ポンド貨幣をなげこんで、劇場をあとにしたのでした。(実は、翌日帰国のため、お札はもうなかった)
 
 
 
 
 
 
 
update:
2005/01/04



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