2004年7月19日 13:00
東京芸術劇場(東京)
ジャンバルジャン:今井清隆 ジャベール:今拓哉
フォンティーヌ:マルシア エポニーヌ:本田美奈子
コゼット: 河野由佳 マリウス:津田英佑
エンジョルラス:留守晃
ティナルディエ夫妻:三遊亭亜郎 瀬戸内美八
本日2度目のレミコン。Yahooオークション執念の一枚です。
前回のがっかり感にもかかわらず、やっぱりわたしは、レミゼラブルの歌が好きで、他のキャストで見てみたかった。が、残り少ない日々だと選んでいる余裕もなかったが、アンジョルラス以外は前回とだぶることなく、なかなかよい日がとれました。
今井清隆氏は、録音滝田版のジャベールの人なので、期待できそうと思っていたら、やっぱりよかった。この人は、わりとロンドン版の俳優さんに近いかもしれない。ジャベールよりジャンバルジャンに向いていると思う。年齢的にも無理は感じなかったし、歌うまいし、あんまり粘着質な感じがしないので、いろんなこと乗り越えて達観しているジャンバルジャンの感じがよくでていたと思う。今度公演があったら、この人のとき見てみようと思う。
今ジャベールは、うーん、これも岡幸二郎と同様印象がうすい。正義の青年みたいで、ジャベールみたいに偏執した正義感じゃなくてもっと純粋なさわやか系の正義なので、’Star'とか自殺のところが、迫力に欠けていた。ジャンバルジャンとの対決もそういうわけで、弱いです。ジャンバルジャン圧倒的に強く、ジャベール負けてました。
今回の女性陣は、あたりです。よかった、2回いった甲斐があったというものです。日本の女性ミュージカル俳優はあんなに程度が低いのかと前回はがっかりでしたが、今回は皆まとめてよかった。
マルシアは、’ジキルとハイド’でも娼婦役がよかっただけあって、フォンティーヌもよかったです。歌がいやらしくなく、さらっと、でも悲しく、こういうさっぱり悲しい系がわたしは好きです。工場でも娼婦でも病人でも、全部、原作のフォンティーヌに近く、無知で純粋な心優しき貧しい薄幸の女性の生命力がよくでてました。
本田美奈子は、TVで観てるときはいやな女だと思っていたし、あんな年でエポニーヌっていうのもどんなもんろう、まあ歌はうまそうだから、いいかもくらいにしか考えてなかった。が、見た目があまりにエポニーヌにぴったりでびっくり。原作を読むと、エポニーヌは、とっても悲惨に貧乏で荒れた暮らしをしている。そのエポニーヌのイメージにぴったりで、身体がめちゃめちゃ細くて、声もか細い。実際、今日は’Little Fall Rain'は、物語はしょっているのに本田美奈子の歌だけで泣けました。
コゼットは、声量がない人で、高音どうするんでしょう?と心配になるような感じだったけど、この人、かわいかったんです。これは、今井バルジャンのお父さんとのコンビネーションかもしれないけど、娘娘してて’パパ、生きて、生きて、生きるの。’のところとか、歌唱力のなさよりいとしさのほうが勝っており、よかったです。
ティナルディエ夫妻は、前回の駒田&峰コンビがよすぎたので、ちょっと印象うすいですが、悪くはなかったです。今回は、奥さんの瀬戸内さんのほうがだんなさんより、迫力もあってユーモアもありましたが、原作の奥さんは、こんなに狡猾な人じゃないので、ちょっとイメージ違います。日本は、こういう解釈なんでしょうか?
今回、一番の失策は、ノーマークのマリウスです。マリウスは、やっぱり大事。他に気をとられて、おろそかにしていたせいで、大はずれ。津田英佑って、アンサンブルにまじったら絶対わかんないわ。かわいくも、かっこよくもなく、歌も別にだし、日本はいかにマリウスをぞんざいに考えているかわかったような気がします。実際、’Empty Chair at the Empty Table'のシーンが、全然感動しなかったのは、すごい損した気分。ロンドンでは、一番感動した場面だったのに。エリザで’闇が広がる’がマダムヴォルフのところと同じみたいなテンションでみてたら、すごいがっくりくるでしょう。そんな感じです。こういうマリウスでも、Little Fall Rain'
で泣けたのは、本田美奈子がいかによかったということでしょう。
アンジョルラスは、前回と同じく、こちらも選んでる余裕はありませんでした。この人、録音鹿賀版でもアンジョルラスだったんですねー。今回、気づいたことに、彼は演歌っぽい。アンジョルラスが歌い始めると、突然ジャポネスクバージョンになっちゃうみたい。日本の熱い魂だせ!みたいな感じ。これも、日本流の解釈なのかもしれないけど、原作のアンジョルラスって、金髪の美しいカリスマ性のある、ちょっとわがままな青年なのです。留守さんのアンジョルラスは、仁義とか重んじるような自己を殺しても義に生きるような兄貴って感じです。これがすきという人にはいいでしょうが、わたしは、アンジョルラスにはやっぱりフランスの香りを感じたいわけです。
と、いうわけで、今回はマリウスがっくりをのぞいては、概ねよかったと思います。日本語の歌にもなれてきたし。レミゼは、いろんな国で上演されているので、売店にウイーン版、オランダ版、フラマンベルギー版、インターナショナル版、フランス版(古いほう)、マンチェスター版、ドイツ版、チェコ版が売られていました。かなり心惹かれましたが、きりがないのでやめました。特にチェコ版とウイーン版は迷いに迷ってやめました。いっしょに歌えないから。
東京公演は、あしたのマチネでおしまい。大阪と名古屋のあとは、地方にまわって12月に東京周辺にもどってくるそうだ。わたしは、川崎ミューザに行きます。楽しみです。それより、もっと8月末には、またロンドンでレミゼ本公演、とっても楽しみです。
用語解説
録音滝田版:レミゼラブルの日本公演は、滝田栄と鹿賀丈史がジャンバルジャンを演じた時の公演2種類がCDで残っている。
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