Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [134]   レミゼラブル ロンドン公演(1)
2004年6月19日
Quieen's Theater(ロンドン)
Jean Valjean : Simon Bowman, Javert ; Michael McCarthy
Fantine:Joannna Amplil, Marius:Jon Lee
Enjolaous:Oliver Thornton, Eponine:Sophia Ryavelas
Cosette:Lydia Griffiths
 
このレビューを書いている今も、観たときも、はっきりいって、まだお話を全部把握しているわけではありません。上記のキャストは、やっと帰国してからインターネットで調べたものです。
 
アダムの舞台を見るために渡英したので、その他の準備は全然してなくて、昼間はマチネがなければとっても暇。7度目ともなると観るところもないし、お買い物するほどお金もないし。で、じゃ、ミュージカルでも見ますかという軽ーい気持ちで最前列の席を15ポンドでゲットし、Kさんと寝ちゃうかもねといいつつ劇場へ。
 
最前列って、これは今までで最強です。舞台と席の間、1mないかも。真ん中で倒れられたりしたら、見えません。が、その代わり、オペラグラスなしで、俳優さんのつばが飛ぶのまで見えます。
舞台が回ります。セットすごいです。迫力いっぱいです。ちょっと眠気もふっとびそうです。
 
何より、いきなり音楽いいです。心に響くって感じ。神父様が、盗んだ銀の食器をそれは、君にあげたものだよね、これも忘れているよ、この食器で正直な人になりなさいねというところ、いきなりじーんとします。なんといっても、この出来事で、ジャンバルジャンの人生かわっちゃうわけですから。
 
いろいろ状況わからないうちに、フォンィーヌ登場。子供のために、一生懸命働いている風。だけど、どうして工場で意地悪されたり、急に娼婦になったのかはちょっと不明。あと、これとジャンバルジャンがどうかかっているかも不明。ま、とにかく、子供のために働いて病気で死ぬことになるみたいで、ジャンバルジャンはその子を引き受けるお約束をしたらしい。フォンティーヌ役の人、島田歌穂そっくり。また、復活したのかと思いましたよ。声も3人の女優さんの中で一番美しいです。
 
フォンティーヌの娘を引き取りにジャンバルジャンがでむきます。どうやら、もう一人の子供がエポニーヌだったらしいのは、あとで人にききました。とにかく、ここで、子供をひきとり、ジャンバルジャンは旅にでます。で、なぜか、ジャベールがいつもジャンバルジャンを追っています。なぜだろう?肝心なところ、わかっていません。だけど、追ってることはわかります。
 
ジャベール役の人、おデブです。日本では、もっと細身の人がやってたよね。ジャンバルジャン役は、ダニエルオトーユみたいな人。ま、いうまでもないですが、めっちゃめっちゃ歌うまいです。何がびっくりしたって、ロンドンキャスト、歌のレベルがすごい高いです。日本って、うまい人もいれば、いまいちの人が必ずまじってるけど、若手もベテランもうまくて、うーん鍛え方が違うという感じ。
 
そして、時は流れ、10年後のパリ。貧しい人々の不満が充満している街の風景。抵抗運動らしきをしている学生。それが、マリウスとエンジュラスです。マリウス、カラレスです。金髪さらっさらっで、後ろで結わえており、顔がつるんって感じなのに、この髪型がちょっとそそります。エンジュラスのほうがルックスはいい男だ。エンジュラス君、うまいわ、うまい。と思っていましたが、2幕はなんかお疲れ気味でちょっとかすれてたかも。なぜか、この貧しき街にコゼットがやってきて、すれ違ったマリウスと恋に落ちます。安易です。このあとの情熱や、エポニーヌの切なさを思うとあまりに安易な恋の始まりです。
 
エポニーヌ、マリウスが大好きなのに、マリウスって、やつは。
お手紙を届けてくれとエポニーヌに頼むのです。エポニーヌは夜の闇にまぎれて門を超えようとすると、ジャンバルジャンに見つかって’何だ’と怒られます。そんなー、きただけでもかわいそうなのに。ジャンバルジャンが、ことづかるからとマリウスのラブレターを勝手に読みます。この辺は、おやじですね。
 
そして、抵抗運動はもりあがり、学生たちは武器をもって蜂起します。バリケードのシーン圧巻です。すごいセットです。なぜか、スパイのジャベールがいて、味方のふりをしていますが、少年にみつかって殺されかかります。そこへ、学生の味方のジャンバルジャンが現れ(が、なぜ、ここで彼らとのつながりがあるかは不明)、自分がみはるからといいつつ、ジャベールを逃がします。たしか、自分は何の条件もつけはしない、さあ自由にいけばよいみたいな歌だったような。その後、ジャベールは、人生むなしくなって自殺してしまいます。この辺の、展開の深さが実はいまいち理解していなかったりして。本当は、ジャンバルジャンを追いつづけた自分の人生のむなしさに絶望するということらしいのですが、あんまりしつこく追っている感じもしなかったし、助けられたときのむなしさも感じませんでした。って、これは、単にわたしの英語力によるところが大きいのでしょうが。
 
ま、それはいいや。これからなんですよ。戦いは激しさをまし、ふときずくとエポニーヌが倒れています。マリウスが抱き起こそうとすると胸が血でぬれています。もうエポニーヌは助かりません。エポニーヌの思いはとげられませんが、愛するマリウスの腕の中で、マリウスの悲しみに包まれて死んでいきます。うー、ここは泣きそうです。愛されないことの切なさ、でも愛する人の腕の中で死ねる幸せ、切ないです。
 
そして、戦いに疲れて眠っている学生たち。その学生のひとりに、ジャンバルジャンはマリウスを見つけます。そこで、この若者をどうか生かしてください、自分のような人間が先に死ぬべきですという歌を歌います。ここも、涙じわじわきます。
 
戦いはいよいよ激しさを増し、どんどん学生が死んでいきます。エンジュラスは、逆さづりみたいな姿勢で死んでいます。あの姿勢は苦しかったでしょう。しかし、美しい青年はスポットライトをあびて死んでいます。
 
マリウスも倒れています。ジャンバルジャンは、マリウスを背負って地下道を歩いていきます。マリウスの金髪が、さらっさらっとゆれます。ほんとーに、さらっさらっなのです。なんで、死体をかついでいくでしょう?と思っていたら、生きてたのですねー。
 
次のシーンでは、心も身体もきずついたマリウスのシーンです。うー、ここは、ツボです。からっぽのテーブルにからっぽの椅子。この悲しみは語れない、自分だけ生きていてごめんね。みたいな歌詞だったと思います。うしろにお友達の幻影もうつります。それまでは、のっぺりした兄ちゃんねと思っていたけど、これでわたしの心にきざまれてしまったわ、ジョン。いつの日か、浦井君が泣き虫を卒業したらやってもらいたい役です。が、日本でレミゼをみた人がおっしゃるには、日本ではマリウスのシーンはうすーいそうです。役者もぱっとしないんだって。ま、いいや、浦井君がやればよくなるでしょう。
 
最前列の席っていうのは、何でもよく見えます。舞台が暗くなったので、どうしたのかしらと思っていたら、マリウスがごそごそ何か脱いでます。そしたら、いきなり元気になって結婚式でした。
 
ここからは、ま、ありがちで、ジャンバルジャンがマリウスに真実を話して、あとは死ぬ前に自分の過去を告白した書き物をコゼットにわたして天国に旅立ちます。
 
居眠りするどころじゃありませんでした。あとでじわじわやってきます、この感動。長く語り継がれる作品というのは、こういうもんなんでしょうか。いきなり、土曜日の午後の暇つぶしにさえ、このレベル。ロンドン、あなどれません。日本版も今度こそはみてみよう。ブロードウエイは今年はやってないらしい。マリウスは、必ずしも金髪ではなく、髪も長いばっかりじゃないそうです。わたしとしては、浦井君のときは、さらっさらっの長い髪を結わえてほしいです。
 
用語解説
カラレス:英語のcolourless。金髪で青い目、凹凸のないゲルマン系の容姿。ラテン系のめりはりのある濃い容姿にくらべて、平坦な様をあらわすとき、わたしは使っています。
 
update:
2005/01/04



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