Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [142]   On Your Toes 東京公演(1)
2004年4月28日30日ソワレ
ゆうぽうと(東京)
Junior Dolan : Adam Cooper,
Konstantine: Ivan Caballari, Vera : Sarah Wildor
Frankie : Anna-Jane Casey, Sergei : Russel Dixon,
Peggy : Gillian Bevan
 
アダム、日本に来てね! という言葉に’Yes, I will, definitely!’と答えてくれたアダムを信じて待ち続けた半年。
本当にアダムは帰ってきてくれました。わたしの人生は、濃度も厚みもうすーいけれど、幸せの一滴は波紋のようにひろがって日々を彩るのです。
On Your Toesは、白鳥のような本能にうったえて、観終わったあとに苦しくなるような衝撃はありません。どちらかというと、ストーリーも音楽も平凡。それでも、わたしをこうして劇場に何度も足を運ばせるのは、アダム、あなたのそのダンスのせいです。
 
さて、ロンドン公演のときに、あれは、ちょっとねと思っていたセットや演出が今回の東京公演では、ことごとく削されていました。 これは、よい傾向。ベラの部屋の靴の絵とか、3Bの垂れ幕、スモールホテルの台車等。日本人は、すっきり洗練された演出が好きなのです。ただ、スモールホテルは、台車がないから、まわりの人がポーターだって、初見の人はわかってくれただろうか?
 
キャストは、半分以上入れ替えになっていました。特に大きいところでは、ペギーとモロシン。ペギーは、ロンドン版の女優さんが現地で大うけの実力派だったので、迫力3分の1くらいになってしまい残念です。せっかく字幕つきであのシーン理解できたのに、日本人には、ふーんって感じでペギーの抑えていた感情がお酒の力で解放されて歌い上げ、観客もヒューヒューというあの一体感がえられないのは、舞台にひとつ何かが欠けた感。モロシンは、ロンドンでは年齢行きすぎかな?と思いつつ、我われを大いにたのしませてくれたムハメドフのモロシンの印象が強いせいか、皆様には大不評。でもわたしは、イヴァンのモロシン、OKです。って好きかも。そもそも、モロシンは、バレエ団の若くてハンサムなプレーボーイという役どころなので、本来はイヴァンのようなかっこいい系が演じるべきなのです。ただ、イレクのはじけた面白さを出すには、ちょっとテレがあるのか演技は小さいかな。回を重ねて、どんどんはじけてほしい。ロンドンでは、ちょっとつらかったプリンセスゼノビアですが、イヴァンで見るのは楽しい。背が高くて、彼のダンスが生きているような気がします。アンサンブルのリチャードクルトさんやオリアーダさんがきてないのも残念、アンサンブルはあきらかにロンドンのほうがレベルが高いです。これで、ますます印象うすまっちゃった感じ。特にバレエとタップの競演の見せ場のバランスが悪い。まだなれてないのでしょうか?シドニーコーン役は、今回はマシューハート。元ロイヤルの方なので、重要な役とはいえ、踊るのはアンサンブルのところのみなのは、もったいない。歌もいいけど、マシューハートもソロで踊らせてあげたかったです。
 
そして、アダム。初日の開演前に、カフェでみかけ、劇場入り口に向かうアダムは、とっても緊張した様子。幕があがると、あのファッションモデルみたいにすっきりした先生姿で現れ、コミカルなシーンが始まります。でも、緊張とけてない、アダム。観ているわたしがどきどきするくらい。あと、アダムの歌声っていうか、全体的に歌の音が小さい。彼の澄んだのびのある歌声をもっと大きく聞かせてよ!と、思っていながら、始まる最初のタップ。ああ、帰ってきてくれたのね、アダム。わたしは、あなたのその大きく振り上げた腕としなる身体がすきです。神様は、特別な人だけに特別な贈り物を与えるのだと納得してしまえる瞬間。と、いうわけで、ロンドンで魅了されたアダムのダンスは全て健在です。作品そのものが冗長でも、キャストがかわって印象うすくなろうとも、アダムのダンスだけは、アダムクーパーそのものなのです。ジュニアとしてタップを踏むアダム、フランキーと歌いながら踊るアダム、SWANの3幕を連想させるペギーとのダンス、倒れたモロシンの横でとっさにダンスのステップを踏むアダム、そして、最大の見せ場の10番街の殺人。わたしが、どうして何枚もチケットを買わずにいられないのか、このダンスシーンすべてが教えてくれます。基本的にアダムのダンスシーンは変わってなかっと思いますが10番街のサラとのシーンが少し変更あり。ロンドンで、サラの足がアダムにごんとぶつかったところは、変わっていました。
 
OYT 日本公演はまだ、はじまったばかり。わたしの手元にはまだ、3回分のチケットもあるし、白鳥に比べてこの余裕。生きていくことに何の希望も見出せず、ただ、ただ、仕事に追われて生きていたアダムに出会うまでの日々が遠い昔のようです。あと、一月。身体をこわさずに、日本での公演を楽しんで、成功させてほしい。アダムが、日本を大好きになってくれますように。もう一度、日本のお客にSWANを見せてあげようと、思ってくれますように。(思わないだろうな。。。。)
update:
2004/09/13



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