アダムクーパー。
はっきりいって、SWAN LAKE観るまでしらなかった。
最初にとったチケットがアダムじゃなかったら、こんなに燃えたかどうかわかりません。美形だからとか、かっこいいからとか、そういうことだけでなく、本当に壮麗なSWANでした。何も予備知識なくみた最初のステージで、どうしてこの人だけ、際立っていうんだろうと思った。
ステージが終わってからも、二幕と三幕と四幕のアダムがぐるんぐるんまわっていた。生まれて初めて、ダンスをみて感動した。
翌日、ビデオを買って、毎日みた。
みればみるほど、思いは募ったけど、チケットはもうなかった。
そんな時、再追加チケット販売のお知らせがあり、抽選で一枚だけとった。このときは、アダムだといいなくらいに思っていた。
さらに毎日ビデオを見つづけて、アダムのSWANはわたしの中でスタンダードになった。
で、追加公演で東京にもどってきたとき、いてもたってもいられず、キャンセルチケットを求めて、渋谷の町をさまよって、28日のマチネを手に入れた。ソワレとマチネがあったけど、わたしは信じてマチネを買った。
二度目のアダムにわたしは、完全に壊れた。こんな気持ちになったのははじめてかもしれない。あれほど、毎日みていたビデオをもう見たくないと思った。この日の記憶を凍らせたまま一生いきていたいというか、もう死んでしまいたいくらいだった。
ビデオでみた若くて美しいSWANは、8年の時を経て、円熟して、悲しさと強さは深みをまして、永遠に残るであろうわたしの最後の生涯最高のSWANに変わっていた。四幕のアダムは、完全にビデオのアダムとは違っており、あの瞬間を誰かもう一度見せてという感じ。
今、思い出しても泣きたくなるほどです。
ジーザスパスター。
この作品は、どう考えてもアダムクーパーのためにつくられた作品だ。
その神格化されたSWANをどう超えていくのか、絶対にどんなダンサーもものすごい葛藤を繰り返して、自らのSWANを確立していくのだと思う。
今回のキャストの中では、みんな、まずアダム、首藤、で、ジーザスならはずれって思ってた人は多かったはず。
でも、ジーザス、若くてかわいいSWAN、ラテンなSWANの世界を確立したね。
終わってみると、ジーザスの評価は、テクをふくめてかなり高い。踊り手によって、こんなにも作品が違ってみえるとは思わなかった。アダムのような際立つオーラをもったSWANではないけれど、そのしなやかで完璧なテクニックでつくる白鳥は、すごく美しい動きだった。
三幕のストレンジャー、さすがラテンな兄ちゃんだ。そういう文化の中で育ってきたんだろうね、女の人にちょっかいだすのが、やたらとセクシー。
SWANの時は、どっちかというと幼くてスイートなSWANなのに、ここでは、遊び人の兄ちゃんがんがんという感じでした。
四幕は、一番かわいそうなSWANという感じ。アンドリュー王子といっしょだったせいで、SWANの方が守ってあげるはずなのに、どっちかというと幼くて、大好きなお兄さんを守って闘う年下のSWANという感じ。ジーザススワンは、白鳥が鳴くとき、わなわなって震えるのです。これは、とってもスイート。
まだ、20代の若きダンサーなので、もっと、もっと踊りこんで、大人になったアダムみたいに、深いSWANをきわめてほしい。
首藤康之
首藤さんには、不安半分、期待半分、でもかなり期待してた。
唯一、名前しってたダンサーだし、ベジャールのボレロ踊った人だし。
でも、首藤さんには、この作品は重すぎたね。まじめなんだと思います、彼。
ジーザスも葛藤しただろうけど、彼は、もっと、もっと大変だったでしょう。
特に、三幕はつらかった。
アダムのためにつくらてた衣装を首藤さんが着るのは痛い。
お姫様たちも、みんな背が高い人ばっかりだし、三幕のダンスも手足の長いアダムのために振りつけられたダンスだったんだ
とこの人のダンスをみて再認識した。
SWANも硬い。
ダンスのテクニックは確かに高いんだろうけど、すべてをきっちり踊ろうとしているのが痛々しかった。もっと、伸びやかに、SWANの心で踊ってほしかった。
四幕は、でも見せてくれました。
孤高のSWANといわれた首藤さんだけに、ひとりで闘う姿、ぼろぼろ度は、三羽の中では一番でした。ただ、三幕までが、未消化なので、四幕いきなりもりあがるには時間が少なかったかも。
もっと、もっと悩んで、もっともっと、遊んで、あなたのSWANをきわめてね、首藤さんという感じ。
と、あまりに簡単ではありますが、今回合計四回、三羽制覇記念、比較版でした。
今回の公演のリピーター率はえらく高く、千秋楽のわたしの隣は、5回目で、一度もアダムにあっていないというかなりかわいそうな人でした。反対どなりは、二回目で、こちらもアダム未見。わたしは、ふたりにはさまれて、ちょっと自慢気でした。
が、本当の最後、四日のソワレを観てないことはかえすがえすも悔やまれます。
と、思いつつも、本当は神様っているのかもしれないと一瞬思えた3月28日のマチネチケットで出会えたアダムは、わたしの記憶の中の宝物です。
働いててよかった、四回分もチケットかってもパンフレット買っても、ビデオ買ってもサントラ買っても、貧乏にならくてよかったと、働く意義をはじめてしりました。
5月に韓国でAMPのSWAN LAKEがまたあるんだけど、ひそかに行きたい気持ちがめばえています。
アダムはでないけどね。
AMPのSWAN LAKEは麻薬のような舞台です。
何度みても飽きないし、踊り手によって全然違うものに見えます。
今度、きたら全部の公演のチケット買っちゃおうかと思うくらいです。
できることなら、アダムクーパー、またSWANでかえってきてほしい。
もし、アダムがSWANを踊るなら、ロンドンでもパリでもアメリカでも行ってしまうかもしれない。
いや、きっと行くと思います。
本当にかなうものなら、来年、アンドリュー王子と共に日本に帰ってきてほしい。
踊れなくなるその日まで、SWANを踊りつづけてほしい。
と、アダム賛歌でしめてはいけませんね。
若き有望なテクニックのあるダンサーたちが、自らのSWANを確立する様をみてみたい。
奥深い作品です。
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