2007年9月1日 ソワレ
新国立劇場(東京)
怒涛のバレエ月間の最後を飾るのは、月は変わりましたが、ロシア2大バレエの合同ガラです。当初は、予算的に無理無理とかいっていたけど、人間だんだん麻痺してくるんですよね。C席買ってたのですけど、お友達が都合が悪くなりB席をお譲りいただき、お気に入りのサイドのお席でした。が、高かったよね、チケット。通常、新国立なら、このお席は6000円くらいなんですけど。
構成は、2部で、1部はマリンスキーバレエ、2部がボリショイバレエが踊ります。
アルキナーダ プティパ振り付け
エフゲーニヤオブラスツォーワ アントンコールサコフ
これは、いきなりかわいい作品でした。振り付けが、まるでローランプティみたい。こういう作品をロシアのバレエ団で観るとは思いませんでした。コールサコフは、目のまわりを黒くしているのか、仮面なのか、要するに顔がはっきりわからないです。なげキスをしたり、ほほを愛おしそうになでたり、いったい、どういうお話なのかしらとプログラムをみましたが、内容は書いてありません。恋人同士のたわむれなのだとは思うのですが。女の子のお衣装も踊りもかわいくて、これはほほえましいわと思っていたら、コールサコフ君、着地の時、手をついて、声だしてました。これは、びっくり。ロシアのダンサーはレベルが高いと聞いていたのに。でも、ここ以外は、ふたりとも不安なくよかったです。ただ、目立ちましたね、このミスは。
病めるばら プティ振り付け
ウリヤーナロパートキナ イワンコズロフ
2演目目に、早くもロパさんがみれるとは。この作品だけは、最初にフランス語のセリフがあるので、テープ演奏です。濃いピンクの衣装につつまれたロパさんは、ばらの花びらそのものです。細やかで、はかなくて、でも奥底に力強いものを秘めているようで。サポートする男性は、病んで弱っていくばらを支えようとする役割かと思ったら、ばらを衰えさせる虫だそうです。(プログラムによると)
え〜、そんな風にはみえませんでしたが。きれいなサポートでしたし、ソフトな印象でしたし。彼女を最初にみた時、そんな有名な方とは知らずにみて、強い印象を残していたのですけど、今日全然違った作品でみてみて、やっぱりインパクトがあります。一番強く心に残りました。本日、一番よかった作品でした。
眠れる森の美女 プティパ振り付け
アリーナソーモア アンドリアンファジーエフ
ソーモアの眠りは、この夏2度目なのですね。相変わらず、可憐なお姫様でした。本日は、王子様がビジュアル的も○なファジーエフでしたので、一段とよかったです。王子様とお姫様は、こうあってほしい感じ。ファジーエフ、王子様タイプですね。踊りもノーブル、すごく素敵というほどではないけど、ビジュアルも王子だし。眠りは、このように若くてかわいい、その上踊れるダンサーだと実に楽しい演目です。
ジゼル ベロー、コラーリ、プティパ振り付け
オレシアノービコワ ウラジーミルシクリャローフ
う〜ん、これはですね。なんともいえません。シクリァーローフ君、外見はすごいかわいいのですよ。デマチでみたら、もっとかわいいし。だけどね、踊りがいけません。こんな子がロシアにもいるんだと思っちゃいましたよ。かわいいのに、踊りうまくないから、ジゼルに集中できませんでした。ジゼルのほうがお姉さんにみえちゃったし。パリオペのスジェのダンサーさんたちと鍛えなおして、パリオペのコールドにでもまぜてあげたい感じでした。ジゼルは、好きな作品だし、好きな男性ダンサーには踊ってほしい作品なんですけど、ビジュアルがあっても実力ないとだめなんだね〜と、痛いところをつかれました。(←あたりまえなんだけど)
インザミドルサムホワットエレヴェイテッド フォーサイス振り付け
イリーナゴールプ イーゴリコールプ
実は、本日、ロパさんの瀕死より、期待していたのがこれだったのです。フェリのBプロでは、客席沸きましたもの。それに、わたしはみてないけど、コールプの薔薇の精は、すごいよかったとかで、きっとまたまたクラシックダンサーのすごいコンテをみせてくれるのではないかしらとか思っていたのです。が、これは、残念。全然期待はずれでした。マリンスキーは、2004年の段階では、たしかまだフォーサイスってレパートリーになかったというのを古い雑誌で最近読みました。こういう作品自体の解釈をする土壌ができてないのかな。ゴールプの方(女)は、まだよかったのですけど、コールプ(男)の方は、あきらかに作品が自分のものになってないような感じがしました。コンテンポラリーって、ドラマがないのに、表現力がものすごくでるジャンルなんですよね。マリンスキーがフォーサイスというのは話題としては魅力的なのですけど、う〜ん、そんな踊れる人なら、クラシックで勝負したほうがよかったかもね。
タリスマン プティパ振り付け
エカテリーナオスモールキナ ミハイルロブーヒン
前の作品が、コンテはずれだったので、ちょっとほっと一息、クラシックにもどりました。これは、初めてみる作品です。女性も男性も、忙しいですね。ガラの演目だからか、ヴァリエーションに見せ所満載という感じ。パドドゥのところは、もう少し落ち着いてみたいわと思うほど。
瀕死の白鳥 フォーキン振り付け
ウリヤーナロパートキナ
これは、もう一生に一度は見とかないと。ロパさんの白鳥は、DVDでみたことあります。あれほどまでに儚げな白鳥は彼女ならではだねと思った記憶があります。瀕死の白鳥は、その印象そのもの、しかし、死の間際の強い生もみせます。短い、短い作品ではありますが、それでも人は、これほど強い印象を与えることができるのだなあとしみじみしました。
海賊 グーセフ振り付け
ヴィクトリアテリョーシキナ レオニードサラファーノフ
悪くはないのですけどね。去年、ロパさんとゼレンスキーで見たんですよ、マリンスキーの海賊は。それに、この前は、パロマとカレーニョだし。だからかな、サラファーノフのアリは、嫌味な感じがして好きじゃないのよね。上手いんでしょうけどね。俺様っぽいのですね。品がないといういか。ヴィクトリアは、かわいかったけどね。マリンスキーのメドーラは紫のドレスなんですね。自信満々、マリンスキーの最後にもってきたんでしょうけど、瀕死とかえたほうがよかったかもよ。
次からは、ボリショイです。
ばらの精 フォーキン振り付け
ニーナカプツォーワ イワンワシーリエフ
NBAのトラウマがあったので、どうしようかと思っていましたが、やっぱり、ばらの精は短くてあっという間でした。お友達が、ワシーリエフはコンクールとかで優勝しているし、みごたえあると思うよとのことでした。が、この人、スタイルがだめでした。若いのに、すらっとしてないのです。この身体で、よくあんなにジャンプを軽く飛びまわれるもんだわと思うくらい、疲れを知らないばらの精は舞続けます。夢にでているようなばらの精というイメージではありませんが、若くて踊れるダンサーらしい勢いにみちた舞台でした。夢見る少女は、いままでは、どうでもいい役かと思っていましたが、このニーナちゃん、可憐でお人形のようなのに、踊るといきいきしていて、元気なワシーリエフのばらの精とよきカップリングであったと思います。
ライモンダ プティパ振り付け
ネッリコパヒーゼ アルテムシュピレフスキー
これ、DVDでちょこっとみたことあったのですけど、今でも全然振りとか思い出せません。ただ、男性ダンサーのお衣装がかっこよかったです。白いマントなんですね。このダンサー、スタイルもよいし。どんなお話なのか、全幕でみてみたいなと思いました。が、記憶にはないんですね。。。。。
白鳥の湖 グリコローヴィッチ改訂版
エカテリーナクリサノワ ドミートリーグダーノフ
これは、エカテリーナ一人に喝采集まったって感じでした。黒鳥のパドドゥですから、まあ、王子はよっぽど素敵じゃないとかすんじゃいますからね。パリオペ版見慣れた者としては、あ、この曲聴いたことあるけど、パリオペにはなかったわ〜とかオディールのヴァリエーションの場面などなじみのない部分もありました。32回転は、通常、まわっているところ、数えているんですけど、この人、最初からぐるぐる早くまわるので、数えられませんでした。外見は、悪女には見えないのですけど。微妙に毒のある魅力もあり、全幕でみてみたいなと思いました。王子は、ぱっとしないし、若くないし、まあ、どうでもよかったです。
スパルタクス グリゴローヴィッチ振り付け
スベトラーナルンキナ ルスランフクヴォルツォフ
これもこの夏2度目ですね。パリオペの若い子がやりました。今回、この作品、実は、こういうものだったのだね〜と大人のドラマとして楽しませていただきました。ボリショイの中では一番よかった演目です。パリオペの時は、やたらとアクロバティックなところばかりが目について、夫婦の情愛がうす〜くなっていたのですけど、さすが本家ボリショイの大人が演じると深みがありますね。たとえ片手でリフトしていようとも、愛を感じるというか。スパルタクス、全幕生で観てみたいな。
ミドルデュエット ラトマンスキー振り付け
ナターリヤオシポワ アンドレイメルクーリエフ
メルクーリエフは、去年のバレフェスで見て、うまい人だなと思っていたのです。マリンスキーもコンテいれたからか、ボリショイのコンテはこれです。これは、退屈でした。メルクーリエフにもっと踊ってと思うのですけど、男性はほとんどサポートばっかりで、動きがちまちましており、ちょっといらいらしちゃうんですよ。唯一のコンテ、もって厳選できなかったもんだろうかというのと、メルクーリエフ、他に踊るもんがあるだろうと欲求不満が残る作品でした。
ドンキホーテ プティパ振り付け
マリーヤアレクサンドロワ セルゲイフィーリン
この2人は、プラハバレエガラのDVDで見たことある人たちだわと思い出しました。ドンキは、今まで何度かみましたけど、基本的にラテン系のダンサーはうまくて、これぞバジルって感じですよね。バレフェスの時、ばりばり白人のダンサーが演じたときは、線がほそくて元気ないわ〜と思った記憶があります。本日、はじめて、ばりばり白人ダンサーで、納得のバジルを見ることができました。うまいです、フィーリン。こういうのが、ボリショイのプリンシパルなんだろうねという感じ。アレクサンドロワは、美人の多いロシア女性の中にいて、別にきれいとも思わないですけど、迫力はあります。キトリは、元気いっぱいのエスパーニャですから、こういう迫力は役立つのでしょうね。最後にふさわしいお祭りらしい、レベルの高いドンキでした。
最後のフィナーレがよかったです。ある一つの曲にあわせて、ダンサー達が次々に、自分の踊った演目のハイライトを順番に踊っていくのです。華やかですね。地味だ地味だと思っていたロシアバレエですけど、こうして一同に会すると美しくて、みごたえあります。ここだけでも、見れてよかったわと思えるフィナーレでした。
ロシア系のダンサーさんたちは、名前がむずかしすぎるし、作品も地味なので、なかなかなじめませんが、クラシックをみるにはレベルも高くてよいなと思いました。ただ、他の西側のヨーロッパ系のバレエ団に比べ、みんながわっとわくようなお楽しみ的演目が少ないかなと思います。まあ、今回はロパさんの2作品で、ガラのレベルをあげているとは思いますが、これがなければ、お客を呼ぶには、ちょっとインパクトに欠ける構成だなと思います。今回のもの、コンテが少ないし、モダンがありませんからね。玄人向けなのかな。そのわりには、若いダンサーの未熟さが気になりましたけど。
これで、怒涛の夏はおしまいです。そういえば、今日から少し涼しくなったしね。
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