Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


| Back | Index | Next |

 [18]   レミゼラブル(12)
2007年8月21日
帝国劇場(東京)
ジャンバルジャン:橋本さとし ジャベール:石川禅 
フォンティーヌ:山崎直子  エポニーヌ:知念理奈
コゼット:富田麻帆  マリウス:藤岡正明 アンジュルラス:坂元健児
ティナルディエ夫婦:三谷六九 瀬戸内美八
 
8月は、バレエ月間でしたので、おっと忘れるところでした。レミゼを一枚買っていたのです。本当は、7月に禅さんのマリウスで締める予定でしたが、ブダペストに行ってチケット売っちゃったし、やっぱり橋本さん&禅さんを見たかったので、6月末に帝劇いったときお金払っちゃったのですね。今期最後、4回目のレミゼです。
 
本日は、橋本さん&禅さんということ以外は、さっぱりノーマークでしたので、登場するまで誰が誰だか把握していませんでした。そのせいか、概ねはずれで、最後というのに、なんだかなの感じが消えません。まず、まとめてだめなところから。ティナルディエは、これは、好みの問題だと思いますが、三谷さんは、つくりすぎ、嫌味があって、みるのがいやになるティナルディエです。今更、なんで、こういう人が新たにティナルディエに選ばれるのか理解に苦しみます。死体をけったり、踏みつけたり、役作りかもしれませんが必要なのかしらと嫌悪感を覚えます。再演するなら、つとめて避けねばとマークしました。
 
3ヶ月目なので、ちょっとは成長したかなと思ったアンサンブルもたいして成長のあとはありませんでした。女性コーラスで、変なくせのある人がいて、鼻につきました。男性アンサンブルの肥満化が気になります。また、歌唱力が弱すぎ。唯一よかったのは、工場長。これは、今までみた中では、かなり演技が細かくて、フォンティーヌにちょっと本気だった無念さと恥ずかしさみたいなのが出ており、この短い演技の中で多くを語れた人でした。
 
初めてで、だめだったのが、フォンティーヌ、山崎さん。歌が下手。今期の新フォンティーヌは、全部はずれでした。これは、どういう基準で選んでいるのかわかりません。容姿も全然きれいな人はいないし、これで歌も歌えないならば、フォンティーヌに何を求めているのでしょうか?山崎さんは、演技もだめでした。が、ひとつ、個性的ねと思ったのが、ジャンバルジャンとの関係。彼女のフォンティーヌは、ジャンバルジャンを一人の男性としてみており、最後は、娘を託すより、自分の気持ちが前面にあらわれていたように思いました。セリフは娘をお願いといいつつ、バルジャンをみつめて、手をさしだす仕草は恋するフォンティーヌなのでした。まあ、このときの橋本さん、素敵だからね。
 
今回、一番の敗因は、マリウス、藤岡君です。彼は、去年だかその前からの参加だったけど、つとめて避け続けていたのですよ。日本のマリウスはぱっとしない、しないといいつつ、岡田君とか、泉見君は、ビジュアル的にはそれほど抵抗なかったのだけど、この藤岡君は抵抗あったのですね。で、前回2回の山崎君があまりに無知なマリウスだったので、ちゃんと過去にやったなら問題ないかもねと気を許したのがいけません。自分の美観は信じるべき。かわいくないまでも、許せる範囲かどうかをよく見極めもせず、マリウスを見てはいけなかった。おかげで、今日マリウスの登場シーンは全部、ものすごくつまらなくて、レミゼをみて、Empty chaires at empty tablesがなくてもいいやと思ったのは初めてです。髪を結わえても、切ってもこの子はだめだ。歌もたいしたことないし、演技もかわいくないし、今日という今日は、ひとりがんばるエポニーヌが別の意味でかわいそうでした。コゼットも今期は、かわいいこがいないせいで、コゼットとマリウスのシーンは田舎の高校生の恋愛映画みたいで、カットしてもよいくらいでした。
 
まあ、文句いえばきりがありませんし、自分で選んだ日程ですからしかたありません。が、選んだ理由の橋本さん、禅さんに関しては、やっぱりいってよかった、見れてよかった、大好きこの組み合わせ。本日は、端っこながら、最前列でしたので、オペラグラスなしに舞台をみることができました。橋本さんは、前回思ったとおり、外見が素敵なバルジャンです。なんで、橋本さんのバルジャンが魅力的なのかしらと思ったら、この外見だった。(結局ビジュアルなのか。。。)この人、わりと地毛のまま舞台にでることが多いのですけど、このようにヨーロッパ人ぽい茶色の髪のかつらをかぶって、この時代のお衣装をつける役をやってほしいなと思いました。前は、’エリザベート’のルキーニがいいわと思っていましたが、フランツヨーゼフでもいいかもとか。歌は、そんなに上達してなかったけど、演技は一段と細やかになっており、バルジャンの人としての一途さが出ておりよかったです。橋本さんのバルジャン大好き、再演されたら、もうバルジャンは今井さんと橋本さんだけにしようっと。
 
そして、禅さん。’Stars'と’自殺’を聞けただけでも、本日行ったかいがありました。もう、自分の中で、しっかりジャベールの人物造形ができあがっていると思います。ジャベールは、決まったパターンがあるようで、演じる俳優さんによって、実はすごくバリエーションがあり、最初の登場シーンから最後の自殺にいたるまでの表現で、ジャベールがどんな人なのかをありありとみせつける役どころです。ひとによっては、なんだかそれまでの生き方と自殺が結びつかないわという感じの人も多いなか、禅さんのジャベールは、とても明快。もう、この人、死ぬしかないわというくらい、追い詰められて、自分の価値観崩壊して死んでいくのです。それは、それまでの人生があまりにまじめに信じるものを追求してきたから。禅さんの場合は、冷徹で感情を表にださないタイプでなく、どちらかというと、肌のぬくもりさえ感じるような人間的なジャベールであったと思います。海外の人にも見せてあげたいです。
 
今期のレミゼは、これでおしまいです。新しいメンバーは、本当の主役2人以外は、概ねはずれというのはどんなもんなんでしょう。レミゼはオーディションじゃないのかな?どういう政治的背景があるのかわかりませんが、もっと魅力的な配役をしないと、いい加減、レミゼファンといえども離れていってしまうのではないかと心配です。特にマリウス、フォンティーヌ、アンジョルラスを本気をだして、改革すれば、きっと魅力的なレミゼになれると思います。エポニーヌ、コゼットについては、日本のミュージカル業界、韓国に学んで、歌える女性歌手を育てなければいけないですよ。作品はあきることなくすばらしいものなので、是非、考え直してほしいです。ロンドンは、今どうなっているのだろう。そういえば、マジャル版では、マリウスはゾルタンベレツキ君だったそうです。誰かって?サボーP組の素敵なフランツ、ロミジュリのマキューシオですよ。You TubeでLehetsz Kiraly で検索してみてください。
 
 
update:
2007/08/21



| Pour passer le tempsホーム | 観劇記録 | Review | これからの予定 | What? | リンク集 |


メールはこちらまで。