2007年8月7日
ゆうぽうと(東京)
何だか、罪の意識を感じるほど毎日バレエ観てていいんだろうかというくらい続きます。おまけに、今日都合の悪くなったお友達から17日の白鳥のチケットをお譲りいただき予定外の散財。歯止めが聞かないとはこのことかも。まあ、いいや。舞台は一期一会なのです。目の前に輝く光に目をつむって通りすぎるわけにはいきません。
このガラは、NBS主催なので、とても早くから知っており、NBS会員のお友達にいち早く予約してもらっていた公演です。お目当ては、昨年パリオペお引越し来日公演でふられたマチュウガニオです。当初予定されていたゲストが次々、故障でこれなくなり、演目や出演者がさんざん変わったので、何だか把握するまもなくやってきましたが、よかったマチュウいますよ。開演前に近くのレストランで遭遇。楽しみ、楽しみ。
’白の組曲’
乾友子・高木綾・奈良春夏・ローラエッケ・オドリックベザール・アクセルイボ
マチルドフルステー・シャルリーヌジザンダネ
松下祐次・氷室友・辰巳一政・長瀬直義
アニエスルテステュ・マチアスエイマン・ミリアムウルドブラーム
マチューガニオ・メラニーユレル
プログラムによると、これは顔見世的な演目だそうで、まさにおっしゃるとおり。最初、東京バレエの人々が出てきたときは、土曜日のトラウマが頭をかすめたのですけど、まあ、全然大丈夫じゃありませんか。きれいですよ。静かだし、落ち着いているし。東バの男性ダンサーも美形や見栄えのする人はひとりもいないけど、黒いタイツで髪もちゃんとしているし、ちゃんとバックにて出すぎずいい感じ。海外のバレエ団との共演に慣れているのでしょうね。パリオペは、下から上まで、順々に出てきて、パリオペといえども、上手くない子は上手くないんだね〜とか思いながら、どこをなおせとはいえないけど、ルグリ先生が指摘してくれたらよくなるのかなとかみてましたよ、イボー君。途中にひときわ美しく、ひときわダンスの映えるお方が。アニエス、さすがでございます。そして、マチューもでてきたし、そうはいえども、やっぱりそれなりの公演なのねと一安心。おもしろかったのは、最後のほうで、この下から上までの男の子たち4人並んで、同じ振りで踊るのですよ。コリフェとエトワールが。ルグリガラならではだね〜。レベルの差歴然でした。
’扉は必ず’
エレオノーラアバニャート・マニュエルルグリ
昨年バレフェスAプロで、オレリーとの共演をみました。当初は、オレリーのはずだったんですよね。パートナーが変わるとこうも印象かわるのかと思えた作品でした。オレリーの黒い瞳、美しくて濃茶色の髪は、あのドレスが映えてたんですよ。彼女そのものが作品のひとつだったのだなあと実感。アバニャートは、金髪のせいか、存在感がうすいのです。それに、林檎が今日赤くなくて、緑だったのもなんか印象うすいに拍車かけてたような。クラシックのダンサーって、あるところに行きつくとこういう路線で、自らの実力をみせたいと思うのか、まあ、さすがルグリねという感じの作品ではありましたが。去年ほどによいとは思えませんでした。
’スパルタクス’
マチルドフルステー・ステファンビュヨン
これは、若い子にチャンスをあげるための演目ですね。2人とも、まだスジェです。マチルドは、ルグリ先生のスーパーバレエレッスンの生徒さんでしたので顔なじみ。ちょっと色が焼けて浅黒くなっており、丸っとしたお顔に長い髪、エキゾチックな風貌になっています。’スパルタクス’は見たことがないのです。ボリショイのごっつい男性バレエなのかと思っていましたら、ここは恋人同士のパドドゥのようです。マチルドは、長い手足を持つ若さがはじけんばかりの肉体を思いっきりのばして、このチャンスを嬉しくてしかたがないというように舞台をかけまわります。この作品、アクロバティックなリフトがたくさんでてきて、ステファンは大変そう。テクニカルには、ふたりとも健闘していたと思います。が、若いからね。振り付けで精一杯という感じ。愛の場面だと思うんですけど、棒読みのセリフのようよ、ダンスが。パリオペの一品というには、まだまだですね。ルグリ先生の生徒さんの発表会におつきあいでした。
’ドリーブ組曲’
アニエスルテステュ・ジョゼマルティネス
これも昨年バレフェスのBプロでみました。共演も同じですね。でも、忘れてた。途中ソロにはいるところ、アニエスが踊ろうとしたところ、違うよみたいな振りをしてすぐジョゼのソロになります。この作品って、まじめなクラシックなので、そういうお遊びがあったとは知りませんでした。去年あったっけ?まちがえたのかと思ってたら、作品の一部だそうです。先ほどの若い生徒さんたち(本当はプロよ)とはうってかわった、大人のパドドゥです。これは、ジョゼの振り付けとうだけあって、自身と元パートナーのよさを存分に表現しています。容姿にも才能にも恵まれた一握りのダンサーならではの美しい作品です。けど、まあ、おもしろみはないかな。それでも、これぞパリオペ、無駄にガラじゃありませんというには十分な作品といえます。ちょっと関係ない話なんですけど、パリオペのペアの方って、終わってから男性が女性の手にキスしないですね〜。この2人、していた時代もあったのかな〜とか関係ないことちょっと思いました。
’チャイコフスキーパドドゥ’
ドロテジルベール・マチュウガニオ
ここから、3部なんですけど、3部は、今までの身内が出ましたよ的なおつきあいの部分はいっさいなく、さすがパリオペの実力満載の時でした。で、最初がこの若き美男美女カップルのパドドゥです。ペパーミントグリーンのコスチュームが美しいです。これぞ、クラシックでみたいタイプのお2人です。本当なら、このペアで、去年の’パキータ’はみれるはずだったのですよ。リベンジかないました。マチュウ、噂には聞いていましたが、かわいい〜。かわいい〜だけでなく、ダンスがクラシッククラシックしていて、美しい。白いタイツで、やっと出会えた若手正統派クラシックダンサーという感じです。ドロテもよいですね。この子好きなんですよ。この2人で、ロミジュリとかやったらさぞかわいいだろうな。ジゼルもいいわね。白鳥もいいかも。ただ、まだペアとしては、踊りこんでないふうで、リフトのタイミングがちょっと変でした。エトワールでも、こんなサポートになることがあるものなのねとちょっと残念気分。そうはいえども、本当に楽しみなカップルです。これからもペアを組んでいろんな作品を残してほしいです。特にこの若さ輝くときにしかできないような作品だといいな。
’椿姫’二幕のパドドゥ
エレオノーラアバニャート・バンジャマンペッシュ
これは、’椿姫’でも幸せな時の方ですね。これも去年のバレフェスでみました。アバニャートの金髪がまた、イメージ違うな〜とか思いつつ、この人、この髪で結構損してるかもと思いました。バンジャマンペッシュ、顔が大きいし、リフトがきれいじゃないわ〜。たしかに、この二幕のリフト大変なんですよね。白いすんごいじゃまになりそうなペチコートつけたドレスのまま、持ち上げて歩いたりしないといけないので。やっぱりルグリはうまかったんだな〜、この場面きれいだったもの。せっかくの椿姫なのにとか少々不満気にみていました。が、途中から、なんかぐいぐい引き込まれていって、熱烈なくちづけをかわしたシーンでは、ちょっとじわっときそうなくらい感動してしまいました。これは、作品のよさもあると思うのですけど、やはりダンサーの表現力だと思います。印象のうすさ等、外見で損をしているものの、これまで積み上げたものは、やはり大きいようです。ガラならではの演目で、期待にたがわぬものをみせねばならぬ演目を選ぶというのはそれなりの実力あってのことと納得しました。パリペの’椿姫’観てみたいな。できることなら、もちろんマチュウで。
’三角帽子’
ジョゼマルティネス
友人は、この演目のため、きっとあと1回Aプロを買い足すために奔走しているに違いないです。暗いステージに赤いシャツ、黒いパンツのジョゼが一人でたっています。フラメンコのような音楽にのって、ジョゼが舞います。かっこいいです。これまで観てきたジョゼの中で、何よりかっこいいです。この人は正統派王子様系の人ですけど、根本には熱いラテンの血が流れていたのよね。当初、ジョゼはこのガラに来る予定はなかったけど、本当に来てくれてありがとうという演目です。どうして、こんな素敵な面をこれまで前面にうちだしてこなかったのかなと思うくらいです。昨日、欲求不満に終わった’カルメン’のホセ、こういう大人の男性に演じてほしかったのです。ジョゼの演じるホセ、いてみたいです。これ、ルグリガラなのに、こんなにお客様の気持ち持っていっていいのかな〜と思ってしまうような熱狂でした。
’オネーギン’
モニクルディエール・マニュエルルグリ
通常、’オネーギン’といえば、鏡の間のパドドゥですけど、こちらは、二幕のタチアナを訪ねる憂いのオネーギンの方です。ルグリは、’オネーギン’に思いいれあるのですよね。2005年末に日本で踊ったのが最初のはず。わたしも観ましたよ。よかったけどね、どうもルグリはオネーギンのイメージではないのです。特に若い頃の、毒をいっぱいまきちらす素敵だけどいやな奴のオネーギンは、どうも毒が足りなくて、物足りないなと思った記憶があります。ですので、まあ、鏡の間はやらないだろうなとは思ってました。2005年の時って、遠い上からみていたのと、グルーミン公爵が素敵すぎて、タチアナが本当にオネーギンを拒否しているのか、好きなんだけどからくもふりきっているのかよくわからなかったのですね。が、今回は、よおくわかりました。タチアナ役のモニクルディエールがすごくよかったです。本当は、オネーギンのこと、好きだったのね。手紙やぶくところも、あんまり意地悪っぽくなかったし。この人で、ルグリと’椿姫’の三幕やってくれたら、’オネーギン’より感動するのになとか思ったりして。まあ、ルグリのガラですから、ルグリのやりたいものをやらしてあげましょう。とはいえども、よかったです。なんだかんだいっても、うまいよね、ルグリは。特にこちら年齢いってからのオネーギンのすがりつくような憂いは、鏡の間が映える若いダンサーにはなかなか難しいだろうと思います。そうしてみると、やっぱり難しい役なのですね、オネーギンは。だけど、好きなのよ、この作品。私の愛する人々に一番演じてもらいたい作品です。(パケット君はちょっと違うけど)
このように単独のバレエ団のダンサーだけのガラは初めてですが、バレエ団の特徴がよくでており楽しかったです。ルグリが、若いダンサーにもチャンスを与え、その未熟さを十分に補うだけのベテランの作品もラインナップし、企画的にもよくできていると思います。お値段は、少々高めかなとは思いますが、フェリのときよりはいいかな。ゆうぽうとという規模もよいし、NBSらしくプログラムもちゃんとしていたし。大きな感動とは又違いますけど、お祭りらしい質のよいガラでした。
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