Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [23]   ゴールデンコースターガラ Aプロ
2007年8月4日
メルパルクホール(東京)
 
怒涛のバレエ月間2日目は、多分マイナーなガラ、NBAバレエ主催の’ゴールデンコースターガラ’です。だいたい、そんなにしょっちゅバレエに行く人でもないし(?)、詳しいわけでもないのに、何ゆえにこんなマイナーな公演に?と思うでしょう。まあ、理由は簡単、パリオペのカールパケット君とシュトゥトゥガルトのバランキエヴィッチ君がきているからなのでした。わたしのアダム仲間は、一部をのぞいてバランキエヴィッチ君のことを認識していなかったので、’パケット君ガラ’と呼んでいました。発売日にお友達が予約してくれて、最前列センターではじめてバレエをみました。このメンバーで最前列にすわっているとロンドンにいるような錯覚を覚えます。
 
今回は、いいお席には結構りっぱなプログラムがついていました。写真は、よいのですけど、このプログラム、作品の解説がないのです。今まで、あまり意識していませんでしたが、バレエ公演には、プログラムそれも作品の解説とダンサーの写真は重要ですね。特にガラの場合は、一部を切り取ってみせるわけですから、どういう場面なんだかわからないと。カラーでりっぱなわりに、内容が伴わないプログラムです。
 
’時の踊り’
峰岸千晶、ヤロスラフサレンコ、NBAバレエ プティパ振り付け
わたしは、何度も申しますが、バレエはしろうとです。ですので、結構有名なバレエ公演くらいしか経験がありません。これは、かなりショックでした。今まで、わたしは、なんだかんだ好き放題なことを書いてきましたが、今日のこの演目と比べるといや、比べるべくもなく、何もいう権利などなかったのだと反省しました。最初、最前列という近すぎることがいけないのかと思っていたのです。カラフルでとてもかわいいチュチュをきたコールドのみなさんが次々出てきて、セットもかわいい。が、次々、みんなぐらぐら、ばらばら、どたばたという感じ。な、なんだこれは。そういえば、わたしは日本のバレエ団は新国立しかみたことないんでした。新国立のコールドはきれいといわれていたのでした。この人たち、一応、NBAバレエ団というプロのダンサーさんたちなんですよね?で、男の人、ラフサレンコ、なんだこれは???気持ち悪〜い。露出度の高いコスチュームが、最後のほうに肩からおちてきて、隣で友人は笑いをこらえていたといいますが、わたしは嫌悪感いっぱい。え〜、このガラって、こういう調子なんだろうか。。。不安が増してきました。
 
’スプレンディドアイソレーションIII’
マリアリチェット 久保紘一 ラング振り付け
ん〜、なんだこれも。男性ダンサーが白い袴みたいなパンツになるのかな?そういう衣装で、見た目小汚いんですよ。あ〜、やっぱり最前列っていうのは、粗が目立つのかもね。と思っていたら、後ろの女性ダンサーの動きは美しいじゃありませんか。白い長い長い布をドレスのスカートのように巻きつけたり、広げたり、脱いだり、優雅なコンテンポラリーです。女性の動きばかり追っていると、目障りなように時々男性ダンサーがからんできます。衣装とパートナーがどうにかなってほしい作品でした。でも、最初よりは辛くないわ。
 
’パリの炎’
フシュ ブルックリンマック ワイノーネン振り付け
衣装にトリコロールがちょこっとぬいつけてあるのがかわいいです。男性ダンサーは、初めてみるクラシックバレエでの黒人の方。この作品は、’ディアナとアクテシオン’みたいに、男性が結構飛んだり廻ったりするのです。で、このマックさん?ミュージカル界からこんにちはという感じ。クラシックの優雅さとか正確さがさっぱりないのですわ。元気のいいダンスミュージカルの俳優さんという感じ。女性は、あまり印象なく。もう、けっこういい加減にしてほしいわという気持ちがくすぶり始めています。
 
’ジゼル’
ヤンヤンタン セルゲイサボチェン ベロー、コラリ振り付け
昨日、フェリが、え?これでおしまい?だったのに、通常のジゼルとアルブレヒトのソロがそれぞれあって、最後にふたりで踊る有名な二幕の場面です。ヤンヤンタンさんよいですね〜。言葉は悪いけど、幽霊っぽい。人間の生気がすっかりぬけて、すけてみえそうな踊りです。でも、表情はかなりしかりしています。やっと、ちゃんとしたバレエです。この人、よいのですけどね、致命的なことが。アルブレヒトのこと無視しているのですよ。愛がないの。全然アルブレヒトと視線をかわそうとしないのです。アルブレヒトがまた、かっこよくないおじさん系。それもかなり情けない表情なんです。アルブレヒトのソロで最後に倒れちゃうところなんて、ジゼルに思いが全然伝わらないことに絶望して倒れちゃったみたい。これは、違うジゼルの物語なのでした。
 
’アダージェット’
デルフィーヌムッサン カールパケット ライズ振り付け
’アダージェット’は観たことはないのですけど、ベジャールのところのが有名とか。これは、それではないみたいですけど、曲は多分同じくマーラーです。緑の足くびまであるレオタードを男女おそろいできています。これもコンテンポラリーですね。2人は、愛しあっているのかな。切な目の曲に、似つかわしいゆっくりとした、しっとりとした動きのダンスです。これは、パケット君というおめあてをおいといても、レベルとして、やっとそれなりのものが見れました。作品に集中できたというか、これは最前列でよかったねと初めて本日感動です。ゆっくりしたコンテンポラリーというのは、かなり力技的なところが多く、ムッサンを背中に背負ってひざまづいているパケット君の金色の横髪がふりかかる横顔とその息遣いがなんともたまりません。昨日は、クラシックの香りのするコンテンポラリーがどうのこうのと好き勝手をいって申し訳ありません。クラシックダンサーの踊るコンテンポラリーは、やはり基本がしっかりしているだけに見ごたえあります。表現力なのかな。今回2番目にすばらしかったです。
 
’ドンキホーテ’
ユンヘーデン リウォンクック プティパ振り付け
このキトリとバジルは、赤と黒のコスチュームでなく、白黒でした。
ユンヘーデンさん、お顔がとてもきりっとしており、この子は黒鳥とかのほうがよかったかもねと思いました。が、彼女は、ちょっと体力ないみたいでした。で、男性のほうは、続けざまにアジア系こぎたない。テクニックもまあまあだな。女の子もまあまあだし。まあまあのダンサーがまあまあの踊りなんて、ありがたくないドンキでした。
 
’バラの精’
猪俣陽子 ヤロスラフサレンコ
これは、今までみた中で最悪のバラの精。生涯NBA単独の公演をみることはなかろうと思います。
バラの精って、だいたい、えっもう終わり?というくらい短い演目のはずですけど、まだやってるの〜と思うくらい長かったです。悪いけど、ラフサレンコって嫌い。好きでないダンサーというのはいますけど、嫌いはいなかったように思います。嫌い、みたくないです。
 
’カジミール’
エレーナテンチコワ フィリップバランキエヴィッチ ビゴンゼッティ振り付け
幕があくまでは、この作品、クラシックなんだか、モダンなんだか、コンテンポラリーなんだかさっぱり知らなかったのですけど、幕が開く寸前、コンテだといいなと思ったです。バレフェスで、オネーギンとリーズの結婚みましたから。レブルジョワみたかったわとかいってたのですけど。
幕があくと、これは、もうコンテンポラリーだねというお衣装です。男性は、黄色と黒が左右になった短パンだけ。女性は、白いトップにあ、忘れたわ、たぶん半分くらいの同色のスパッツだったと思います。だいたい、フィリップしかみてないからいけないんですけど。こちらは、アダージェットのねっとり甘めのダンスと違って、ぴんとした緊張感があります。曲は同じく切ない感じで、女性の表情がなんだか悲しそう。これは、シュトゥトゥガルトだからかどうかわかりませんけど、オネーギンでタチアナを振りまわさんばかりの鏡の間のパドドゥばりの、アクロバティックな投げるようなリストがあります。時折、腕をぴーんと伸ばしてひっぱりあうような横向きのダンスがよいのです。バランキエヴィッチ君の端正な横顔がこの緊張感のある作品をひきたてています。今回のガラで一番すばらしい作品でした。このまま、フェリの公演に追加して参加させてあげたいくらい。これは、わたしの友人達は心の中でもりあがっているに違いないと思ったら、やはり終演後には、しっかり顔と名前を覚えて彼のことを待っていたのでした。来年末、シュトゥトゥガルトの来日公演の時は、是非オネーギン踊ってほしいものです。あ、忘れるところでしたが、テンチコワも大変よかったです。シュトゥトゥガルトの方々は、コンテンポラリーよいですね。きのうのアマトリアンといい、テンチコワといい。
 
’眠れる森の美女’
アリーナソーモア レオニードサラファーノフ プティパ振り付け
今日、やっとコンテンポラリー以外で、バレエみたなと思った回でした。やっぱりマリンスキーの人たちはレベルが違います。安心して、普通に楽しんでみていられるものをみれるありがたさを身にしみて知りました。廻るときは、軸をぶらさず、止まるところは止まって、まわっても飛んでも決まったポーズをきちんとこなす。当たり前のことを当たり前に美しく踊るということは並み大抵のことではないのだね。ソーモア美しかったです。オーロラ姫はこのくらい美しくて、このくらいは踊ってくれなくちゃ。サラファーノフ、わたしはよかったと思ったのです。踊りが正確だねと。だけど、最後はしっこで、膝まづいたときよれっとなったのを友人たちはみのがさず、あの人、そんなうまいかな〜と冷たいコメントなのです。で、よ〜く聞くと、あの髪型がどうもだめだわと、バレエより何よりビジュアル第一なコメントでございました。
 
’シンデレラ’ 
デルフィーヌムッサン カールパケット ヌレエフ振り付け
シンデレラは、みたことがないので、プログラムみるまではヌレエフ版とは知りませんでした。
衣装が、昨日のシンデレラみたいに、古典とは違うのであのバージョンかなとか全然違うことを思っていたら、これがヌレエフ版なのですね。解説ないからお話がわからないけど。
パケット君お衣装は、ベージュのベストにパンツ、同色のブーツでかわいい系です。シンデレラはピンクのドレスに頭に羽。リストの多いダンスですね。パケット君のテクニックの問題なのか、お疲れなのか、この人サポートはよくないわと思いながらみました。男性も女性もソロがなく、リフト以外の見せ場も少なく、ちょっと物足りない感じです。ガラならば、思いっきり物語っぽいものか、男女のソロ、バリエーションというのかな、そういうのを盛り込んだものだとよかったのにと思います。しかしながら、趣がかなりかわっているので、ヌレエフ版シンデレラは見てみたいなと思いました。
 
’フィナーレ’
ラベルのボレロの曲にあわせて、出演者が順番に踊ります。
もう、勘弁してほしいNBAの人々や、こぎたないアジア系ダンサーにがまんしていたら、左半分にシュトゥトゥガルト組、右半分にヤンヤンタンの組がでてきて踊ります。踊りをやめるタイミングがヤンヤンタンのほうが早かったので、拍手のタイミングがおかしかったけど、わたしはシュトゥトゥガルトに集中していたので、気になりませんでした。そのあと、マリンスキーとパリオペは、一組づつで、こんなことなら、シュトゥトゥガルトも一組だけの舞台にしてほしかったわと思います。カーテンコールは、パケット君真ん中で、横がシュトゥトゥガルト組。それが左よりなので、わたしたちは大変よいお席でした。最前列にて、パケット君とバランキエヴィッチ君が並んでいる図をしっかり真近でみることができたので。この図を再び観れる日がくるといいなと思いつつ、それにはもれなく、このNBAがついてくるのだろうかと心に暗雲たちこめそうな事実も。心意気は認めようNBA,でも、やるなら徹底してよいものだけを見せることも大事と知ってください。
update:
2007/08/07



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