Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [26]   エリザベート ブタペスト公演 サボーP組
2007年7月14日 マチネ
オペレッタ劇場(ブダペスト)
Elisabeth : Furedi Nikolett
A Halal : Szbo P. Szilveszter
Lucheni : Foldes Tamas
Ferencz Jozsef : Bereczki Zoltan
Rudolf : Dolhai Attila
 
今回のエリザベートはたいていがダブルキャストのようで、マテ組ともう一組が演じていました。せっかくいくのだから、他の人も一回くらいはみてもいいよねと、マテ、知らない人、マテと3公演とりました。千秋楽は、知らない人だから見なくてもいいやと他の公演を予約したりして。しかしながら、この選択には個人的には大きな後悔のもとであったのです。
 
で、知らない人と我々が呼んでいた人は、Szabor P. Szilveszterさんという人だそうです。人々はサボーさんと呼んでましたが、こっちは苗字です。ハンガリーでは、日本みたいに苗字、名前だそうで、マテがマテなら、この人はSzilveszterと呼ぶべきなのでしょうが。こういう長い名前はどう読むのかもわからないし、公演が終わる夜までさっぱり名前すら把握してなかったのです。今、わたしと友人は彼をサボーPと呼んでいます。いや、友人は正確には、’サボぴ〜’と発音しています。以下、わたしは彼をサボーPと称します。
 
サボーP組は、マテ組に比べ、おデブ率が高く驚きました。まずは、ルキーニ。この方は、CD版のルキーニさんで、マテ組のムーディールキーニより15歳くらい年齢上にみえます。ムーディールキーニがとてもすばしっこくて、身軽だったのに比べ、動きがいちいち重く、なんで今更この方がルキーニなんだかなと思いました。ちなみに、この方のファーストネームがTamasというのですけど、CDのジャケットみた時、えっ、この人、昔はハラールだったわけ?とすごいびっくりしたら、CDのハラールも同じくTamasで同じ名前というだけでした。あまりにイメージが違いすぎます。
 
あと、ルドヴィカ(&マダムヴォルフ)、ゾフィーがそろっておデブ姉妹でした。マテ組の若くてきれいなゾフィーとどうして、この人が同じ役なんだろうと思うくらい。これは、初風淳さんどころじゃありません。一番心配だったのが、ビリヤードでの密談シーン。ここは、最後に側近たちがゾフィーを持ち上げてビリヤード台にのせるのですけど、おじさんばっかりの側近にこの重いおばさんが持ち上がるのだろうかといらぬ心配をしてしまいました。さすがプロ。マテ組のゾフィーお母さんを持ち上げるときとかわりない顔をして(心で泣いて)持ち上げていました。
 
こちら、サポーPの組のルドルフは、ゲネかなんかのビデオで観たことがあります。わたしは、ハンガリーミュージカル界のことはよく知らないんですけど、彼のほうがマテ組の人よりスターなのかな?
’Morzart!’やロミジュリで主役を務めているらしい。が、外見は実年齢のルドルフを思わせるおじさん系ルドです。髪が茶色なので、ちびルドも茶色。まあ、あわせているんだわね〜と思いつつ、でもあのフランツからはこの子はできんだろうと思いました。と、いうかどっちがお父さんなんだという感じ。これは、このルドばかりが悪いのではありません。
 
サボーP組のわたしと友人の一番ツボは、フランツでした。最初、’誰もしらない真実エリーザベー’で皆が登場するとき、’あれ?今日のルドルフは髭付きだわ’と思っていた人がフランツだったのです。こちらもマテ組の熱いフランツに負けないくらい若き皇帝です。これは、シシイ、恋におちちゃうわという感じの王子様系皇帝です。髭はずして〜と思います。’エリ〜ザベー、開けてく〜れ〜’のところなんか、これから’ぼくはママの鏡だから’でも歌いだしそうな雰囲気。そりゃ、ルドルフのお父さんなんだから、若い頃はルドルフを思わせるというのは不自然ではないのですけど、この人でルドルフ観たかったわ〜と思いました。まあ、この人がフランツ続けるならば、マテ組のDavidのお父さんといったほうがしっくりくるのにと思ったりして。ちなみに、マチネの前にハンガリーのオムニバスCDみたいのを買ったら、この方も参加しており、ジャケットみたらやっぱり若い。歌っている歌もミスサイゴンのクリスとか。今度、そういう系統でみてみたい人です。
 
エリザベートを演じた方は、マテ組より、ちょっとお姉さんだけど、だけどまだまだ若い。素敵なフランツとともに、やはりハンガリーの人が思い描く若き皇帝とお姫様のイメージぴったりの美男美女カップルでした。歌は、さすがハンガリー、お2人とも若いながらさすがの歌唱力。それにしても、この2人とも、そのまま’オペラ座’のクリスティーンとかやってもおかしくない若々しさ、かわいらしさでした。
 
そして、そして、サポーPです。ハンガリー版のハラールは、サボーPのための役ではないかと思います。気配なき存在感のある死そのもの。金髪きらきらのマテと違って、こちらは黒い髪、無表情です。マテって、何をやってもマテ流の解釈が動きにでてしまいますが、サボーPはどこまでも、ハラール、死なのです。急にあらわれて、おおおとびっくりさせられます。サボーPのすごいところは、カーテンコールの時までハラールを忘れないところ。自分の出番が終わるとさっとひっこんで、ほほえみひとつ浮かべません。何回カーテンコールがあっても、絶対ファンサービスみたいな仕草なんてしません。最初っから最後までずっとハラール。こんなことなら、もっと最初から気合をいれてみればよかったと最後に近づくにつれ後悔の念は増すばかりです。唯一の慰めは、先ほど購入したCDにサボーPの’エリザベート’の曲が何曲か収録されていたこと。今までみた死のなかで、一番死のイメージの人でした。ウィーン版のマテトートもよいけれど、ハンガリー版、サボーPのハラールはたった1回の公演ながら、わたしの中で強い印象を残したのでした。
 
エリザベートハンガリー版、これほどはまると思いませんでした。マテ組、サボーP組ともに違った魅力で楽しませてもらいました。いってよかったよ、ハンガリー。大好きマジャルの情熱。
 
 
 
 
 
 
update:
2007/07/19



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