2007年6月24日 マチネ
Theatre1010(東京)
蝶 : 島田歌穂 コレル夫人:剣 幸
アービンコレル宣教師:戸井勝海 書生:山本匠馬
ケイト : 小野姫香里
今月は、レミゼ月間ですので、時間もお金もないわ、23日は休日出勤だしと思ってはいましたが、得チケ、3500円で島田歌穂さん、戸井さんとなれば、思わずe+の申し込みをクリックしてしまったのでした。で、Theatre1010って北千住って、どこなんですか?上野も越えて、これは千葉県かしらと思うくらい遠かったです。会場の作りはこじんまりよい劇場でした。ただ、案内に4番出口とかやめて西口とかって書いてくれたほうがわかりやすいです。4番なんて、どこにも書いてないよ、北先住駅。
このお話は、オペラのマダムバタフライの真実みたいな触れ込みで、その一部始終を目撃した宣教師の奥さんの言葉で語られます。マダムバタフライって、みたことないんですけど、日本人には、結構屈辱的な内容だとか?だから、今、それを晴らすべく、真実を語るってことでしょうか?
これ、ず〜と観ていて、’ミスサイゴン’じゃんとか思ってしまいました。まあ、’ミスサイゴン’がマダムバタフライだといわれていたので、めぐりめぐってここに来たわけなのかもしれないけど。’ミスサイゴン’と違うところは、お蝶が誇り高い武士の娘だというところを前面におしだしたところくらいかな。’ミスサイゴン’もヨーロッパ人の目からみたお話だから、あのようになったわけで、ベトナム人が描きなおせば、キムも誇り高き女性として描かれたりするのかも。お蝶の気高さをだそうとして、書生の父親とお蝶の父親の因縁みたいなものが描かれますけど、まあ、それほどのインパクトはありません。うがったみかたをすれば、キムとトゥーイのエピソードと内容は違うけど、インパクト的な部分ではかわいないって感じ。最後の終わり方まで、ミスサイゴンと謎っているみたいで、なんで今更感の強い作品という印象でした。
この作品、音楽はわりときれいだし、舞台のセットも美しいです。夜空とか、長崎の海とかを映すバックは大変よい演出だと思います。が、衣装がいけません。特に男性アンサンブルの白い袴とアメリカ海軍の制服を兼用したのは大NG。大真面目なこの作品がコメディーになりそうでした。これは、何をねらったものなのかわかりませんが、ものすごい違和感がありました。
役者さんたちは、概ねよかったと思います。島田歌穂さんは、旦那さんの島健さんが音楽を担当しただけあって、無理のない高いキーまで見事な熱唱でした。また、この方は、このように若い役をやっても違和感ないし、ひたむきに生きる役というのがよく似合います。ならば、何故、キムをやらないのだろうと思うのでした。これだけできるんだから、ミスサイゴンのキムで、'I believe’とか、'I swear to give my life for you'を歌ってほしいです。もっというなら、’レミゼ’でフォンティーヌやってほしいです。日本のミュージカルをこつこつと発展させようという心粋は嬉しいけれど、こういう半端な作品でなく、時には大作で、いかにも島田歌穂をみせてほしいとつくづく思いました。戸井さんは、戸井さんらしい、よき人の役でした。1幕の後半で、アンサンブルをバックにちょっと大掛かりなソロがはいり、う〜ん戸井さんという歌があり、終わって拍手しようとしたら、だあれもしないので、手をあわせたままとまってしまいました。なんで、みんな拍手しないんでしょうね?役の位置づけとしては、あんまりたいしたことなくて、誰がやってもよいような気もしたけど、こういうところに戸井さんを使うのがこのミュージカルのぜいたくさかなと思ったりもしました。コレル夫人の剣さんという人は、前にみたことあるのかな?忘れましたけど。歌も上手だし、善人なんだけど、結局は何もできないアメリカ人の妻を熱演していました。
上記のように、セットも音楽も役者もよいのですけど、よき作品とはいえません。何がだめって、やっぱり脚本かな。特に最後がだめです。お蝶の気高さを描こうとしてなのかどうか、誇りを守るために死を選ぶというのはどうしても納得できません。アメリカ海軍士官の正妻が子供を養子にするというのを断ったくせに、残された子供はどうなるんでしょう?本当に気高い日本人女性ならば、生きて子供を日本で育ててこそだと思うのです。それにしても、正妻が本国からやってくるところといい、その直後に自殺してしまうところといい、ほ〜んと、ミスサイゴンでしょう。繰り返しになりますけど、なんで今更、蝶々夫人なんでしょう?ちゃんと、彼女の誇りを描きたかったのなら、もう少し深い掘り下げが必要だったのではないかと思われます。
本作品CDとDVDでるそうです。売れ行き、心配です。
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