Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [31]   レミゼラブル(10)
2007年6月14日 ソワレ
帝国劇場(東京)
ジャンバルジャン:橋本さとし ジャベール:石川禅 
フォンティーヌ:渚あき  エポニーヌ:坂本真綾
コゼット:辛島小恵  マリウス:山崎育三郎  アンジュルラス:坂元健児
ティナルディエ夫婦:三谷六九 森公美子
 
実は、今回一番楽しみにしていた組み合わせの日です。バルジャンおよびジャベールが共に初演で、しかもわたくしのご贔屓のお2人。はっきりいって、あとのキャストが誰かは、会場行くまでしりませんでした。イメージ的には、禅さんがバルジャンで、橋本さんがジャベールなんだけど、反対だし。どうなるんでしょうね。開幕前のどきどきは、今井さん&鹿賀さんより、わくわく気分でした。
 
で、ですね〜、これは、もうツーごのみというか、マニア向け、コレクションの一つ的な個性的な舞台でした。初心者はやめたほうがよいかも。(と、知ったかぶりですけど)これが、レミゼというと全然違うけど、好みでいうと、好きですね〜。いろいろいうと、非常にだめな部分も多々あったことは確かなのですけど、主役ふたりの個性は、そういうものを凌駕していたと思います。
 
いいことと、悪いことどっちが先に聞きたい?とよくいわれがちですけど、まあ、悪いことから片付けちゃいましょう。もっとも最悪だったのが、マリウス。わたしのみたマリウスの中で、最低。この人、歌詞の意味とか、役柄を全然わかってないみたいです。髪を結わえることは、わたしは好きなほうだけど、この子はだめです。何がだめって、こぎたないのね。その辺の不良の高校生みたい。お洋服かえて、ティナルディエの仲間にいれてもらったほうがよいような品のなさです。なんだ、これはでしたね。なんで、こんな子がオーデションで選ばれるんだろう?浦井君とか受けてないのかな?Empty chaires at empty tablesをおろそかに考えたら、この物語の魅力は半減しゃうよ。この場合、本人が悪いのでなく、選んだ人がいけないと思えるほどのレベルでした。せめて、髪きって、きちんとお洋服整えて出てきてください。あと、演出の人も、もうちょっと意味を考えさせて歌わせてほしいです。
 
次にだめなのが、フォンティーヌ。この人、わたしの苦手な井料さん系。変にヴィブラートのかかった力のない声で、妙な感情表現。次回はパスしたい。
 
ティナルディエ役の三谷さんという人は、何の分野の人でしょう?ミュージカルや演劇でないことは確か。努力は認めますね。あと、根っからの小悪党という面では、かなりよくできてます。わかるけど、この人の悪い面の見せ方が、なんか見たくない感じの表現なので、みていてなんかつらい気分になりました。細かい部分で、作りすぎもあったし。ティナルディエは、ある種、ちょっとコミカルでお楽しみな雰囲気を醸し出す部分もあることを考えると、灰汁が強すぎるわりに、グレードがいまひとつ。悪くはないけど、好かれにくいティナルディエでした。
 
エポニーヌの坂本真綾ちゃんは、わたしは好きなエポニーヌなのです。この人は、長い公演の時は、前半よくないことが多いのですけど、今回もちょっと元気ないかなと思いましたが、できはよかったです。マリウスがあんななので、エポニーヌの恋する気持ちに自分の気持ちがついていけるか心配でしたけど、かえって、あんなつまんない男が好きで好きで、でもかなわない、哀れさ、特に今回は惨めさのようなものにぐっときました。ぼろぼろになっても、マリウスが好きというのが死ぬ前も死んだあとも表れていて、ほんと、かわいそうなエポニーヌでした。
 
今回は、諸事情で、森さんと坂本健児君の歌のうまさは光ってました。上手い人は、ほんと、安定してうまいです。森さんは、相手のせいか、ユーモアより、意地悪さとか醜さを今回は前面にだしていたようで、ユーモアで売っていたときより、深みがあってよかったと思います。坂本健児君もうまいです。こんなに歌はうまいのに、どうして、埋没してしまうんでしょうね、外観は。あと、背が20cm高ければよかったのに。もう美しいアンジョルラスは日本でのぞめないので、カリスマ性くらいはほしい。歌はいいんだけどね、背がね、、、(しつこい)
 
で、ですね〜。橋本さん、歌うまくないんですよ〜。へえ〜、この人、歌うまくないんだわ〜と知りました。きっと、今まで観た、聴いたバルジャンの中で、歌は一番下手。あと、歌詞とこの人のキャラがあってないような。バルジャンって、やっぱり難しい歌だし、難しい役なんだねと実感です。ちょっと、はらはらしながら見ちゃいました。なんで、観客が身内みたいな気分でみなくちゃいけないんだと思うほど。バルジャンの深い愛とか、燃えるような葛藤とか、そういう感動はなかったです。が、この人のバルジャン、結構好きかも。まずは、外見が好き。最初から、最後まで、ビジュアル的によかったのはサイモンボーマンさんの次くらいよいです。ビジュアル的に好きという面では一番かも。あと、歌が少ない演技の部分はよいです。かなり細かいけど、つくりすぎや、わざとらしさがなくて、わかりやすいです。特に今日はじめて、そうかと思ったのが、バリケードで多くの学生の中からマリウスがこの男だと認識する場面。ここで、バルジャンはマリウスとわかって、実はBring homeの前からずっと彼を見つめていたのだね〜と知りました。バリケードでジャベールと対決するところもよかったです。ここは、禅さんがよかったせいもあるけど、本日バルジャンの中で一番いい感じの場面でした。ちょっともどりますが、フォンティーヌの死の床での対決シーンみながら、そうか、この組み合わせ、どっかであったなと思ったら、CDミュージカル2で、RentからI live in Americaをこの2人でデュエットしてたのでした。あの時は、橋本さん、そんな歌下手じゃなかったのにね。歌だめでも、なんか心ひかれる、また見たいような不思議なバルジャンでした。
 
そして、禅さん。い〜、すごいい〜です。禅さん、歌すごい上手。Starsと自殺、これはマッカーシーおじさんと並ぶかもしれない。禅さんは、マリウスとか若い日のフランツヨーセフとか高音の若者声が素敵なんですけど、ジャベールの低音もよかったですよ。これは、わたし的には新しいジャベールです。こんなに感情表現をするジャベールは初めて。バリケードの対決、’殺るのは、ナイフか’のところ、ばかにしたように笑いながら歌ったんですよ。これは、新しい解釈。自殺では、自分の価値観がぼろぼろ崩れ去り、自分が立っていられなくなってしまうような絶望感をかなりストレートにだしていました。原作のピリオドまで正確に綴りのまちがいなく遺書を書いた冷静なジャベールとは違うけど、人間味があってこういうジャベールもありだねと受け入れられました。禅さんには、慈悲にあふれるバルジャンをいつの日かやってもらいたいけど、その前に、このようなご本人のイメージとはかけ離れた役で、役者としての深さを刻んでいくのもよいのではないかと思います。禅さんのジャベールで、CDだしてほしい。その場合、できることなら、マリウスも禅さんで。
(そんなわけはないか。)
 
あと、レミゼのチケットは今月末。今井さんと禅さん、これも好きな人コンビです。こちらは、十分歌の魅力が期待できそう。これで、今年はうちどめと思っていたけど、う〜ん、橋本さん&禅さんの組み合わせ、やっぱりまたみたいかも。7月か8月、また行けないものだろうか。。。。バレエの公演と相談して決めなくては。
 
 
 
 
 
update:
2007/06/14



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