Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [36]   ジキルとハイド
2007年4月7日 ソワレ
日生劇場(東京)
ジキル&ハイド:鹿賀丈史  エマ:鈴木蘭々
ルーシー:マルシア ジョンアンダーソン:戸井勝海
ダンヴァースカール卿:浜畑賢吉 ストライド:宮川浩
 
久しぶりの劇場はやっぱり嬉しいですね〜。ミュージカルという点では、12月の’マリーアントワネット’以来ですし、お引越ししてから劇場にいってなかったし。それに、この’ジキルとハイド’は、観たあと、ああ、ミュージカル観たわという気分にさせてくれる作品なのです。
 
この作品は、再演から観ていますが、すごい好きだったわけではなく、じわじわ好きになりました。今回は、鹿賀さんファイナルとのことですし、なんたって戸井さんがアタソンですから、いかないわけにはいきません。宮川さんもでてるしね。
 
前回、前々回のときって、さらっとみてしまったので、印象に残るところと残らないところがはっきりしていて、今回えらいこんなところもあったのねと気づくことが多かったです。それで、印象うすかったところというのは、よくなかったところであったと気づきました。再々演のあと、ビデオでブロードウエイ版みて、韓国の来日公演もみて、CDもいろいろ聴いたせいで、作品の構成が、今回はよく頭にはいっていたのです。一番びっくり、これがあったのかと思ったのが'Your work- nothing more'です。ブロードウエイ版で一番よかったところで、韓国版ではぶっとびそうなくらいすばらしくて、日本はこれをやれる実力がなかったのだと思い込んでいたのです。今日みたら、ありました。でも、短かったし、さらっとしてました。
 
こうしてみてみると、再演を重ねているだけに、作品としては、非常に安定していたと思います。特にアンサンブルや脇の人々が少数精鋭という感じで、あんまりいっぱいいるわけではないけど、迫力いっぱいでした。韓国版のアンサンブルのレベルが高いねと思ったけど、今回は負けてなかったかも。で、よくみるとですね、宮川さんなんかもアンサンブルにまじっているのです。そりゃあ、うまいわけだ。ちょっとぜいたくなアンサンブルです。
 
今回、一番嬉しかったのは、言うまでもなく戸井さんの参加ですね。禅さんが出ないのは寂しいけど、戸井さんに代わったなら、問題ありません。この時代のロンドンの紳士の服装ってかっこいいのですよ。戸井さんって、すらっと背が高いので、今までのどのアタソンより見た目が素敵。キャラ的には、禅さんのアタソンに近いです。ブロードウエイのアタソンって、黒人のいかにも賢そうで重みのあるお友達というより、年上の弁護士って感じの人でしたけど、戸井さんは、お友達思いで、青年の純粋さいっぱいで、う〜ん軽いけど、戸井さんらしいという感じでした。お髭が自前だったそうですけど、それがないと若くみえすぎちゃうのかな。個人的には、ないほうが嬉しいです。歌は、少ないので残念。もっと聞きたいけど、アタソンの歌う場面は少ないのです。
 
前回に引き続き、最低だったのが、鈴木らんらんのエマです。彼女、外見はよいのですよ。演技はよくなってましたしね。だけど、もう致命的なのが歌。がっくりくらい、成長のあとがみられません。日本の’ジキルとハイド’がいまひとつぱっとしないのは、エマのせいなのです。鹿賀さんファイナルを機に、是非考え直してほしい部分です。
 
マルシアは、さらにパワーアップ。もう回を重ねた自信に満ち溢れた歌と演技でした。これは、これからルーシーやる人は苦しいでしょうね。まちがいなく、彼女の代表作となるでしょう。
 
で、鹿賀さん、ファイナルですね。鹿賀さんって、何がうまいとかじゃなくて、圧倒的な存在感の人なのです。そういう意味では、これだけのベテランぞろいで脇をかためても、一段上にいるって感じ。お見事としかいいようがありません。が、だからといって、わたくし個人的には、決してよいジキルであっとは思えません。ハイドは、よいのですよ。今まで観た人のなかで、ハイドは一番迫力あってこわかったです。だけど、鹿賀さんのヘンリーってなんか落ち着きすぎていて、危なかしさというか、青年としての若さゆえの不安定さがなくて、エマが支えてあげなくちゃという感じがないのです。これは、多分役者としての見解とか持ち味の問題なので、鹿賀さんのレベルの問題ではありません。’ジキルとハイド’をやりたい俳優さんは多いと聞きます。きっと、上演にあたって、ベテランの鹿賀さんが持っていっちゃったのでしょう。だから、ファイナルというのはよいことです。他の人に門戸開いてあげてください。わたしは、戸井さんで見たいです〜。
 
本日、あ、これは前とかわったかなと思ったのが、後半のクライマックス、ジキルとハイドが交互に出てきて戦いながら歌うところ。海外では、ジキルとハイドって、髪型で分けています。右半分が髪おろしていて、左は結んでいるとか。日本は前どうだったか忘れたんですけど、それでも右左でライトの色で区別していたと思うのです。だけど、今日は、鹿賀さん、ほぼ正面で、髪もどっちがどっちってあんまり明確でなくて、(ジキルが前髪あげていて、ハイドはぱらっとおろしてはいる)、声と演技だけで区別しようとしていたように思えます。まあ、それはそれで見事でしたけど、印象としては、最初にみたびっくり加減がうすまってしまいました。これ、自信があったのかもしれないけど、演出的にはもっと明確にしたほうが葛藤がでると思います。
 
エマをのぞいては、この作品も完成に近いなと思いますので、鹿賀さんファイナルというのもうなづけます。これで、封印しないで、今度は若いヘンリーを見たいものです。これ、今、ブロードウエイでもウエストエンドでもやってないのですよ。よい作品なのにね〜。ロンドンならば、サイモンボーマンさんなんかでみてみたいです。もう少し歌を鍛えてオリバーがやってもよいわ♪と、海外はよしとしても、日本は今度誰がやるのでしょうか?楽しみな作品です。
 
 
 
 
 
 
update:
2007/04/07



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