Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [38]   タイタニック
2007年1月20日 ソワレ
東京国際フォーラム(東京)
設計士:松岡充 通信士:鈴木綜馬 ボイラーマン:岡幸二郎
三等客のアイルランド人:浦井健治 ケイト:紫吹淳 一等航海士:岡田浩揮
船長:室田明 オーナー:大澄賢也 
 
このミュージカルのことは知っていたのです。去年のロンドンレミゼのマリウス、ハイデンティー君の次のお仕事がたしか’タイタニック’だったし、おとどしくらいロンドンいったときにセットの展示がトロカデロであったのです。もとは、ブロードウエイというのは知りませんでしたけど。
 
まあ、映画であ〜ゆ〜大作つくられて、みんなみんな観てますから、いくら映画の前につくられたミュージカルといえども、分は悪いですね。これ、群集劇というのでしょうか?その割には、人が少ないのですね、印象が。なんでかなと思うと、やっぱり、映画の最後の頃に、ほぼ垂直になった船の端っこにつかまってすべりおちる人々の迫力が頭に焼き付いているから?まあ、舞台も傾いたりはするんですけど。今回、ちょっとけちってパンフレット買ってないので、役名がわかんないのでした。そうしてみると登場人物は多いです。アンサンブルが少なかったのかな?そういうわけで、役名が覚えられないのです。わざとらしいくらい、みんな自分の名前を名乗るのですけど、だめでした。
 
できはというと、まあまあ。一幕は、あ〜これは失敗駄作だわと思いました。85分、この内容ならこの半分にして、もっと事故発生からの物語をもりこんだほうがよいです。一幕は、事故発生直後までなのです。概ねは、登場人物の紹介と背景説明みたいなな感じ。それが、わりとなんか気持ち的には次をまってるんだけど、メインをまっているんだけど、というようなその一場面一場面を楽しめない感じ。それでも、二幕はけっこう物語として楽しめました。なんといっても、タイタニックの事故そのものには、実際にたくさんのドラマがありましたからね。演出というより、事故そのものに救われている感じ。
 
この主人公って、設計士かなと思うでしょう。そうでもないんです。どっちかっていると船長のほうがメインなんです。だけど、思うにこの作品をヒットミュージカルにするために、この設計士役はきっと素敵な若手をオリジナルは起用したんじゃないでしょうか。最初も最後もこの人のソロが結構聞かせる系です。そう考えると、なんで、松岡充なんでしょうか?だいたい、この人って何者?背が低くて、子供みたいな大人。歌もルックスもどうでもいいし。どうやら、ロックバンドかなんかのヴォーカルらしい。が、何故?これは、スポンサーか何かの意図ですか?今回、ミスキャストNo.1で、このミュージカル日本化失敗の主因です。わたしとしては、ルックスに目をつぶるなら、井上芳雄君くらいでみたかったです。
 
あとミスキャストは、ケイト。なんで、この元宝塚の年齢いった人が浦井君の恋人役なんでしょうか?この程度の役なら、レミゼのコゼットやエポニーヌ役に山ほどそこそこの若い子が起用されているのだから、そこから選んでもよかったんじゃないでしょうか。浦井君とケイトの役は、出番は多くはないけど、映画タイタニックの若いふたりのようにさわやか系のはずなんですよ。それが、この紫吹さんではとってつけたみたいでいまいちでした。
 
この上記二人以外は、プリンシパルの人々はよくこなして役にあっていました。これ、かなりベテランが出ているのですね。浜畑賢吉さん(この前ブロードウエイガラでおみかけしました)、藤木孝さん(ジキルとハイドの時、おみかけしました)、宝田明さん。こういう人は、あたえられた役をまるで長年そうやって生きてきたみたいな歴史の積み重ねが背景にみえるような演技をします。鈴木さんと岡さんの役は、おいしい役です。浦井君、次に再演するときは、どっちかの役にかわってほしいです。
 
今回予想よりよかったのは、大澄賢也氏。小柳るみ子の元夫ということしか知りませんけど、この人、舞台ちゃんとやる人なんですね。歌も悪くはなかったし、体型がよいです。日本人って、背が高くてめぐまれた一部の人以外は、タキシードが似合わないんですけど、彼は似合ってました。かっこいいとか、素敵じゃなく、普通に着て違和感ないって感じ。これは、日本の庶民にはなかなかないことなのです。あと、ダンスがよかったです。日本のミュージカルでいっつもがっくりくるのがダンスなのです。あまり踊るシーンはなかったのですが、ちらっと踊る姿をみると、わりと踊れそうな気配。日本人特有の荒削りなきめの粗さがないような印象です。どうしても、見た目が軽くて小者なイメージはぬぐいきれませんが、ダンスのあるミュージカルでみてみたいなと思いました。
 
作品としては、ミュージカルらしい音楽と演出でミュージカルの一作品としてはよくできているとは思います。翻訳ミュージカルの常で、たぶんオリジナルより2〜3割り方そのよさをそこねているのしょう。ロンドンかブロードウエイでオリジナルの言語でみてみるとまた違った味わいがあるのではと思える作品でした。
 
 
 
 
 
update:
2007/01/20



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