Review

わたしは、このコンサートのことをなんか誤解していたというか、よく理解していませんでした。これ、新人発掘オーディションもかねていて、明日のミュージカルスターを育成する基金の一部にチケット代が使われるとか。どおりで、そのわりに値段高いと思いました。途中で、オーディションもみせられます。アマチュア10人が1分づつ、これ1分っていうのは限界ですね。しろうとの演技をこれでもか、これでもかとみせられるのは結構苦痛です。ちなみに、わたしがみた10人、日本のミュージカル界の明日は暗いです。

このコンサート、フジテレビの主催のようです。フジテレビか～。なんだか、歌謡ショーののりで、構成とか選曲とかはっきりいっていまいちでした。これだけの人を集めておいて、お得感がちっとも感じられなかったのは、どう考えても演出が悪いとしかいいようがありません。無駄にお金と才能使ったなという感じが否めません。これは、わたしだけが感じてたわけじゃありません。わたしの隣の席の2人組みのお姉さんたち、けっこうはっきり物をいう方々で聞いていておもしろかったですけど、くちぐちに不満述べてました。もっとも、批判の的になったのが、秋山雅史。テノール歌手。誰、この人？なんで、ミュージカルガラにテノール歌手がでてくるんだ？最悪だったのが、ウエストエンドストーリーから’Tonight'。これだけの人を集めておいて、なんでこの人が歌うの？あんな、オペラ声で、やめてほしいわ。もう来年はこないでねという感じです。

今井さん、ひさひぶりなのに。選曲悪すぎ～。なんで、’エーデルワイス’なんですか？なんで、’ミュージックオブナイト’、英語で歌うのですか？せっかく、今井さんの歌が聞けるのに。唯一よかったのが’美女と野獣’でした。どうせなら、島田歌穂さんと、’ポイントオブノーリターン’を日本語で歌ってほしかったです。浦井君も残念組のひとり。この子も英語の歌が悪かった。ライオンキングの歌です。’シーズンズオブラブ’は、日本語だったけど、あんまり歌詞をかみしめてなくて、まだ未消化な感じ。そうね、こういう場合、’スターライトエクスプレス’なんか歌うとよいと思います。さわやかで、明るくて、この子のよさがきらめくと思います。

意外とよかったのは、鈴木綜馬氏と石井一孝さん。となりの口の悪いお姉さんたちは、石井さんのことかずちゃんと呼んでました。鈴木綜馬さんて、何をやってもフランツヨーセフとか思ってましたが、今回歌った’君住む街で’の英語版は、エンターテイメントいっぱいの味つけにしあがっており、口の悪いおねえさんたちも、’あの退屈な歌をあれだけみせるとは、エンターテイナーだね～’とほめてました。あと、島田歌穂さんとのデュエット、’世界が終わる夜のように’、高音がきれいに出ており、こういう歌が歌える人だったのかとちょっと感心。この歌が紹介されたとき、石井さんが歌うのかと思ってました。石井さんは、たぶん演出家の才能があるのか、選曲をまちがえてない数少ない人でした。彼だけは、この歌はだめだよというのがなかったです。特によかったのは、マルシアとの’Dangerous game'。これ、マルシアがよかったというのもあるんですけど。これ、わりと誰が歌ってもかっこいい歌ですしね。石井さんって、ず～と前からジキルとハイドをやりたがっているそうで、鹿賀さんのあとを確実にねらっており、常々ジキルとハイドのナンバーを歌いつづけているとのことです。わたしとしては、もっと若い人か戸井さんにやってもらいたいけど、まあ、石井さんでも許そうと思いました。歌はうまいのでね。’彼を帰して’もよかったです。今年は、ジャンバルジャンやらないんですよね。さみしいわ。石井さんの熱くて、腰の低いバルジャン好きだったから。

女性陣は、みなさんお上手でした。あとは、好みですね。わたしは、やっぱり歌穂さんが好きでした。前にコンサートで聞いた曲ばっかりで新しさはなかったけど、どれもそれだけに心にしみました。マルシアもよかったです。この人は、女優というより、やっぱり歌手なのかな。歌できちんと聞かせてくれます。シルビアは、選曲のせいかぱっとする歌がなかったのが残念。大浦みずきさんは、歌は少なかったけど、印象的でした。あんまり知らない歌なので、わたし的にはもりあがらなかったけど、もしなじみの曲だったら、この迫力は好きかもと思いました。鳳蘭さんは、みんながありがたがるほどにありがたくはなく、どうせなら、’サンセットブルーバード’から、あのおちぶれた女優さんの歌とか歌ってほしかったかなと思いました。