Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [43]   海賊 マリンスキーバレエ来日公演
2006年12月5日 ソワレ
東京文化会館(東京)
コンラッド:エフゲニーイワチェンコ メドーラ:ウリヤーナロパートキナ
アリ:イーゴリーゼレンスキー ギョリナーラ:オレシアノーヴィコワ
ラングデム:ミハイルロブーヒン ビルバント:ドミートリープィハチョーフ
 
2年前くらいだったか、マリンスキー劇場の300年ガラの一部がTVで放映されて、ゼレンスキーの’海賊’を観たとき、これは是非生で観てみたいと願っていた演目なのです。’海賊’といえば、もう一つ。アダムがローザンヌコンクールで踊った演目でもあります。今回、念願かなって、ゼレンスキーがアリを踊る日が一日だけあるというじゃありませんか。他の人々は、日曜日の’白鳥の湖’をおしたけど、わたしは、やっぱりゼレンスキーのアリが観たかったのです。
 
この3ヶ月、会社に人生さしだしたのではないかと思えるほど、仕事に追われた植民地の民と化していたので、本当に今日はいけるのかしたらと思いつつ、残業している外人たちにさよならいって、出てきた久しぶりのバレエはとっても楽しいものでした。’海賊’は、ガラではみたことがあるけど、全幕は今日がはじめてです。
 
お話は、わりと他愛ないのですけど、何しろキーロフ(マリンスキー)の人々、ゼレンスキーしか顔わからないし、’海賊’のお話あんまりわかってないし、最初は状況を把握するのが大変でした。開演前に走り読みしたプログラムのあらすじを思い出しながら、一幕を観ていたせいか、ゼレンスキーの印象うすいです。一幕は、むしろ、ラングデムのほうが目立ちます。’海賊’は、男性ダンサーの技巧満載といわれるだけあって、脇役ながらこの人も飛びます。これは、この夏バレフェスでみた、キューバのフロメタ君にやってもらいたいものです。このラングデムを踊ったダンサーは、プログラムでみると線が細いですが、踊りそのものは、ロシアらしくごっつい感じ。なかなか存在感あるじゃないですか。
 
で、’海賊’は、やっぱり二幕ですよ!二幕前半は、メドーラは踊るは、コンラッドは、踊るは、それより何より、アリのソロがあるのですよ。あの、ローザンヌでただただ美しさと若さだけでアダムが踊ったこのアリのソロは、本当は、こんなにも整然としかし大胆な完成された男性の舞であったのですね。ゼレンスキー、さすがでございます。身体の線は、細いけれど、安定して、しなやかで、最後に背面にそるポーズ、ぐっときました。あまりに短いですけどね。踊ったあとに汗で背中がきらきら光ってむしろ美しかったです。TVでみた時のものすごい躍動感は感じられなかったけど、こういうアリを生でみれたことは幸せです。
 
ゼレンスキーもよかったのですけど、それにもまして、よかったのが、ロパートキナですね。今回初めて名前しりましたけど、可憐に美しい人でした。トルコのお金持ちに買われていきそうになるギリシャのお嬢さんそのものです。全体に、ブルーや紫に近いピンクっぽい衣装が多いのですけど、とてもあっていました。専門的にテクニカルなことはわかりませんが、男性ダンサー好きのわたしが、技巧満載のこの作品をみてさえ、印象に残る女性ダンサーであったことはまちがいありません。
 
そういうわけで、もう二幕が大変よかったので、期待高まる三幕でしたが、個人的な好みからするとハズレでした。あの夢の群舞は、わたしはだめです。バレエ好きといいながら、ああゆうものを受け入れないわたしはいけないのかもしれないけど、なんか’海賊’のイメージとはかけ離れていて、ひたすら退屈なのです。やっと、コンラッドたちが助けに出てきてくれてほっとしました。と、思ったら、さっさと終わってしまうし。せっかくなら、二幕でやめたほうがよかったのではないかと思いました。
 
マリンスキーバレエ、ロシアらしく、骨太で、二幕のコリアンカラーの原色の衣装にあわせた群舞などは好きでした。もう少し、お値段安ければ、’白鳥の湖’も行きたかったのですけどね。
 
 
 
 
 
 
update:
2006/12/05



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