Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [45]   Burn this−焼却処分ー
2006年11月18日
青山円形劇場(東京)
アナ:大輝ゆう ペール:岡幸二郎
ラリー:浦井健治 バートン:小林十市
 
あまりに劇場通いの日々から遠のいていたために、ホームページ作成用のアイコンがスタートページから消えていました。本日、ほぼ2ヶ月半ぶりの観劇です。青山円形劇場は、椅子は悪いけど、舞台がとても近くて、臨場感があって気にいりました。アダムが兵士の物語もってくるなら、ここがよいかもと思います。少し狭いのと、床がダンス向きがどうかという問題はありますが、この距離感は、リンバリーに負けてないです。
 
これは、このメンバーでいながら、ミュージカルじゃないんです。翻訳物のストレートプレーです。わたし、今日気づいたんですが、わたしは、やっぱりミュージカルとかダンスの方が好きです。ストレートプレー特にアメリカ系の翻訳物は、セリフが多すぎて疲れます。どうも英語って、日本人の感覚にはあわないんじゃないかと。日本語にすると説明が多すぎ、無駄が多すぎというか、セリフの重みがないというか。
 
お話は、元ダンサーで今は振り付け家に転身しようとしているアナに、売れっ子の映画作家で恋人のバートンが会いにくるところから始まります。アナは、広告代理店につとめるゲイのラリーと、ダンスのパートナーであり、これまたゲイのロビーといっしょに暮らしていたのです。ロビーは、ボート事故で死んでしまい、そのお葬式から帰ってきたところです。ロビーを失ったことで、人々の関係はなんとなくバランスを失ったようです。そんなある夜明け、ロビーの兄であるペールという酔っ払いがアナとラリーのアパートにやってきてます。知的で上品なバートンという恋人がいながら、アナはこの粗野な男と関係をもってしまいます。アナは、バートンとの結婚を考えながらも、ペールとの関係をきれません。人々の関係はいよいよ均衡を欠き危ういものとなっていきます。バートンがアナとペールの関係を知り、アナはバートンともペールも振り切り仕事に没頭するようになります。アナの初めての舞台をみたラリーは、アナの気持ちを知り、ペールを舞台にむかわせます。舞台をみたペールは、しらふでアナのアパートに向かい、2人は心を確かめあったのでした。
 
と、あらすじ書きながら、なんだかつまんないお話っぽいわ〜と思いましたが、まあ、お話自体はそのとおりなのです。でも駄作になってないのです。この作品はよかったです。この成功の一つは、キャスティングでしょう。俳優さんたちが、皆魅力的で、ともすると嫌味になりそうな80年代の富裕層のニューヨーカーを自然体で演じているのに好感がもてました。演じる役者さんは、4人ですが、この4人に関係する人物が何名か話の中にでてくるので、最初は関係を把握するのが大変で、めんどくさい話かしらと懸念しましたが、1幕後半からそんなことも気にならなくなり、二幕は普通に楽しめました。
 
アナ役の大輝ゆうさんがよいですね。とてもきれいな方です。こういうお話の場合、絶対といっていいくらいわたし、こういうアナみたいな女は嫌いなんです。2人の男性を結局は傷つけながら、自分も傷ついているみたいなことを主張するし、とても魅力的なゲイのルームメイトに甘えるし。それなのに不思議なくらいアナにはいやな印象はありませんでした。大輝ゆうさんの持つ天性の人としての素直さによるものかもしれません。実際のゆうさんという方は存じませんが、そのような印象を受けました。ミュージカルでおめにかかりたい方です。元宝塚の方だそうです。
 
小林十市君は、ドラマ’プリマダム’のノリですね。育ちがよくて、その恵まれた環境ゆえにやさしくて、でも人生の厳しさを知らないのでツメが甘いという感じの役にぴったりでした。せっかく生の十市君なので、踊る姿が見たかったです。舞台俳優さんに転身するのもよいかなと思いました。
 
岡さんは、ミュージカルの人ですので、歌わないのはとっても意外です。この方は、わりと甘めの2枚目役が多いようですけど、今回は粗野でストレートに感情をぶつけてくる孤独な男性を演じています。この人、去年アンジョルラスをやったのをみたのですけど、日本でみたアンジョルラスの中で一番アンジョルラスっぽい人だと思いました。アンジョルラスとはほど遠い役ながら、なかなか魅力的でした。こういう男っぽいけど、孤独を背負った弱さもある役というのは、おいしい役ですね。
 
浦井君は、お話の中心ではないのですが、アナや彼女を取り巻く人々にやさしくせっしながら、冷静な冷めた目でその関係をみつめているような役でした。浦井君は、どんな役をやっても自然体な好青年ですね。そろそろ、すんごい悪い奴の役とか、権力を手にいれようとするハングリーな役とか冒険してもらいたいな。ま、それはそれとして、この舞台では、我々初期から浦井君をみつめてきた者としては、ちょっとショッキングなシーンも。ひとつは、煙草。浦井君が煙草吸うのは初めてですね。あんまり似合ってなかったですけど。あとひとつは、ブリーフ姿。Oh〜、なかなかひきしまって、若者らしい美しいからだでした。前もって、知らなかったからびっくりしました。
 
やっぱり、舞台のある暮らしはよいです。仕事に縛られた日常から解放されるこの快感はやめられません。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
update:
2006/11/18



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